日本共産党 衆院比例 近畿ブロック たつみコータロー

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国会会議録

労働者不在のリストラ計画許せない 「早期事業再生法案」を批判

2025年05月23日

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(写真)質問する辰巳孝太郎議員=23日、衆院経産委

日本共産党の辰巳孝太郎議員は23日の衆院経済産業委員会で、政府の「早期事業再生法案」は、労働者が知らないうちに債務軽減を条件に経営者と金融機関などの債権者が人員削減や部門切り捨てなどのリストラを計画できるようにするものだと批判しました。

法案は、倒産前の企業の金融債務返済の猶予・免除を金融機関などの債権者集会が多数決で決議し、裁判所が認可する制度を新設します。しかし、経営者と金融機関などによる「再建計画」に含まれる人員削減や労働条件切り下げは労働者に知らされず、労働者は手続きへの関与もできない制度のため、懸念する声が上がっています。

辰巳氏は、フランスやドイツの同様の制度には労働者保護規定があるが、経産省は他国の制度を知りながら作成資料から意図的に除外したのではと質問。また、法案を議論してきた政府の会議に労働者や労働団体の代表を一人も入れず、労働者側の声を反映する努力もしなかったと追及しました。

経産省の河野太志審議官は「他国制度の詳細を全て把握しているわけではない」とし、武藤容治経産相も「労働者の権利保護は労働法制で担保される」などの無責任な答弁に終始。辰巳氏は「労働者保護の観点が抜け落ちていることは許されない」と厳しく批判しました。

2025年5月24日(土)付け「しんぶん赤旗」より引用

議事録を読む

○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
万博はやりません。(発言する者あり)またやりますから。やらなあかんときが来ますから。
本法案は、経済的に窮境に、窮地に陥るおそれがある事業者が、早期での事業再生に取り組み、事業価値の毀損や技術、人材の散逸を回避するものとして、多数決による私的整理を可能とする新しい制度を設けるものであります。
まず、確認します。
この制度において、事業者は、早期事業再生計画を作成し、対象債権者集会に提出するとされており、この再生計画には収入及び支出の見込みや今後実施する事業活動について記載しなければならないとされております。そこで、確認します。この再生計画には人員削減や労働条件の引下げが含まれる、そういう想定がされるということになると思いますけれども、大臣、これはそういうことでよろしいですね。
○国務大臣(武藤容治君) 早期事業再生計画について、人件費の切下げやまた雇用の削減等が含まれるか否か、これは一概に申し上げるわけにはいかないんですけれども、事案によっては記載されていることもあり得るものと認識しているところです。
○辰巳委員 普通に考えて想定されるということだと思うんですよね。
続いて確認しますけれども、この金融機関などの債権者は、再生計画の内容を認識した上で金融債務の猶予や免除といった権利変更に関する決議に参加をするということでよろしいですね。大臣、どうですか。
○国務大臣(武藤容治君) 本制度では、対象債権者が債権の減免等に関する賛否を判断するために、再生計画を対象債権者集会が開催される前に対象債権者に交付することとしており、対象債権者はこれを認識した上で決議を行うこととなります。
○辰巳委員 だから金融債権のみが対象になるんだと。
再生計画というのは参考資料なんだというような答弁もあったと思います。参考資料程度なんだと言うんですけれども、再生計画の内容を問わずして、金融機関が、減免など、権利変更に応じるわけが当然ないわけですよね。この再生計画を前提にして決議するということであります。そこでやはり問題になるのがこの再生計画の中身ということになると思います。
しかし、この事業再生において、経営上ですよ、解雇の必要性が本来は存在しないにもかかわらず、解雇を強行した象徴的な事例、それがやはり二〇一〇年に経営破綻をした日本航空だと思うんですよね。
日本航空、JALは、会社更生法手続を行って、約千五百人の希望退職を募りましたけれども、パイロットあるいは客室乗務員の応募が少ないといって約百七十人の整理解雇というのを強行しました。解雇の必要性の基準とされる、いわゆる整理解雇の四要件、これをじゅうりんする横暴を許さないと立ち上がった労働者、労働組合によって裁判が闘われて、全国的な規模での支援の輪が広がりました。
この裁判の中で、二〇一一年九月三十日、口頭弁論に証人として出廷した稲盛和夫会長がこう言っているんですよ。会社の収益力からいけば、誰が考えても雇用を続けることは不可能ではないということは分かるんだ、こういう証言をしているんですよね。
現に、日本航空の二〇一〇年度の営業利益というのは、過去最高の一千八百八十四億円に達して、更生計画の当初の目標の二百五十億円の七倍以上にもなっていたんですよね。こういう事態がやはりあるからこそ、事業再生においては労働者保護の規定というのが極めて私は重要だというふうに思っているんです。
ここで、大臣に確認します。
本法案が定めるスキームにおいて、この再生計画に人員整理や労働条件の引下げが含まれている場合、労働者や労働組合は、どの段階で、どの方法で知ることができるのか、そして、条文でそういう規定があるのかどうかを確認したいと思います。
○国務大臣(武藤容治君) 先ほど来答弁に出ておりますけれども、本法案ですが、金融機関等の有する金融債権に限定をして減免等を行う手続であって、未払い賃金や退職金等の労働債権というものは減免等の対象にはなっていないということであります。このため、本制度の申請時などに従業員が関与する手続というものは、法律上は特段設けられていないということになります。
他方で、当該企業に働く従業員の理解と協力を得ることは、事業再生の成否を決する上で大変重要な観点である。このため、雇用や賃金といった労働条件の不利な変更があらかじめ見込まれる場合、関連する労働法制にのっとった手続に加え、本制度上でも運用面で適切に対応してまいりたいと思っているところです。具体的には、先ほど申したとおり、労働組合等に通知等を行うことを省令で規定することを想定しているところであります。
○辰巳委員 今、労働組合に対して省令で通知すると。通知するのはどの段階ですか。経産省、どうですか。
○政府参考人(河野太志君) お答え申し上げます。
運用上の詳細なルールにつきましては、今後、検討を深めてまいりたいというふうに考えてございますので、現時点で決まったものがあるわけではございませんけれども、労働組合等が情報を得ることができるタイミングは、やはり、なるべく早く、早いタイミングという御議論もある中で、一つ考えられるのは、早期事業再生計画が外部に提出されることになる第三者機関への計画の提出という時点が検討するに当たって一つ重要なタイミングではないかというふうに考えるところでございます。
○辰巳委員 ということなんですね。つまり、第三者機関に提出される段階ということは、早期事業再生計画というのは、金融機関と経営者の間でもうできているわけですよね。そのできた後の段階で知る。そして、今回の法案の中には、きちっと労働者が関与できるという規定はないということなんです。後から決めていくという話ですよね。
これは、他方、海外はどうか。諸外国の事業再生の制度には労働者保護の規定がやはりあるんですね。
ドイツ、StaRUGというんですけれども、従業員代表の参加権に関する規定があります。フランス、迅速保護手続における、労働者債権が常に影響を受ける当事者から除外される規定があります。アメリカのチャプターイレブン、これは、労組に対する労働協約の修正案の提示や関連情報の提供が必要となる規定。それぞれあるわけですね。
要点を簡潔に紹介していただけますか、今のを。
○政府参考人(河野太志君) お答え申し上げます。
他国の類似制度でございます、今お話ございましたドイツのStaRUGですとか、フランスの迅速再生手続、これは訳によっては迅速保護手続と呼ばれることもあるというふうに承知してございますけれども、これらの制度におきましては、権利変更の対象債権は手続利用者が選択可能ということになってございますが、労働債権については権利変更の対象外であるというふうな形を取っていると承知しております。
あと、米国でございますが、これは、私的整理ではない、法的整理の枠組みになりますが、米国の倒産手続の一つであるチャプターイレブンにおきましては、労働債権も権利変更の対象となってございまして、労働協約について法律上の手続にのっとれば変更等が可能であるという制度となっていると承知してございます。
○辰巳委員 諸外国には、やはり、労働者を守る、労働者を保護する観点から様々な規定があるということだと思うんですね。
今回の出されている法案というのは、金融債権だけが対象なんだということで、労働者保護の観点というのがすっぽり抜け落ちているわけなんですね。私はこれは許されないと思うんですよ。
本法案の前提になっているのが経産省の事業再構築小委員会ですよね。そこで配られた資料には、海外における倒産前事業再生制度の概要として、先ほど少し紹介しましたけれども、ドイツやフランスなどの制度が紹介されているんですよね。ただ、これですけれども、労働者保護の規定については、この資料の中には一言も触れられていないんですよ。
経産省、何でわざわざこれは除外したんですか。
○政府参考人(河野太志君) お答え申し上げます。
本法案の立案に当たりまして、一部の主要国における類似制度については調査を行っているところではございますけれども、詳細や運用その他につきまして全てを把握しているわけではないということでございます。
そういった意味で、あえて外したということではございませんけれども、一般論として申し上げれば、法制度を立案するに当たって、各国の倒産法制、労働法制を含めまして様々検討を進めるわけでございますが、それぞれの国の経済社会の状況に合わせまして法体系というのは立法がなされているということと承知しておりますので、他国の制度をそのまま我が国に導入するということは必ずしも適切ではない場合もあるのではないかと思っております。
その点、この制度は、繰り返しになりますが、金融債権に限定をするということと、労働者の権利保護につきましては、それであるがゆえに、別途、関連する労働法制にのっとった手続でしっかりと担保をしていくという法律の構造を取っているということでございますので、労働者の保護という観点から不十分であるということが法制度のたてつけ上あるとは認識をしていないところでございます。
○辰巳委員 今日、朝からの質疑で、とにかく全員が質問したのがこの労働者の観点という話なんですよ。これをどうするんだという話をしているわけです。
その中で、海外では労働者の保護の規定がある、経産省の資料の中にその資料が全くないわけです。皆の関心事なのに、これがどうなるのかという議論がされているのに、わざわざ経産省が作っているものには抜かれているんですよね。これは、やはり準備していた法案に重大な欠陥があるということを知られたくなかったから抜いたんじゃないかと言われても私は仕方がないと思いますね。
内閣官房の新たな事業再構築のための私的整理法制検討分科会、今申し上げた経産省の事業再構築小委員会、この議論において、労働者、労働組合の代表は入っていたのか、また、検討分科会と小委員会で一度でも労働者保護の在り方について検討を求めたことがあるのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(河野太志君) お答え申し上げます。
まず、内閣官房におけます、多数決における債務整理の制度についての検討を行った新たな事業再構築のための私的整理法制分科会におきましては、法学者、それから事業再生の実務家、企業経営に関わる方等に委員として参加いただいたというふうに認識してございます。
また、御指摘ございましたが、分科会の議論を引き継ぎました経済産業省の事業再構築小委員会におきましても、制度のたてつけ等について法的な論点を中心に専門的な議論を行い、一定の結論を得る必要があったため、同様の委員構成としているところでございます。
その上で、小委員会で行われた議論の報告書を取りまとめるに当たりましては、パブリックコメントを三十日間実施し、その中で労働者の視点からの御懸念についても多くの意見を頂戴したところでございまして、こうした意見に加えまして、小委員会以外の場でも、労働者側の視点を取り込むべく様々なステークホルダーと更に意見交換を重ねてきたところでございますけれども、引き続き、制度の運用を検討するに当たっても、丁寧な議論を行ってまいりたいと考えてございます。
○辰巳委員 何かいろいろな意見を聞いたというんですけれども、それが反映されていないわけですよね。反映されていないからこれだけのいろいろな疑問や質問が出ているわけなんですよ。
パブコメだって、事業再編は、労働者の雇用や労働条件に大きな影響を及ぼす懸念があることや、再編後の円滑な事業運営には労働者、労働組合の理解と協力が不可欠やと書かれているにもかかわらず、法案の中には、そういう労働者保護の規定というのは全く抜かれているということなんですよね。
大臣、最後、やはり、最初からこうした声を法案に反映させる努力、これは私は必要やったと思いますよ。聞いた、聞いたと言うんやけれども、結局反映されていませんからね。これは、もっと参加をしてもろうて、議論する必要があるんじゃないでしょうか。
○国務大臣(武藤容治君) 今日も皆様方からいろいろ質問があって、労働者を、どう権利を守るというところは大変大きな関心だというふうに、これはもう間違いなく承知をしているところであります。
先ほど来、今日も答弁にもありましたけれども、労働者の権利保護については、日本においては、別途、関連する労働法制がしっかりある中でこれは進めてきたものだというふうに考えております。
皆さんの御不安のないように、これからも引き続きしっかり続けさせていただきたいというふうに思っております。
○辰巳委員 非常に不安が残るので、次も質問させていただきます。
ありがとうございました。