発注者にも責任及ぶ/万博未払い 辰巳氏追及 政府認める/衆院国交委
2026年05月29日
多重下請け構造の下、大阪万博で工事に携わった業者への未払いが生じている問題について、日本共産党の辰巳孝太郎議員は29日の衆院国土交通委員会で、「業者の立場に立ち、具体的な対応を」と政府に求めました。
辰巳氏は、アメリカ・パビリオンの工事費未払いを巡り、元請けのESグローバル・ジャパン社が「下請け間のことは知らない」と逃げ回っている例を挙げ、「監督行政庁が元請け業者に立て替え払いの勧告を行うべきだ」と強調。政府・万博協会など発注者の責任について、「建設業法は著しく短い工期となる契約を禁止しているのではないか」と政府の見解をただしました。
国土交通省の楠田幹人不動産・建設経済局長は「同法はそのような契約を禁止している。これは建設業者だけでなく発注者にも適用される」とし、発注者にも責任が及ぶと認めました。
辰巳氏は「著しく短い工期を理由に大手・中堅ゼネコンがパビリオン建設から撤退し、経験の乏しい企業が元請けとなって中小業者を巻き込んだ未払いを引き起こした。例えばGLイベンツ社は複数パビリオンで未払いを起こしている」と批判。「各国の準備も進まない中、開催を決めたのは政府だ。著しく短い工期が未払いの原因という認識はあるか」と迫りました。
経済産業省の山田賢司副大臣は「個々に事情があり未払いの原因が工期だとは一概には言えないが、個別の問題解決のために後押ししていく」と、否定できませんでした。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
万博工事費未払い問題について質問をいたします。
昨年来、私は何度もこの問題を取り上げてまいりました。民民の問題ではないと政府は言うんですね。これは当たり前なんですよ。なぜならば、この未払い問題は、建設業法に基づく解決が本来は可能だからであります。
重層下請構造の下、建設業法では、工事の完遂のため、とりわけ元請事業者により重い責任を課しております。例えば、下請間の未払いであっても、工事を完成させるために元請がその未払いを立て替えるということを監督行政庁が建設業法四十一条に基づいて勧告もできるわけなんですね。
国交省、確認します。
この建設業法に基づいて、未払いを起こしている元請に立替え払いを勧告する、あるいは元請と下請間の協議の場を設けるべきではないでしょうか。いかがですか。
○楠田政府参考人 お答えいたします。
建設業法第四十一条第三項は、下請が他人に損害を与えた場合において、必要があると認めるときは、許可行政庁が元請業者である特定建設業者に対して、立替え払い等の適切な措置を講ずるよう勧告することができる旨を規定をしております。
建設工事の代金支払いの問題が生じた場合は、個別の事案に即して、当事者が十分に話し合った上で、それぞれが納得する形で解決の道を探ることが重要であり、当事者間の話合いによる解決が図られることが基本になると考えております。
なお、元請が工事代金の支払い問題の当事者である場合、同項の規定は適用されません。
また、話合い等の当事者間の協議が調わない場合には、建設工事紛争審査会等により解決を図っていただく方法もあるものと考えております。
○辰巳委員 それぞれの当事者間での解決を図ると。それが図れないからいろいろな問題が起こっているわけで、これは元請にきちんと立替え払いをさせるという勧告を出すべきだと思います。
それと、今あったように、本来、建設業法上は工事の完遂のために重い責任を課せられている元請が未払いを起こしているケースというのがあるわけなんですよ。だから、これももっと問題なんですね。
アメリカのパビリオン、アメリカ・パビリオンでも工事費未払い問題が起こっています。
工事を受注したESグローバルジャパン社の下で三次下請として内装工事に関わった事業者は、二次下請業者が破産手続を開始して、代金をもらえない、未払いとなっております。しかし、驚いたことに、この破産した二次下請業者も、その上の一次下請業者との契約書が交わされていなかったということが分かりました。ところが、元請のES社は、下請間のことは分からない、知らぬということで逃げ回っているわけなんですね。
今回、このアメリカ・パビリオンも元請責任が本来は問われなければならないケースであって、監督行政庁が勧告に動くべきだと私は思うんですね。
ここで一点指摘をしておきたいのは、この万博工事において無許可営業が横行している問題であります。
実は、このESグローバル社は、東京都許可の業者なんですね。建設業法第三条及び施行令第一条では、二つ以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業する者は国土交通大臣の許可が必要となっております。
国交省、ESグローバル社は、ホームページでも堂々と大阪の拠点を表示しておりますし、企業情報でも支社店は大阪の弁天町となっております。無許可営業の疑いがあるんじゃないでしょうか。いかがですか。
○楠田政府参考人 お答えいたします。
建設業法第三条第一項では、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合は、当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならないとされております。また、二以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業をしようとする場合は、国土交通大臣の許可を受けなければならないとされているところでございます。
この建設業法上の営業所は、本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所とされておりまして、支店であっても、建設業に係る営業に実質的に関与するものでない場合には、建設業法上の営業所には当たらないとされているところでございます。
なお、仮に御指摘の大阪の拠点が建設業法上の営業所に該当する場合には、東京都知事の許可業者であるESグローバルジャパン社が東京都以外に営業所を設置していることになり、建設業法の規定に違反することとなりますので、許可をした東京都において指導監督を行い、その是正を求めることになると考えております。
○辰巳委員 これはもう、絶対、無許可営業は許されてはならない、放置されてはならない、早急に措置を取るべきだというふうに思います。
続けて、今日は発注者の責任を問いたいと思うんですね。
私は何社もの未払い業者の話を聞いてまいりました。共通するのは、支払いが遅れたり、あるいは追加工事の契約書がなかなか交わしてもらえずに、もらえないんだったらもうここで工事をやめて引こうかと何度も考えた、そういう業者ばかりなんですね。ただ、開幕目前で、自分が工事から手を引いたらパビリオンはもう完成しない、それはしたくないと、悩みに悩んで、それでも元請などからの必ず支払うからという言葉を最後は信じて、契約書は交わされないんだけれども、交わしてくれないんだけれども、工事を最後までやり遂げた、こういう業者ばかりなんですね。
口では、政府は、民民ではないんだ、業法でも対応できることはあるんだ、こう言うわけです。だけれども、具体的な行動を取っているのか、私にも被害事業者にもなかなか見えてこない。これは業者の立場に立って動くことが必要だと思います。
そして、私は、今回の万博の未払いがなぜ起こっているのか、様々な理由はあるかと思うんですけれども、極端に短い工期での無理な発注、これが未払いを引き起こした要因の一つになったと考えております。
国交省、そもそも、建設業法上は、極端に短い工期で発注することも禁じているんじゃないでしょうか。
○楠田政府参考人 お答えいたします。
建設業法第十九条の五第一項及び第二項において、注文者と建設業者は、建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならないと規定をされております。
建設業者は、これらの規定に違反した場合、都道府県等の許可行政庁が同法第四十一条による行政指導や第二十八条による監督処分の実施を検討することとなります。
また、第十九条の五第一項は建設工事の発注者にも適用されるものでございまして、同項の規定に違反した場合において、特に必要があると認めるときは、許可行政庁は、第十九条の六第二項の規定により、当該発注者に対して必要な勧告をすることができるとされております。
また、発注者がその勧告に従わないときは、許可行政庁は、第十九条の六第三項の規定により、その旨を公表することができるとされております。
○辰巳委員 ということなんですよね。
ちょっと重ねて確認したいんですけれども、今回、パビリオンを建設してくださいというふうに発注したのは、参加してくれている国ですよね。外国政府、外国政府の委託を受けた政府機関などの建設業者もあるかと思いますけれども、今言っていただいた建設業法第十九条の発注者というのは、この政府も含まれるという認識でよろしいでしょうか。
○楠田政府参考人 お答えいたします。
外国政府に対する我が国の法令の適用については、対象国との条約や関係法令等に基づき個別具体に判断する必要がございますけれども、一般論として申し上げますと、日本国内における建設工事については建設業法が適用されるものと考えております。
○辰巳委員 ということなんですよね。これは、非常に、なかなか、建設業法上でかなりのことができるということが分かってきたと思うんですね。
要するに、極端に短い工期というのは、労働者の命と健康が守られないと同時に、突貫工事、工事が雑になったり事故が起こりやすくなってしまうということで、安全も守られないから、そういうものを発注すること自身が駄目だよということなんですね。
さて、万博開幕まで一年半を切った二〇二三年の十一月に、日本建設業連合会の宮本会長はデッドラインを過ぎたと述べました。タイプAのパビリオンは最終的に四十七造られたんですが、当時はその半分の二十四しか建設業者が決まっていなかったんですね。逆に言えば、デッドラインを過ぎてから契約したパビリオンというのが半分もあったということにほかなりません。
大手や中堅ゼネコンは、パビリオンの建設元請、これはもうやめたと拒否しましたね。なぜか。極端に短い工期では、完成させるために相当な無理をしなければならないし、そうなれば利益も出せないからであります。
結局、日本で建設工事の経験がほとんどない企業や、本来建設業を営んでいないような海外イベント会社が元請となって、中小の建設業者を巻き込んだわけです。マルタ館の内装を受注した業者は、契約が二〇二四年の十二月ですからね。開幕まで四か月ですからね。しかし、図面の不備や資材の使用指示の遅れなど、まともな現場ではなかった。GLイベンツなる元請は、払うと言ったが、結局、未払い。この企業は、ほかにも、セルビア、ドイツ、ルーマニアでも未払いを起こしております。
今日は、経産副大臣にも来ていただきました。この極端に短い工期がこれらの未払いを引き起こしたという認識はございますでしょうか。
○山田副大臣 お答え申し上げます。
大阪・関西万博の海外パビリオンの建設につきましては、開幕二年前の段階で、ドバイ万博の開催延期に伴う参加国の設計等の遅れや、国内における資材価格高騰、人手不足等の課題が顕在化し、開幕までの完成が楽観視できない状況にあったと認識をしております。
御指摘のパビリオン工期の短さを指摘する事業者の方々の声も承知しているところであります。
海外パビリオンの建設工事につきましては、参加国と自ら選定した事業者との間で、工期、金額、作業内容等の条件について合意した上で進められたものと承知をしております。その上で、建設代金支払い問題につきましては、契約内容や精算協議の状況等、案件によって事情が異なることから、工期との関係について一概に整理することは困難であると考えます。
本問題は一義的には契約の当事者間における問題とは考えておりますが、政府及び博覧会協会といたしましては、全く関与しないとの立場は取っておらず、引き続き、関係行政機関とも連携しつつ、個別の契約問題解決に向け、後押しを行ってまいります。
○辰巳委員 いや、今の答弁はちょっと不十分で、一概には言えないのは分かるんです。だけれども、工期の極端な短さが未払いの要因の一つになった、そういう認識は持てないでしょうか。いかがですか。もう一度、答弁を。
○山田副大臣 様々な要因がございますので、これは工期の短さによるものだということは一概には言えないというお答えになります。
○辰巳委員 同じ答弁の繰り返しなんですけれども。
ゼネコンや中堅ゼネコンはこれではもう無理だといって撤退したところに入ってきた事業者が未払いを起こしているんですよ。
問われなければならないのは、やはり政府の立場だと思うんですね。つまり、今の、ドバイがコロナ禍で一年延期の中で、とにかく遅れ遅れになったけれども、私たちは中止や延期も求めましたが、二〇二五年の四月の開幕をずらさずに、延期せずに強行した。これは、万博協会、政府が決めたわけですね。
国交大臣、これは、やはりこういう遅れの中で、政府が、斉藤大臣、当時の大臣も、やはり実態に合った金額、適正な工期での発注を業界にも要請しましたと。遅れているということを前提に、きちんと工事が完遂されなければならないということを業界にも要請しているわけですね。
私は、やはり未払い問題、本当に頑張ってきた、日本の工事、建設業を支えてきた事業者たちが工事完遂のために頑張って、未払い被害者になっている、私はここは寄り添うべきだと思うんです。やはり政府の未払いを起こさないという取組が不十分だった、そういう認識があるかどうか、大臣に最後聞きたいと思います。
○金子国務大臣 お答え申し上げます。
建設工事の代金支払い問題に関する紛争を未然に防止するためには、契約当事者が対等な立場に立って契約を締結すること、書面による契約を締結することが極めて重要であります。
建設業法では、第十八条で、契約当事者が対等な立場で公正な契約を締結する旨を規定するとともに、第十九条で、書面による契約を締結する旨を規定しております。
また、建設業法の遵守に関するガイドラインに適切な書面契約の方法を明示するとともに、発注者や建設業の各団体に対し、書面による契約締結等の徹底を求める通知を毎年発出し、これらに基づいた指導を積極的に実施するなど、従来から書面による契約締結の徹底に力を入れているところであります。
今後も、対等な立場での契約、書面での契約の重要性等について、あらゆる機会を捉えて、建設業の取引当事者に対し周知徹底してまいります。
○冨樫委員長 申合せの時間が過ぎております。
○辰巳委員 はい。
大臣、それだったら、未払いの被害者事業者に責任を負わすことになると思いますよ。対等じゃないんですから。対等じゃない。何度も、契約書を交わしてくれ、追加発注は必要だと言ったにもかかわらず、やってくれなかったのが元請事業者なんです。
建設業法に基づいて解決の道を図ることを強く求めて、私の質問を終わります。
以上です。