PFAS種類公表を 衆院経産委 ラピダス社長に辰巳氏
2025年03月28日
![]() (写真)ラピダスの小池淳義社長(左端)に質問する辰巳孝太郎議員(右端)=28日、衆院経産委 |
衆院経済産業委員会は28日、ラピダスなどの半導体企業に10兆円以上の公的支援を行うラピダス・半導体産業支援法案の参考人質疑を行いました。日本共産党からは辰巳孝太郎議員が質問に立ちました。
政府が同法案で出資を想定するラピダスは、北海道千歳市に工場を整備し、2027年に量産を開始する予定。有機フッ素化合物(PFAS)による環境汚染への懸念や地域経済への効果の乏しさなどが指摘されています。参考人としてラピダスの小池淳義社長らが出席しました。
辰巳氏は、日本の半導体産業が80年代、世界の半分以上の半導体をつくっていた一方、日米半導体協定などの要因で衰退し、多くの技術者が海外に流出したと指摘。「技術者や労働者の雇用を守ることが非常に重要ではないか」と質問しました。小池社長は「経営方針と事業計画をしっかり持つことが、雇用を守るために重要だ。トップとして最優先に考える」と答えました。
辰巳氏は、熊本県に進出した台湾の半導体企業TSMCの工場から処理水が排出されている河川で、同社が使用するPFASのうち2種類の濃度が上昇したとの報道を挙げ、これらは「海外では規制されているが、日本では規制されていない。住民の懸念は非常に大きい」と指摘。同社が事前に工場で利用するPFASの種類を公表していたため濃度上昇が把握できたとし、ラピダスにPFASの種類を具体的に公表するよう求めました。
小池社長は、日本で規制されていないPFASについては「開発中でまだ使うか決めていないが、十分に検討する」と述べました。
2025年3月29日(土)付「しんぶん赤旗」より引用
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
本日は、四人の参考人の皆さん、貴重な陳述をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございます。
我が党も、半導体産業を振興していきたい、元気にしていかなければならないという思いは一緒なんですけれども、何分、国民の血税も入っているものですので、これがしっかりどういうふうに執行されていくのか、あるいは妥当性も含めて、厳しく言わなければならない側面もあるということは是非御理解をいただけたらというふうに思っております。
まず最初に、先ほど来、日本の半導体産業、八〇年代、世界の半分以上の半導体を作っていた、ところが、様々な事情によって、日米半導体協定を含めて、衰退をしていったということだったと思うんですけれども、まず、小池ラピダス社長に聞きたいんですけれども、やはり、その過程でたくさんの技術者が海外に行ってしまった。衰退をしていったから技術者が出ていったという側面もあるかもしれませんが、同時に、そういう技術者を余りにも切り過ぎてしまったので、更にその衰退を早めてしまった、更に復活が苦しくなってしまった、そういう側面も私はあったんじゃないかと思うんですね。
これからの日本の半導体産業のためにも、やはり、日本の物づくりとか技術者とか労働者、きちっと雇用を守るという側面が非常に大事になってくるのじゃないか、だからこそ安心して半導体産業にも若い人たちが来てくれる、そういうことになるんじゃないかというふうに思うんですけれども、その雇用という側面から、是非小池社長の御意見などを聞かせていただければと思います。
○参考人(小池淳義君) 辰巳先生、ありがとうございます。
おっしゃるとおりだと思います。我々は、今のところ、先ほど七百人をやっと超えたというふうに申し上げましたけれども、これはありがたいことに、海外から、日本がやるんだったらもう一度挑戦したいという人間がたくさん帰ってきております。そういうことを含めて、やはり雇用をしっかり守るということは我々にとっても重要な課題だというふうに考えております。
そのために、もちろん、それにふさわしい環境、しっかりとした我々の経営理念、そしてそれを支えるためのしっかりとした経営の方針とそれを回していくための事業計画、これをしっかり持つことが我々が雇用を守るための重要なことだと考えておりますので、私としましても、トップとしてこのことを最優先に考えて、しっかりとそのところは守っていきたいというふうに考えております。
○辰巳委員 ありがとうございます。
引き続いて小池社長にお聞きをしたいんですけれども、先ほどもPFASのお話があったと思うんですね。
実は私、今年に入ってJASMの方に視察に行かせていただいたときに、熊本の方はやはり地下水が非常に大事なものですから、地下水の枯渇あるいは汚染について地域住民あるいは自治体の皆さんが大変懸念をされているという話をさせていただいたときに、率直にJASMが使われるPFASの種類を教えていただきたい、どういう種類を使うんですか、三種類使うということは報道で分かっていたんですけれども、PFASというのは一万種類以上ありますので、具体的に何を使うのかということを聞いたんですね。そのときに率直に答えていただいたんです。これとこれとこれということを言っていただきました。
昨日の報道がありまして、実はTSMC、JASMの工場から排出されているまさに個別のPFASの濃度が上がっていたということが、検査をすると、川に放出されているその自ら検出されたPFAS、これは私がJASMから聞いたPFASそのものなんですけれども、その濃度が上がっていたということが分かったという報道がされているんですね。
念のため言っておきますと、一応これは日本では規制がされていないPFASなんです。ただ、海外ではされています。これはPFBAというものとPFPeS、PFBSなんですけれども、今回河川で検出されたのはPFBA、PFBSなんですけれども、海外では規制はされている、日本ではされていないんですね。ただ、やはり住民の皆さんの懸念というのは非常に大きなものがあるんです。
そこで、小池社長にお聞きをしたいんですけれども、もちろん、企業の様々な秘密といいますか、あるとは思うんです。ただ、今回、JASMがこれを使いますということを知らせていただいたので、それに特化した検査によって、濃度が上がっているね、少し心配だねということが分かったわけなんですね。
ですので、是非、使われるPFASの種類、もちろんきれいにされて流すんだということが前提だと思うんですが、是非これは公表していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○参考人(小池淳義君) ありがとうございます。
これは我々にとっても極めて重要なことだと思っております。
我々も、アメリカの法律は非常に厳しくて、数ナノグラム・パー・リッター以下に抑えているというのはよく存じております。
基本的には、我々は、今言われておりますPFASの材料、先ほど三種類の代表的な例を申し上げましたけれども、これは一切使っていないという形になっております。ですけれども、先ほど言われた新しい材料に関しては、私どもの方でもう少しよく調べさせていただきます。
当然のことながら、それに関連することは当然使っていかないというのは我々の基本方針でございますので、それを使っていかないという形と、それに対する除去をするシステム、先ほど言いましたように、活性炭を使いましてこれを吸着して、完全にこれを除去するというシステムを今つくっているわけでございますけれども、大事なことは、事前の、我々の方は地下水ではなくて川から持ってくるわけですけれども、川から持ってきた流入のところの濃度をきちんと測って、排出されるところの濃度を今しっかりと測っております。
ここのところの管理をきちんとやって、少なくとも我々はアメリカの基準に負けない、実はアメリカの基準は、御存じだと思いますけれども、検出限界そのもので管理しております。これは非常に難しい技術だと思いますけれども、我々としては、その限界に挑戦するような形でしっかりと測っていきたいと思いますし、先ほどおっしゃった材料に関しては、私どもの方は、両方これを調査をいたしまして、これに対する検討と報告を機を見てさせていただくことも検討していきたいと思います。
○辰巳委員 今使わないとおっしゃっていただいたのは、既に日本では禁止をされているPFASの一種であるPFOAなどだと思うんです。これはもう禁止されていますから使えないんですね。これは当然なんです。
ただ、使えるPFASがあるわけですね。そのことで、TSMC、JASMは、使えるPFAS、具体的に言いますとPFBS、PFBAなど、これを公表したんです。日本では規制はされていないから使ってもいいとはなっているんですが、海外では規制はされているんです。
既に禁止されていないのを使わないのは当然です。それ以外のラピダスが使われるPFASの種類を公表していただけないかということでお願いをしています。いかがですか。
○参考人(小池淳義君) ありがとうございます。
今おっしゃったPFBA、それとかBSという形は、まだ我々の方は、これは開発中の材料でありまして、使うかどうかは決めておりません。ですから、もしそういうことになってきた場合には、当然のことながら、我々の方で十分に検討して、その対策をしっかりと検討していきたいというふうに考えております。
○辰巳委員 是非公開を検討していただきたいと思います。
続けて、キオクシアの早坂さんにお聞きしたいと思うんです。
昨年の六月の経産省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会で、半導体事業における電力需要についてということで報告をされたと思います。そこで、二〇四〇年までに再エネ使用比率の一〇〇%を掲げて、事業者が再エネを導入しやすくするような施策、環境の整備ということで訴えられたというふうに思います。
キオクシアは、気候危機の克服に向けて、一・五度目標を確実に達成すべく、速やかに脱炭素社会へ移行することを目的に積極的な活動も展開されている企業グループ、JCLPにも加盟をされています。ここでパリ協定の一・五度目標に整合するようにそれぞれの企業が再エネ一〇〇%ということを掲げてこられているわけですけれども、その再エネ導入に向けた環境整備についての様々な意気込みとか、あるいは要望がありましたらお聞かせいただければというふうに思います。
○参考人(早坂伸夫君) ありがとうございます。
まず、再エネの目標として我々が掲げていますのは、二〇四〇年までに再生可能エネルギーの使用比率を一〇〇%にするということでございます。これは、正直申し上げて自分たちで全部できる話でもございませんし、それから、証書を買うといったようなことも全部入った数字でございますので、そこはそのように御理解いただければというふうに思っています。
例えば、半導体の工場というのはすごくでかいんですね。うちなんかは特にすごくでかいんですけれども、その屋根を全部太陽光エネルギーに替えるといいんじゃないかというので、実はお金をかけてやったんですけれども、微々たるものなんですね。
そういう意味でも、一社ぐらいで何かしようとしてもとてもできないということで、これはもう本当に国の方にお願いをして、我々として、要求というのは、安価というのが一番最初に来ちゃいけないかもしれないんですけれども、安価で安定したクリーンなエネルギー、これを供給できるように是非御検討願いたいなというのが我々の要望でございます。
○辰巳委員 ありがとうございます。
続きまして、さくらインターネットの田中社長にお聞きしたいというふうに思います。
二〇二三年に、政府が整備をするガバメントクラウドの提供事業者というふうに国内企業で初めて採択をされたということでございます。実は、我が党は、このときの経産委員会の中で、当時、笠井亮衆議院議員ですけれども、ガバメントクラウドの導入に向けた採用基準の中で、日本の国内法を守ること、サービスを安定的に続けることはもちろんのこと、データセンターを国内に設けることを条件にするべきだということを質疑でも求めたんですね。当時の梶山大臣というのは、様々な法令の縛りがあってなかなかそういうことはできないと当時はおっしゃっていたんですけれども、その後、方針、政策を修正をされて、この度、国産のクラウドということでさくらインターネットさんが採択をされたということになりました。
そこで、是非お聞かせいただきたいんですけれども、国産のガバメントクラウドということの意義、政府調達の信頼性とか、あるいは国民生活にとっての国産クラウドの意義、これをどのように考えておられるか、お聞かせください。
○参考人(田中邦裕君) 御質問ありがとうございます。
まさしく今ガバメントクラウドが進んでいて、海外製でもいいじゃないかという議論があるのも事実でございます。一番大事なのは、やはり、先ほどのエヌビディアの話じゃないですけれども、日本はアメリカの製品を非常に買いやすいというポジション、これは比較的メリットだというふうにも思っています。ですので、最先端の例えば検索エンジンであったりだとかAIを日本で利活用できるようにするということ自体は妨げるべきじゃないと思っています。
要は、海外の製品を利活用することはいいんだけれども、日本で全く作れない状態にならないようにするということが重要だと思っています。半導体にしても自動車にしても、ソフトウェアもクラウドにしても、日本でも作れるけれども海外のよい製品を買うというのは非常にいいんだけれども、日本で全く作れない状態になって海外製品を使い続けると、当然のことながら外交上もコントロールができなくなってしまう。いざとなれば日本で日本独自のクラウドだけでやるからと言えるか言えないかということは、選択肢として非常に重要だというふうに思っています。
ですので、今の状況というのは、国内でクラウドを作れて提供できる事業者はいるし、ただ、便利な企業、海外のものも使ってもいいしという、一番いい均衡だというふうに思っています。ですので、機能とか性能だとかそういうことを抜きにして言うと、シンプルに、作れる国でありつつも、利活用できる国であり続けるということかと思います。
あと、防衛分野であるとか、本当に同盟国であったとしても国内で閉じるべきだというものに対しては、やはり国内のガバナンスが利いていて、例えばここの場所にもアメリカのクラウド事業者の社長を呼べなくはないと思いますけれども、そうぽんぽんと呼べるわけでもないと思いますので、やはり、日本の国内のガバナンスで、日本の法治国家の中で組み込まれたヘッドクオーターを置いている会社がクラウドを国内で提供するということ自体は、ガバナンス上非常に重要だというふうに考えております。
ありがとうございます。
○辰巳委員 ありがとうございました。
終わります。