高周波数帯のオークション導入/電波の公共的利用に反する/衆院総務委 辰巳氏
ミリ波を含む高周波数帯の「周波数割当方式」にオークションを導入する電波法、放送法両改定案が10日の衆院総務委員会で、自民、立憲民主両党などの賛成多数で可決されました。日本共産党は、国民の共通財産である電波の公共的利用に反するとして反対しました。
政府は、利用が進まない高周波数帯の割り当てを落札額で決めるオークションによって、通信事業者だけでなくさまざまな事業者の参加で開発するとしています。日本共産党の辰巳孝太郎議員は質疑で、「資本力が弱ければ排除される」「電波利用には公共性への配慮が必要だ。オークション参加事業者に整備計画や通信網の開放を求めるべきだ」と指摘。総務省の湯本博信総合通信基盤局長は「条件を極力少なくし、創意工夫を重視し割り当てる」ことで有効利用を図ると答えるにとどまりました。
また両改定案には、ミリ波とともに次世代通信技術とされる、携帯電話基地局として成層圏を飛行する無人機(HAPS)の商用化をめざす規定が盛り込まれています。辰巳氏は、南西諸島を含む島しょ部でのHAPS運用も想定していることから、防衛省が「貪欲に防衛力に取り込む検討作業」を行っていると告発。「南西諸島を戦場と想定し次世代通信を使うことは、地域住民が懸念している軍事要塞(ようさい)化を補完するものだ」「国民のために開発した次世代通信技術を、有事には軍事利用を優先できるよう橋渡しする総務省の対応は認められない」と主張しました。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
本法案では、これまで利用が進んでいなかった高い周波数帯、いわゆるミリ波と言われる周波数帯のうち、二十六ギガヘルツと四十ギガヘルツの割当てにおいて、新たな周波数割当て方式としてオークションを導入するというものであります。限られた資源である電波は国民共有の財産でありまして、国民の理解の下、公平に割り当てられ、有効利用がなされる必要があると私たちは考えております。まず、確認しますけれども、この二十六ギガヘルツと四十ギガヘルツの割当てをオークションにする理由というのは何なんでしょう。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
近年、電波の利用が急速に進むにつれ、電波が逼迫した状態となっているため、比較的空いている六ギガヘルツを超える高い周波数帯の活用を進め、電波の逼迫の解消につなげることが必要となっているところでございます。
さらに、六ギガヘルツを超える高い周波数帯の利用技術が進展したことによって、今後、新規サービスの創出等を通じた我が国の持続的な経済成長や競争力強化への貢献も期待できるところでございます。
こうした状況を踏まえまして、総務省におきましては、有識者会議における会合を開催し、六ギガヘルツを超える高い周波数帯の活用促進のための方策等について検討を進めてまいりました。
その中で、六ギガヘルツを超える高い周波数帯の活用を促進するためには、周波数を割り当てる者に求める条件を極力少なくして、専ら金額の多寡のみで評価する価額競争による新たな周波数割当て方式を導入することが有効であるとの結論に至り、今回の法案を提出することといたしました。
○辰巳委員 続けて聞くんですけれども、このオークションに参加する条件というのはあるんでしょうか。
○湯本政府参考人 価額競争における参加資格につきましては、総務大臣が価額競争の実施に関する指針において個別具体的に定めることとしております。
本法案が成立した暁には指針において検討を進めてまいるものと思いますが、委員から御質問がありました参加の条件といたしましては、例えばでございますけれども、電波法上の罪を犯して二年を経過しない者など電波法上の欠格事由に該当しないことや、反社会的組織に属していないことなどを設けることが想定されます。
また、より幅広い事業者の参入による市場の活性化や、特定の事業者への過度な割当ての集中を避けるといった観点から、例えば特定の周波数帯の価額競争への参加資格として新規参入であることを定める、そういったことも想定されるところでございます。
○辰巳委員 多くの事業者の参加で多様なサービスの展開を行って高周波数帯の利用を開拓していきたいんだ、こういう話だと思うんですね。ただ、オークションということは、入札又は競りによって最も高い価額を申し出た者に対して利用権を認めるということになるわけですので、経済的価値が利用者を選定する唯一の基準というふうになるわけですね。そうなると、結局は、より高額の落札額を出せる事業者が最終的には落札するということになって、電波を活用して事業を行いたいといっても、資本力が弱ければ、脆弱であれば排除されるということになります。
電波利用について、公共性に対する考慮というのを私たちはやはり必要だというふうに考えているんですね。入札参加事業者に、従来の比較審査方式で条件とされる整備計画あるいは通信網の開放、これも求めるべきではないかと思うんですけれども、いかがですか。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
周波数の割当てにつきましては、それぞれの周波数の特性又はニーズ等を踏まえて、電波の公平かつ能率的な利用の確保に最も資すると考えられる手法を採用するといったような考え方をしております。
そのため、伝送距離が長いなどの特性を生かして全国的なエリアカバーを重視して割り当てることが電波の有効利用に適当であると認められるような場合には、委員御指摘のような、従来の割当て方式を採用することとなるというふうに考えているところでございます。
一方で、六ギガヘルツを超える高い周波数帯におきましては、先ほど御答弁申し上げたとおり、その活用を促進するといった観点からは、求める条件を極力少なくし、創意工夫を重視して割り当てるといったことが電波の有効利用に適当であると認められるような場合には、今回導入する価額競争による割当て方式を採用することとなると考えているところでございます。
○辰巳委員 何かちょっと聞いたこととずれるんですよね。今回のでも採用することはできるんじゃないかというふうにも思いますね。一定地域における高周波数帯の割当てでやっても、公共性に対する考慮がやはり求められると思うんです。具体的な制度は、政府の政治的な判断にそれこそ白紙委任するということだと思うんですね。現在は利用が少ないミリ波帯を中心とする高周波数帯を民間資本を集中的に投入して利用開拓を進めるということになっていくと思うんですけれども、結局は電波の公共性は一定犠牲にせざるを得なくなるということへの懸念があります。国民共有の財産である電波の公共利用に反すると言わなければならないと思うんですね。
法案では、成層圏に飛行させる無人機、HAPSですね、これを携帯電話の基地局として実用化、商用化するための免許を与えるという規定を設けるということもあります。確認しますけれども、HAPSの実用化、商用化の目的を説明していただけますか。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
HAPSとは、高度二十キロから五十キロまでの成層圏を飛行する無人航空機等に携帯電話基地局を搭載したものであり、HAPSが実用化し、陸上の携帯電話基地局と一体的に運用することで、離島、海上、山間部も含め効率的にエリア化することが可能になると見込まれているところでございます。
HAPSは、地上のネットワーク等が被災した場合におきましても携帯電話サービスの提供が可能であることから、地理的要因や災害の影響を受けにくい柔軟かつ強靱な通信環境の実現に貢献すると期待されているところでございます。
HAPSを実用化することを通じまして、こうした効率的なエリア化、柔軟かつ強靱な通信環境の確保を目指すものと理解してございます。
○辰巳委員 続けて聞くんですけれども、HAPSなんですが、実用化にはまだハードルがある、海外でも実用化、商用化した例はほとんどないと聞いているんですけれども、これはいかがですか。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、海外においてHAPSを実用化したとの実例は承知してございません。一方で、先ほど申し上げましたとおり、HAPSが実現することで、離島、海上、山間部を含め効率的な携帯電話のエリア化を実現し、災害の影響を受けにくい通信環境が実現できると期待されているところでございます。
我が国におきましては早期のHAPS実用化に向けて複数の事業者が取組を進めておりまして、NTTドコモとスペースコンパス社におきましては令和八年に、島嶼部等をスポット的にカバーするサービス、また災害時での活用を開始する予定となっているところでございます。
○辰巳委員 HAPSはまだ開発途上の技術である、NTTやソフトバンクが計画しているような、飛行翼を持ったタイプでの先行する事例も今のところはありません。幾つかのハードルを越えていかなければならないという状況なんですね。
我が党は、国民の利便性に資する技術の開発に対してはもちろん否定するものではありません。ただ、ミリ波を含むビヨンド5GやHAPSによる高速大容量での低遅延の通信といった、次世代通信に対して注目をしているというのは今紹介いただいたような民間企業だけではないということなんですね。
一般社団法人防衛技術協会が発行している防衛技術ジャーナル二〇二二年の二月号で、「ミリ波通信ネットワーク技術」という防衛装備庁職員による論文が掲載をされております。ここには、ミリ波通信等による高速大容量長距離ネットワークの実現を目指す研究を進めているというふうに記述がされております。
防衛省に確認しますけれども、ミリ波による通信を含む次世代通信技術は、今後、防衛上、安全保障上重要な技術ということなんでしょうか。
○上田政府参考人 お答え申し上げます。
国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の下で、現在、防衛力の抜本的な強化を進めておるところでございますが、これを支えるためには情報通信基盤の強化が必要と考えてございます。そのため、通信に関する様々な技術も含めまして、次世代情報通信技術をしっかりと活用していきたいと考えてございます。
○辰巳委員 そういうことなんでしょうね。
昨年、二〇二四年の一月三十日に開かれた情報通信審議会情報技術分科会技術戦略委員会、これの第四十四回で、防衛省の防衛政策局戦略企画参事官付企画官がこう言っています。防衛省としては最先端の通信技術を貪欲に防衛力に取り込むため日々検討作業を重ねている、省内において民間分野における情報通信技術の急激な進展の成果を防衛力に活用していくため二〇二三年の夏に次官をヘッドとする次世代情報通信技術導入推進委員会を設置した、こう述べているんですね。その上で、民間企業も相当の知見を持っているので民間企業とも連携をして行っているというふうに述べられました。
最先端の通信技術を貪欲に防衛力に取り込むため日々検討作業を重ねているというのは、具体的にはどういうことなんでしょうか。
○上田政府参考人 お答え申し上げます。
国家防衛戦略におきまして、我が国の防衛体制の強化においては、先進的な技術に裏づけられた新しい戦い方が勝敗を決する時代において、先端技術を防衛目的で活用することが死活的に重要となっていると規定してございます。そして、その上で、先端技術の研究開発を防衛目的に活用していく、そういった記述がございます。
こうした方針に基づきまして、通信の分野におきましても、抗堪性のある通信、システム、ネットワーク及びデータ基盤を構築するためには、委員御指摘のような次世代情報通信技術の活用、これを積極的に活用していくことが重要と考えてございますので、委員御指摘の防衛省職員の発言というのはこうした趣旨を申し上げたものということでございます。
○辰巳委員 続けて聞くんですけれどもね。先ほどの第四十四回の技術戦略委員会の中で防衛省が示した資料があるんですけれども、その中にHAPSもあるんですね。つまり、そうした技術も含めて次世代情報通信技術として貪欲に防衛力に取り込むため日々検討作業を重ねている、こういう話ですか。
○上田政府参考人 お答え申し上げます。
防衛省が活用を考えてございます先端技術の一つとしまして、委員御指摘のHAPS、成層圏プラットフォーム、これを活用した通信の実証を行う調査研究事業を現在行っているところでございます。
○辰巳委員 調査研究という話が今ありましたけれども、HAPSを活用した通信の実証を伴う調査研究の仕様書を防衛省に提出してもらいました。事業を委託しているんですね。これはNTTコミュニケーションズが落札をしております。実証試験の必要性及び概要等、この仕様書の中にあるものを読み上げていただけますか。
○上田政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の成層圏プラットフォーム、HAPSを活用した通信の実証を伴う調査研究事業の仕様書三の一、実証試験の必要性及び概要等の部分につきましては、このように書かれております。
防衛省・自衛隊において領域横断作戦での優位性を確保するためには、複数の通信網を利用する等により通信の抗堪性を向上させることが喫緊の課題である。また、島嶼部への攻撃に対し、我が国の地理的な特性を踏まえつつ、必要な部隊(人員、装備、補給品等)を迅速に機動展開するためには、機動展開能力の高い部隊運用が求められている。このような状況への対処として、HAPSによる通信網の抗堪性の向上は有効と考えられる。また、電気通信事業者がHAPSを中継装置として活用した5GスタンドアローンやLTEなどの所要通信サービスの展開を予定している。これにより、島嶼部などの不感地帯において軽量・小型化された一般所要端末や各種センサーを活用また応用することで、部隊の機動展開能力の向上が期待できる。このため、HAPSを活用した通信網の抗堪性や部隊における機動展開能力の向上への寄与を分析・評価しHAPS活用の有効性を確認すると記載されてございます。
○辰巳委員 今読み上げていただいたところに島嶼部との記載があるんですけれども、この島嶼部の中にいわゆる南西諸島というのは含まれているんでしょうか。
○上田政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま申し上げました島嶼部には、南西諸島を含めまして、我が国の島嶼部が含まれてございます。
○辰巳委員 つまり、今まだ民間ではなかなか実用化、商用化できていないHAPS、これをもう既に防衛省が先取りというような形で、有事、台湾有事でしょう、これに備えて南西諸島の、それこそ今地域住民の皆さんが懸念されているのが軍事要塞化だと思いますけれども、防衛省の今の動きは、ここを戦場として想定して次世代通信を活用していくんだ、それが表れているんじゃないかというふうに思います。私は、住民が戦争に巻き込まれかねないと危機感を募らせている中、今の動きというのはそれを補完するものと言わなければならないというふうに思います。
聞きますけれども、仕様書には調査報告書の納期が本年三月末となっているんですけれども、これは提出されたんでしょうか。
○上田政府参考人 お答え申し上げます。
当該調査研究事業でございますが、令和五年度からの二年間の事業として行う計画でございましたが、現在、機体トラブル等の影響がございまして、事業工程に遅延が発生しております。現時点においては、成果物たる最終成果報告書はまだ受領していないところでございます。
○辰巳委員 調査の内容については、国民に隠すことなく公表を求めていきたいと思うんですね。
最後に大臣にお伺いするんですけれども、総務省の方に戻りますけれども、総務省の技術戦略委員会の報告書というのがあるんですが、ここで、総務省は安全保障を含む公共領域におけるシステムでのビヨンド5Gの活用に向けた橋渡しを図る、こう記載をされているんですね。総務省として、民間の開発とまさに防衛省の研究、協力、それの橋渡しを行うということなんでしょうか。
○村上国務大臣 辰巳委員御指摘の昨年六月の情報通信審議会の答申は、ビヨンド5Gの早期実現の方策について提言をいただいたものであります。
その答申の中で、委員御指摘の記載は、総務省が安全保障を含む公共領域におけるビヨンド5Gの活用ニーズを把握し、産業界に共有することにより早期普及につなげることを意図したものと認識しております。
以上であります。
○辰巳委員 国民の利便性を図ると民間に開拓させたインフラ技術を、有事となれば、軍事利用することを優先することになりかねないと思います。総務省はそういう橋渡しをやるなということを申し上げて、私の質問を終わります。
以上です。
反対討論
○辰巳委員 私は、日本共産党を代表し、電波法及び放送法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
反対の理由は、本法案が六ギガヘルツ超の高周波数帯における新たな周波数割当て方式として、オークション方式を導入することです。
企業が電波を利用するときに適切な経済的価値を置くこと自体は合理的です。しかし、本法案のオークションによる新たな割当て方式は、複数の市区町村など一定の広がりを持った地域ごとに、携帯電話事業者以外にも大小様々な主体で行うことを想定しているものの、実際に参加できる事業者は、高い落札額の価額競争に耐えられる事業者に限定されかねません。
また、地域を限った高周波数帯の割当てであっても、公共性に対する考慮が求められます。従来の比較審査方式で条件とされる整備計画や通信網の開放などを事業者に求めることは必要です。総務省は、高周波数帯の活用にそぐわないことを理由にこれを排除し、今後、総務省令等で条件を具体化するとしています。これは政府の政治的判断に白紙委任するものであり、国民の共有財産である電波の公共的な利用に反すると言わざるを得ません。
本法案では、地上波基幹放送事業者が中継局を廃止するに当たって、具体的な基準は示さず、事業者の経営判断に委ねます。現行法は電波の送信によって基幹放送があまねく受信できるように努めるものとするとされているものを、中継局を廃止した場合、ケーブルテレビや配信によって放送番組を引き続き視聴できるよう努めればよいという努力義務へと緩和するものです。中継局が廃止されれば、その地域に住む視聴者・国民は代替の対応を新たに迫られるものであり、問題です。
なお、成層圏を飛行するHAPS搭載の携帯電話基地局の実用化、商用化は、既に災害時のドローン等を利用して地上の基地局を補完する例もある一方、国際的にも先例のない発展途上の技術です。国民利用に広くつながることが必要です。
その上で、私の質問で明らかにしたように、HAPSを含む次世代通信技術の利用を軍事優先にさせないことを求め、討論といたします。