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国会会議録

国民生活に不利益及ぼす/NTTの電話提供の責務削除/衆院総務委 辰巳議員

2025年05月08日

日本共産党の辰巳孝太郎議員は8日の衆院総務委員会で、電気通信事業法とNTT法の一部改定案の質疑にたちました。

 

 

同改定案はNTTに課した国民生活に不可欠な電話の提供責務の条文を削除し、NTT以外の事業者にも担わせることで、固定電話の有線回線の撤去を可能にします。改定にむけた情報通信審議会(総務相の諮問機関)の通信政策特別委員会の最終報告書は、ユニバーサルサービス交付金の対象に固定電話のほか、携帯電話網を使ったモバイル固定電話なども加えることを答申しています。

 

 

辰巳氏は、モバイル固定電話は従来の電話に比べ通信の安定性や機能といった面で劣るとただしました。総務省の湯本博信総合通信基盤局長は「差異が生じる」と認め、「同じ技術水準を課す必要性は低下している」と強弁しました。

 

 

辰巳氏は、NTTが赤字を理由に有線の電話回線の撤去を行えば、地域によってはモバイル固定電話しか選択できず「通信品質に差が生じかねない」と指摘。湯本局長は「可能性はある」と認めました。

 

 

災害時でも利用できる公衆電話も、有線回線撤去後の提供方法は未定です。村上誠一郎総務相は「答申を踏まえ利用者に支障が無いよう検討する」と述べるにとどめました。辰巳氏は、課された責務から逃れたいNTTの要求に沿った法案であり、国民生活に不利益を及ぼすと批判しました。

 

 

改定案は13日の衆院本会議で自民、公明、立憲民主、国民民主など各党の賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。

 

 

しんぶん赤旗 2025年5月16日

 

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議事録PDF

 

○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎です。
さて、NTTは電電公社時代に国民負担でつくられてきました。国民生活を支える上で必要不可欠な通信インフラを引き継いでおります。ですので、現行のNTT法では、国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な確保に寄与し、もって公共の福祉の増進に資するように努めなければならないと規定しております。つまり、全国どこでも利用者が電話を使いたいと言えば電話回線をNTTが敷設しなければならないという責務を規律しているわけですけれども、本改定案ではあまねく提供責務というものが削除されるということになります。
まず、総務省に確認をしますけれども、あまねく提供責務をNTT法から削除し、その代わり電気通信事業法において最終保障提供責務を規定するということでありますけれども、これで一体何が変わるんでしょうか。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
情報通信分野では、従来サービスの中心であった固定電話の利用が大きく減少し、NTT東西の固定電話の収支の悪化が見込まれるなど、市場環境が大きく変化しているところでございます。
このような状況を踏まえ、電話をユニバーサルサービスとして引き続き安定的に利用できる環境を効率的に維持する観点から、NTTに課せられているあまねく提供責務を最終保障提供責務に見直すこととしております。
具体的には、NTTにおきましては、現行の制度上、利用者から提供の求めがあった場合には他の事業者が提供しているか否かにかかわらず電話を提供する責務を負う仕組みとなっておりますが、本法案をお認めいただいた場合には他の事業者が提供している地域では電話を提供する責務を負わなくなります。
しかしながら、この場合も最終保障提供責務は複数事業者が連携してサービス提供を確保するものであるため、あまねく日本全国における電話のユニバーサルサービスの提供が確保されることには変わりはございません。
総務省としては、引き続き誰もが取り残されずに電話のユニバーサルサービスを利用できる環境の確保を図ってまいります。
○辰巳委員 改めて確認をしますけれども、NTT以外に最終保障提供責務を担う事業者がいれば、NTTがこれまで全国あまねく敷設してきた有線の固定電話を撤去して提供をやめることができる、やめてもよいということ、そういう解釈でよろしいでしょうか。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
本法案において新たに設けることとしている最終保障提供責務は、他事業者が電話のユニバーサルサービスを提供していない地域においてこれを提供する責務でございます。
したがって、NTT東西は他に電話のユニバーサルサービスを提供する事業者がいる地域におきましてはこの責務を負わないこととなるため、このような地域におきましてはNTT東西がサービスを終了することも可能となります。
そのような場合におきましても、繰り返しの答弁になりますが、その地域には他にユニバーサルサービスを提供する事業者がいるため、引き続き電話のユニバーサルサービスの提供は確保されることとなります。
○辰巳委員 そういうことですわね。
では、仮に、最終保障提供責務を担っていたNTT以外の指定事業者が種々の事情により電話の提供を止めることは可能ということですか。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
本法案では、最終保障提供責務の担い手について、自ら申請して指定を受ける事業者がいる地域ではその事業者、そのような事業者がいない地域ではNTT東西としているところでございます。
自ら申請して指定を受ける事業者は、最終保障提供責務を担う地域において自ら申請して指定の取消しを受けることなどによって電話のサービスを終了することも可能となります。
ただし、そのような場合におきましても、その地域ではNTT東西が最終保障提供責務を担うこととなるため、引き続き電話のユニバーサルサービスの提供は確保されることとなります。
○辰巳委員 分かりました。
ところで、あまねく提供責務の対象とされてきたのは、主に、銅線であるメタル固定電話と、〇AB―J番号、いわゆる従来の市外局番を使用した光固定電話、被災地や極端に不採算な地域で限定的に認められてきたワイヤレス固定電話ということになりますけれども、今回の最終保障提供責務の仕組みでは何が対象になるんでしょうか。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
現在、電話のユニバーサルサービスについては、有線により提供される固定電話に加えまして、NTT東西自らが不採算地域に限って例外的にモバイル網を利用して提供するいわゆるワイヤレス固定電話が位置づけられているところでございます。
本年二月の情報通信審議会の最終答申では、NTT東西の電話のユニバーサルサービスの効率的な提供を確保する観点から、このワイヤレス固定電話について提供地域を不採算地域に限定する規律を見直すとともに、携帯電話事業者が自らのモバイル網を通じて提供する固定電話についてもユニバーサルサービスに位置づけることが適当であるとされております。
総務省としましては、最終答申を踏まえまして、モバイル網の更なる活用を図る観点からユニバーサルサービスに位置づけるサービスの見直しを行うとともに、今後もその対象について適切に見直しを行ってまいりたいと考えているところでございます。
○辰巳委員 携帯事業者が担うモバイル固定電話なども対象になってくるということでありました。
本案は、ワイヤレス固定電話については今後、今は地域限定となっているものを緩和していくんだと。NTT東西が携帯電話網を使って行うワイヤレス固定電話に加えて、携帯会社が行うモバイル固定電話も追加するということになれば、通信の安定性やあるいは速度の面、電話の機能がこれまでのメタルなどの有線の固定電話と比べて劣る部分が出てくるんじゃないか、こういう懸念があるんですけれども、これはいかがですか。
○湯本政府参考人 お答えを申し上げます。
先ほど御答弁申し上げたとおり、本年二月の情報通信審議会の最終答申におきましては、電話のユニバーサルサービスの効率的な提供を図る観点から携帯電話事業者のモバイル網を利用した固定電話をユニバーサルサービスに位置づけることが適当とされているところでございます。
今申し上げました携帯電話事業者のモバイル網を活用した固定電話につきましては、全ての区間を有線により提供するメタル固定電話とは設備の仕組みに起因する品質に差異があるものの、メタル固定電話の利用者が減少していること等を勘案すると、これと同じ技術基準を課す必要性は低下しつつあるとの指摘がなされているところでございます。
その上で、最終答申におきましては、このモバイル網を利用した固定電話につきまして、通常の利用に支障を来さない一定の安定性や通話品質等を確保できる水準を検討することが適当とされているところでございます。総務省といたしましては、この点を踏まえまして、モバイル網を利用した固定電話について、ユニバーサルサービスとして利用者が支障なく利用できるよう、必要な検討を今後も進めてまいります。
○辰巳委員 今の答弁だと、差は生じるんだということを認めた上で、しかし数が少ないから差は生じるのも仕方がないというような、ちょっと一見正当化するような答弁があったと思うんですけれども。ユニバーサルサービスとしての技術基準そのものがまだ課されていないということですよね。ないということですね、今現在は。
○湯本政府参考人 お答えを申し上げます。
先ほど答弁しましたとおり、今後、携帯電話事業者のモバイル網を利用した固定電話、こういったものをユニバーサルサービスとして検討するに当たりまして、技術基準も含めて必要な検討を行っていくということでございます。
○辰巳委員 だから、まだ検討の段階なんですよね。これは非常に懸念されるところではないかと思うんです。
モバイル固定電話については、ガス安心システム、お年寄りの見守りなどにも使われる緊急通報システム、ホームエレベーターやホームセキュリティー、二人以上が同時に通話できるホームテレホンや、一部のドアホンのシステムなどへの利用はできない可能性があります。また、一一〇番、一一九番といった緊急時の発信者情報通信機能が備わっていないなどの問題もあるわけなんですね。
NTTが提供するワイヤレス固定電話の方は、確かに今はメタル回線の代替として技術基準が定められております。しかし、NTTの島田社長はコスト削減のために技術基準の緩和というものを求めているわけなんですね。その上、NTTは、これからの全国一律の通信の保障は携帯電話網を使った通信を主力にしたいという主張も行っているわけなんですね。
問題は、メタル固定電話の回線が巻き取られて撤去された後は、採算性などの問題、事業者側の経営上の理由だけで、経営上といっても、メタルは赤字や赤字や言うけれども、全体で見ればNTTグループというのは大黒字を上げていますからね、これでどうこう言うのはどうかと思いますけれども、水準の劣るモバイル固定電話しか選択肢がなくなる地域が出て、増えていくのではないかということなんですね。ここが非常に懸念される問題ではないかということなんです。そうすると、通信の安定性あるいは必要なサービスに住んでいる地域によって格差が生じかねないということになるんじゃないかと思いますけれども、総務省、いかがですか。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
本年二月の情報通信審議会の最終答申におきましては、電話のユニバーサルサービスの効率的な提供を確保するため、NTTに課せられているあまねく提供責務を最終保障提供責務に見直すとともに、モバイル網を利用した固定電話についてもユニバーサルサービスに位置づけることとしております。
電話のユニバーサルサービスとしましては、これに該当するメタル固定電話やモバイル網を利用した固定電話などのいずれかが提供されればよいため、二〇三五年に向けて仮にメタル回線の縮退が進むということになれば、モバイル網を利用した固定電話のみが提供される地域が生じる可能性というのは確かにあるというふうに考えるところでございます。
先ほども申し上げましたとおり、モバイル網を利用した固定電話につきましては、最終答申において、通常の利用に支障を来さない一定の安定性又は通話品質を確保できる水準を検討することが適当とされてございます。
この最終答申も踏まえながら総務省としてはモバイル網を利用した固定電話の品質等について今後検討していくことになりますが、どのような地域であっても利用者にとって支障なく電話のユニバーサルサービスが利用できるというのは大前提でございますので、しっかりと対応してまいりたいと考えているところでございます。
○辰巳委員 非常にそこが懸念されるところですよね。今は技術基準もない。問題ないと言うんだったら、今でも問題はないわけですけれども、問題があるから技術基準が必要だ、そこを満たす必要があるという議論をこれからしていくということですから、このまま進めていいのかということが非常に懸念されるというふうに思います。
メタル回線の縮退に関わって、もう一点確認したいと思うんですね。メタル回線を撤去した場合の公衆電話についてであります。
総務省も、公衆電話は、社会生活上の安全及び戸外での最低限の通信手段を確保する観点から、災害時優先電話であることも考慮し、電話のユニバーサルサービスに位置づけられているとしているわけですね。全国の自治体の避難所として予定されている公共施設など、約四万六千五百か所に設置されている災害時用の公衆電話もメタル回線を利用しているわけであります。大臣、公衆電話はメタル回線が撤去されてしまったらなくなってしまうんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。
○村上国務大臣 辰巳委員御承知のように、公衆電話は、その利用は減少しているものの、屋外などにおきまして携帯電話を利用できない場合もあることから、社会生活上の安全及び最低限の通信手段として重要であり必要なサービスである、そういうふうに認識しております。
そういうために、情報通信審議会の最終答申におきましても引き続きユニバーサルサービスに位置づけることが適当とされております。
一方で、NTTは、公衆電話に用いられるメタル回線設備について、設備の維持限界を迎える二〇三五年頃を目途に縮退する考えを表明しております。
これを踏まえまして、情報通信審議会の最終答申では、今後の公衆電話の在り方について、公衆電話を維持するためのコスト負担の在り方、携帯電話の普及の状況等の市場の環境変化、諸外国における公衆電話の位置づけなども踏まえつつ早急に検討を行うことが適当とされております。
総務省としましては、最終答申を踏まえまして利用者にとって支障が生じることがないように丁寧に検討していきたい、そのように考えております。
○辰巳委員 社会生活上の安全ということは非常に大事なもので、携帯電話が普及しようがそんなに変わるものではないと思うんですね。東日本大震災のときにも公衆電話の前に長蛇の列ができたりもしましたし、ちょうど十年ぐらい前でしょうか、誘拐された少女が公衆電話を使って一一〇番した、そういうこともありましたので、公衆電話は必ず必要ですので残す方向できちっとしていただきたいというふうに思っています。
さて、最後になりますが、法案の附則十三条に、政府はこの法律の施行後三年を目途として、電気通信事業に係る制度の在り方について検討を加えるとともに日本電信電話株式会社等に関する法律の改廃を含めということで規定されております。大臣、改めて確認しますけれども、先ほど来ありましたけれども、今後もNTT法の廃止を含めて検討していくということなんですか。
○村上国務大臣 先ほどもお答えしましたが、本法案の附則の検討規定は、本法案をお認めいただいた場合、施行後三年を目途に、そのときの電気通信技術の進展状況や利用動向等を勘案して、電気通信事業に係る制度の在り方や、NTT法の改正や廃止を含むNTTに係る制度の在り方について幅広く検討を行う旨を規定したものであります。
本法案が成立した場合にはこれに基づき適切に検討していきたい、そのように考えております。
○辰巳委員 廃止を諦めていないということだと思うんですけれども。
昨年の法改正では附則に今国会でのNTT法の廃止を盛り込んだわけなんですが、これは結局、与党自民党の中で巻き起こったNTT株の売却、完全民営化の議論にNTTも悪乗りしたというふうに言えると思うんですね。今回は廃止については見送ったということになっているわけですが、NTTの島田社長は、残った課題もあり今の段階で廃止は無理としつつも、あまねく提供責務規定の削除は大きな一歩だというふうに評価をしているわけですね。
NTTは、公社時代から引き継いだインフラを保有する公共性のある特殊企業であります。そのインフラは、国民生活に欠かせない電話や通信のためのものであります。昨年の法改正では、国民生活に欠くことのできない通信事業の提供のために定められた研究開発の公表の責務を削除いたしました。本法案では、電話のあまねく提供責務を廃止する。また、減少したとはいえ、国民に広く浸透し、いまだに年間で三百七十七万通も利用がある電報事業の撤退も自由に行えるようにするというのが今法改定に盛り込まれております。結局は、この間の法改正を振り返れば、課せられた責務から解放されたいという利益優先の姿勢をあらわにするNTTの要求に沿った内容と言わざるを得ないというふうに思います。
国民生活に不利益を及ぼすような法改悪には反対ということを述べて、私の質問といたします。
以上です。

 


〈反対討論〉

○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎です。

私は、日本共産党を代表し、電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部改正法案に対する反対討論を行います。  NTT法は、国民の共有財産である通信インフラを承継したNTTに対し、その果たすべき業務と責務を定め、その実行に必要な担保措置を定めた法律です。ところが、昨年の法改正に続き、本法案は附則で改廃の検討を規定し、法の廃止を盛り込んでいます。  本法案は、NTTに国民生活に不可欠な電話の役務を適切、公平かつ安定的に確保させるためのあまねく提供責務規定の削除を行います。政府は、削除の理由について、メタル固定電話の契約者数の減少と、二〇三五年に維持限界を迎え縮退するためとし、代わりに最終保障提供責務にブロードバンドとワイヤレス固定電話等を追加し、複数事業者に担わせるとしています。しかし、NTT東西が提供してきた光電話は堅調に契約数を伸ばし、メタル固定電話の契約数と合わせれば、その需要は減少したとまでは言えません。NTTは、コストを理由に有線のブロードバンドについてはカバー率を一〇〇%とはせず、ワイヤレス固定電話等についても技術基準の見直しを迫っています。総務省の最終報告書でもNTTの主張を容認しています。結果的に通信品質が劣ることになれば、電話を公平かつ安定的に提供できなくなり、国民、利用者に地域格差を押しつけることになりかねません。  さらに、NTTの電報事業は、電気通信事業法の規定を削除し信書便法に基づく事業とすることで、撤退する自由を許すことも問題です。民営化の際に提供を義務づけてきた国内の電報事業は、減少したとはいえ、いまだ三百七十七万通の利用があります。電報事業は歴史も長く、国民に広く浸透しており、NTTの経営判断のみで自由に撤退できるようにすれば、国民の利便性に影響を及ぼすことになりかねません。  二〇二三年度のNTTグループ全体の営業収益は十三兆円を超え、営業利益も約二兆円で、毎年連続で増加しています。NTTに課せられた電話のあまねく提供責務を削除し、電報事業からの撤退を認めることは、利益優先のNTTの姿勢に追随するものであり、許されません。  NTTの完全民営化への布石になる本法案には反対することを述べて、討論といたします。