社会保障の拡充こそ/健康保険法改定案 抑制路線転換求める/衆院委で辰巳氏
2026年04月22日
日本共産党の辰巳孝太郎議員は22日の衆院厚生労働委員会で、健康保険法改定案を巡り、給付減・負担増の社会保障抑制路線を改め、拡充するよう求めました。
同案は政府が進める「全世代型社会保障」構築の一環で提出したもの。辰巳氏は「給付は高齢者中心、負担は現役世代中心の構造を見直す」という政府の認識の誤りを社会保障費の国際比較から明らかにしました。
厚労省の資料でも、日本の社会保障支出が国内総生産(GDP)に占める割合は、高齢化率が低いフランスやドイツよりも下回っているとして、「国民全体の生活を支える給付が少なすぎるのが日本の社会保障の構造だ」と強調。2021年のフランスの社会保障給付費(経済協力開発機構の社会支出基準による)はGDPの約34%を占めるが、日本では約26%にすぎないとして、フランス並みの割合にした場合、日本では社会保障給付をいくら増額できるかとただしました。
厚労省の辺見聡政策統括官は、約43兆円増額できると答えました。
辰巳氏は、高齢者の貧困率は上昇傾向にあり、格差拡大が深刻な中、さらに社会保障を抑制すれば、「格差と貧困はますます深刻になる」と批判。「高額所得者や大企業優遇の政治を改めて担税能力のあるところから税金を取り、再分配機能をまともに発揮して社会保障を充実させ、格差と貧困を解決することが政治の仕事だ」と主張しました。
改定案には、中小企業などが加入する協会けんぽへの国庫補助の従来の特例減額措置に加え、今後3年間、時限的に毎年500億円削減するとしています。
辰巳氏は、26年度予算で国庫補助の減額がなければ、協会けんぽの保険料率を0・1%程度は下げることができたと指摘。「中小企業などで働く労働者の保険料引き下げに充てられるはずだった財源の縮小は、現役世代の保険料抑制に逆行する」と批判しました。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
今日は、まず大きい話からさせていただきたいと思うんですね。
今改定案にある金融所得の勘案も、協会けんぽの国庫補助の抑制も、高齢者の社会保障を抑制して、現役世代の社会保険料負担や国庫負担の抑制をする、これを隠していないと私は思うんですね。
今回の制度改正は、全世代型社会保障の構築の一環として行われるわけですが、その全世代型社会保障の基本理念がこうあるわけです。給付は高齢者中心、負担は現役世代中心となっているこれまでの社会保障の構造を見直す。つまり、あたかも社会保障で高齢者が優遇されているかのような認識を前提としているわけですね。ただ、それは本当なのかという議論をまず今日はしたいと思います。
お手元に資料をつけました。これは厚労省の資料で、OECDのデータに基づいたものであります。縦軸に社会保障支出のGDP比、横軸に高齢化率を取ったグラフなんですけれども、二〇二〇年にフランスやドイツの高齢化率は我が国よりも一〇ポイント近く下回っているんですけれども、そのときでさえ、現在の日本より、かなり大きな社会保障の支出をそれらの国は行っているわけですね。
まず、厚労省に確認したいと思いますけれども、厚生労働白書において、高齢化率と社会保障の給付規模を国際比較をして、どのような説明をされていますか。
○辺見政府参考人 お答え申し上げます。
令和二年版厚生労働白書におきまして、高齢化率と社会保障の給付規模について、主要欧米諸国、英国、フランス、ドイツ、スウェーデン、アメリカでございますが、これらの国と国際比較を行っております。
引用いたしますと、社会保障の給付規模の推移を高齢化率の推移とともに見ると、いずれの国も高齢化の進行とともに給付規模は拡大する傾向にある。我が国は最も高齢化が進んでいるが、社会支出の対GDP比は、我が国よりも高齢化が低いフランス、スウェーデン、ドイツの方が我が国を上回っていると記載されているところでございます。
○辰巳委員 そうなんですね。
加えて、二〇一七年の厚生労働白書では、OECD諸国で同様の比較をしているんですけれども、そのときは、高齢化の進展度合いから見ると、我が国の社会保障給付の水準は相対的に低い。我が国の高齢化率はOECD諸国の中で最も高く、OECD加盟国の平均を大きく上回っているが、社会支出の対GDP比はOECD加盟国の平均をやや上回る程度で、高齢化の進展度合いから見た社会保障給付の水準は相対的に低い。ここまで記しているんですね。
このグラフを使って、二〇一八年二月に都内で講演をした鈴木俊彦当時現職の厚生労働省の保険局長ですね、今日、資料の二枚目につけておりますけれども、こう述べております。少し長いんですけれども、国保新聞の記事をそのまま引用したいと思います。真ん中から後半部分ですね。
全世代型社会保障といったときに、経済界や財政当局が思いつくのが、高齢者中心の給付を子供に切り替えていくということだろう。しかし、それは大きな誤りだ。高齢化率と医療、介護、年金の規模の国際比較というグラフを見てもらいたい。日本は医療や介護などにお金を出し過ぎなのだろうか。実はそうではないことをこれは示している。日本は二〇〇〇年に一五%程度しか医療、介護、年金に振り向けていなかったけれども、フランスは日本と同じ高齢化率のときに(二〇一三年)、二十数%を振り向けている。つまり、日本は高齢者にお金をかけ過ぎているのではなくて、子供にお金をかけなさ過ぎだということではないか。高齢者から子供に持っていくと、高齢者の生活が沈む。そういう高齢者を助けるためにはお金が要る。そのために将来世代がツケを負うのでは、何のために全世代の社会保障にしているのか分からなくなると明確に述べているんですね。
厚労省に確認したいと思います。今述べたような認識を、今も共有しているということでよろしいでしょうか。
○辺見政府参考人 全世代型社会保障に関する認識についてのお尋ねと承りました。
我が国におきましては、今後も少子高齢化が進展する中で、増大する社会保障給付について、負担能力に応じて全ての世代で公平に負担し合い、必要な社会保障サービスが必要な方に適切に提供される全世代型社会保障制度の構築が必要と認識をしており、そのための取組を引き続き進めてまいりたいと考えております。
○辰巳委員 いや、私は全世代型の説明を求めたのではなくて。当時の保険局長のこの認識、この国保新聞にあるような認識は間違いじゃないですよね。厚労省も同じような認識を共有しているということでいいですか。私が読み上げたところについて答弁いただきたい。
○辺見政府参考人 当時の発言の内容については、私どもも記事から文字で認識をしているところでございますけれども、基本的には、現役の保険局長として、全世代型社会保障改革の意義について認識をし、御発言をされていると考えておりますので、全世代型社会保障についての認識を私どもが持ちながら施策に取り組んでいるということについては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
○辰巳委員 聞いていて分かりますか。分かりますか。
全世代型の説明を私は聞いているんじゃなくて。もちろん、当時の局長が全世代型の話をしているのはそうなんですよ。だけれども、他国と比べて、例えば、もう一回言いましょうか。日本は高齢者にお金をかけ過ぎているのではなくて、子供にお金をかけなさ過ぎたということではないか、こういう認識について、厚労省も認識を共有しているのかというふうに具体的に聞いたつもりなんですけれども、いかがですか。
○辺見政府参考人 必要な社会保障サービスが必要な方に適切に提供される、そのために能力に応じて全ての世代で公平に負担し支え合う、こうしたことが全世代型社会保障制度の構築の考え方でございますので、そういった考え方についてしっかりと共有をし、取り組んでいるということでございます。
○辰巳委員 これ以上は勘弁しますけれども、現役の局長ですから、それは否定はできないわけですよ。そういう認識なんですよね、やはり厚労省も。やはり現役の局長の発言は重いと思うんですね。
この事実は、やはり経済の実力から見て、日本の社会保障の給付が低過ぎる、全体ですよね、これを示していると思うんです。現役世代や子育て世代はもちろん、高齢者や障害のある人も、国民全体の生活を支えるこの給付が少な過ぎる、これこそが日本の社会保障の構造だと私は思うんですね。
後に事務次官に鈴木俊彦さんはなっておられますけれども、二〇一九年一月の福祉の業界誌のインタビューでもこう語っておられるんですね。
二〇一八年度に百二十一兆円だった社会保障給付費は、二〇四〇年度には約百九十兆円になりますが、対GDP比で見ると、二〇一八年度の二一・五%から、二〇四〇年度には約二四%と、二ポイント程度しか上がりません。これは現在のスウェーデンやフランスよりも低い水準、つまり、高齢者の急増で負担し切れないという状況ではない。ここまで鈴木さんは語っておられるんですね。
同様に、二〇一二年に厚生労働省の年金局長を務めた香取照幸氏も、二〇二五年、昨年十一月のニッポンドットコムの、世代間対立の虚と実、超高齢化社会の社会保障を考えるという記事の中でこう語っております。ちょっと長いですけれども、これも引用しますね。
二〇〇〇年から一五年にかけての社会保障給付の伸びは確かに大きかった。この間に給付が一・四六倍になったということは、負担もまた増大したことを意味する。しかしながら、今後の展開は大きく異なっている。四〇年にかけての社会保障給付の対GDP比の伸びは大きく減少する。その伸びは二%ポイント程度、年率にして二%程度の伸びである。この間、後期高齢者が一・三七倍に増えたことを考えれば、増大どころか、むしろ抑制されていると言っていい。
ここまで引用しました。
その理由について、総人口の減少を挙げるとともに、マクロ経済スライド導入などの年金改革の効果で年金の対GDP比が下がることが大きく寄与している、こういうふうに述べておられるんですね。
政府が高齢化のピークだと言っている二〇四〇年に至っても、日本の社会支出の対GDP比は二%程度しか増やさないというのが政府の方針なんですよね。これは本当に驚きなんですよ。
最後に、資料三をつけておりますけれども、御覧いただきたいんですけれども、これは直近の二〇二一年でのデータで見ております。フランスの社会保障給付費はGDPの三三・五%ですね。同年、日本は二五・八%となっているんですが、このデータは、社会保障給付費を日本のものよりも広く見るOECD基準で比較しているので、数字自身は、日本で試算したものよりも、OECDですから、数%、上に出ているものと思います。
ここで、大臣に確認をしたいと思うんですね。
仮に日本がフランス並みの給付となれば、幾らぐらいの社会保障給付を増額させることができると試算できるか、お答えください。数字のところを言ってください。
○辺見政府参考人 機械的な試算ということですので、お答え申し上げますが、我が国のGDP比、五百五十五兆、二〇二一年度ベースですが、これにフランスの社会支出の対GDP比三三・五%を機械的に掛けた場合は百八十六兆円となるところですけれども、当然、給付を厚くすれば負担も同様に厚くなるという構造にあるところでございます。(辰巳委員「何兆円増加するのですか」と呼ぶ)百八十六兆円が相当する金額でございます。(辰巳委員「当時よりも何兆円増加できるのかと聞いています」と呼ぶ)
単純に比較をすることは難しいところでございますけれども、先生がおっしゃったOECDに基づく社会支出、二〇二一年ベース、百四十三兆円でございますので、百八十六兆円引く百四十三兆円を機械的に計算しますと、二十三兆円というところでございます。(発言する者あり)済みません。四十三兆円でございます。大変失礼いたしました。
○辰巳委員 フランス並みにやろうとすれば、機械的に当てはめればですけれども、日本でも今よりも四十三兆円給付を増やすことができるということなんですね。
高齢者の貧困率というのは上昇傾向ですよね。格差の拡大というのはもう深刻です。この構造を、高齢者のせいで若い世代の負担が重いとか、若い世代への給付が少ないと喧伝をして更に社会保障を抑制すれば、格差と貧困がますます深刻になるだけだと私は思うんですね。ですから、いいかげん、世代間対立をあおるのはやめる、あるいはそれに基づいた政策をすることはやめるという方向に行かなあかんと私は思います。
求められているのは、高額所得者や大企業優遇の政治をやめて、担税能力のあるところから税金をきっちりと取って、再分配機能をまともに発揮させて、社会保障費を充実させて格差と貧困を解決する、そういう政治、これをやるべきだというふうに言っておきたいと思います。これが政治と厚労省の仕事だと言っておきたいと思います。
さて、ここまで大きい話をした後に、今回の法改正なんですね。後期高齢者医療制度において、確定申告をするかしないかで後期高齢者の保険料や自己負担が変わることが問題だとして、今回、金融所得を保険料や自己負担に勘案できる仕組みを導入するというものが今回の改正案であります。
ただ、金融所得のうち、上場株式の配当などの確定申告の有無により保険料などが変わる不公平が生じるのは、現役世代の国保料などでも同じだと思うんですね。
大臣に確認したいんですけれども、今回、何で後期高齢者の保険料だけ金融所得を勘案して、やろうという話になっているんですか。
○上野国務大臣 本法案におきましては、窓口負担割合の判定、あるいは保険料算定に金融所得を公平に反映させる仕組みを後期高齢者医療制度において導入することとしております。これは、後期高齢者医療制度が七十五歳以上の高齢者が一律に対象となり、負担能力に応じて窓口負担割合が一割、二割、三割と分かれておりますので、こうしたことを踏まえ、負担割合が原則三割である現役世代と比較して、公平性を図る必要性がより高いためであります。
ほかの制度への導入につきましては、今回の見直しの対応状況なども踏まえて議論を行うことが適当だと考えています。
○辰巳委員 要は、やはり高齢者狙い撃ちに見えるわけですよね。
改正の結果として、後期高齢者保険における保険料収入の総額は増えることになりますよね。保険料収入は増えて、自己負担割合や自己上限が変更となって、全体としては保険給付費が減少するわけですから、結果的に後期高齢者の保険料を下げることができるはずだと思うんですよ。
大臣、今回の金融所得を勘案することで浮いた財源といいますか、これは全て後期高齢者の保険料の引下げのために充てるんでしょうか。
○上野国務大臣 まず、金融所得がある方の窓口負担割合が増加をいたしますので、給付費が減少する方向に作用いたします。また、保険料の賦課ベースが拡大することにもなります。
こうした金融所得の公平な反映による給付費の減少分等の活用については、高齢者間における負担の公平性の確保や現役世代からの後期高齢者への支援金負担の軽減、そういった観点から、どのような対応が考えられるかは引き続き検討していきたいと考えています。
○辰巳委員 いや、高齢者から取ったお金を高齢者のために使うのが当たり前だと思うんですけれども、これははっきりそうとは言わなかったということですよね。これは大変おかしなことではないかと思うんですね。
後期高齢者の保険料には負担上限がありますね。金融所得が一定以上の方は、保険料が負担上限に到達をします。その所得以上の階層、もっと金融所得があるという方の階層では、上限がありますから、所得に占める医療保険料の負担割合というのはずっと下がってくるということになります。ということは、どのような制度設計をするにせよ、金融所得を保険料などに反映してしまえば、ある意味、高額所得者に有利な制度になるということですよね。
一方で、少ない年金を補填するために老後資金をためて運用してきた方というのはすべからく負担増になるということを考えると、やはり高額所得者ほど有利な制度になると言わざるを得ないと思うんです。
ただ、私たちは、金融所得を捕捉、反映させて、応能負担を徹底させるということに反対ではないんですよ。ただ、これを保険料でやってしまうと、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、制度ごとに、収入や所得の認定の仕方に違いがあったり、負担額に上限がついたりするために、どうしても、公平にやろうと思っても限界が出るわけですね。
だから、結局、この問題は、こういうやり方ではなくて、本来は税制で、税制で株主優遇を抜本的に見直すことが必要だということは言っておきたいというふうに思います。
続いて、協会けんぽの補助金削減についてお聞きをいたします。
今回の改正で、協会けんぽへの国庫補助は、従来の特例減額措置に加えて、今後三年間、毎年五百億円削減されることが法律に書き込まれました。
確認しますけれども、二〇二六年度予算の特例減額の額と五百億円、合わせて幾らになるのか。また、これが、保険料収入に占める特例減額の割合は幾らか。料率に直すと幾らか。これをお答えいただけますか。
○間政府参考人 お答えいたします。
二〇二六年度予算における特例減額の額は、本法案における時限的な措置による引上げ分約五百億円を含めまして、約千百億円でございます。
また、特例減額の金額の二〇二六年度の協会けんぽの保険料収入に対する、内数ではありませんので、保険料収入に対する割合については、お求めに応じて仮に機械的に試算いたしますと、一・〇%でございます。これに保険料率を仮に掛け合わせたといたしますと、約〇・一%分に相当いたします。
○辰巳委員 つまり、二〇二六年度予算で協会けんぽは〇・一%保険料率を引き下げて九・九%としたわけでありますけれども、単年度収支を見ると、今回のような国庫補助の減額がなければ更に〇・一%程度は下げることができたということなんですね。
趣旨説明で、今回の改正について大臣は、将来にわたり我が国の医療保険制度を持続可能なものとしていくためには、現役世代を中心に保険料負担の上昇を抑制しながら、全世代を通じ、医療保険制度に対する信頼や納得感を維持し、向上させる観点から、医療保険における給付と負担を見直すことが重要と述べました。
大臣、しかし、今回の改正は、保険料負担の抑制と言いつつ、中小企業などで働く労働者の保険料引下げに充てられるはずだった財源を縮小して、現役世代の保険料抑制に逆行するものとなっているんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○上野国務大臣 本法案におきましては、先ほど来お話があるとおり、協会けんぽの準備金残高のうち約千五百億円を、国庫支出額から三年間、各年五百億円差し引くことで、ある意味、国庫に返納ということになっております。
これはあくまでも、その部分が過去の国庫補助から積み上がった金額と考えられるためでありまして、労使が拠出をした保険料財源を返納させている、そうした趣旨のものではないということは申し上げさせていただきたいと思います。特例減額によって保険料率引下げの財源が縮小することはないと考えています。
○辰巳委員 いや、返納ではないとおっしゃるんですけれども、これは明らかに返納なんですよね。
じゃ、聞きますけれども、今回、特例減額から更に三年間、五百億円を引き下げるということですけれども、この五百億円の根拠をお示しいただけますか。
○間政府参考人 お答えいたします。
協会けんぽについては、近年堅調な保険料収入などを背景に健全な財政運営が定着していることを踏まえまして、協会けんぽにおいては今年度から三十四年ぶりに平均保険料率の引下げが行われるとともに、本法案では、現行の国庫補助額を減額する措置について、減額幅を更に上乗せする時限的な措置を盛り込んでございます。
この時限的な措置は、現行の国庫補助額を減額する措置が開始した平成二十七年度以前の剰余金のうち、単年度収支差がプラスとなった平成二十二年度の翌年度である平成二十三年度から平成二十六年度までの間、現行の特例減額が行われていると仮定した場合の控除額を基に、国庫補助一六・四%に相当する総額約一千五百億円について国庫支出額から追加的に差し引く、法律上の新たな措置でございます。本措置が財政に与える影響を平準化する観点から、三年間の時限措置として、その総額千五百億円をいわば三で割って、各年度五百億円を追加的に国庫支出額から差し引くこととしたものでございます。
○辰巳委員 つまり、今の経営状況を勘案して今後の補助率を引き下げようという話ではないわけですよ。結局、おっしゃったことは、過去の補助金が多かったといって、国庫補助をその過去に遡って返還させる、返納させるという話なんですよね。
しかし、二〇一一年、積立金が年間一%超の水準で安定経営にはほど遠いときの補助金も含める、こういう話になっているわけです。そこも含めて最大十五年前の補助金を返せという話ですから、これは後出しじゃんけんもいいところだなと私は思うんですね。
運営委員会や支部の議論でも、唐突感がある、納得いかない、余剰金は本来加入者が負担した保険料であり、保険料の負担軽減に充てるべき等の強い意見が出されております。
協会けんぽの保険料率と健保組合の保険料率の平均を比べますと、やはり〇・六%程度の差がまだあるわけですね。元々、財政状況悪化を理由に、保険料率というのは八・二%から二〇一〇年には九・三四%、その後毎年引き上げて、二〇一二年には一〇%になって、現在に至っているわけですね。
大臣、やはり、財政悪化を理由に保険料率を大幅に引き上げた経緯から考えると、大幅に準備金が増えていることを理由に補助金を削減するのではなくて、準備金を活用して保険料率を引き下げる、こういう方向に行くべきだと思うんですけれども、いかがでしょう。
○上野国務大臣 まず、保険料率の水準ですが、今後の医療費や賃金の伸び、加入者数の見込み、積立金の状況などを総合的に勘案いたしまして、労使や学識経験者で構成される運営委員会で議論の上、協会けんぽが自主的、自律的に決定をされているものですので、そういった意味で、協会けんぽの保険料率について具体的なコメントをする立場にはありません。
協会けんぽでは、その前提となる賃金上昇率や医療費の伸びについて様々なシナリオに基づくシミュレーションを行っており、足下の財政状況だけではなくて、今後十年程度の収支状況も勘案した上で、中長期的な観点から保険料率を設定しているものと理解をしております。
○辰巳委員 大臣、厚労大臣と財務大臣の合意では、今回の三年間の時限的な国庫補助引下げ、この措置終了後の医療保険料率を含めた保険財政運営の在り方については、令和十年度までの間において、国庫補助率の見直しと併せ、持続的な保険財政運営の観点から必要な検討を行い、結論を得ることとするとされているわけですね。やはりこれも、協会けんぽの運営委員会でも不安だという声が出ているわけです。運営委員会では、この大臣折衝に対して何人もの委員が、一六・四%の国庫補助が協会けんぽの財政安定化に寄与していると発言をしております。
大臣、最後に、やはりこの、国庫補助を維持する重要性、強調されているわけですけれども、これについて大臣も同じ考えか、確認したい。
○上野国務大臣 協会けんぽは被用者保険のいわば最後のとりででもありますので、保険料率が頻繁に変動することがないように、安定的な財政運営を講じていくことは重要だと考えております。
その意味で、国庫補助が重要な役割を果たしているとは認識をしておりますが、いずれにいたしましても、今お話のあったとおり、今後の国庫補助の在り方につきましては、今回の措置が終了する令和十年度末までの間において、今回の料率引下げ等も踏まえた協会けんぽの財政状況や将来見通しなどを踏まえ、改めて検討していくことが必要かと考えています。
○辰巳委員 二〇一四年に国庫補助を一六・四%から一三%、こういう方針を財務省が財政審で打ち出したときには、日商や連合などの団体は連名の要請書で、準備金の水準を理由に国庫補助率の一三%への引下げを行うことは、国が中小、小規模企業の事業主やそこで働く従業員の努力を召し上げることにほかならない、こう非難するなど、本当に強い反発がありましたよね。準備金がマイナスになる中で、財政再建を理由に急激に保険料を引き上げて、財政再建の努力をしている最中の話です。
国庫補助を引き下げて、ほかの保険と比べて協会けんぽの被保険者が高い保険料を負担し続けることがないよう求めて、私の質問を終わります。
以上。