日本共産党 衆院比例 近畿ブロック たつみコータロー

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国会会議録

不当解雇した人の復職を JAL再生で迫る

2015年09月08日

日本共産党の辰巳孝太郎議員は8日の参院国土交通委員会で、日本航空(JAL)がパイロットと客室乗務員を不当解雇する一方、自主退職者が後を絶たず空の安全が脅かされている問題を内部文書を示して追及し、解雇撤回を求める原告らが見守るなか、「彼らを職場に戻さなければJALの再生は終わらない」と迫りました。

辰巳氏は、JALが2010年の経営破たん時に熟練パイロットや客室乗務員ら1万6000人の大規模リストラを行ったのに加え、何よりも安全運行のために労働条件改善を求めたパイロット81人、客室乗務員84人を同年末に整理解雇した問題を追及。「昨年同時期を上回る機長の自主退職者の発生」「乗員計画の再精査」などと記したJAL運行企画部の文書を示し、「パイロット不足を告白したものだ」「『利益なくして安全なし』という安全軽視、不当解雇や経営のあり方、会社への不信が背景にある」と指摘しました。

「JALを指導せよ」との辰巳氏の要求に、太田昭宏国交相は「パイロット不足は認識していない」「行政関与は適切ではない」などと無責任な態度に終始。7月に日航機がシンガポールで起こした重大インシデントの報告が、事後10日以上も遅れた問題も示し、「恣意(しい)的な解雇が会社への信頼をなくしている。信頼回復のために不当解雇された人たちを職場に戻し、パイロット不足を補うべきだ」と強調しました。

2015年9月10日(木)より転載

 

議事録を読む

○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎です。
前回に引き続いて、空の安全について聞きます。
三月十九日の予算委員会において、日本航空百六十五名の整理解雇について私は取り上げました。二〇一〇年、日本航空の破綻の原因について、政府の認識は、不採算路線の存在、燃料効率の悪い大型機の大量保有等の構造的な高コスト体質、硬直的な組織体制や意思決定の遅れ、二〇〇八年以降の世界同時不況などを受けて航空需要が著しく減少し、特に国際線旅客収入が減少したということを述べております。つまり、解雇された労働者には責任がなかったということであります。
では、この解雇の必要性はどうだったのか。日航破綻の際、一万六千人もの人員削減が行われましたが、希望退職、自主退職などで、既にパイロットで百十名、客室乗務員で七十八名も超過達成をしていたことが分かっております。ところが、二〇一〇年の十二月三十一日の大みそかに、パイロット八十一名、客室乗務員八十四名、合わせて百六十五名が整理解雇をされました。
この整理解雇をめぐって闘われた裁判では、稲盛和夫当時会長自身が、経営上解雇の必要性はなかったと述べたにもかかわらず、昨年六月、東京高裁で原告敗訴、今年二月には最高裁、上告棄却、不受理の決定を行いました。
この解雇の手続はどうだったのか。解雇回避を求める労働者のストライキ権投票を企業再生支援機構が妨害をしたことに対して、東京高裁は本年六月の十八日、不当労働行為を認定をいたしました。解雇の手続の妥当性も根底から覆される内容だったわけでございます。私のこの胸の赤いバッジは、この不当解雇された人たちを職場に戻す闘いを支援する、この決意を込めて毎日着けているものでございます。
大臣に聞きます。大臣は、整理解雇された方々に対し思いをはせていると過去の答弁でも述べておりますけれども、その思いを改めて確認をしたいと思います。
○国務大臣(太田昭宏君) 人が職場から離れるということが大変なことだということについては、私はいろんな方の相談も受けてきましたから、そうした思いというものはよく分かるわけでありますが、この件につきまして、日本航空を整理解雇された方々について、私としては円満に解決を図っていただきたいという気持ちを持ちつつも、司法の場で争われていることから、その推移を見守りたいというふうに考えておりました。
客室乗務員及び運航乗務員が解雇の撤回を求めた訴訟については、本年二月四日及び五日に最高裁によりそれぞれの上告が棄却され、整理解雇は有効であるという判決内容が確定したものと承知しています。
国交省としましては、これらの判決の結果を尊重したいと、このように考えています。
○辰巳孝太郎君 大臣のおっしゃる思いがまだあるのであれば、私は政治主導をここで発揮するべきだと思うんですね。日航の再生、安全の確保は、一民間企業の問題ではありません。国としての責任があります。国交省が出しているいわゆる八・一〇ペーパーでは、中期計画の期間中、これすなわち二〇一六年度までですが、国交省は日航に対して指導助言を行うと規定をしておりまして、つまり、これはまだ再建は終わっていないということを確認しているものであります。
不当に解雇された方々を私は戻すべきだと思います。予算委員会でも、日本航空でベテランが切られ業務に支障が出ているということなども取り上げました。国交省も、航空業界での深刻な人手不足に対して対策を考えているということはずっと言っておられるわけでございます。
そこで、改めて確認をしたいと思います。経営の安定化、安全性の確保のためにも、運航乗務員や客室乗務員がこの日航で適切に確保されていることは大前提だと私は思います。日本航空のパイロットは今足りているんでしょうか。
○政府参考人(田村明比古君) LCCの急速な事業拡大等を背景に、LCCや中小企業の航空会社において短期的なパイロット不足が課題となっておりますけれども、現段階で日本航空においてパイロットが不足しているという状況であるとは承知しておりません。
なお、同社に対しましては、定期及び随時の安全監査等を通じて、乗員配置等、事業計画の遂行に必要な運航体制が確保されていることを確認しているところでございます。
国土交通省としては、引き続き、同社において安全運航のために必要な体制が確保されるよう、指導監督を行ってまいりたいと考えております。
○辰巳孝太郎君 それは全く現状を見ていない答弁、認識だと私は思いますね。
日航では、今年の四月から六月までの三か月だけでパイロット二十二名が自主退職をしております。社内文書が私の手元にもありますけれども、六月の二十九日付けの運航企画部長が出したものであります。表題は、「今年度における教育・訓練、会議体・地上業務について」というものであります。ここにはこう書かれております。現在、昨年同時期を上回る機長の自主退職者が発生をしております。乗務計画を再精査しておりますとして、自主退職者の発生が継続した場合を想定し、全機種で生産対応が必要だとの判断に至りましたとこの文書では書いております。自主退職者が続けば全機種を飛ばすのが困難になるからその対応が必要になった、つまり、全機種を飛ばすだけのパイロットがいない、不足しているということをこれJALの経営陣自身が告白をしたものであります。
実際、一番の稼ぎどき、飛ばせば飛ばすほどもうかると言われているお盆の時期、具体的には八月の七日から八月の十六日までの国内線の臨時便の数ですね、これは、本年二〇一五年、全日空が四十二本臨時便を飛ばしたのに対して、日航はたったの四本しか飛ばせていないということであります。
大臣、日航、やはりパイロット不足なんじゃないですか。
○国務大臣(太田昭宏君) ただいま航空局長からお答えしたとおり、日本航空においてパイロットが不足している状況であるとは承知していません。LCCの急速な事業拡大等を背景に、LCCや中小の航空会社において短期的なパイロット不足ということについてはこれ課題であるというふうに認識をしていますが、現段階で日本航空においてパイロットが不足している状況であるという認識ではありません。
同社において、機長の資格維持に関わらない研修や会議等の削減が検討されているということは承知しておりますが、これはあくまで機長の自主退職が継続した場合を想定したものであり、安全上の問題はございません。なお、同社におけるパイロットの教育訓練について、大臣の認可を受けた運航規程に基づき行われておりまして、定期及び随時の安全監査等を通じて適切に実施されていると認識をしています。
国交省において、引き続き同社において安全運航のために必要な体制が確保されるよう指導監督を行ってまいりたいと思います。
○辰巳孝太郎君 大臣今おっしゃいました資格維持に関わらない教育訓練が見直し又は削減されようとしていると。これ具体的に言いますと、JAL内では今、フライト・セーフティー・プラス・セミナー、オートメーション・アンド・マヌーバー・エクストラ・トレーニング、これ昨年十一月から必要だからということで導入されたものが、これの削減、見直しというのが検討されているわけですね。これやっぱり時間を確保するためにそういうものを削減しなきゃならないということであって、これはまさに人員不足を、パイロット不足を認めている文書だと言わなければならないと思うんですね。
じゃ、なぜこのJALで辞めていくのかということであります。この文書ではこう書いてあります。今後、運航企画部としても、現場とのコミュニケーションを密にしながら柔軟に乗員計画を策定していくとともに、JALで働きたいと思えるような職場を目指し、こう書いてある。つまり、いみじくもここで認めているとおり、JALの企業体質が嫌われて自主退職するパイロットが後を絶たないということであります。これが現場で起こっていることだと私は認識すべきだと思うんですね。
利益なくして安全なしだという安全軽視、そしてベテランを不当に解雇し職場に戻さない経営の在り方に嫌気を差したり、年齢がいけば会社への貢献度を無視して解雇し、過去最高の利益を上げている中でもこういう方々を戻さない、こういう会社に対する不信感が背景にあると言わなければなりません。これが退職した二十二名の共通した声であります。
そして、今職場で何が起きているのかということであります。七月の十二日、シンガポール国際空港にて、本来の滑走路ではなくて誘導路で離陸操作を開始し、その後に滑走路誤認と気付いて中断するという事態が発生をいたしました。これは、九月三日に私が紹介した急増するヒューマンエラーの具体的内容であります。国交省は、この事例をいつ、どこから報告を受けておりますか。
○政府参考人(田村明比古君) 今御質問の件は、七月十二日の日本時間で午前三時二十五分頃に、日本航空三八便、シンガポール発羽田着でございますけれども、これがシンガポール出発時に誘導路を滑走路と誤認し離陸しようとしたところ、機長が誤認に気付いて直ちに離陸を中止するという重大インシデントが発生したというものであります。
これは、十二日に発生をしたんですけれども、七月二十三日にシンガポール当局から日本航空に対して事実関係について問合せがございまして、これを受けて日本航空は当該便の乗員から聞き取りを開始し、その結果を同じ日に航空局に報告をしていると。私どもも、そういう意味では二十三日にJALからの報告を受けて承知をしたということでございます。
○辰巳孝太郎君 つまり、これ大問題なんですよ。機長は日航経営陣に対して、重大インシデントが起こっても、十一日間、経営陣に報告していなかった、シンガポール当局から日航経営陣は報告を受けて、そして国交省当局に報告をしたということであります。
国交省、これどう考えますか。なぜこんなことが起きるというふうにお考えですか。
○政府参考人(田村明比古君) これは、航空局、その報告を受けて直ちにJALに対しまして、詳細な事実関係を調査するとともに再発防止策を講じるように指示をいたしました。それから、その機長から会社への報告が遅れたことに関し、社内で速やかな報告が徹底されるよう併せて指示をしたところでございます。
これに関しまして、去る八月十七日にJALから航空局に対しまして報告がございました。全運航乗務員に対する不安全事象発生時の報告の徹底、それから運航に係る規程や基本手順等の遵守、そして操縦士のコミュニケーション能力向上に係る訓練の強化、こういった再発防止策に係る取組を今後やっていくと、こういう報告があったところでございます。
航空局といたしましては、引き続き安全監査等を通じて再発防止策がJALにおいて着実に実施されるよう指導監督してまいりたいと考えております。
○辰巳孝太郎君 機長のコミュニケーション能力云々ということがありましたけれども、私はこういうことが起きる背景をきちんと見ておく必要があると思うんですよ。JR西日本の福知山線脱線事故、あれは、事故の直前、オーバーランを過小申告していた、こういうことが言われております。つまり、当時の日勤教育を恐れていたということも報告をされております。
日航ではこういう事例を報告できない雰囲気が今あるんじゃないか。かつて肋骨を折りながら機体を操縦した乗員も日航にいましたけれども、恣意的な判断で行われた整理解雇が会社への信頼をなくして乗員の勤務態度に影響を与えているのではないのか。会社と社員の信頼を取り戻すためには不当解雇された人たちを私はまず戻すべきだと、そしてパイロット不足を補っていくことが大事だと思うんですね。
二〇〇九年、柳田邦男座長の日航安全アドバイザリーグループの新提言書の中ではこう書かれております。社員の活気や意欲、自由な創造性、自由に物が言える職場、業務の在り方や将来について議論する機会のある職場などは全て安全の基盤である、こう書かれてあるんです。これを重く私は受け止めるべきだと思います。
大臣に最後に聞きます。不当に解雇された人たちを職場に、JALに戻すべきだと、そう指導すべきだと思いますけれども、どうですか。
○委員長(広田一君) 太田国土交通大臣、時間が参っておりますので、簡潔に願います。
○国務大臣(太田昭宏君) 日本航空を二〇一〇年末に整理解雇された客室乗務員及び運航乗務員が解雇の撤回を求めた訴訟について、先ほども申し上げましたが、最高裁は二〇一五年二月四日及び五日にそれぞれの上告を棄却し、整理解雇は有効であるという判決内容が確定したものと承知しています。
いずれにしろ、日本航空の整理解雇については、個別企業における雇用関係に係る問題であることから、日本航空において適切に対処すべきものと考えております。このため、行政として関与することは適切ではないと、このように考えております。
○辰巳孝太郎君 彼ら、彼女たちを職場に戻さなければJALの再生はないということを申し上げて、私の質問を終わります。