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国会会議録

介護職員 処遇改善こそ/衆院厚労委 辰巳議員が訴え

2026年05月15日

日本共産党の辰巳孝太郎議員は15日の衆院厚生労働委員会で、社会福祉法・介護保険法等の改定案を巡り、介護職員の配置基準を緩和するのではなく、処遇を改善することこそが必要だと訴えました。

 

改定案は、中山間地や人口減少地域を対象に「特定地域サービス」を創設。同地域では介護施設の人員配置基準(管理者や専門職の常勤・専従要件、夜勤要件)を緩和します。

 

辰巳氏は、2024年度に訪問介護の基本報酬を大幅に引き下げた後に、訪問介護事業所がゼロまたは1となる自治体が広がったと指摘。今回の改定案で介護従事者は集まるのかただしました。

 

厚労省の黒田秀郎老健局長は「制度導入にあたっては、サービスの質の確保と現場の負担感に配慮をすることが必要だ」と答弁。辰巳氏は「あくまで配慮だ。人員配置基準の緩和をすれば、一人ひとりの負担は増え、介護職から逆に人が遠ざかる悪循環に陥ってしまう。安定して事業が継続できる姿が見えない」と警告しました。

 

さらに、規制改革推進会議の中間答申(2月)が「特定地域サービス」について、「大都市部」や「一般市等」も介護サービスの提供が困難な地域を有するとして、対象範囲を限定しないよう政府に求めていると指摘。市町村全体ではなく、区域を定めることで、中山間地に限らず「大都市部」などでも「特定地域サービス」を導入することを検討しているのかと追及しました。黒田老健局長は、市町村内の一部区域で導入することを否定しませんでした。

しんぶん赤旗 2026年5月15日

 

議事録を読む

○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
まず、法案の中身を議論する前提として、この間、介護保険、高齢者福祉をめぐって問題になってきた、保険料を納めているにもかかわらずサービスを受けられない問題を取り上げたいと思います。
この顕著な例が訪問介護なんですね。在宅高齢者の生活を支える上で欠かせない事業ですけれども、前回の改定で基本報酬が大幅に引き下げられまして、大きな影響を受けました。
今日、資料一ページ目につけていますけれども、訪問介護事業所が市町村でゼロか所あるいは一か所となった自治体の推移ですね、最新の状況をグラフにして日本地図に落としました。大臣、地図を見ていただいて、なぜこんなことが起きているのかということを答弁いただけますでしょうか。
○上野国務大臣 まず、中山間、人口減少地域においては、人口減少が進む中、訪問介護の担い手、利用者の確保、双方に課題があると考えています。
足下の訪問介護事業所の廃止状況につきまして、厚労省において、自治体の協力を得て昨年六月時点の状況を整理をいたしましたが、廃止後も統合先の事業所等で訪問介護サービスの提供が継続される経営戦略上の事業所統廃合等による廃止、これは増加をしています。一方、人員不足や職員の高齢化、利用者不足等を理由とする廃止事業所数は、前年度同月比でおおむね同水準となっているところであります。
こうした自治体においても、訪問介護やそれに相当するサービスの利用が継続していることを確認をしておりますが、事業者が確認できなくなった市町村について個別に状況を確認をするなど、引き続き丁寧な把握に努めてまいりたいと考えております。
○辰巳委員 やはり人手不足、担い手不足なんですよね。継続されているとおっしゃるんですけれども、それは隣の市町村から入ってきているということなんですよ。
介護保険というのは、保険料を負担をして、要介護認定を受ければ指定介護事業所からサービスを受けられる、これが制度の前提であり、原則です。この前提や原則から逸脱した地域が増えている状況が止まらないわけですね。
二ページ目の資料をつけましたけれども、事業所がゼロ又は一の自治体数のグラフが示すとおり、訪問介護では二〇二四年の改定で基本報酬を引き下げたことがやはりきっかけになっているわけですね。
今改定では、これまでの離島等、基準該当サービスとは別に、中山間地、人口減少地域においては管理者や福祉職員の配置基準を指定事業所より緩和して対応する、こういうことになっているわけなんですが、大臣、今回の改正、改定で人は来るんでしょうか。私は逆に来なくなるんちゃうかなと思うんですけれども、いかがですか。
○黒田政府参考人 お答えいたします。
今回の新たな特例介護サービスの仕組みは、高齢者人口が減少して人口密度も低い中で、都市部のような効率的なサービス提供の継続が難しいなど、サービス提供体制の維持、確保に課題を抱える中山間、人口減少地域におきまして、必要なサービスが継続できて、サービスへのアクセスが確保されるということを目指して導入されるものでございます。
制度の導入に当たりましては、サービスの質の確保に十分配慮することが必要で、また現場の負担感にも配慮が必要でございます。このため、昨年末に取りまとめました社会保障審議会介護保険部会の意見書の中では、サービス、事業所間での連携、ICT機器の活用等を前提としつつ、管理者や専門職の常勤、専従要件、夜勤要件の緩和等を行うことが考えられるとされたところでございます。
もし法案をお認めいただけましたならば詳細な検討に入るわけですけれども、その場合には、関係当事者が参画した審議会において、現場の意見も丁寧に伺いながら、先ほど申し上げた二つの観点を両立する方策として何が適当なのかという在り方について、議論をいただく予定でございます。
○辰巳委員 私が、人員配置の基準などを緩和した際に逆に人が来なくなるんじゃないかという意味は、まさに今答弁されていましたけれども、質の確保というんですね。だけれども、あくまで質の確保の配慮なんですよ。あるいは、夜間とか様々な負担感を和らげる、配慮するという話ですね。あくまで配慮なんですよね。緩和をしたところで、結局、一人一人に対する負担は増えていってしまうということなんですね。
医療の現場を見ていただいたら、医療現場で本当に負担が増える中で、結局、余りにも忙し過ぎて、処遇はそれにそぐわないということで、どんどん離れていってしまうということが起こっているじゃないですか。結局、同じようなことをこの介護でもまた繰り返すのかということだと思うんです。介護職から結局、逆に人が遠ざかる、その先、安定して事業が継続できる姿がまさに見えない、これは悪循環に陥ってしまうんじゃないかということなんですよね。
二〇二三年までは、全産業の賃金の平均格差、これは縮小傾向にあったというのが三枚目の資料につけております。二〇二四年には、前年の月額六・九万円の格差が八・三万円に拡大をしたわけですね。二〇二五年は格差八万二千円、つまり千円しか縮小はしなかった。政府も補正で一定の手当てを行ったり、中間改定を行ったんですけれども、二〇二六年の民間の春闘の状況を見ると、抜本的な全産業との格差の縮小となることは、これはやはり期待できないと思うんですね。
最後の資料につけましたけれども、去年の十二月、財政審の建議ですよ。建議を見てびっくりしました。こうあるんです。「現役世代の保険料負担の増加を抑制するために、抜本的な制度改革を実施する必要がある。」として、こうあるんです、「目指すべき賃上げ率・額については、現状、介護分野の事業所は小規模であることを踏まえて、介護職員の賃金の比較対象として、同様の規模の企業の従業員の賃金を参照することも検討する必要がある。」と。
つまり、全産業の平均より賃金の低い小規模事業者を目標にするべきではないかという提案がされているんですよね。この建議の前の十一月の財政審に出された資料には、介護分野の職員の処遇改善が喫緊の課題といって入っていたんですけれども、これ、もう入っていないんですよ。
大臣、やはり処遇改善なんですよ、人手不足の解消のためには。これが最も確実な処方箋です。今の財政審の建議にあるような、賃金の引上げ目標を引き下げるということはないということを答弁いただけますか、大臣、賃金。
○上野国務大臣 まさに処遇改善が非常に重要な課題というのは、私どももそう考えているところでありまして、介護分野の職員の処遇改善につきましては、累次の取組を講じてまいりました結果、改善をしている傾向でありますが、他産業とはまだ差がありまして、人材不足が厳しい状況にあると認識をしております。介護人材の確保に向けまして、介護分野の職員の他職種と遜色のない処遇改善、これを実現をしていくことが必要だと考えております。
令和八年度の報酬改定におきましては、定期昇給込みで最大月一・九万円の賃上げが実現する措置を実施することといたしました。大体、今、春闘で五%程度であります、平均で三十八万円ということでありますから、これも一・九万円になります。いみじくもそれと遜色のない賃上げが実現できる水準だと考えております。
また、令和九年度の定例改定におきましても、介護分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保、これを図る必要があるという認識の下で、介護サービス事業者の経営状況や介護分野の賃上げの状況などを把握した上で、物価や賃金の上昇等を適切に反映するための対応を実施していきたいと考えています。
○辰巳委員 大臣、ちょっともう一回確認させてもらいたいんですけれども、他職種と遜色ないという意味は、これは今までどおりの全産業との比較ということでよろしいですね。何か、小規模事業者との比較じゃないですよね。
○上野国務大臣 私どもとして、中小企業、小規模事業者と比較してということは、これまでからも申し上げたことはないかと考えています。
○辰巳委員 じゃ、これからもそういうことは、小規模だけ抽出でやるということはないということですよね。
○上野国務大臣 財政審がどう言っているかというのは、済みません、それについて私が答える必要はないと思いますけれども、我々としては、先ほど来申し上げましたとおり、小規模事業者と比較してというような形では申し上げたことはないかと考えております。
○辰巳委員 これからもやりそうということではないということは確認できたかなと思います。
さて、人口減少地域下で新設される特定地域サービス、ホームヘルパーが常勤換算で二・五人以上などの配置基準、これが緩和をされる。特定地域サービスの対象は、人口の減少その他の厚生労働省令で定める基準に該当する地域で都道府県が定めるものとされております。この人口の減少とは、六十五歳以上の人口減少をいうものとされております。
確認しますけれども、介護保険部会での意見では、六十五歳以上人口は市町村の六五%、つまり約七割で二〇二五年度までにピークを迎えるとされていますね。もう既に六五%が、六十五歳以上の人口は減っているんだと。つまり、自治体全体の指標で判断して、市町村の約七割が既に特定地域として指定され得るということなんでしょうか。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
委員お尋ねの特定地域、この法改正がお認めいただけましたならばということになりますけれども、こうした地域の考え方につきましては、審議会でも議論がございましたが、特別地域加算や離島等相当サービスの対象地域、現在定められておりますが、これを基本としつつ、高齢者人口の減少や人口密度などに着目した一定の基準を設定をするということを念頭に置いて、これまで議論を行っております。
それで、この仕組みの創設を議論された背景は、介護サービス需要の減少、それから移動の長距離化などによって、全国一律の指定サービスでは対応が難しい地域、つまり、事業継続とそれから利用者のアクセスの確保、これが難しい地域があるということが念頭に置かれて議論が進められてきたということがございます。
としますと、この高齢者人口につきましては、先ほど申し上げましたように、制度創設の趣旨が介護サービス利用の需要に着目をするという観点です。だとすると、この部分について、介護サービスが顕在化をするのは六十五というよりも七十五あるいは八十五という、幾つかの年齢層によってグラデーションがございますので、現時点で特定の年齢を念頭に置いたものではございません。
もし法案をお認めいただきましたならば、この制度の趣旨、つまり、介護サービスの利用の需要に着目をする観点だということを念頭に置きながら、具体的な基準につきましては、本法案の成立後、関係者が参画をする審議会において議論を重ねて具体化をしてまいりたいと存じます。
○辰巳委員 今、需要に着目という話がありましたけれども、つまり、需要が減る地域なんかは特定地域サービスの対象になり得るという話だと思うんですよね。
こうなりますと、冒頭の話と一緒なんですよ。需要が減って、そこでは人員配置を緩和していく、何とかそのサービスを続けるようにするという話だと思うんですけれども、それは、いっときはそれでしのげるかもしれないんです。だけれども、人員配置の緩和をするということは、一人一人の介護職に対する負担が重くなるわけですから、結局、介護人材が集まらないということになってしまうということなんですよね。だから、やはり、もちろん六十五歳だけではという話かもしれませんけれども、非常に方向性としては違うんじゃないかというふうに思います。
同時に、もう一つ確認したいのは、実は規制改革会議の中でこういう提言もされているんですよ。大都市部及び一般市等においても既に介護サービス提供が困難となるエリアを有する地域があることから、その範囲を過度に限定しないことや、具体的な対象地域の特定においては、人口減少率等の客観的要件のみならず、市町村の意向が反映されるプロセスとすることということなんですね。
これは、つまり、市町村ごとに特定地域を分けていくということにとどまらず、市町村の中でも区域を区切って特例サービスを提供することができるようにということを検討されているということでしょうか。
○黒田政府参考人 お答えいたします。
議論の前提として、審議会でこの点については議論しておりますが、現在の特定地域については、先ほど申しましたように、現行の特別地域加算、離島等相当サービスの対象地域を基本とするというふうに申し上げておりますが、現行の対象地域自身が市町村域の全部又は一部として設定をされているということがまずございますので、現状としてもそういう扱いになっているという話がある。あとは、それをベースにして市町村単位の要件を定めるということが次のステップとしてあって、その要件をベースにしながら、市町村で、それをその市町村に当てはめたときにプラスアルファの措置を講ずる必要があるかどうかを検討していただいて、都道府県で決定する、一応こういうプロセスをたどるということでございます。
なお、制度の趣旨は、先ほど申し上げたとおり、介護サービスの需要の動向ということがこの制度が議論された前提でございますので、そういったことを踏まえて検討されるもの、そして、その年齢層というのは、先ほど申し上げたような、年齢層に応じて需要についてはグラデーションがあるので、そうした要件については様々関係者の議論を経て決定されていく、こういうことでございます。
○辰巳委員 もうちょっと簡潔に言っていただきたかったんですけれども。
最後にしますけれども、やはり今の答弁は、市町村の中でも区域を分けられる、段階を踏んでそれもできるという答弁だったと思うんですね。
介護人材、やはり処遇なんですよ。この間、介護報酬だって引き下げて、事業所がなくなった、あるいは一つしかないところが増えているわけですから、安易に人員配置を緩和してしまうと悪循環に陥ってしまう、介護人材が結局集まらない、こういうことになって、ますます中山間地や都市部でも、事業者が減少し始めている地域でも、介護難民の問題というのは深刻にならざるを得ないというふうに思います。次の質問でもう少し具体的に追及していきたいと思います。
以上です。