日本共産党 衆院比例 近畿ブロック たつみコータロー

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国会会議録

踏切事故をなくすための対策を早急に

参院本会議で3月31日、踏切の危険箇所を少なくする踏切道改良促進法等改正が全会一致で可決・成立しました。これに先立つ参院国土交通委員会で日本共産党の辰巳孝太郎議員は、法律で制限されている踏切を新設しないよう求めました。

国交省によると、2014年度の踏切事故は248件で計92人が死亡。このうち8割が歩行者でした。

辰巳氏は、1952年制定の道路法で、安全確保のため道路と鉄道の交差は立体交差としなければならない(同法31条)とされているのに、制定後も平面交差の踏切がつくられてきた理由をただしました。国交省の森昌文道路局長は、立体交差にすることで「増加する工事の費用」が「利益を著しく超える場合」は例外的に平面交差を可能とする施行令の条項を示しました。

辰巳氏は「工事費用と人命リスクをてんびんにかけて、立体交差としなくていい規定が入り込んでしまっている」と指摘。同じく原則立体交差を定めた87年制定の鉄道に関する省令には道路法のような例外がないことを示し、「踏切そのものに人命のリスクがあるというのが鉄道法の精神ではないか」と述べ、新たな平面交差の踏切は造らないよう求めました。

石井啓一国交相は、「例外規定は安全性を軽視してよいということではない。交通の安全確保を最優先に考え、踏切新設は慎重に対応し、立体交差が原則という考え方で取り組む」と述べました。

2016年4月2日付「しんぶん赤旗」より引用

議事録を読む

○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
私は、一昨年六月、当委員会において踏切事故問題について質問をいたしました。警報機が鳴ってから遮断機が下りるまでの時間が余りにも短過ぎて、高齢者や障害者の皆さんが踏切を渡り切れないという問題点を指摘をしまして、検討会の設置を求めました。これを受けて国交省も検討会を設置をしていただきまして、防止策ということでまとまりました。ただ、検討会のメンバーに被害者や遺族の代表などが入っていなかったと認識をしておりますので、引き続き、検討会、様々な知見を集めるということからも開催というのも検討していただきたいというふうに思っております。
そもそも、この踏切について、なぜこれほどまでに一旦は増えたのかということについて確認していきたいと思うんですが、道路法が制定をされた一九五二年当時から、この第三十一条におきまして、道路と鉄道の交差である踏切はこれは立体交差だと、立体交差としなきゃならないと、つまり、原則踏切は造ってはならないというのが道路法制定当時からの規定となっておりました。
国交省に確認しますが、そもそも踏切よりも立体交差の方が安全だからという理由でこういう規定といいますか法律になったんだと思いますけれども、それでよろしいですか。
○政府参考人(森昌文君) 道路法三十一条におきまして、鉄道、道路との交差の規定がございます。
道路の新設又は改築により道路と鉄道とが相互に交差する場合の方式につきまして、立体交差を原則という形にさせていただいております。これは、今委員御指摘のように、平面交差に比べまして立体交差の方が安全であるという、そういう趣旨のほかに、立体交差によりましてまた円滑な道路交通が確保をされるといったような趣旨も踏まえての対応ということで理解をしておるところでございます。
以上でございます。
○辰巳孝太郎君 ですから、安全だからということなんですね。
本来であれば、踏切というのはこの道路法が作られた時点で増えないということになるはずだったと思うんですが、なのになぜ踏切がそれ以降も造られてきたのかということをお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(森昌文君) 今答弁させていただきましたように、道路法三十一条におきましては、道路の新設、改築により道路と鉄道とが相互に交差する場合の方式について立体交差を原則としておりますが、一部の例外的な場合には平面交差とすることが認められておりまして、具体的には、道路の交通量又は鉄道の運転回数が少ない場合、地形上やむを得ない場合という、こういう規定がございます。
それ以外に、道路法施行令第三十五条というところでございますが、交差が一時的である場合、暫定的に多分使うということでの、例えば工事で使うとかそういったようなことだろうと思っておりますが、交差が一時的である場合。そして二つ目としましては、臨港線又は市場線である鉄道が港又は市場に近接して道路と交差する場合及び鉄道が停車場に近接した場所で道路と交差する場合で、立体交差とすることによって道路又は鉄道の効用が著しく阻害される場合。そして三つ目に、立体交差とすることによって増加する工事の費用がこれによって生ずる利益を著しく超える場合と、こういう場合には平面交差によることができるというふうにされているところでございます。
以上でございます。
○辰巳孝太郎君 今紹介いただきました施行令の三十五条ですね、法律では原則立体なんだけれども、例外というのがありますよと。今紹介いただいた中で、最後の三つ目ですね、立体交差とすることによって増加する工事の費用がこれによって生ずる利益を著しく超える場合は立体じゃなくてもいいということになっておりまして、これ、よくよく考えてみますと、つまり工事費用、莫大なものが掛かるんですが、この費用と、踏切でいえばやはり人命リスクということですから、ここをてんびんに掛けて立体交差としなくていいよという規定がここに入り込んでしまっているわけですね。そもそもこれがどうなのだという問題意識が私にはあります。
今のが道路法なんですが、一方で、鉄道関係法令上はどうなっているのかということを調べますと、鉄道に関する技術上の基準を定める省令というものがありまして、ここでも原則はこれは立体なんだと、踏切ではないんだが、しかし例外としては少しあると。一九八七年にこの省令ができた当時も、例外はあるんだが、この道路法上の施行令のような工事費用と人命リスクてんびんに掛けてのような例外はこの鉄道の方にはないわけですね。ですから、そこにはやはり踏切を造らないと、踏切そのものが人命のリスクがあるんだというのがこの一九八七年の鉄道法の精神だったのではないかというふうに思います。道路法ではこの例外規定はまだ残っております。
大臣にお聞きをしますけれども、やはり踏切によって人命が奪われていること、この本改正案は踏切を減らすためのものですから、これに鑑みれば新たな踏切はもう造らないということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 道路の新設、改築により道路と鉄道が交差する際に、この交差部の安全の確保を図ることは極めて重要でありまして、立体交差が望ましいものと考えております。
御指摘の規定については、財政上の制約もある中、あらゆる場合に立体交差を求めることも現実的ではなく、交通の安全性確保や円滑化の観点から、立体交差によって見込まれる利益と比べ立体交差に要する費用が過大である場合に平面交差とすることはやむを得ないとの考え方に基づく規定であります。ただし、例外的にこの規定を適用する場合にも、平面交差により踏切を設置せざるを得ない場合の安全性を軽視してよいということではなく、保安設備の整備その他必要な措置を講ずべきことは言うまでもありません。
いずれにいたしましても、道路法の原則は立体交差であり、交通の安全確保を最優先に考え、踏切の新設については慎重に対応し、立体交差が原則という考え方で取り組んでまいります。
○辰巳孝太郎君 その原則を逸脱することがないように注視していきたいと思います。
続いて、道路協力団体について数点確認をしたいというふうに思います。
改正法第四十八条の二十一、一項において、道路協力団体は、道路管理者に協力して、道路に関する工事又は道路の維持を行うものとすると規定をされております。確認しますが、この工事というのはどのようなものが想定されているんでしょうか。
○政府参考人(森昌文君) 今回の改正案では、道路協力団体の業務の一部といたしまして、道路管理者に協力をして、道路に関する工事又は道路の維持を行うことと規定しておりまして、清掃その他の維持のほかに簡易な工事の実施というのを想定しております。具体的には、従来より行ってきているものとして、例えば植栽升の整備あるいは歩道段差解消のためのステップの設置、例えば商店街での身障者の誘導シールの貼付けといった極めて軽微なものを想定しているところでございます。
以上でございます。
○辰巳孝太郎君 軽微なものをということなんですが、幾つか確認をしたいと思います。
この道路協力団体は、いわゆる民間業者、事業者ですね。例えば、地域の建設会社が道路協力団体になることも可能であります。その場合、道路の改変を発注するのは道路管理者である自治体などになるわけでありますけれども、その場合であっても入札という手続を取るのかということと、あとは、公共事業ということになりますと、いわゆる入札及び契約の適正化の促進に関する法律や住宅の品質確保の促進等に関する法律、これの対象になるのかということを確認したいと思います。
○政府参考人(森昌文君) 私たちは、当然、道路管理者が工事を発注する場合には公平公正な競争の下で入札を実施して手続を行っていくということになりますので、結果的に道路協力団体の方々がその手続の中で受注するということは、これは制度上あり得るというふうに思うところでございます。当然その際にも、今御指摘ございましたような、例えば公共工事の入札、契約の適正化の促進に関する法律、あるいは品確法といったような法律、それぞれの法律の法令にのっとりまして入札、契約を適切に実施をしていくということになると思っております。
先ほど来の繰り返しになりますけれども、道路協力団体が実施する工事というもの自身は、清掃あるいは非常に簡易なものとしてのボランティアの域の、エリアの工事というふうなものを想定しているのが基本というふうに御理解いただければと思います。
以上でございます。
○辰巳孝太郎君 簡易なものをということでありますが、改めて管理責任の所在ということについてもちょっと確認をしておきたいと思うんですね。
道路協力団体が道路管理者の依頼によって例えば凸凹を直すとかバリアフリーにするために何か造ったものが破損をして通行者に損害を与えた場合、これは一体どちらの責任ということになるんでしょうか、管理者なのか協力団体なのか。
○政府参考人(森昌文君) 今回、道路協力団体の方々に行っていただいたものを、これを私たちがしっかりとした手続を経て引き取ったものは、当然これは私たちの施設ということでございますので、それで万が一いろいろ事故が起こったりというようなことになれば、当然これは私たちの責任という形になると御理解いただければと思います。
○辰巳孝太郎君 もう一つ、四十八条二十一では、六つの業務を行うものとしております。国交省は全てを行う必要はないんだという説明をしておりますが、では、この一項で道路管理者に協力して道路の維持とありますが、これも行う必要がないということになるのか、また、そうなれば、二項に規定している収益活動のみを行うことができるということなんでしょうか。
○政府参考人(森昌文君) この道路協力団体制度自身は、沿道における身近な課題の解消あるいは道路利用者ニーズへのきめ細やかな対応をするために、私たち道路管理者と連携をして地区の自発的な取組を一層促していただく、あるいは発揮していただくということを期待する制度でございます。
そのためでございますが、当然、道路協力団体の制度趣旨を、こういった趣旨を踏まえれば、この協力団体の指定に当たりましては、道路管理者と連携をして行った道路に関する活動実績あるいは提案された活動内容というのをあらかじめ私どもとしても確認をさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。
よって、オープンカフェといったような、例えば収益活動しかやらないというような方々に関しては、私たちとしては団体を、これを指定するというつもりはございません。
以上でございます。
○辰巳孝太郎君 今オープンカフェということをおっしゃっていただきましたが、営利活動を行っている企業も協力団体として指定が可能となるわけですね。
私、いろいろ考えてみますと、例えば歩道上に様々な、例えば大手コーヒーチェーン店があると。そういうコーヒーチェーン店が協力団体として指定をされた場合に、これも可能になるわけですね。もちろん道路の維持やりますよと、お掃除やりますよということを言うと思うんですけれども、その場合、民間企業ですから、今までだったら例えば占用料金の徴収の基準というのを皆さん設けておられるわけですけれども、これについてはどういう考えをお持ちですか。
○政府参考人(森昌文君) 今まで沿道でそういう営業活動をされてこられた方というのも、先ほども御紹介しましたように、御説明をさせていただきましたように、まずは私たちの活動の実際、道路の維持管理等々の活動実績をしていただいたということがまず基本になっております。
また、その後、オープンカフェ等々のいろいろな活動をしていただく上での協議に関しましては、先ほどの一連の私どもの方の占用活動あるいは協力団体としての活動をしていただく議論の中で、先ほど御紹介したような、例えば占用の条件等々を一緒にお話をさせていただくというような形になっておりますので、今までの占用という手続であれば、先ほどの無余地性という、それ以外の場所で占用をすることがなぜできないのかと、そこで占用せざるを得ないのは理由はなぜなのだというようなことを理由として申請をしていただき、許可をするという、そういう手続があったわけでございますが、今回、それについては協議という形に変わっていくということになりますので、その協議の議論の中で、今お話をされているような彼らの意向、またこれからの活動についてはしっかりとお話を聞かせていただくという所存でございます。
○辰巳孝太郎君 大臣、やはり民間企業にとっては、そこで営業ができるわけですね、オープンカフェで。土地を占有することで、そこでできるわけですから、利益が莫大なものになるケースも私出てくると思うんですね。
そうなりますと、収益の確保が優先してしまうということになりますと私は法の趣旨に反すると思いますけれども、歯止めといいますか、大臣のお考えを最後に聞きたいと思います。
○委員長(金子洋一君) 時間ですので、お答えは簡潔に願います。
○国務大臣(石井啓一君) 道路協力団体は業務内容から利益を得ることが可能な制度でありますが、その利益については道路の管理に還元いただくことを基本とする仕組みであります。
このため、道路協力団体の指定に当たっては、道路管理者と連携して行った道路に関する活動実績や提案された活動内容とともに、活動によって得られた収益の使途についても確認することとしております。また、活動中においても業務状況に対する報告を求めることを可能としており、公的活動等に対する取組状況を確認、検証した上で、必要に応じて適切に指導してまいります。
○辰巳孝太郎君 ありがとうございました。