日本共産党 衆院比例 近畿ブロック たつみコータロー

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国会会議録

日銀の量的質的緩和について参考人質疑

25日に日本銀行の量的・質的金融緩和とその効果について参考人質疑がありました。

以下議事録を掲載します。

議事録を読む
○辰巳孝太郎君 辰巳孝太郎でございます。
三人の参考人の方々、本当に貴重な御意見、ありがとうございました。
それで、私は、三人に二問ずつそれぞれお聞きします。
それで、岩田先生の方からは、経済の構造がやはり変わっているものですから、その時々の経済構造というのをしっかり見極めてという話もありましたし、早川参考人の方からは、いわゆる今回のQQEの誤算というところでも示していただいたと思います。
出口戦略ということがいろいろ語られるわけですが、私は、そもそも入口を間違えている可能性があるということも考えておく必要があるんじゃないかなというふうに思います。つまり、デフレを脱却するということで物価を上げなきゃいけないということで、その物価下落の原因が、世の中にお金が足りないということでQQEをしていったと。ところが、マネタリーベースは二年で倍になって、長期金利は低下した、だけれども銀行の貸出金というのはほとんど増えないということになっていると。これだけお金をじゃぶじゃぶにしても、企業はお金を借りないし設備投資にも回さないと。今、大企業では内部留保というのがいわゆるアベノミクス以降もためられ続けているということになっていると思います。
事実として、やはり経済の構造が変わってきて、円安になっても輸出大企業がそんなに利益を上げることがなくなったりとか、あとはいわゆるトリクルダウン、最近は総理も認めないという話をしていますが、これもなかなか認められないと。やはりそこから、事実から、現象から出発をするということが大事になっているんじゃないかと思うんですね。
今回の量的緩和で、やはり大企業の利益というのは実際は上がっていると。ここの評価をどうしていくのかということで、財政再建でいえば収入を増やして支出を減らすということだと思うんですが、今、政府としては、いわゆる法人税の引下げということを言ってきております。それを皆さんがどう評価されるのか、財政再建が大事だということであればこれをどう見ていくのかと。つまり、下げられたとしてもまた内部留保にためられてしまうんじゃないかという懸念が一方であるわけですので、それを皆さんにまず一点お聞きしたいと思います。
それと、金融政策は様々あると思いますが、しかし一方で、国民生活はどうなんだというところも見ておく必要があるんじゃないかと。つまり、GDPの六割が個人消費で占められているわけですので、ここが冷え込んでしまうと実体経済が良くならないのではないかなというふうに思っています。
実質賃金が下がっていると、年金も実質下がっていると、そして昨年の四月には消費税が上げられたということで、一月八日の日銀の生活意識に関するアンケート調査でも、二〇一四年の六月に、一年後を現在と比べると収入はどうですかと聞いたら、減ると答えた人が三五・八%、これが去年の六月聞いたときですね。昨年の十二月に同じ質問をしますと、四一・五%、収入が減るだろうというふうに答えていると。
支出はどうかというふうに見ますと、同じ時期、昨年の六月に聞きますと、支出を減らすと答えている人が四八・三%。同じ質問を去年の十二月にしますと、減らすと答えた人は五二・三%。収入も減るだろうし支出も減らすだろうというふうに答えているわけで、これではなかなか実体経済が良くならないのではないかなというふうに思います。
そこで質問なんですが、財政再建が必要だというのは分かりますが、しかし、消費税増税ですね、これを引き上げてしまうと更にここを冷え込ませてしまうと。そして、税収が減るということになれば、更に財政再建というのはちょっとしんどくなるのではないかなというふうに思うんですが、そのことを二問目でそれぞれお聞きしたいと思います。
○参考人(菅野雅明君) 私、二問御質問いただきました。
まず第一点目は、法人税の引下げについてです。
私は、法人税の下げ幅は全く不十分だと思います。もっと法人税率は下げる必要があります。なぜならば、日本は、位置している部分、日本経済が位置しているのは、世界の中で見ると香港とシンガポールと同じタイムゾーンにおります。したがって、海外の企業がアジアに進出しようとした場合、どこに行くかといえば、法人税だけでなく、所得税も低い、そして規制も極めて緩い香港とシンガポールに行ってしまって、日本は素通りです。これでは日本での雇用は全く増えません。
そして、財政再建との話で申し上げますと、もはや直接税で財政再建しようというのは非常に難しくなっています。すなわち、直接税で上げれば、法人税の場合は企業、所得税の場合は富裕層が国外に逃げてしまいますので、したがって、ヨーロッパでは消費税、VATですね、これがどこもみんな二割以上です。社会主義政党が取っているところでも消費税は、VATは二〇%ですので。それはイデオロギーとは全く関係ない世界でもう既に証明されている話ですので、日本もそういう方向に行くべきだと思います。
したがって、二番目もそれと関係するんですが、消費税を上げるから消費が落ちるというのは余りにも短絡的な思考だと思います。むしろ、将来の社会保障に不安があるとか将来の生活に不安があるので人々は所得があっても消費しないというのが実態ですので、やはり社会保障改革というのが非常に個人消費を刺激する上では重要になってきますので、その社会保障の財源として消費税は極めて重要ですし、そして同時に、社会保障の改革、すなわち歳出削減というのもそれ以上に重要になってくると思います。
○参考人(早川英男君) まず、法人税につきましては、僕はもう以前から法人税引下げについては消極的賛成だというふうに言ってきています。
と申しますのも、私たちが昔習った財政学であれば、基本的に税金というのは国内の効率性と公平性を考えて最適な税率を選ぶべきだという議論でした。しかし、残念ながら今はそうなっていません。今、菅野さんからお話があったとおり、要するに、日本だけ高い税金であればどうしても立地競争において負けてしまうということになっています。本来であれば、それはもうそもそもそういう底辺の競争そのものをやめるべきだということになるんでしょうけれども、多分、財政、税制に関する国際協調なんかできるはずがないので、そう考えれば基本的に恐らく法人税を下げていかざるを得ないと僕は思っています。
ただ、同時に、大事なことは、これは先ほど菅野さんからお話があったとおり、だったら一方でコーポレートガバナンス改革をちゃんとやろうねと。要するに、単に税金が安くなった分だけため込むということでは許されないので、やはりちゃんと、どういう形でお金を使うかという部分でのコーポレートガバナンス改革なしに単に減税だけというのは、食い逃げは許さないのが大事だと僕は思っています。
二番目に、消費税に関しては基本的に菅野さんと同じ考えです。要するに、普通に考えて、欧州諸国で二〇%台のVATのときにだって、自慢じゃないけど日本の方が高齢化は圧倒的に進んでいるのに日本が八%、一〇%でやっていけるわけがないではないかという単純な話であり、一点だけ申し上げておきたいのは、要するに、確かに去年、消費税の影響は多くの人が思ったよりも大きかったです、景気に対して。だけど、それは逆に言うと、その前の駆け込み需要も思ったよりも大きかったんです。さっき申し上げたように、駆け込み需要が多分二〇一三年度のGDPを〇・七%ぐらい上げています。それは、二〇一四年の需要がそっちに〇・七%移ったんだとすれば、二〇一四年は成長率にして一・四%落ちるはずなんです。
したがって、仮に〇・九%のマイナス成長であったとしても、実は別にびっくりするほどのことではなくて、現に景気後退と一応認定される可能性はありますけれども、それも八月で底を打って既に回復途上にあるので、余りに、要するに消費税を上げると景気が悪くなるというのを過度に言い過ぎるのはちょっといかがなものかと思っています。
以上です。
○参考人(岩田一政君) 二つ御質問ありまして、法人税と消費税についてどう考えるかと、一言で言えばそういうことだと思います。私、ですから、日本にとって最も望ましい租税の体系というのはどういう姿であるべきかという、根本論でいうとそこまで戻る話だと思っています。
それで、消費税というのは、淵源をたどりますと、付加価値税というのはフランスですけど、戦後間もなく労働党のブレーンをしていたカルドアという、ニコラス・カルドアというこれは労働党のブレーンでありまして、ケインジアンでも左派の方であります。その方が所得税体系よりも支出税体系の方がより合理性がありますという実は説を展開されまして、現実に、当時のイギリスですね、植民地の関係のあったような国で支出税体系をカルドアが言っているような形で入れようとした国がございます。
私は、ですから、こういう抜本的な税体系というときに、人が稼いだときに税金を払う仕組みがいいのか、人が支出したときに税金を払う仕組みがいいのかという根本問題があって、投資ですとか貯蓄の行動に対してより中立的なのは私は支出税の方だと考えています。ですから、日本の税体系は、所得税ともちろん消費税入っていますのでハイブリッド型になっているわけですが、将来望ましい姿はどちらに行くべきなんですかという議論がその前にあるべきだと思っていまして、私自身はどちらかというと支出税体系の方に少しずつ近づけていく。
そして、その効率的な税体系ということを考えますと、どちらかといいますと、国際的に移動してしまうような生産資源があったとして、そこが収益を生んだときに重税を課すというような、重い税を課すというのは、実は国際的には余り効率的でない。法人税というのは、企業はどちらかといいますと、人はなかなか移動しませんけど、資本はかなり自由にどこの国にも動きます。資本の供給というようなことを考えてみますと、それはどちらかというと、資本に対する課税というのは低い方がどちらかというと効率的な税体系であると、こういうことも同時にあるのではないかというふうに思っています。
そういうことで、法人税ということについて言うと、今もう既にお話がありましたけど、私は先ほど、成長戦略でもって強い経済にすることが必要だと、強い経済ってどういうことなんだと、三つ手段がありますと申し上げました。人口減少に歯止め、それからイノベーションを促進する、三番目は第三の開国ということなんですね。第三の開国の中でやっぱり重要なのは、日本の場合、直接投資残高ですね、外国の企業が日本で直接投資している残高とGDPの比率はたしか三%程度でありまして、北朝鮮より低いんですよね。北朝鮮より低いと内閣府のシンポジウムで言ったら、一緒のパネリストのスティグリッツさんが笑っていて、日本はそんなに低いんですかと。それで、成長戦略の中でこれを倍増するという目標が掲げられていますけど、倍増してもまだまだグローバルに見ますと実は開国が非常に遅れた段階にあると思います。
法人税というのは一つの要因ですけど、外国の企業がどこに立地しようと、例えばアジアのどこの都市に立地しようかというときに、一つの決定要因で全部を決めるというふうに思いません。言語が違うとか、いろいろ制度が違う、労働市場の具合が違う、こういうこともみんな関係しますが、税もやはり影響を与えると思います。現在の水準は多少下げましたけれども、私は二五%まで下げていくことが望ましいんじゃないかというふうに思っています。
それからもう一つ、消費税ですけど、確かに消費税が上がると、私、マイナスが明らかになる、これは消費税であろうがほかの所得増税であろうが、財政政策、強い政策取れば経済はそれなりに反応するというのが今回の一つのレッスンだったんじゃないかというふうに思っています。
ただ、消費税の上昇でいいますと、私どもは以前から、三%一遍にやるのは負担が多いと、一%ずつ、少しずつ実行すると。しかも、一%でもマイナスの効果が起こり得ますので、これを、マイナスをなるたけ相殺するような措置を同時に実行する。例えば、消費税増税の場合だったら、消費増税一%やるんだったら、そのときは法人税を下げるというような、これは現実にドイツで取られた政策でありまして、同時に実行したら実は経済にはそれほどマイナスの影響が生じなかったと、これは事例でそういったこともございます。
私は、税・社会保障制度の抜本改革というときに、ですから、消費税だけを取り出して、これだけ増税増税と言うのは正しくない。ある種の組合せ、今ある所得税ですとかあるいは社会保障制度との組合せ、例えば人口減少の問題があるときに、先ほど、子育て、出生率一・八に高めるなら八兆円必要だと、どうやって出すんですかというようなお話を申し上げましたけど、何らかの子育ての支援の措置というのは必要なんですよね。財政支援、必要なんですね。そういうのを、つまり組合せでやっていくということが、やはり税・社会保障制度の抜本改革と、私はそれをまとめて言っていることに意味があると思っているんですね。税だけいじる、一つだけ取り出してこれだけやりましょうというのは、全体としてバランスが余り取れていない。
日本の政策の議論で非常に不幸だと思うのは、十年後、二十年後を見て、日本の租税体系はどういう姿が一番望ましいんですかというところから出発をしないで、消費税を二%上げましょう、三%上げましょうと。そうすると、話はやっぱり収束しないんですよ。二十年後、三十年後の望ましい租税体系はこういうことじゃないですかということをしっかり議論して、じゃ、それを実現するのに今年はここまでやりましょう、そこまでやりましょうと。
ドイツの場合は税の中期計画、長期計画というのがはっきりできているんですよね。そのスケジュールに乗って消費税も上げるし法人税も下げる、あるいはほかの所得税の減税も組み合わせてやるというようなことが可能になるんですけど、個別に消費税だけはどうしても五%とか、あるいは法人税だけは一〇%だけ、こうやってばらばらにすること自体が、ばらばらにして議論すること自体が非常に非生産的で結果も良くないんじゃないかと思います。
○辰巳孝太郎君 ありがとうございます。