全国一律サービス掘り崩す/社会福祉法改定案 辰巳氏が反対/衆院厚労委で可決
2026年05月22日
社会福祉法・介護保険法などの改定案が22日の衆院厚生労働委員会で、自民と日本維新の会、中道改革連合、国民民主、参政、みらいの各党の賛成多数で可決しました。日本共産党は反対しました。同案は中山間地や人口減少地域を対象に、介護施設の人員配置基準を緩和する「特定地域サービス」を創設します。
日本共産党の辰巳孝太郎議員は反対討論で、「特定地域」は市町村単位に限定されず、大都市部の高齢者人口が減少している地域なども該当すると指摘。広範な地域で職員の配置基準などの規制が緩和され、介護保険法の「全国一律のサービスを提供する」という原則を掘り崩しかねないと批判しました。
同様に、障害福祉サービスでも、人口減少地域への「特定地域サービス」導入が可能となるが、必要性や対象地域についての検討は不十分だと指摘。利用者の安全確保に不可欠なケアに直接従事する人員の基準緩和さえ否定していないと重ねて批判しました。
新設する「特定地域居宅サービス等事業」は特定地域で要介護以上の高齢者への在宅サービスを介護保険給付から外し、自治体が行う「地域支援事業」に切り替えられると指摘。同事業の予算は高齢者人口の伸びの範囲にとどめることが検討されており、サービスの質や量が制限され、地域の介護の担い手不足が加速すると警告しました。
住宅型有料老人ホームに限定して行われるケアプランの有料化は、住む場所によってケアプランの自己負担の取り扱いが変わるので問題だと強調しました。
質疑で辰巳氏は、「特定地域」での障害福祉サービスの人員配置を緩和すれば「今でも大変な現場が取り返しがつかなくなる。緩和しないと明言を」と追及。「サービスの質の確保を念頭に置きながら、今後具体的に検討を進める」との上野賢一郎厚労相の答弁に対し、辰巳氏は「人を減らしたらサービスの質は確保できない」と述べ、重ねて人員配置基準を緩和しないよう求めました。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
中山間地、人口減少地域に対応するための特定地域サービスは、介護保険サービスだけが対象となるのではありません。今回の改正案では、実は、障害者あるいは子供を対象とする障害福祉サービスも同様の類型が設けられることになっております。
介護保険サービスでは、人口減少地域とは高齢者人口の減少地域と厚労省は説明をしているわけなんですが、それでは、障害福祉サービスのこの特定地域というのは、介護保険法と同様に、人口減少その他主務政令で定める基準に該当する地域と書かれているわけなんですね。
大臣に確認をしたいと思うんですけれども、介護保険では人口というのは高齢者人口だということを指しているんですが、障害者福祉のサービスでは何を指すんでしょうか。お答えください。
○上野国務大臣 御質問の特定地域についてでございますが、現行の特別地域加算の対象地域を基本としつつ、今後、国が人口の減少などに着目をした一定の基準を示し、都道府県がその基準を踏まえて市町村の意向を確認をし、市町村の全域又は市町村内の一部の地域を対象地域として決定することとしております。
この人口の基準につきましては、一般的な人口のほか、生産年齢人口や障害福祉サービスの利用者数などが考えられますが、具体的な基準につきましては、本法案をお認めいただいた後に、関係審議会において検討していきたいと考えております。
○辰巳委員 これはちょっと、法改正するというのにいまだ決まっていないということなわけなんですね。これは事業の範囲を決めるために非常に大事な定義だと思うんですけれども、それについて決めずにこれを提案するというのは、余りにも無責任じゃないかなというふうに思うわけですね。
厚労省がPwCに委託をして行った報告書があるんですね。人口減少下における障害福祉サービスの提供体制のあり方に関する調査研究事業ですが、ここでは、人口減少地域とそうでない地域とで、需要や職員の状況、経営状況もその傾向に大きな違いはないという結果がおおむね出ているわけなんですね。
もちろん地域ごとに様々な課題はあるんですけれども、しかし、地域ごとで多種多様な課題はあるんですが、人口減少ですよね、生産年齢人口であったりそのほか利用する人であったりということをおっしゃりますけれども、人口減少という切り口だけで規制緩和していくのは何でなのか、いいのかということが私は問われているというふうに思うんです。
障害福祉サービスにおいて既に基準を満たせない場合に、自治体の条例で基準を緩めて障害福祉サービスを提供する基準該当サービスがもう既に存在をいたします。ここでは、管理者や専門職の常勤要件等の緩和は行われていますけれども、利用人員ごとの人員配置基準というのは緩和されておりません。
そこで、厚労省とこども家庭庁に確認をしたいと思うんですけれども、特定地域サービスでは配置人員の資格あるいは人員の数も検討するとされておりますけれども、これは利用者や利用児童当たりの配置人員などまで、配置基準ですね、緩和をするお考えなんでしょうか。どうでしょうか。
○源河政府参考人 障害児支援分野についてお答えさせていただきます。
障害児支援の特定サービスにおける人員配置基準の緩和につきましては、例えば管理者等の常勤、専従要件の緩和を行うことが考えられますが、具体的な配置基準等につきましては、現場の御意見を丁寧に伺いながら、お認めいただきました後、今後、審議会等で御議論いただく予定でございます。
サービスの質を確保しつつ、地域の実情に応じて柔軟なサービス提供が可能になるよう、しっかり国としても検討を進めてまいりたいと思います。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
大人の部分といいましょうか、障害者の方のサービスの部分でございますけれども、御指摘の特定地域サービスですけれども、やはりサービス提供の維持、確保に課題を抱える中山間、人口減少地域におけるサービスの維持、確保と継続ということを狙いとしますが、その一方で、特定地域サービスの導入に際しましても、サービスの質の確保というものにはしっかり配慮していかなきゃいかぬというふうに認識をしております。
そのため、人員配置の面でございますけれども、やはりサービスであるとか、あるいは事業所の間での連携でございますとかICT機器の活用などを前提としながら、例えば、管理者や専門職の常勤や専従要件の緩和などを行うようなことが考えられると思っております。
いずれにしましても、詳細な配置基準の要件につきましては、現場の御意見を丁寧に伺いながら、今後、関係審議会などで議論してまいりたいと考えております。
○辰巳委員 こういうことも決まっていないのがよう分かりませんよね。物すごい大事なことですよ、人員配置。そやけど、まだ決まっていない。しかし、こども家庭庁も厚労省も共通していたのは、常勤や専従要件の緩和は考えられるということだったんですけれども、今でも基準該当サービスでそれはやっているんですよ。それはやっているんですよ。そこまでしか仮にやらないというのであれば、これは何のために障害者施策のところまで特定地域をやるのかということになりますよね。よく分かりません、これは本当に。
もちろん、管理者あるいは専任、常勤要件を外せば、事業を実施している際の見守りなどの体制も薄くなります。支援の質や子供の安全性にも影響が出てきかねないと思うんですが、とりわけ人員配置については、これは今でも大変なわけですよね、これは規制緩和をやったら取り返しのつかないことに私はなると思います。
大臣、これから検討という話なんですけれども、障害者施策の下で、やはり人員の配置については規制緩和というのはやらないということを明言していただきたい。いかがですか。
○上野国務大臣 職員数に関する基準等についてでございますが、やはりサービスの質の確保という観点が非常に大事でありますので、そうした観点を十分念頭に置きながら、今後具体的に検討を進めることが必要だと考えています。
○辰巳委員 人を減らしたらサービスの質の確保なんかできないのは当たり前ですからね。これはもう絶対にやっちゃ駄目だということは言っておきたいというふうに思います。
さて、六月以降、来月ですけれども、障害者福祉の報酬においても同様のひどい抑制が行われるので、今日はちょっと取り上げたいと思うんですね。
事業計画の中間年である介護や障害は、処遇改善のために中間年改定が行われるとされております。介護については基本的に処遇改善加算の引上げでありました。ところが、障害福祉サービスのうち、就労継続支援B型、共同生活援助、グループホームですね、児童発達支援、放課後等デイサービスについて、今年度からの新規事業者について基本報酬の引下げが行われます。これに加えて、就労継続B型については基本報酬区分の見直しも行われるんですけれども、厚労省に確認しますが、なぜこのような見直しを行うんでしょうか。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の障害福祉サービスでございますけれども、近年、利用者数あるいは事業所の数、こういったものが増加を続けておりまして、給付費も大きく増加をしております。令和六年改定を挟んで、令和五年度から六年度にかけては、報酬改定率は一・一二%でございましたけれども、給付費としては一二%強伸びるというような状態でございます。
そうした中で、引き続きやはりそうした拡大するニーズに対応するための人材確保というのは課題でありますとともに、急速にサービス事業所の拡大なども続いておりますので、質をどう確保していくのかということも懸念される状況にございます。
まず、御指摘二点のうちの、応急的な単価の方について御説明申し上げます。
その点、今般、三十近いサービス類型がございますけれども、その中で、収支差率が高くて、かつ事業所の数が急増している就労継続支援B型を始めとした四つのサービス類型、ここは御指摘のありました、ほかにグループホームと児童発達支援と放課後デイでございますけれども、こちらにつきまして、本年六月一日以降に新規指定された事業所に限り、令和九年度の報酬改定までの間の措置として、応急的な報酬単価を適用させていただくこととさせていただきました。
この応急的な報酬単価の適用に当たりましては、一定の要件の下で、受入れニーズが特に高い重度障害者の方であるとか、あるいはサービスが不足している地域については対象外とするといったような配慮措置を織り込んでいるところでございます。
そしてもう一点、就労継続支援B型の基本報酬区分の関係でございますけれども、この就労継続支援B型に関しましては、利用者お一人当たりの平均工賃額に応じて段階的な報酬区分を設定してまいりました。そうした中で、六年度改定においては、障害特性などによって、利用者として利用日数が少ない方を多く受け入れられるような場合といいましょうか、そういった事業所もあるということを踏まえて、改定の中で、平均工賃額の月額の算定方法を見直しました。
そうしたところ、高い報酬区分になる、つまり、工賃の算定法を変えたことによって平均工賃額の算出した結果の数字が高くなって、その結果、高い報酬区分の適用を受けるというような事業所の割合が大きく増加をいたしました。こうした変動を受けまして、基本報酬区分の基準の見直しを行わせていただいたところであります。
ただ、その際も、六年報酬改定前後で、計算方法は変わったけれども報酬区分は変わらなかったというところの事業所につきましては見直しの適用対象外とするなどの措置を講じさせていただいたところでございます。
引き続き、これらの見直しの影響なども注視しながら、次期改定に向けて対応を検討してまいりたいとは考えております。
○辰巳委員 これは本当にひどいんですよね。
B型については、障害特性等により利用日数や作業時間が少なくなってしまう方を受け入れている事業所ほど報酬算定上不利になっていたんですね。それを見直そうということで、ちょうど二年前に、その算定式を見直して、不利にならないようにしたんですよ。そういうふうに、正当に評価されるようにということで二年前に見直したところ、皆さんの想定よりも報酬が増えてしまった、つまり国からの給付が増えてしまったので、今度はそれを下げるという話をしているわけですよね。これはほんまにひどいと思うんですよ。
局長、聞きたいんですけれども、今、工賃の計算方式の変更による給付費の増額については、これは元々二年前見直しをするときにも、財政影響の試算もしていたはずなんですよ。だけれども、その見通しが外れたから今度は報酬を引き下げるというのでは、これは絶対現場は納得しないと思いますけれども、いかがですか。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
確かに、六年改定の際の平均工賃額の見直しというのは、利用に波のある利用実態、そういうものを勘案するようにということで見直しをさせていただきました。そうやって計算方法は見直したのですが、その際、算出される平均工賃月額の基準額の方を当時はいじりませんでした。その結果、五年度から六年度にかけて、B型への給付費総額というのは、二〇%急速に伸びるというふうになりました。そういう意味では、やはり工賃の平均、分布の状況であるとかを見て、もうちょっと線引きをしっかり考えるべきであるということで、今回、その分布の状況なども見ながら、改めて修正をさせていただいたということでありますので、なかなか、期中の改定ということではございますけれども、御理解をいただけるようにしっかり説明してまいりたいと考えております。
○辰巳委員 この障害施策分野で運営されているような人たちは、そもそも低い賃金、本当に、なかなか大変な事業運営を強いられている中で、ようやく二年前にそういうふうに改定がされて一息つけたという事業所だって少なくないわけですよね。これで、また下げると。これは、制度の信頼性が失われて、ひいては労働者確保に影響が出てくる。本来は、基本報酬の引上げ、B型の事業所の報酬の引上げそのものをやはりしていくべきなんですよ。
実際に聞いてまいりました。都内の利用者二十名規模の事業者の影響を聞きましたところ、基本報酬の減額分は年間で約百十万円だと。今回、処遇改善加算で増額もされているんですけれども、これが三十四万円ですから、差引き、今回の期中改定で七十六万円の減収見込みになるんだということなんですね。これは、職員の給与や雇用にも影響が出ます。年額ですからね。神奈川の事業所の職員だという方は、昨年十一月に採用になりましたけれども、四月末に退職するように促されたということでありました。これは本当にひどいと思います。
例によって財務省も、総費用額の抑制の提案を財政審で行っていますよね。せやけど、介護保険と同様に、給付費の増を理由に強力な給付の抑制を進めていくと、これは障害者施設、もたないと思いますよ。
そもそも、繰り返しておりますとおり、障害福祉サービス、先ほど、何か、給付が上がったから下げるんだというんですけれども。質の確保だというわけですよ。こんなときだけ質の確保を持ち出すなと私は思いますよね。質の確保だというのであれば、処遇改善をやるべきですよ。それをやらずに、給付が増えたから、質の確保だから、もっともっと給付を下げなきゃならぬ、これは議論が倒錯していると私は思います。
OECDの比較を取っても、結局、障害者施策というのは、GDP比で日本の障害者施策は半分ですよ。半分なんです。この十年間で障害者施策の給付費が倍になったと言うけれども、それでもOECDの平均の半分しかないわけですよ。本来もっと上げなあかんわけですよ。人員配置も含めて、こういうところを緩和していく、ここに障害者施策の充実というのは絶対にないと私は言わなければならないと思います。
この期中改定の撤回を含めて、障害者施策がきちんと提供されるような人員の確保こそ、処遇改善こそやるべきだということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
以上です。
○大串委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
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○大串委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。辰巳孝太郎君。
○辰巳委員 日本共産党を代表して、社会福祉法等の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。
本改正によって、中山間地、人口減少地域などを対象として、新たな施設基準の緩和を行う特定地域サービスが導入されます。市町村の約七割で既に高齢者人口のピークを過ぎており、その多くで現在の基準該当サービスより人員配置基準などが緩和されることになります。
特定地域の指定は市町村単位に限定されないため、大都市部の高齢者人口が減少している地域など、高齢者人口が減り始めた市町村に限定されず、広範な地域が新たな規制緩和対象となります。
介護保険法第二条は、介護保険は、被保険者の要介護状態又は要支援状態に関し、必要な保険給付を行うと規定し、要介護状態になったら全国一律なサービスを提供することを原則としていますが、全国の広範な地域でその原則を掘り崩しかねません。
障害福祉サービスについても同様に、人口減少地域における特定地域サービスを導入することが可能となりますが、どのような地域を対象とするのか、必要性についても十分な検討がなされたとは言えません。利用者の安全性確保に不可欠な直接ケアをする人員基準を緩和することさえ、否定していません。
地域支援事業の新類型として、特定地域居宅サービス等事業が新設されます。特定地域において、要介護以上の高齢者に対して、介護保険給付から外して地域支援事業に切り替えることが可能になります。本事業の予算について、高齢者人口の伸びの範囲にとどめることが検討されており、サービスの質や量に制限がかかり、地域の介護の担い手不足が加速されかねません。
また、住宅型老人ホームに限定して、財務省が給付抑制のために繰り返し要求してきたケアプランの有料化が行われます。ケアプランが有料となっている施設サービスや特定施設と同様となっているということを理由にしていますが、改正後も住宅型有料老人ホームは居宅として取り扱われ、提供されるのも居宅サービスとなっています。同じ居宅として取り扱われながら、住む場所によってケアプランの自己負担の取扱いが変わるのは問題です。次の見直しによる、居宅介護支援のケアプラン作成の有料化に道を開くことになりかねません。
最後に、今回の法改正には盛り込まれていないものの、自己負担が二割となる範囲の拡大について、年度末までに検討するものとされています。対象となる所得層は、医療保険の自己負担割合や外来特例の見直しによって大きな負担増を強いられています。年金の実質価値も減り続けています。物価高騰の影響も深刻です。参考人質疑でも指摘がありましたが、二割負担、三割負担が導入されれば、更に高齢者の生活は悪化します。これ以上の負担増は、更なる利用控えが懸念されます。絶対に行われるべきではありません。
以上申し上げ、反対討論といたします。