簡易なリストラ許されない 早期事業再生法案に反対
2025年05月28日
![]() (写真)質問する辰巳孝太郎議員=28日、衆院経産委 |
早期事業再生法案が28日の衆院経済産業委員会で、自民、立民、維新、国民民主、公明などの賛成多数で可決しました。日本共産党とれいわ新選組は反対しました。日本共産党の辰巳孝太郎議員は、▽労働者保護の規定が全くない▽簡易な手続きで迅速にリストラを実行できる▽悪質な投資ファンドの関与を排除できない―などの問題点をあげ、「労働者を置き去りにし、権利をないがしろにした法案で断じて容認できない」と批判しました。
辰巳氏は質疑で、日産自動車が5月13日に発表した5工場、約2万人のリストラ計画を取り上げ、1977年に国際労働機関(ILO)が採択した「多国籍企業に関する宣言」は、リストラの悪影響を最大限緩和するために政府や労働者に「合理的な予告」を求めていることを指摘。経産省にはこの予告がされていないことがすでに分かっています。厚生労働省の青山桂子審議官は「個別事案について答えを控える」と答弁しました。
また辰巳氏は、99年の日産のカルロス・ゴーン氏による東京の村山工場などのリストラ計画の際、当時の深谷隆司通産相が日産に対して「影響に十分な配慮をするように指示」した事実を示し、労働者や下請け企業が守られるよう今回も大臣が指示すべきだと求めました。武藤容治経産相は「影響を注視し、必要に応じて対応を検討する」と述べるにとどまりました。
辰巳氏は、日産の大リストラを経産省が産業活力再生法で認定して支援し、その後も大企業の人減らしを応援してきた責任は極めて重大だと追及しました。
2025年5月29日(木)付け「しんぶん赤旗」より引用
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
まず、大臣、通告してないんですけれども、今日の報道で、関税交渉に関わって、いわゆる半導体ですね、エヌビディアを念頭に、アメリカから半導体を購入するんだと。しかも、DC向け、データセンター向けの半導体を、日本が補助金を出して購入支援をして、アメリカから、エヌビディアを念頭に、そういう半導体を購入していく、それをカードにする、そういう報道が一部されているんですね。
大臣、ちょっと、えっ、えっ、えっみたいな顔をされているんですけれども、聞かれていないですか。
○国務大臣(武藤容治君) 詳細については、まだ報告を受けていません。
○辰巳委員 大臣、聞いていない、これはえらいことですわね。(武藤国務大臣「詳細は」と呼ぶ)詳細はね。
ラピダスの法案審議というのをこの間ずっとやってきたわけですけれども、そもそもラピダスというのは、国内の半導体産業を興していこうということを念頭に、とりわけDC、データセンターですよね、参考人の中にも、データセンターは北海道でという話の方も来られていましたけれども、アメリカから、エヌビディアからそういう半導体を買うということになると、これはラピダスのデータセンター向けの半導体の売り先がなくなってしまうということになってしまうんじゃないかと私は思うんですよね。
これは、私たちは、ラピダスそのもの、あれだけの公的資金を投入してということには反対しましたけれども、あれだけの公的資金を投入しておいてですよ、今、関税交渉でやすやすと、そういう半導体をアメリカから買うてしまうということになれば、これは、ラピダスの計画、プロジェクトそのものがもう今から危うくなるんじゃないかと言わざるを得なくなると思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○国務大臣(武藤容治君) 詳細については存じ上げていないのであれなんですけれども、ラピダス法案のときからも、そういう意味で、需要想定という形においては、まだまだこれは正直言って、今エヌビディアをアメリカから関税交渉の一つとして買うという話のようでありますけれども、需要的にはそんなものではないというふうに想定しているところですし、これからの時代の推移からいって、この次世代半導体、特に需要がこれからもまだ想定としては増えていくだろうという中での想定をしていたところもあると思っています。
○辰巳委員 そうおっしゃるんでしょうけれども、そもそも、エヌビディアにラピダスの半導体を買うてもらいましょうということでもあったんですよ。それを、今度は日本がエヌビディアから買うって、もう全く逆になってしまいますから、想定とは全く外れてしまうということも言わざるを得ないというふうに思います。
さて、日産についてお聞きしたいと思うんですね。五月十三日、二〇二八年三月期までに日本を含め世界で七工場を統廃合して、全従業員数の一五%に相当する二万人の削減計画を日産は発表いたしました。
日産は、一九九九年にも、当時の最高執行責任者のカルロス・ゴーン氏が、五つの工場の閉鎖、約二万人の労働者を退職させる大リストラ計画、いわゆるリバイバル計画というものを発表いたしました。特に、国内では、東京の村山工場の閉鎖をめぐり、地域の雇用と取引企業、下請企業ですね、への影響というものが大問題にもなってまいりました。
このとき、我が党は、日産の社会的責任は極めて大きいと指摘をした上で、身勝手なやり方は許されない、政府としても日産に言うべきことは言えということで追及をしてまいりました。
例えば、二〇〇〇年の二月二十一日の予算委員会においては、当時の深谷隆司通産大臣はこう言っているんですね。本来、個々の企業の問題に通産省が介入できないが、しかし、それによってもたらされる雇用関係、下請関連企業への影響は極めて重要な課題でございますので、日産自動車に対して、十分な配慮をするように指示をいたしました、こういうことなんです。
大臣、やはり、雇用、下請企業への社会的責任を果たさせるように、直接大臣の方から日産に対して働きかけ、これをするべきじゃないかと思いますけれども、いかがでしょう。
○国務大臣(武藤容治君) 先般も、参議院の決算委員会で大門先生から御質問を言っていただきました日産の件であります。
現実、まだ、経営再建策としていろいろな報道があるのは承知をしているところですけれども、現時点では、正確なところはまだ何にも聞いていないとの説明を聞いていると、自治体からですね、伺っているところです。
今、深谷通産大臣の話も御質問いただきましたけれども、現状の今の経営再建計画は、二〇二七年度までに、中国を除くグローバルで、車両工場数を十七から十に減らすとか、約二万人の人員削減をする旨の公表をしているというものというふうに聞いておりますが、どの工場を閉じるかについてはまだ説明を聞いておりませんし、関係自治体に対しても、今の答弁のように、決まっていないという説明のことを承知しているところです。
まずは、今回の経営再建計画が雇用やサプライチェーンに与える影響について、しっかりこれは注視してまいらないといけないというふうに思っています。その上で、影響を踏まえつつ、必要に応じて対応を検討してまいりたいというふうに思っております。
○辰巳委員 これは是非、やはり、されてからでは遅いので、働きかけていただきたいというふうに思うんですね。
日産のような世界に展開する多国籍企業の活動には、やはり社会的責任にとどまらない、国際的な制約もあるんです。一九七七年にILOが採択をした多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言というものがあります。これは経産省のビジネスと人権のホームページにも掲載をされているものであります。
ちょっと紹介していただきたいんですが、この中の、雇用の安定の項目の三十四番で、多国籍企業は、雇用に重大な影響が及ぶ事業活動の変更についてどのようにすべきだと言っているのか、紹介していただけますか。
○政府参考人(青山桂子君) お答え申し上げます。
お尋ねの、ILOの多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言の項目三十四番におきましては、多国籍企業は、雇用に重大な影響を及ぼすような事業活動の変更を検討するに当たっては、悪影響を最大限緩和するために、共同して検討を行い得るよう、適切な政府機関、当該企業が雇用する労働者及びその団体の代表に対して、かかる変更についての合理的な予告を行うべきであるとされております。
○辰巳委員 合理的な予告を行うべきであるということが記されているわけなんですね。
それでは、続けて確認したいと思いますけれども、今、日産から示されているのは重大な変更なわけですよね。日産から、そういう変更について、合理的な予告というのは政府に対してあったのか、あるいは労働者や労働組合に対してあったのかを確認したいと思います。
○政府参考人(青山桂子君) お答え申し上げます。
恐縮ですが、個別事案についてはお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
一般論ではございますが、厚生労働省の法律で、労働施策推進法という法律がございまして、そこにおきまして、事業主は、事業規模の縮小等により相当数の労働者が離職を余儀なくされる場合には、今の法律に基づきまして、事前に労働組合などの意見を聴取した上で、最初の離職者が生ずる日の一か月前までに、事業の現状、再就職援助計画作成に係る経緯、計画対象労働者の氏名、再就職援助のための措置、労働組合等の意見などを内容とする再就職援助計画を作成し、ハローワークの所長に提出し、認定を受けなければならないこととされております。
ハローワークにおきましては、必要に応じて、事業主に対しまして、今申しました制度の適切な実施に向けた助言や指導等を行うとともに、離職を余儀なくされた労働者がいらっしゃれば、その円滑な再就職の実現に努めることとしております。
○辰巳委員 今の答弁はあくまで一般論という話にとどまるわけですけれども。
やはり、人員削減だけではないと思うんです。日産と取引がある企業だけでも約一・三万社とされているわけですよね。
今回の日産の計画でちょっと重大だなと思っているのは、部品等を供給するサプライヤーについて、より少数にする、そして非効率さを排除し、従来の基準を見直すということも盛り込まれているんですよね。つまり、日産を支えてきた取引企業の、まあ下請企業ですね、大幅削減や契約条件の変更が想定をされるわけなんです。
日産は、去年の三月に、部品メーカーへの支払い代金を不当に下げていた下請法違反をめぐって、経産省が推進しているパートナーシップ構築宣言を取り消されて、つい最近、三月ですけれども、再度宣言をしたばかりであります。
これは、大臣、やはり、下請法違反を反省して再度宣言をしたというばかりなのに、今、下請企業の大幅の削減あるいは契約条件の変更を一方的に宣言するというのは、パートナーシップ構築宣言の趣旨にも違反しているんじゃないか、適合していないんちゃうかと思うんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(武藤容治君) 日産が、五月十三日でしたか、公表した経営再建計画ですけれども、コスト削減においてサプライチェーンの見直しを行っていくという説明をしていることは承知をしているところであります。
現段階で、先ほど申したとおり、見直しの具体的な内容が明らかではありませんので、取引先との共存共栄という我々のパートナーシップ構築宣言の趣旨が遵守されるかも含めて、サプライヤーへの影響については引き続いてしっかり動向を注視していきたいというふうに考えています。
○辰巳委員 本当に下請を切り捨てるようなことは絶対にやってはいけないというふうに思います。
日産の姿勢ももちろん問われなければならないんですが、やはり、政府も、一九九九年に成立した産活法、これに基づいて、二〇〇一年三月十九日に、日産の大リストラ計画、先ほど少し紹介しましたけれども、これを事業再構築計画として認定もしてきたわけですよね。経産省自身が、大企業のリストラや人減らしを応援するために様々な特例も講じてまいりました。これは、やはり経産省、政府の責任、姿勢は重大やということも指摘をしておきたいというふうに思います。
さて、今回の法案についてただしていきたいんですが、近年、短期的な利益を求めて、支配下に置いた企業の資産を売却したり資産を吸い上げる悪質な投資ファンドの存在が世界的に問題となってまいりました。
内閣官房の私的整理法制検討分科会では、金融機関の出席者から、これまでの経験として、首都圏では、スポンサー企業の実質的な目的が対象企業の事業ではなく不動産の取得であるケースも見られて、事業再編が当初の計画どおりに進まない事例もあるという指摘もされています。
本法案では、悪質な投資ファンドが経営権を掌握して申請をしてきた場合、経産省、これを排除できる規定はあるんでしょうか、確認したいと思います。
○政府参考人(河野太志君) お答え申し上げます。
本制度におきましては、金融機関等の有する金融債権につきまして、まず、公正中立な第三者機関が債務調整の必要性、決議成立の見込み等を確認するということ、それから、対象債権者集会において債権額の四分の三以上の同意を得ることが必要であること、また、決議の後に、裁判所が手続の公平性や法令違反がないか等を審査するといった、複層的な、いわゆる多数の債権者による多数決濫用の防止措置を設けているというたてつけでございますので、そういった観点で、本制度を悪用する事案は相当程度抑えられるのではないかというふうに考えてございます。
また、主たる対象債権者として想定される銀行等につきましては、金融庁の監督指針において、再建可能な債務者については極力事業が再生する方向で取り組むということも求められているところでございますので、そういったことも踏まえながら、経済実態の進展、それから裁判実務の積み重ね等も踏まえながら、この制度の濫用防止についてしっかりと不断の検証を続けてまいりたいと考えてございます。
○辰巳委員 今おっしゃったとおり、相当程度抑えられるということしかできないわけですね。完全にそんなことは想定されないんだ、抑えられるとは言えないわけですよね。もうかるためには切り売りしていくというようなファンドももちろんあるし、もうかるんだったら金融機関だってそれでいいじゃないか、そう言いかねないと私は思います。
収奪的な投資ファンドは、労働組合の解体や労働者の解雇、労働条件の切下げ等を露骨に行うことをやはり特徴としているわけですね。二〇〇八年にアジア・パートナーシップ・ファンド、APFに経営権を掌握された昭和ゴム、この件では、会社の資産約三十億を経営悪化したAPFグループ企業に還流させられ、抗議する労働組合に対しても不当労働行為が繰り返されました。
こうした状況にかかわらず、日本では、悪質な投資ファンドから労働者保護を図る措置というのは放置されたままだと言わなければならないというふうに思います。この法案では、そういう保護規定というのは一切ないということも指摘をして、私の質問を終わりたいと思います。
以上です。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎です。
私は、日本共産党を代表して、いわゆる早期事業再生法案に反対の討論を行います。
その前に、この経済産業委員会をやってまいりまして、日々、私の中の革新性を実感をするところでございます。
反対理由の第一は、労働者保護のための措置が全くないからであります。事業再生計画には人員削減や労働条件切下げが含まれることが想定されますが、本法案においては、労働者に情報提供もされず、協議の対象でもありません。
労働者に大きな影響が出る法案と分かっていながら、政府の会議に労働者や労働団体の代表を一人も入れず、諸外国の同様の制度には存在する労働者保護規定を意図的に隠した資料を作成し、さらには、パブリックコメント等で懸念の声が多く寄せられても対応しなかった経産省の姿勢は、労働者を無視していると言わざるを得ません。労働者を置き去りにし、権利をないがしろにした本法案を断じて容認できません。
反対理由の第二は、最近だけでも日産自動車で二万人、パナソニックで一万人など、大リストラを伴う事業再生、組織再編が計画される中、これまでより簡易な手続で迅速にリストラを実行できる法案だからです。
経産省は、一九九九年の日産のカルロス・ゴーン氏による大リストラを産業活力再生法で認定して支援をいたしました。その後も、産業競争力強化法で大企業の人減らしを支援することで株主資本主義を推し進め、多国籍企業の競争力強化を図る一方、国民の暮らしや雇用を破壊してきたことに何の反省もないばかりか、更にリストラを促進するものであり、看過できません。
反対理由の第三は、短期的利益を求め、支配下に置いた企業の資産を売却したり、資産を吸い上げる悪質な投資ファンドによる利用を排除する仕組みもないからです。
労働組合の解体や労働者の解雇、労働条件の切下げ等を露骨に行う事案が頻発しているにもかかわらず、日本は欧州に比べ極めて脆弱なファンド規制しかなく、労働者保護の措置は手つかずのままです。こうした下で、労働者、地域を踏みにじる企業買収、企業壊しの新たな道具とさせてはなりません。
提出された修正案は、これらの問題を根本的に修正するものではないため、賛成できません。
最後に、本法案の前段となった政府会議では、産業の新陳代謝は、すごいスピードで中小企業、地方の企業が退出、廃業するか、買収、集約されていかないと進まない、低生産性企業の買収は私的整理をかませないと起こらない、多数決による私的整理はとにかく早く成立させてほしいなどという、驚くべき中小企業淘汰論が堂々と展開をされました。
こうした中小企業淘汰論を断固として許さず、中小企業憲章で「経済を牽引する力であり、社会の主役」と位置づけられた中小企業を守り発展させるために全力を尽くす決意を述べて、反対討論といたします。
以上です。