差別的言動 許されない/衆院総務委/辰巳議員が追及
2025年06月10日
日本共産党の辰巳孝太郎議員は10日の衆院総務委員会で、外国人が生活保護で優遇されているなどのデマをうのみにした男性が京都府宇治市で放火事件を起こしたことに触れ「差別はジェノサイド(集団殺害)、戦争につながる」として絶対に許されないと述べ、ヘイトスピーチを巡る政府の見解をただしました。
1950年制定の現在の生活保護法は外国人を対象外としていますが、54年の厚生省(当時)通知で行政措置上の適用をしています。辰巳氏が経緯の説明を求めたのに対し、厚生労働省の岡本利久審議官は、生活保護法制定時、すでに保護を受けていた外国人がおり、サンフランシスコ条約で在日韓国・朝鮮人が日本国籍を離脱するため措置を講じたと答弁。同措置は2014年の最高裁判決でも否定されないと答えました。
辰巳氏は「日本人でも外国人でも保護の要件は変わらない。デマを利用した排外主義的な政策や公約は看過できない」と指摘しました。
辰巳氏は、外国人を理由に犯罪者扱いし、外国人排除を扇動したことをヘイトと認定した今年3月の東京地裁判決に触れ、見解を求めました。法務省の隄良行大臣官房審議官は「扇動も不当な差別的言動」と答弁しました。
辰巳氏は「選挙を口実にしたヘイトスピーチは免罪されるか」と質問。村上誠一郎総務相は「免罪はあり得ない」「不当な差別的発言はいかなる社会でも許されない」と応じました。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
今日はヘイトスピーチについて聞きます。
今、ネットのみならず、政治、実社会にまで排外主義、差別扇動、そして陰謀論が渦巻いています。ヘイトスピーチの中には、外国人は得をしている、生活保護で優遇されているなどのデマが土台になっているものも少なくありません。
二〇二一年、京都府宇治市のウトロ地区で放火し民家を焼いたとして逮捕された男性は、インターネット上の情報をうのみにして、ウトロ地区の住民に対して一方的な敵意を抱いていました。そして、ウトロの住民は社会保障や医療費などを無償で受けられるなどとも言っていたとされています。まさに、このようなデマがヘイトクライムにつながった。差別はジェノサイド、戦争にもつながるものであり、絶対に許されるものではありません。
外国人の生活保護利用に関するデマ、今日はまずこのことについて取り上げたいと思います。
生活保護法第一条では、この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮する全ての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とするとあり、その対象は日本人に限るとしている一方で、昭和二十九年の厚生省社会局長の通知において、当分の間、生活に困窮する外国人に対しては一般国民に対する生活保護の決定実施の取扱いに準じて必要と認める保護を行うこととしており、行政措置として外国人への生活保護の適用を認めております。
厚労省に確認しますけれども、この当分の間という文言を捉えて、じゃ、もうやめてもいいんだろう、こう主張する人もいるわけなんですけれども、この当分の間という文言が入った歴史的経過あるいは背景を紹介していただけますか。
○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の昭和二十九年の通知が発出された経緯についてでございますが、昭和二十五年に旧来の生活保護法に代えて現在の生活保護法が制定された際、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基づき、生活保護法に基づき受給権を有する者を日本国民に限定したところでございますが、それまで旧生活保護法に基づき生活保護を受給していた外国人が適用対象でなくなったものの、当時現に生活保護を受けている外国人が少なからず存在したこと、また、昭和二十七年のいわゆるサンフランシスコ平和条約の発効に伴い在日韓国・朝鮮人等は日本国籍を離脱することになったが、当時生活保護を受けていた者に対して直ちに保護を廃止することは人道上問題があったことなどを踏まえてこの措置が講じられたものというふうに承知しております。
○辰巳委員 まさにそういう歴史的背景によって当分の間という文言が入って、その後、難民条約上の責務などからも今の外国人あるいは難民に対する生活保護の規定というのが継続的な措置に至っているわけですね。ですから、当分の間を文字どおり解釈して、もうそろそろいいだろうというような理屈が介在する余地はないということなんですね。
同時に、二〇一四年に最高裁が外国人の生活保護は憲法違反と判決を下した、こういうデマが今ちまたでもあるわけですね。しかし、これもあくまで生活保護法上は日本人に限るというものが確認されたものだということなんですね。重ねて確認しますが、この大分市の永住外国人生活保護申請却下訴訟における最高裁の判決は昭和二十九年の行政措置を禁止すべきというものなんでしょうか。
○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の平成二十六年七月の最高裁判決におきましては、外国人が生活保護の適用対象に含まれないと判示するとともに、外国人については行政措置による事実上の保護の対象となり得るにとどまるとしており、現行の行政措置による外国人の保護についての取扱いを否定したものではないというふうに承知しております。
○辰巳委員 そういうことなんですね、行政措置を禁止せよというものでは全くないということが確認されたわけでございまして、まさにデマがネットなどを含めてはびこっているということなんですね。それは違うよ、デマだよということが今の一連の国会答弁で確認をされたということであります。
もちろん、日本人であっても、外国人であっても保護の要件は変わりませんので、その点でも外国人優遇ということはあり得ません。
国会議員あるいは国政政党が、これらのデマに乗じた国会質問や、排外主義的政策、公約などを近年は発表するなどしており、私は到底看過できないということも言っておきたいというふうに思います。
さて、ヘイトスピーチについて幾つか確認をしていきます。
二〇一六年六月に施行されたヘイトスピーチ解消法は、本邦外出身者に対する差別的言動は許されないとして、附帯決議では、本邦外出身者に対するものであるか否かを問わず、国籍、人種、民族等を理由として差別意識を助長し又は誘発する目的で行われる排他的言動は決してあってはならないとしました。
同時に、何がヘイトスピーチに当たるのか、まだまだ国民には浸透し切れていない部分もあると思います。そこで、法務省に確認をいたします。何がヘイトスピーチに当たるのか。デモや街頭宣伝というのは想像できるんですけれども、当然だと思うんですが、そこに限定されるものなのか、お答えいただきたい。
○堤政府参考人 お答えいたします。
一口にヘイトスピーチといいましても、その概念は多義的でございますが、いわゆるヘイトスピーチ解消法第二条においては、本邦外出身者に対する不当な差別的言動についての定義が定められております。
どのような言動が同条に定める不当な差別的言動に該当するのかにつきましては、発言の背景や前後の文脈などの諸事情を総合的に考慮して判断されるべきものであり、一概にお答えすることは困難でございますが、例えば地域社会から排除することを扇動するもの、本邦外出身者の生命、身体、自由、名誉、財産に危害を加える旨を告知するもの、本邦外出身者を著しく侮辱するものといった類型があるものと考えております。
また、同条に言う不当な差別的言動は、デモや街頭宣伝活動における発言といった一定の手段、方法、媒体に限定されるものではなく、例えばプラカードに書かれた文字、インターネット上の書き込みなども含むと解されます。
○辰巳委員 前段は、排除、危害の告知、そして侮辱という、いわゆる三類型というものを示していただいたということだと思うんですね。国へ帰れと言うのも、これは明白なヘイトスピーチ、差別だということであります。
今年三月、在日コリアンの男性が高校の同窓生にX上で差別的投稿を繰り返されたとして損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は、特定の国籍や人種を犯罪と結びつける犯罪者みなしをヘイトスピーチ解消法が定める不当な差別的言動だと認めました。今日は、その判決文を読み上げて、まず紹介をいたします。
また在日の犯罪だとの表現は、一般の読者の普通の注意と読み方を基準にすれば、韓国又は北朝鮮出身者一般の犯罪性向がそれ以外の者と比較して高い旨を指摘して、韓国又は北朝鮮出身者一般に対する否定的評価ないし嫌悪感を表明するとともに、原告にも同様の傾向がある旨を示唆して原告を非難するものである。したがって、本件投稿は、原告を含む韓国又は北朝鮮出身者をその出身地を理由に著しく侮辱し、もって本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動するものであり、差別的言動解消法二条に規定する本邦外出身者に対する不当な差別的言動に当たるものと認められ、原告の人格的利益を侵害するものであると言える。よって、原告に対する不法行為を構成する。
以上が判決文なんですけれども、まさに犯罪者とみなす言動そのものがヘイトと認定された。画期的な判決だと言われております。
法務省に確認します。判決文の認定事実によりますと、今埼玉県川口市や蕨市においてクルド人を犯罪者扱いする差別的言動が一部差別主義者から行われ、そのことに対する抗議やカウンターも行われているわけですけれども、まさにそのようなクルド人を犯罪者とみなす言動も不法行為と言えるんじゃないでしょうか。
○堤政府参考人 お答えいたします。
いわゆるヘイトスピーチ解消法第二条において、本邦外出身者に対する不当な差別的言動とは、本邦外出身者に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し又は本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動をいうとされております。
もっとも、特定の言動が同条に規定する本邦外出身者に対する不当な差別的言動に該当するか否かにつきましては、対象となる言動の文言のみならず、当該言動の背景、前後の文脈、趣旨等の諸事情を総合的に考慮して判断されるべきものであり、お尋ねの言動が同法の不当な差別的言動に該当するか否かについて一概にお答えすることは困難でございます。
いずれにしましても、ヘイトスピーチ解消法に規定する本邦外出身者に対する不当な差別的言動はあってはならないものと認識しており、引き続き各種人権擁護活動に粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。
○辰巳委員 埼玉県川口市や蕨市で今行われていることというのはまさにヘイトですよね、差別主義者によるヘイトであります。これは絶対に許されてはならないと思います。
ヘイトスピーチ解消法が施行され、条例を制定する自治体もある中で、選挙であれば免罪されるんじゃないかと、選挙を口実に差別扇動の言動を行う者もいます。大臣に確認しますけれども、ヘイトスピーチは選挙だと免罪されるんでしょうか。
○村上国務大臣 委員のおっしゃるとおり、選挙だからといって免罪されることはあり得ないと思います。
公職選挙法上、選挙運動として行われる演説の内容等が、選挙運動として行われることをもって、いわゆるヘイトスピーチ解消法に規定する本邦外出身者に対する不当な差別的言動には該当しないものとする規定はない、そのように承知しております。
○辰巳委員 選挙だからといって免罪されない、これは確認されました。
最後に、これは大臣にも聞きたいと思います。
杉田水脈元総務政務官は、御自身のホームページで、チマチョゴリを着た女性のイラストに「差別されてるニダ」「日本人からイジメを受けてます」との文言をかぶせるイラストを掲載しております。特定の民族の女性をおとしめる発言であり、決して看過できません。法務当局から人権侵犯認定も彼女は受けました。石破総理は、こうした一連の差別的発言に強烈な違和感を持っていると国会でも答弁いたしました。差別扇動を先頭に立って行っている人物を公人にしていいはずはないと私は思います。政治家の発言は重く、影響力があります。そもそも政務官を務めていたこと自体が私は異常だと思います。大臣、このような人物は公人としてふさわしくないと私は思いますけれども、いかがですか。
○村上国務大臣 御指摘のホームページについては、杉田水脈氏の個人的なものと承知しておりまして、私からのコメントは差し控えさせてもらいたいと思います。
なお、一般論として申し上げれば、特定の民族や国籍の人々を排斥する趣旨の不当な差別的言動はいかなる社会においても許されないものと考えております。
○辰巳委員 大臣、個人的なと言いますけれども、自民党の公認候補なんですよね、本当に。これは絶対あってはならないことだと思います。デマで不安をあおる、排外主義を掲げる政党も恥ずべきだというふうに私は思います。
我が党はヘイトは絶対に許さない。差別、差別扇動、これらと戦い続ける決意を述べて、質問といたします。
以上です。