日本共産党 衆院比例 近畿ブロック たつみコータロー

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国会会議録

南海トラフ地震時の大阪湾の安全対策について質問

2016年04月07日

参院国土交通委員会で7日、海上交通安全法改正案が全会一致で可決されました。法案は、津波などの非常災害が発生した場合の船舶交通の危険を防止するための措置を講ずるものです。

採決に先立ち日本共産党の辰巳孝太郎議員が質問に立ちました。

東日本大震災の際、東京湾で岸壁衝突などを避けるため各港を出た船が湾内に集中し、船舶の衝突事故の危険が高まりました。辰巳氏は、大阪湾でも同様の事態が起こりうることを政府答弁で確認。非常災害時に船舶に移動を命じることができる同改正案の意義を明らかにしました。

辰巳氏は、国交省が船舶運航事業者に作成を促している「津波避難マニュアル」を作成したのは内航事業者4000社のうち370社にとどまっていることを確認し、外国の海運事業者も含め作成をいっそう促すよう求めました。

また辰巳氏が、南海トラフ巨大地震が起きた場合の長周期地震動に関する国の検討会報告にふれ、深刻な揺れが想定される大阪市湾岸部の旧WTCビル(大阪府咲洲庁舎)などの超高層ビルに対する対策をただすと、石井啓一国交相は「対策案の成案が得られたら速やかに必要な対策を講じ安全性確保に努めたい」と述べました。

2016年4月13日付「しんぶん赤旗」より引用

議事録を読む

○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
本改正は、船舶交通が著しくふくそうすることが予想される海域において津波等による非常事態が発生した場合、危険を防止するため、船舶を迅速かつ円滑に安全な海域に避難させるために船舶交通を一体的に把握をすると、また、非常事態が発生した場合においても海上保安庁長官が船舶等の移動を命ずることができると、こういうものであります。
それと、先ほど来ありますとおり、東日本大震災の際に東京湾において港を出た多数の船が東京湾内に集中をしまして、適切な誘導が行われなかったために船同士の衝突事故の危険性が高まったと、こういう話でありました。これ、同様の事態が大阪湾でも起こり得るのではないでしょうか。どうでしょう。
○政府参考人(佐藤雄二君) 東日本大震災が発生した際、東京湾においては湾内の各港から避難する船舶や湾外から津波を避けるために湾内へ航行する船舶が多数発生し、湾内の船舶交通が混雑し、衝突などの海難リスクが高まりました。今後、発生が予想されている南海トラフ巨大地震が発生した場合には、震源地に近い大阪湾においては湾内において二メートルから五メートル程度の津波が予想されており、湾内の各港から避難する船舶により混雑する可能性があると考えられます。
○辰巳孝太郎君 同様のことが起こる可能性があると。
国交省は、津波避難マニュアルというものを作りましょうと。これの作成の手引を作って、旅客や一般貨物などを運航する事業者にこの避難マニュアルの作成を促してきております。
確認しますけれども、全国の船舶運航事業者数に対してこの策定状況というのはどれぐらいになっていますでしょうか。
○政府参考人(坂下広朗君) 国交省におきましては、ただいま委員から御紹介がございましたように、平成二十六年三月に船舶の津波避難マニュアル作成の手引書を公表いたしまして、関係団体を通じ事業者に対してマニュアルを作成するように働きかけをしてまいっております。特に、公共性の高い旅客船の運航事業者や被災時の影響が大きいと考えられます危険物輸送船の運航事業者については、当省の職員が事業者にマニュアルの作成を直接指導してきてまいっておりまして、これらの事業者におきましては既にマニュアルが作成をされております。
しかしながら、内航事業者、全国で約四千者ございますけれども、マニュアルの作成が確認できている事業者は三百七十者にとどまっておるところでございます。これ、内航船の事業者の多くが中小・小規模事業者でございまして、マニュアル作成が負担となっていることが主な要因であるというふうに考えられるところでございます。このため、昨年六月にはマニュアル作成の手引書を踏まえたモデル的なマニュアル、ひな形でございますけれども、これを公表をしたところでございます。今後はこれを活用して、より事業者の負担の少ない形でマニュアルの作成を促進してまいりたいというふうに考えております。
○辰巳孝太郎君 災害が起こったときに各船舶がばらばらな行動をしていては、なかなか、これが危険だという目的意識でこのマニュアルの作成を、作りましょうと呼びかけているわけですが、今おっしゃったとおり、内航船舶の事業者四千のうちこのマニュアルができているのが三百七十しかないと。つまり、一割にも満たないわけですから、先ほど中小の船舶業者も多いという話でありましたし、またミニ版のものを作っているということですので、これはきちんと進めていってもらいたいと思うんですね。
と同時に、今おっしゃった内航という話がありましたけれども、日本のということですが、外国の船舶も当然日本にはたくさん入ってきているわけでありまして、まず確認しますが、外国船舶の日本の港入港の割合というのは、これ全体のどれぐらいになっているんですかね。
○政府参考人(佐藤雄二君) 平成二十六年における全国の特定港への外国船舶の入港割合は約一四%となっております。
○辰巳孝太郎君 全体の一四%はあるわけですね。
じゃ、確認しますが、外国船舶に対するこの避難マニュアルの作成は進んでいるんでしょうか。
○政府参考人(坂下広朗君) 先ほどの御説明しました津波避難マニュアル、外航船舶を運航する海運事業者に対しても御利用いただけるものになってございます。外航船舶を運航する事業者に対しても同様に働きかけをしてきたところでございます。こうした取組の結果、国内の大手事業者を中心に既にその外航船舶の運航事業者マニュアルが作成されているというふうに承知をしております。
他方、外国の海運事業者が運航する船舶に対しては、入港や通関の手続を行う国内の代理店を通じて働きかけを行っておるところでございます。現在、さらに英語版のマニュアル作成の手引の準備も進めておりまして、こうしたものも活用しながら、引き続き外国の海運事業者に対してマニュアルの作成を働きかけていくことにしております。
○辰巳孝太郎君 そうですよね、日本にある船ということですから、日本の事業者だけではなくて、外国船舶に対してもきちんと働きかけていってもらうということを進めていっていただきたいというふうに思います。
それでは、続いてなんですが、昨年の十二月に内閣府は、南海トラフの巨大地震が発生した際に想定される長周期震動に関する報告をまとめております。高さ六十メートルを超えるような超高層建築物は、この長周期震動と共振して大きく揺れるというふうな報告がされております。
内閣府に確認しますけれども、特にこの揺れの大きな地域というのはどの辺りが想定されているんでしょうか。
○政府参考人(緒方俊則君) お答えいたします。
南海トラフ沿いで最大クラスの地震が発生した場合には、三大都市圏で長周期地震動の揺れの継続時間が長く推計されております。具体的には、揺れの速度毎秒五センチメートル以上が継続する時間は、千葉県、愛知県、三重県、滋賀県、奈良県、大阪府、兵庫県、これらの府県で三百秒以上、神戸市及び大阪市の沿岸部の一部では四百秒以上が推計されています。
○辰巳孝太郎君 五分とか六分間揺れるということですね。その中には三大都市圏が含まれております。
この超高層建築物の最上階の揺れ、今時間を言っていただきましたけれども、どれぐらいの揺れになると見込まれているんでしょうか。
○政府参考人(緒方俊則君) お答えいたします。
三大都市圏で長周期地震動の揺れの継続時間が長く推計されておりますけれども、具体的には、揺れの速度毎秒五センチメートル以上が継続する時間は、あっ、失礼いたしました。超高層建築物の最上階では、片側への振幅で百センチメートルから二百センチメートル程度の変位が推計されておりまして、さらに、高さが二百から三百メートル、固有周期が五から六秒の超高層建築物の最上階では、片側への振幅で三百センチメートル以上の変位も推計されております。
○辰巳孝太郎君 今おっしゃっていただいたのは、片側で三百センチということですから、これ往復でいいますと六百センチ、つまり六メーター振れると。つまり、高さが二百から三百メーターぐらいある建築物ではそれぐらいが想定をされると、そういう建築物が三大都市圏にもあるということですね。
私、大阪出身なんですけれども、大阪沿岸部でいいますと、住之江区というところに、かつてはWTCビルと呼んでいたビルなんですが、現在は大阪府の庁舎になっておりまして、これ二百五十六メートルで五十五階建ての超高層ビルとなっております。東日本大震災のときには実は大阪も揺れました。震度三を観測しているんですが、このWTCビル、これ咲洲庁舎、大阪府庁ですけれども、でも三百六十か所が破損をしまして、最上階での揺れはこれ往復で三メートルとなったわけでございます。当時、橋下大阪府知事が様々な反対を押し切って大阪市から八十五億円で購入したんですけれども、東日本大震災を受けて耐震補強で更に八億円を費やしてしまった、本当に高い買物をしたなというふうに思っていますが、そんなことはどうでもいいんですけれども。
さきの試算では、前提はマグニチュード九なんですよね。震度六強でも倒壊しない超高層ビルをモデルとして内閣府は試算をしております。しかし、これは昭和五十六年以降に建てられた建築物ですから、それ以前に建てられた建築物はどうなのか、安全なのかということまでは内閣府は断定をしておりません。しかも、内閣府の資料によりますと、仮に耐震性がきちんとされているビルでも、これだけ大きく揺れてしまうと多くの家具が転倒する、またキャスター付きの場合は極めて危険な凶器になる、立っていることさえ困難になると指摘をしております。
国交省に確認しますが、これらの超高層ビルについてどのように対策をしていこうと考えているんでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 国土交通省におきましては、内閣府の検討と並行いたしまして、長周期地震動が超高層建築物等に及ぼす影響について検討を行いました。その考え方を対策案として取りまとめ、昨年の十二月の十四日から本年二月二十九日までパブリックコメントを実施しております。対策案におきましては、内閣府の、あっ、失礼、昨年十二月十八日から本年二月二十九日までパブリックコメントを実施しております。
この対策案におきましては、内閣府の検討において長周期地震動の影響が大きいとされております三大都市圏及び静岡地域において、超高層建築物等を大臣認定を取得して新築する際に今回の長周期地震動を用いて構造安全性を検証していただくこととしております。
一方、既存の建築物につきましては、設計時に想定した地震動の大きさを今回の地震動が上回る場合には改めて構造安全性の検証をしていただきたいと考えております。
二月末までに実施した意見募集に対していただいた御意見を踏まえ、成案を得るべく現在鋭意精査をしております。成案が得られましたら、速やかに必要な対策を講じまして超高層建築物等における安全性の確保に努めてまいりたいと存じます。
○辰巳孝太郎君 理にかなった対策を求めて、質問を終わります。ありがとうございます。