公正取引委員会委員長候補者、茶谷栄治氏に質問 議院運営委員会
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
今国会に下請法の改正案が提出をされておりますが、この間、古谷委員長が就任した二〇二〇年度からの各年度で、公取の立入検査等強い権限のある専任の下請代金検査官は、本局と地方の合計で百四名。百四名、百十名、百二十二名、百十九名と、全体的には微増傾向なんですけれども、直近では人数が減っているんですね。
私は抜本的な人員増が必要だと思いますけれども、いかがお考えですか。
○参考人(茶谷栄治君) お答えします。
先生おっしゃるとおり、下請法の執行強化というのは非常に大事ですし、令和七年度も、グロスで、スマホの法律と下請の強化のためということで五十四名の増員が与えられた。
その中で、ちょっと、私まだ一民間人で、まだ中に入っていないので分からないですが、その中の一定割合というのは当然下請法の執行強化に充てられるでしょうし、今後とも、公正取引委員会というのは、今、なかなか、多分まだまだ人員は不足していると思いますので、更に増員に向けて頑張っていく必要があろうかと思いますし、その中では、当然、下請法の体制強化というのは大きな課題の一つかと思っております。
○辰巳委員 是非増員をしていただきたいと思います。
中企庁の行った二〇二四年九月の価格交渉促進月間フォローアップ調査というものがあるんですけれども、この調査では、入札等を除く官公需での価格転嫁率は五五・八%にとどまっております。これは本来一〇〇%であるべきだと思うんですね。
これら国や地方公共団体、公共的性格を持つ法人が発注者である取引について、これはやはり新委員長としてどのように臨むのか、お聞かせいただけますか。
○参考人(茶谷栄治君) お答え申し上げます。
先ほどから御答弁申し上げているとおり、まさに労務費の転嫁というのは大変重要な課題で、今、公正取引委員会も中企庁と連携しながら周知徹底に努めているところでございますが、事官公需につきましては、発注者が定義上事業主に当たらないものですから、公正取引委員会の所管から外れて、これは、総務省が各地方自治体に対して、労務費を適切に転嫁しなさいと今通知を出しているところでございまして。
ただ、そういう総務省の取組というのを我々はバックアップしていく必要があろうかと思いますが、当然、転嫁というのは政府全体の課題なので、公正取引委員会は自分のところでできることはやりますし、地方の話というのは、これは総務省になるものですから総務省の方でやっていただくということで、政府全体としてやはり転嫁というのは進めていく必要があろうかと思っております。
○辰巳委員 是非取り組んでいただきたいと思います。
サプライチェーン全体で、賃上げとそのための価格転嫁の必要性というものがこの間も言われてきましたけれども、今紹介をしたフォローアップ調査の結果では、二次、三次、四次下請、取引段階が深くなればなるほど価格転嫁率が低くなっていく、そういう傾向が如実に表れております。
こういう重層下請構造における大本の元請企業の果たすべき社会的責任をどう認識をしているのか、また、下請法が多段階の取引に十分対応できていない、していない、このことについてどうお考えかをお聞かせください。
○参考人(茶谷栄治君) お答え申し上げます。
まさに先生おっしゃるとおり、第何次下請の、ティア何とかという、一番数字が大きく、深くなるほど転嫁率が下がってきている、これはいろいろな調査でも表れてきているところでございます。
それは、やるためには、元請のところ自体でそういう先までサプライチェーンがあるということを前提にした転嫁というのをしていく、そういう姿勢が多分大事かと思いますので。今回の下請法の改正の大きな眼目というのは、サプライチェーン全体で構造的な賃上げを実現するということを目的としているものですから、今回の下請法の改正を成立させていただいた暁には、それも大きなよりどころにして、今おっしゃったような、階層によって違ってくる、これを解消すべく頑張っていく必要があろうかと思っております。
○辰巳委員 茶谷さんは、一九八六年の四月から二〇二四年の七月まで大蔵省及び財務省におられました。八九年の消費税の導入、これは五%、八%、一〇%へと増税していかれるわけですけれども、あるいはインボイス制度の導入、これを省内で体験をされてきた世代であります。
消費税の価格転嫁ということでいうと、事業者の努力に任されて、中小業者は身銭を切って消費税を負担をしているのが実態だと思います。また、インボイス制度では、免税事業者が値引き圧力にさらされて、一方で、登録すると税負担を強いられる、価格転嫁できないということだと思います。
今、取引の適正化とか価格の転嫁というものが政府全体の方針ということにもなる中で、こういった実態についての御所見をお聞かせいただけますか。
○参考人(茶谷栄治君) お答え申し上げます。
事実関係だけ申し上げますと、消費税の転嫁状況というのは、令和五年の七月に中企庁が調査を行って、令和五年の十月に経産省が公表されていますが、それを見ますと、従業員が五人以下の事業者でも、消費税率の引上げ分については価格に転嫁できたと回答した割合が九二・〇%となっておりますので、転嫁というのはかなり進んでいるかと思います。
ただ、おっしゃるとおり、別に今それが一〇〇であるわけではございませんし、元々、転嫁のときには、こういうことをしたら優越的地位の濫用になります、そういうQアンドAとかというのも作ったところでございますので、それの周知徹底というのを更に進めていく必要があるとともに、今、公正取引委員会では、聞きましたら、各種調査において、インボイスという関連の質問で、実際どういうふうに転嫁が行われているかという、そこはよく情報収集していると思いますので、そういう情報収集の結果も見ながら、必要な対応があれば更に考えていきたいと思っております。
○辰巳委員 中小企業にとっては、赤字でも消費税は負担しなければなりませんので、このことも含めて取り組んでいってほしいと思います。
以上です。