GX推進法改定案 CO2排出の総量規制なし
![]() (写真)質問する辰巳孝太郎議員=9日、衆院経産委 |
日本共産党の辰巳孝太郎議員は9日の衆院経済産業委員会で、「GX(グリーントランスフォーメーション=脱炭素)」推進法改定案をめぐり、気候危機に対する、石破茂政権の不十分な二酸化炭素(CO2)排出削減目標や排出枠設定の問題を追及しました。
辰巳氏は、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、世界の気温上昇幅を「産業革命前プラス1・5度」に抑えるため、世界の温室効果ガス排出量を2035年までに60%削減(19年比)する必要があるとしていると指摘。35年度に19年度比で53%削減という石破政権の目標はIPCC目標より低く「先進国として求められている責任を果たすことにならない。今回の法案で、その不十分な目標さえ果たせるのか」と追及しました。
内閣官房の田尻貴裕GX実行推進室次長は法案で見込む排出削減について「具体的な数字を言うことは困難だ」と答弁しました。
同法案は、CO2排出が10万トン以上の事業者に、排出削減のための排出量取引制度への参加を義務づけており、対象事業者のCO2排出量は国内総排出量の約6割を占めています。
辰巳氏は、同法案で日本全体の排出枠の総量規制を規定するのかと質問。田尻氏は「規定はない」と認めました。辰巳氏は欧州で定めている総量規制による排出量のゴールがないのは「大問題だ」と批判。内閣官房が設置した有識者会議でも市民団体などが総量規制を求めたのに見送られたと指摘し、「枠の設定を間違えれば、排出削減という制度本来の目的を果たせない」と強調しました。
2025年5月10日(土)付け「しんぶん赤旗」より引用
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
今日はGXということなんですけれども、まず最初に、大阪・関西万博から質問をさせていただきたいというふうに思っております。
この間、我が党の機関紙、しんぶん赤旗が記者会見の場あるいはAD証の発行を含めて排除されてきた、そういう不当な問題というのを指摘をしてきたわけなんですけれども、今のところ、ワンデー、記者会見が週一遍だけ開かれるんですね、その日だけの通行証は認められているということなんですけれども。
今日、資料にもお配りをいたしました。この間いろいろやってきているんですけれども、このメディア用のAD証の発行対象者ですよね、四つに分かれておりまして、一つ目が報道機関、二つ目がフリーランス、三つ目がインフルエンサー、四つ目がその他ということで、しんぶん赤旗はこの四つ目のカテゴリーに入るんだという説明がされてきたわけであります。
そして、商業紙、フリーランス、インフルエンサーですけれども、こういうところはワンデーだけではなくて通期証が認められ得るということなんですが、しんぶん赤旗がこの通期証、ワンデーじゃなくて全ての期間の、これが認められないのは万博協会の裁量なんだという答弁が前回あったところでございます。
何が裁量なのか、何でこんなことが裁量になっているのかということもやらせていただいたわけなんですけれども、先日、協会からしんぶん赤旗関西総局にメールが届きまして、今後、ワンデーあるいは通期証の発行のためには、赤旗の活動実績を示してほしいと。その活動実績というのが、二〇〇五年の愛知万博でAD証が発行されていたことが分かる記録、これを示していただければという条件が付されてきたわけなんですね。
このメディア用のAD証の発行対象者、カテゴライズ四のその他の中には、愛知万博における実績が必要だということは書かれておりません。なぜ、規定にも書かれていない、されていないような条件をつけて、通期証の発行というのを認めるということになるのか、これは納得できる説明を是非していただきたいなというふうに思っております。経産省、どうですか。
○政府参考人(茂木正君) 今御指摘があったメディアガイドラインでございますが、委員御提出の資料の中にもございますけれども、この中で、メディア用のAD証の発行対象者というのが五の一というところに書いてありまして、申請に当たりまして所定の証明書等を博覧会協会広報部に提出し、事前の承認を得ることを条件とするとなっておりますので、この所定の証明書等について何らかの活動実績をお示しいただきたい、そういう趣旨だというふうに考えております。
○辰巳委員 私が聞いたのは、メールには愛知万博における活動実績と明記されているんですよ。我が党は愛知万博の実績はありますよ。私、愛知万博の記事を全部持ってきましたけれども、むちゃくちゃ取材して、AD証だって発行されているという認識はあるんですが、なぜ愛知万博というふうに限るのかが分からないんですよ。これはいかがですか。
○政府参考人(茂木正君) 愛知万博ということで申し上げたというふうには聞いておりますけれども、いずれにせよ、これは、いずれのメディアにおきましても何らかの活動実績をお示しいただきたいという趣旨で申し上げているものというふうに承知しています。
既に博覧会協会としんぶん赤旗さんの間では御相談をされていると聞いておりますので、そういった取材実績等をお示しいただく中で適切な判断がなされるものというふうに承知しております。
○辰巳委員 つまり、私がなぜこれをあえて問うているかといいますと、我が党は、愛知万博の実績がありますよ。だけれども、例えば、我が党以外の政党機関紙、あるいは二〇〇五年の愛知万博以降に発刊されたメディア、それは当然愛知万博の実績なんてないわけですよ。愛知万博というふうに限定をされてしまうと、そういうメディアは排除されてしまうというふうに思うんですよね。
今局長の方からあった説明でいうと、今回、赤旗とのやり取りで愛知万博ということになっていますけれども、もちろんそれ以外のメディア、その他の四番に属するようなメディアで、特に愛知万博にこだわってということではないと。そのメディアの活動実績、それは万博以外でも、これが示されれば、パーマネント、通期証を含めて認める方向ということでよろしいですか。
○政府参考人(茂木正君) メディアガイドラインにございますとおり、所定の証明書等をというふうになっておりますので、これは実質的な活動実績等をお示しいただいて、それに基づいて協会が判断するということでございます。(辰巳委員「万博以外でもいいということね」と呼ぶ)万博以外も含めてというふうに理解してよろしいかと思います。
○辰巳委員 これは重要な答弁だと思います。
同時に、もう一点だけ確認したいのは、やり取りのメールの中では、愛知万博のときのAD証のコピーを出してくれ、こういうふうにあるんですけれども、活動実績ということでいうと、もちろんありますよ。AD証、二十年前ですからね、二十年前のAD証をそのまま持っているという話にそれは全てならないわけで、AD証の発行のコピーでなくてもいいと。活動実績というのは、つまり、その中で当時発行されたことが分かる取材内容、記事ですよね、それが提出されれば、これはパーマネント、通期証も認めていく、そういう認識でよろしいか、確認したいと思います。
○政府参考人(茂木正君) 御指摘の点につきましては、今、博覧会協会としんぶん赤旗さんで御相談をされているというふうに承知をしております。
四月十日のしんぶん赤旗電子版を読みますと、その中では、赤旗は愛知万博にも万博協会からの記者証が発行されている旨を明確にお書きいただいているので、何かあるんじゃないかということでそういうお話をされているのではないかと推測をいたしますが、いずれにせよ、これは何らかの実績をお示しいただくという形でやっていくということだというふうに考えています。(辰巳委員「AD証のコピーに限らないね」と呼ぶ)AD証のコピーに限らずですね、はい。
○辰巳委員 分かりました。
もうこれは認めるということになりますね、通期証、赤旗。
○政府参考人(茂木正君) 通期かワンデーかということにつきましては、これは、取材計画をお出しいただきまして、その取材計画に基づきまして判断をするということでございますので、そんなふうに御理解をいただければというふうに存じます。
○辰巳委員 ワンデーというのは、通期計画において、大体一か月以内の取材をしますという人に対してはワンデーが発行される、それ以上になると通期証が発行されるというのがメディアガイドラインの趣旨だと思いますので、そういう取材計画、長期の取材計画となれば通期証が発行されるということが確認されましたので、早く発行していただきたいというふうに思っております。
大臣、ようやくここまでたどり着きましたね。何回やりましたか、本当に。五回ぐらいですか、ようやくですよ。それは、赤旗は経産省の記者会見だって行っているんですよ。省庁の記者会見だって行っているんですから、ここで本当に不当に制限する、もちろん、赤旗だけじゃなくてフリーランスも含めて取材を不当に制限するということはあってはならないということを改めて言っておきたいというふうに思っております。
続けて、その上で、ちょっと懸念が幾つか出てきておりますので、経産省に重ねて確認をしたいと思います。メタンガスの問題なんですけれども。
四月六日、テストランのときに爆発濃度以上のメタンガスが検知をされて大騒ぎになったわけなんですけれども、始まって以降も、この五vol%、爆発濃度を超えた日があったのではないかというふうに思うんですけれども、これはイエスかノーかでお答えいただければと思います。
○政府参考人(茂木正君) お答え申し上げます。
まず、会場の中で、建物、それから園路、こちらについては、これまで博覧会協会が設定している基準値でございますが、一・五ボリューム%以上の濃度は計測されておりません。
それから、屋外の地下ピット、マンホールというふうに委員もおっしゃっておりますが、これはグリーンワールドエリアというエリアにおきましては基準値以上の濃度を計測した箇所があったというふうに聞いております。そのうち、五ボリューム%以上が検出された箇所もあったというふうに聞いております。
ただし、これらの箇所については、蓋を開放するということで速やかにゼロ%までなっていることを確認しておりまして、また、こういった箇所については、順次、グレーチング蓋という網々の蓋なんですが、こういう形に取り替えることによって常時換気ができるような形で措置をしております。博覧会協会において今後も継続的にモニタリングを行ってまいりたいというふうに考えています。
○辰巳委員 網目格子状のグレーチングに替えているということなんですけれども、それは、五vol%、そもそも計測されることそのものが重大問題なんですよ。引火すれば爆発濃度ですからね。蓋を開ければゼロになる、それは当たり前なんです。蓋を閉めているところに五vol%以上になると引火してしまうということなんですよね。それ以降はグレーチングしているということですけれども、そもそも、そういうガスが出ているということが大問題ということでありますし、それともう一点の問題は、これ、どこの地点かというのをちょっと明らかにしてほしいんですよ、一・五vol以上にしろ、五vol%にしろ。これ、明らかにすることはできますでしょうか、どうですか。
○政府参考人(茂木正君) まず、どの場所でそういう数字が出たのかということは、私自身は詳細な場所はまだ承知をしておりません。
それから、そういった情報をどう出していくのかということについては、これは個々の情報をこの場所でこうだというのを一つ一つ出し始めますと、逆に、ある意味そういったところにいたずらを誘発するとか、そういったことがありますので、情報の出し方についてはよく検討をさせていただきたいというふうに存じます。
いずれにせよ、その日の計測結果が安全基準以下であれば、これは全体として安全に御来場いただける旨を朝夕公表させていただいております。
○辰巳委員 一日三回とか、朝計測するといっても、朝測ったものが昼には上がっているわけですよ。そもそも危険なんですよね。
元々は毎日公表すると言っていたんですよ、公表することを検討するということを去年の段階では言っていたわけですけれども、実際に二か月に一遍、毎日の計測というのは出していたわけなんですよね。それをぴたりとやめてしまったということになっているわけで、それは一体何のための計測なのかと言わなければならないと思います。本当に安全やというのであれば、全て隠さずにデータを公表して、協会が責任を持って、安全だ、そういうことを公表するべきだというふうに思っております。
もう一点確認したいのは、喫煙所についてなんですね。
今、喫煙所は、東ゲート、いわゆる会場の外なんですよね、これに設置をされておりますけれども、中に一旦入ってしまうと、そこまで行くのに非常に時間がかかるということで、会場内で喫煙しているということが多数目撃をされております。
会場内というのは禁煙、これは大原則なんですよね。命、大事だという万博ですから禁煙なんですけれども、遠いものですから、ルールを破って中で喫煙する人が出てくるということで、万博協会は、先日の記者会見などでも、西ゲートの方に喫煙所を設けようじゃないかということを検討しているということを言っております。
西ゲートというのは夢洲一区ですから、爆発事故が起きているところですから、メタンガスがシューシューシューシュー多量に出ているところですから、これは、こんなところに喫煙所を設ける、命吹っ飛ばす気かと私は思うんですよね。
これは私はやるべきじゃないと思うんです。いかがですか。
○政府参考人(茂木正君) 委員が御指摘になったような報道も含めて出ていること、私どもも承知をしております。
喫煙所の設置については、今、博覧会協会で検討を行っています。具体的な場所は、まだ決まっておりません。会場内の喫煙対策の一環として、西ゲートに近い方ということで検討はしておりますけれども、具体的な場所はまだ決まっておりませんので、安全管理をしっかりした上で、そうした検討を進めていくものというふうに承知をしています。
○辰巳委員 西ゲートというのは、夢洲一区なんですよ。
○政府参考人(茂木正君) 西ゲートそのものは一区なんですけれども、西ゲートエリアということですので、もう少し広い範囲で、どういった場所に喫煙所が設置できるのかも含めて検討をしてまいるということでございます。
○辰巳委員 そのエリアで、一区じゃないエリアでということなのかもしれませんけれども、これは、もちろんメタンガスというのは一区が一番出ているわけですけれども、あの会場全体にメタンガスというのは出ていますので、これはよくよく検討して、やめなければならないということを改めて言っておきたいというふうに思います。
さて、GXの方に移りたいというふうに思います。万博関係の方は帰っていただいて、いいですか、いたいですか。(茂木政府参考人「大丈夫です」と呼ぶ)はい、ほんなら、いていただいて結構です。
ようやくここまで来ました。
○経産委委員長(宮崎政久君)大丈夫ですか、じゃ、茂木さん、もう退席して結構です。(発言する者あり)
○辰巳委員 私のことを好いてくれているんですね。また来週、やりますか。
さて、まず、大臣に聞きたいと思います。
気候変動への認識について確認をしていきたいと思うんです。
今年に入って、日本に限っても、大規模な山林火災が起こっております。岩手県とか岡山、愛媛、宮崎県で相次いだわけですが、世界でも、一月のアメリカのロサンゼルス近郊の大規模な山火事も大きく報道されてまいりました。深刻な山火事が世界で頻発するのは、気候上昇で空気や地面が乾燥して、発火、延焼のリスクが高まったためだとも言われております。
猛暑、熱波は労働者の健康を損ない、巨大化した台風や豪雨、豪雪による被害も各地に広がっております。
世界気象機関によりますと、世界の平均気温は、産業革命前より一・五五度上昇したと。世界各国は気温上昇幅を産業革命前プラス一・五度Cに抑える努力を強めているが、今も気候危機は進みつつあるということなんですね。まさにこの対策強化は待ったなしの状況だと言わなければなりません。
大臣、この気候上昇の幅を産業革命前から一・五度までに抑えるためにも、一刻も早い対策の強化、これが必要だ、そのためにも日本も手だてを尽くす、こういう立場に立つことが必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(武藤容治君) ありがとうございます。
気候変動も、まさに今委員おっしゃられるように、山火事も大変多く発生を世界中でしているところであります。国内で起きた、今回の秋田にしてもそうですけれども、まずもって心からお見舞いを申し上げなきゃいけないと思いますが、国際社会が一体となって取り組むべき人類共通の重要課題であります。一・五度目標、この実現に向けては、全ての国の取組が重要であります。
我が国は、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に加え、世界全体での一・五度目標と整合的な排出削減目標として、温室効果ガスを二〇四〇年度に七三%削減することを目指しているところであります。
その実現に向け、エネルギー安定供給、そして経済成長、脱炭素の同時実現を目指す方針をGX二〇四〇ビジョンとして取りまとめております。着実にGXを推進して、世界全体での一・五度目標の達成に貢献していくところであります。
○辰巳委員 大臣から整合的なという話はあったんですけれども、そうなのかということだと思うんですね。
大切なことは、二〇五〇年のカーボンニュートラルというゴールだけではなくて、その途中経過、途中経路ですね、つまり二〇三〇年での排出削減目標を達成するということだと私は思うんです。
国連環境計画排出ギャップレポート二〇二四によれば、各国の現状の削減目標では、今世紀末の気温上昇は何と最大で三・一度になるとされているわけなんです。IPCCの第六次の報告書によりますと、一・五度目標を達成するためには、世界全体の温室効果ガス排出量を二〇三五年までに二〇一九年比六〇%削減することが必要だとされております。先進国、排出大国を始め、各国が野心的な目標を持って対策を加速することが求められております。
では、日本国内の対策はどうなのか。石破政権は今年二月に、地球温暖化対策計画、エネルギー基本計画、GX二〇四〇ビジョン脱炭素成長型経済構造移行推進戦略改訂を閣議決定をいたしました。国連気候変動条約事務局に提出された日本のNDC、これは国が決定する貢献ということですけれども、これは、温室効果ガス削減目標を、二〇三五年度に二〇一三年度比六〇%削減、二〇四〇年度に二〇一三年度比七三%削減としております。これは、二〇三〇年度目標でいえば、二〇一三年度比六〇%削減というのは、二〇一九年度比で五三%削減になるわけですね。
これは、世界全体では二〇三五年までに二〇一九年比で六〇%削減することが求められているのだから、日本がこれよりも低い目標というのは、先進国として求められている責任を果たすということにはならないわけですよね。今日ただしたいのは、その不十分である目標さえも今回の法案で果たせるのかということなんです。
経産省、確認しますけれども、今回の法案で排出削減にはどれだけの貢献を見込んでいるのか、これをお答えいただけますか。
○政府参考人(田尻貴裕君) お答え申し上げます。
今御指摘のございました二〇三〇年度目標ないしは二〇三五年の目標につきまして、その達成するに当たっては、本法案で措置をする排出量取引であったり化石燃料賦課金のみならず、今同時に実行してございます二十兆円規模の先行投資支援を含めたあらゆる政策及び業種の特性、国際動向等を踏まえまして、事業者が自らの判断として実施する取組によって実現をされるというものだと考えてございます。したがいまして、この排出量取引制度のみを抜き出して排出削減達成への効果を申し上げるというのは困難かと思ってございます。
他方で、本法案では、排出量取引の実施に向けた措置等に加えて、対象事業者が野心的な削減目標を自主的にコミットいただくということを通じて排出削減を促進する観点から、移行計画というものの提出を義務づけているところでございます。
今、具体的な数字を申し上げることが困難ではございますが、今後提出されるこの移行計画の内容を精査することで、対象事業者の削減に向けた取組の見通しを予見するということが可能であるということを考えてございます。
委員御指摘のあった一・五度目標を目指して排出削減を行うという重要性は認識をしてございますので、本制度もこれに貢献できるようにしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
○辰巳委員 ですから、ストレートなアンサーは来ないんですよ。本法案で排出量取引というのはどれぐらい削減するのか、これはきちっとした答弁が来ないわけなんですよね。
野心的な移行計画をやってくれ、それは当然だと思うんですけれども、一定規模、十万トン以上の事業者に対して排出量取引制度に参加することを義務づけるということになるわけですけれども、これは国内の総排出量に占める割合というのは六割ぐらいになりますよね。今、うなずいていただいている。六割、これはかなり多いわけですよね。だから、ここの部分でどれだけ排出削減ができるのかというのが物すごく鍵になってくるのに、どれぐらい削減されるのかというのは言えないということになるわけですね。
これはやはりそもそも、もちろん野心的な期待をするんだと言うんですけれども、私は、国全体の排出枠のキャップですよ、キャップをきちっと、総量規制ですよね、これを定めていないことが一番の問題じゃないかというふうに思うんですよね。
これは経産省に確認しますけれども、これは総量キャップはありますか。
○政府参考人(田尻貴裕君) お答え申し上げます。
本法案において、排出枠の総量を一定水準に規制するという規定は措置してございません。
○辰巳委員 だから、そこのゴールがないんですよ。これは、ヨーロッパでは、やはり総量キャップをやって排出量というのを進めていこうというゴールを定めてやっていますから、そもそもこの法案でそこがないというのが私は大問題だというふうに思っております。
内閣官房の下に置かれた有識者検討会議でも、様々な市民団体の方からキャップの設定というのを求められていたのに、これは結局見送られました。本法案では、各企業に割り当てる排出枠のキャップ、これは部門全体での規制がないわけなんですよね。積み上げ方式だということになっておりますので、肝の部分がないということ、この枠の設定を間違えれば、排出削減という制度本来の目的が果たせないということを改めて今日の質疑では指摘をして、次の、来週の質問で更に深掘りをしていきたいというふうに思います。
以上です。