日本共産党 衆院比例 近畿ブロック たつみコータロー

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国会会議録

日本のコンテンツ産業守れ 巨大IT規制強化を要求

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(写真)質問する辰巳孝太郎議員=21日、衆院経産委

日本共産党の辰巳孝太郎議員は21日の衆院経済産業委員会で、映画・アニメ・漫画・ゲームソフト・書籍など日本のコンテンツ産業を担う制作者や中小企業の利益を守る立場から、巨大IT企業に対するさらに実効性ある規制が必要だと主張しました。

日本最初の巨大IT企業規制「プラットフォーム取引透明化法」(2020年)は、法案の閣議決定直前に経団連の要求で禁止行為規定が削除され、定期報告を義務付けるだけの法律に後退しました。

辰巳氏は「自主性任せでは限界は明らかだ。削除は大きな間違いだった」と批判。日本共産党が当時提出した禁止行為規定を盛り込む修正案と、同様の規定を設けたスマートフォン新法(24年成立)は「同じ方向性か」とただしました。公正取引委員会の佐久間正哉審議官は「ご指摘の通り」だと応じました。

また辰巳氏は、巨大IT企業のグーグルやアップルが自社のアプリストアで高額な手数料を強いており、制作者などから「利益を収奪されるデジタル小作人のようだ」との声が上がっていると指摘。「日本のコンテンツ産業を守り育てる上でも巨大ITの監視・規制の努力を強めるべきだ」と追及しました。

武藤容治経産相は「海外プラットフォーマーとわが国企業との契約条件の改善・透明化が必要だ。公取委と対応を検討する」と述べました。

2025年5月23日(金)付け「しんぶん赤旗」より引用

議事録を読む

○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
今日は、巨大IT企業への規制について、時系列で振り返りながら質問をしたいというふうに思います。
日本で最初の巨大IT規制法は、二〇二〇年の特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律、いわゆる取引透明化法とされております。
この取引透明化法について、我が党は、法案が巨大ITへの監視、規制の第一歩になり得るということで賛成はしましたけれども、同時に、法案の不十分な点、これも指摘をしました。といいますのも、この法律は、巨大ITの自主性に配慮し、国の関与と規制を最小限にすることを理念とし、したがって、禁止行為規定もなく、情報開示命令違反に対しても最大で百万円の罰金にとどまり、巨大ITには痛くもかゆくもないものだったからであります。
まず確認しますけれども、この取引透明化法の枠組みと、指定されている特定デジタルプラットフォーム提供者の会社名を述べていただきたい。
○政府参考人(野原諭君) プラットフォーム取引透明化法でございますが、プラットフォームの提供者と利用者の間の取引透明性、公正性を高め、独禁法に違反するような取引が生じにくい環境を整備することを目的としております。
具体的には、規制対象事業者に対しまして、利用事業者に対する取引条件等の情報の開示や変更等の事前通知を行うこと、及び、苦情、紛争処理を含めたプラットフォームと利用者の取引関係における相互理解を促進するための措置を講じることなどの義務を課しております。
現在までに、総合物販オンラインモール分野では、アマゾンジャパン合同会社、楽天グループ株式会社、LINEヤフー株式会社の三社、アプリストア分野では、アップル・インク及びアイチューンズ株式会社、グーグルLLCの三社、デジタル広告分野では、グーグルLLC、メタ・プラットフォームズ・インク、LINEヤフー株式会社の三社を規制対象事業者として指定しております。
○辰巳委員 当時、GAFAなど巨大ITをめぐって、利用者が望まない個人情報の収集や税逃れ、労働者の使い捨てなどが問題となり、世界各国が規制や課税の強化に乗り出しておりました。
また、日本国内では、楽天のオンラインモール、楽天市場に出店する中小企業や個人事業主に対する不利益行為、例えば、象徴的な事案では、送料一律無料、送料込みライン導入とか、これの強要をめぐって、これでは利益が出ないと、出店者による団体が立ち上がって、公正取引委員会に対して調査を要求するという事態にも発展をし、巨大ITをめぐる問題というのが顕著となっておりました。
続けて確認するんですけれども、実は、政府自身が、この法案を閣議決定する前、二〇二〇年一月時点まで、禁止規定を盛り込む方向で準備を進めていました。どのような禁止規定を設けるつもりだったのか、紹介していただけますか。
○政府参考人(野原諭君) 二〇一九年十二月十七日に、内閣官房の方のデジタル市場競争会議の第二回の会合に提示されたプラットフォーム取引透明化法案の骨子の資料では、一定の取引上の不当行為の禁止を定めるべきか検討するということが書かれておりました。
そのときに、具体的にこの不当行為の例といたしまして、競合商品の拒絶、自社サービスなどの利用強制、自社の商品を有利に表示すること、事業の運営に重大な支障が生じる一方的な不利益変更が例として挙げられていたということでございます。
○辰巳委員 ということだったんですが、一月二十八日の第三回会議で、この禁止行為規定が突如として削除されてしまいました。これは、パブリックコメントで禁止行為規定の削除を求める意見が出された直後のことだったんですね。これはどの団体からの意見だったんでしょうか。
○政府参考人(野原諭君) 法制定時に実施した当時のパブリックコメントで出ていた反対意見といたしましては、経済団体等から、不当行為が独禁法で禁止されている中、プラットフォーム取引透明化法で独禁法と異なる基準で同様の規制を課すことになると、イノベーションを阻害する懸念がある、あるいは、ビジネスをちゅうちょさせる懸念がある、独禁法の執行との二重行政の懸念があるといった反対意見があったというふうに認識をしております。
○辰巳委員 経済団体というのは、これは経団連ですよね。
○政府参考人(野原諭君) 経団連さんが出されているパブリックコメント、これは、令和二年一月二十日の、「プラットフォーマー取引透明化法案(仮称)の方向性」への意見として出されているというふうに承知をしています。
○辰巳委員 続けて聞くんですけれども、このとき議事録というのはあるんでしょうか。二〇二〇年一月二十八日の第三回内閣官房デジタル市場競争会議。議事録はどうですか。
○政府参考人(野原諭君) 議事録はないと承知していますが、パブリックコメントの結果につきましては、令和二年一月二十八日の内閣官房デジタル市場競争本部の事務局がまとめたものがございまして、パブリックコメントの結果の中で、不当行為の禁止に関する御意見、先ほど出たような、ビジネスのちゅうちょの懸念、イノベーション阻害の懸念、二重行政の懸念、それと、また、賛同する意見もあったということが書かれていまして、最後、考え方として、不当行為の禁止については、事業者のイノベーションを阻害する懸念があることも踏まえ、本法案では導入しないことといたしますというふうに書いてあります。
○辰巳委員 経団連から要請があって、しかし、議事録はないんだと。ですから、どういう経緯で削除したのかというのはブラックボックスなんですね。結局のところ、経団連の要求に応えて、禁止行為を削除して、自主性任せの法案、法律へと後退してしまったと言われても仕方のない経緯だと思います。
我が党は、国の適切な関与と規制の下で、巨大ITに透明性、公正性の向上に責任を果たさせることを目的に、禁止規定を盛り込み、違反には独禁法の課徴金の算定率を引き上げ、抑止力を高める内容の修正案も提出して論戦をいたしました。しかし、こういう経過ですから、取引透明化法というのは二〇二一年二月一日に施行されましたけれども、実際に効果を発揮するわけがないと思うんですよ。
例えば、この法律の第九条第一項第二号で、苦情の処理及び紛争の解決に関する事項を経産大臣に提出することが求められているんですけれども、さきに楽天市場の問題を指摘しましたけれども、例えばこの楽天グループ株式会社は、この義務を適切に果たしているのかということなんですね。
本年二月十四日に経産省が公表した、経産大臣による評価案に対する意見公募の結果について、ここにおいて、経産省は同社に対して何と言って改善を求めたのか紹介していただけますか。
○政府参考人(野原諭君) 二〇二四年度の大臣評価におきまして、楽天に対しまして、相談窓口それからアンケートから得られた利用者の声等を踏まえまして、自主的な改善を求める取組の方向性を示しております。
例えば、アカウント停止に際して、利用者に対し十分に理由が示されているか検証し、必要に応じて見直しを行うこと、それから、楽天が出品者への売上金の支払いを留保する場合、留保期間等の内容が明示されているか点検すべきことなど指摘をしております。
その上で、楽天は、本評価の結果を踏まえ、取引の透明性及び公正性の自主的な向上に努めなければならないこととされております。
○辰巳委員 例えば、提供拒絶措置に対する利用事業者からの不服申立てなど、少なくとも明らかに苦情に該当するものについては、特定の窓口に限定せず、例えば、何らかの工夫によってその概要が分かるようにするなど、少なくとも透明化法第九条第一項第二号の趣旨に反しない程度に十分な情報を行え、こういう趣旨のこともおっしゃっているわけですよね。
大臣、楽天グループは、この苦情処理の全体の件数をきちんと法の趣旨にのっとって報告しておらず、法の趣旨に反するような状態が続いているわけなんですね。これは巨大ITに十分規律が働いていると言えるんでしょうか。
○国務大臣(武藤容治君) 今局長からもお話しさせていただきましたけれども、プラットフォーム透明適正化法については、独禁法と異なる基準で同様の規制を課すということは、今もお話があったように、イノベーションを阻害する懸念が強く、禁止規定を設けなかった経緯があったということを承知をしているところであります。
また、仮に不当な行為があった場合、当たるような取引があれば、経済産業省による勧告ですとか公正取引委員会への措置請求を行い、同委員会において独占禁止法に基づく必要な措置が取られることから、適切な規律が働いているものと考えているところであります。
取りあえず、そこまでにしておきます。
○辰巳委員 楽天については、苦情処理の実績として、限られた情報しか開示していない状態というのが継続しているというのが実態なんですよ。
ですから、私がこの間申し上げたとおり、やはり、禁止規定がない、かなり骨抜きにされてしまっているということでいえば、きちんと法の趣旨が実行されていないというのが実態だということは言っておきたいと思います。自主性任せでは大きな限界があるんだ、こういうことだと思うんですね。経団連の要求に応じて禁止行為規定を削除したのは大きな間違いだったということは確認しておきたいと思います。
その点では、昨年、二〇二四年のスマートフォン新法、これは貴重な前進があったと私たちは考えております。
公正取引委員会に確認したいと思うんですけれども、この法律は、スマートフォン市場におけるグーグル、アップルのどのような行為を問題としているのか、アプリストアでの決済、課金システムの利用義務づけで高額な手数料を用いている問題の概要、開発事業者からの訴えについて、簡潔に紹介をしていただきたい。
○政府参考人(佐久間正哉君) お答えいたします。
過去に公正取引委員会が行ったモバイルOS等に関する実態調査、あるいは内閣官房で行われたモバイル・エコシステムに関する競争評価の最終報告によりますと、スマートフォンの利用に特に必要なアプリストア等の特定のソフトウェアに関して、例えば、アップルやグーグルが、自社のストアを利用してアプリ内コンテンツ等を販売するアプリ事業者に対し、自社の課金システムを利用すること及び当該システムを通じて三〇%あるいは一五%といった手数料を支払うことを義務づけていることにより、アプリ事業者による多様な料金プランやサービス等の提供が妨げられているという問題があるとされております。
このような問題に関しまして、アプリ事業者からは、特に成長段階の事業者にとって、手数料の負担が大きく収益を圧迫している、あるいは、開発への投資に資金を回すことが難しく、イノベーションの阻害となっているとの声もあると承知しております。
スマホソフトウェア競争促進法では、これらの問題に対応するため、指定事業者に対し、指定事業者以外の事業者が提供する課金システムの利用を妨げることを禁止するなどの所要の規定を設けております。
○辰巳委員 ひどい実態ですよね。ですから、アプリ開発者は利益を収奪されるデジタル小作人なのかと訴える声も広がったわけですね。
これは日本のコンテンツ産業の行方にも関わる問題だと思うんですよ。取引透明化法のように、禁止規定もなく、自主性任せがよいのかということがやはり深く問われていたと思うんですね。
このスマホ新法、趣旨を確認したいと思うんですが、一つに、国の適切な関与と規制の下で、巨大IT企業に透明性、公正性の向上に責任を果たさせる、二つは、不当行為の禁止事項を明記する、事前規制の導入、そして三つには、違反行為の課徴金の規定を設けて抑止を図る、そして四つ目には、EUを参考にして、独立、中立公正な監視機能を高める。これは、大きく言ってこういう方向性ということで間違いないですね。イエスかノーかだけ。
○政府参考人(佐久間正哉君) お答えします。
委員御指摘のとおり、スマホソフトウェア競争促進法は、スマートフォンの特定ソフトウェアに係る公正かつ自由な競争を促進するため、EUのデジタル市場法も参考にしつつ、いわゆる事前規制を導入するなどしたものでございます。
○辰巳委員 これはまさに、我が党が二〇二〇年に取引透明化法の審議の際に提出した修正案の方向性、巨大ITへの実効性ある監視、規制の内容が全体として反映されたものだと受け止めております。
大臣、コンテンツ産業を所管する大臣として、巨大ITに対する適切な規制は、国内のコンテンツ産業を守り育てる上で重要な課題です。巨大ITに対する監視、規制の役割をしっかり果たせるように努力を強めるべきだ、こういうことでよろしいですね。
○国務大臣(武藤容治君) 我が国のコンテンツ産業は、今日もいろいろ御質問があったところですけれども、多くの外貨を獲得する基幹産業であります。経済産業省では、コンテンツ産業の海外展開等の振興に向けて、先日、エンタメ・クリエイティブ産業戦略の中間取りまとめを公表させていただきました。
その中で、我が国コンテンツ産業の収益を拡大させるためには、海外のプラットフォーマーと我が国企業との契約条件等の改善、透明化等が必要である旨も盛り込んであるところであります。
同戦略を踏まえつつ、プラットフォームの取引透明化法を所管する当省と、独占禁止法やスマホソフトウェア競争促進法を所管する公正取引委員会とが連携をしながら、プラットフォーマーへの対応について検討してまいりたいというふうに思っております。
○辰巳委員 では、今度は、公正取引委員会が、このスマホ新法で与えられた職権を生かして巨大ITに対して適切に監視、規制を行う、これが必要になってくるわけですね。
スマホ新法は、公正取引委員会に、調査権限、排除措置命令の権限、課徴金を賦課する権限と、大きな権限を与えました。しかし、更に我が党は、昨年の審議で、公取のデジタル市場規制の体制がEU、イギリスと比べてまだ脆弱であるということも指摘をして、その抜本的な体制強化も提起をいたしました。今年度は六十一人の体制と、従来の三倍近くに強化をされています。こうした下で、巨大ITに対して従来よりも踏み込んだ規制を適切に執行する、これが大事だというふうに思います。
まさにこの規制強化の課題なんですけれども、確認をしたいと思います。公取に確認します。四月十五日、グーグルに対する独禁法違反での排除措置命令について、簡潔に概要を述べていただきたい。
○政府参考人(大胡勝君)お答え申し上げます。
公正取引委員会は、グーグル社が、遅くとも令和二年七月以降、アンドロイド端末メーカーとの間で、端末メーカーが製造する端末へのグーグルプレーというアプリストアを初期搭載することについての許諾に合わせて、グーグルサーチという検索アプリなどの自社のアプリをその端末に初期搭載させるなどの契約を締結していること、また、アンドロイド端末メーカーらとの間で、競争関係にある事業者の検索アプリを搭載しないことなどを条件に金銭を支払う内容の契約を締結していることにより、競争事業者の検索機能を端末に実装させないようにしていることが、不当な拘束条件付取引に該当し、独禁法に違反しているとして、本年四月十五日にグーグル社に対して排除措置命令を行ったところでございます。
○辰巳委員 公取は、これまで確約手続を用いることが多かったんですね。巨大ITに対する独禁法違反での排除命令というのは今回初めてなんです。確約手続は、調査対象が自主改善策を盛り込んだ改善計画を提出をして公取が認定すれば、あくまで疑いということにとどまって、排除措置命令や課徴金納付命令も出されないということなんですね。
我が党はこれまでも、課徴金対象事件では確約手続を用いないようにするなど、めり張りを利かせないと違反への抑止力にならない、しっかり規制を行ってこそ公正な市場環境を確保でき、ひいては健全なイノベーションや競争につながるということを指摘をしてまいりました。
公取に確認します。グーグルに排除措置命令を出した今、確約手続一辺倒では駄目だという認識が、とりわけ巨大IT企業にはあるということでよろしいですか。
○政府参考人(大胡勝君) お答え申し上げます。
一般論として、確約手続に付すかどうかは、公正取引委員会が、個別具体的な事案ごとに、確約手続により措置を取らせることが公正かつ自由な競争の促進を図る上で適当であるか否かという観点から判断しているところでございますけれども、例えば、今御指摘のグーグルの件のように、具体的違反行為を認定し、その競争を回復するために厳正な処置を取った方がよいと判断する場合には、きちんとした対応を取っていきたいと考えております。
○辰巳委員 日本のコンテンツ産業を担うディベロッパーや中小企業の利益、消費者の利益を守る立場を堅持することが大事だというふうに思います。
EUやアメリカは、巨大ITに対する執行強化に動いています。足並みをそろえるという点では、巨額の制裁金も科して、規制に踏み込んで、執行面でも足並みをそろえることが重要だということを指摘して、私の質問を終わります。
また万博で何かがあれば、次、質問したいと思います。
以上です。