高額療養費引き上げ撤回を/命と健康奪うもの 辰巳議員が要求/衆院予算委
2026年03月06日
日本共産党の辰巳孝太郎議員は6日の衆院予算委員会で、高額療養費の月額上限引き上げは患者の命と健康を奪うものとして、撤回を求めました。
同制度は、高額な医療費がかかった際に1カ月の限度額を超えた医療費を払い戻す仕組み。政府は、2026年8月と27年8月の2段階で月額上限を引き上げることをねらっています。
辰巳氏は、厚生労働省が月額上限の引き上げを社会保険料負担の軽減のためとしているが、今回の措置で加入者1人あたりの保険料負担軽減額はいくらになるかただしました。上野賢一郎厚労相は「高額療養費制度の見直しで月約120円、OTC類似薬の見直しで月約30円の減少だ」と答弁。辰巳氏は「月額150円、ペットボトル1本分ほどの保険料軽減と患者の命を引き換える大改悪だ」と批判しました。
辰巳氏が、同制度利用者823万人(23年)のうち、少なくとも7割の患者が今回の見直しで負担が増えると指摘したことに対し、厚労省の間隆一郎保険局長は粗い推計であれば大きく違わないと認めました。辰巳氏は「重症患者の7割が負担が増えるとんでもない数字だ」と批判しました。
辰巳氏は、厚労省の試算では同制度見直しによる医療費削減2450億円のうち、受診控えによる1070億円の削減を見込んでいると指摘し、「治療をあきらめさせる」事態が起こると警告しました。
辰巳氏は、全国保険医団体連合会が実施した患者影響調査(複数回答)では、限度額を引き上げた場合、7割が「受診抑制する」「食費を削り、貯蓄を取り崩す」、6割が「薬・治療法を変更」、4割が「子どもの進路変更」と回答したと紹介。「私の命と子どもたちの教育費をてんびんにかける日が必ずくる。少しでも長く生きて、子どもたちの成長を見守りたい」など患者の悲痛な声を突きつけ、「命と引き換えに大改悪を強行するのは絶対に許されない」と強調しました。
(2026年3月7日 しんぶん赤旗)
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
今日は、高額療養費改悪についての質問をいたします。
昨年、現行憲法下で初めて参議院で予算案が修正されて成立をいたしました。それは、この高額療養費をめぐって、がん患者の皆さん、当事者の皆さんが、これをやられたら命がもたない、治療を続けることができない、本当に切実な声をこの国会で上げていただいたからにほかなりません。
ところが、今回、今年の八月から、この高額療養費、月額上限の引上げと年間上限額の設定が行われます。来年の八月には更にそれを引き上げるということになっています。高額療養費の利用者は、命に関わる傷病に罹患をしている人たちであります。手術、抗がん剤治療など、高額な医療費を負担している人たちの医療費を更に引き上げようというのが今回の改悪であります。
厚労省は、口を開けば持続可能性の確保のためだと言っております。また、社会保険料の軽減のためにもなるんだ、こういう説明をしております。
まず、この社会保険料の軽減について確認をしたいと思います。大臣、今回の改悪で、そもそも、加入者一人当たり、月額幾らの保険料の負担軽減となるのか答弁いただきたい。
○上野国務大臣 今回の高額療養費制度の見直しでございますが、それによりまして、これは加入している保険者によって異なるものでありますが、加入者一人当たりの平均額を機械的に算出をいたしますと、この見直しにおきましては、一年当たりで約千四百円、一か月当たりでは約百二十円の減少となります。
○辰巳委員 年間、高額療養費の見直しとOTC類似薬の追加負担、それぞれ言っていただいていいですか、月額負担軽減。
○上野国務大臣 高額療養費制度の見直しにおきましては、一年当たり約千四百円、一か月当たり約百二十円の減少となります。OTC類似薬の保険給付の見直しでは、一年当たり約四百円、一か月当たり約三十円の減少となります。重ねて申し上げますが、加入している保険者によって異なるものであります。
○辰巳委員 つまり、大臣、月額百五十円の保険料の負担軽減のために、ペットボトル一本程度の負担軽減のために、高額療養費、皆さん、患者の命と引換えに大改悪がされるということですよね。これはとんでもない中身ですよ。絶対許せない中身ですよね。
具体的に聞いていきます。
今回数字が出ていない外来特例を除く高額療養費の受給者は八百二十三万人とされています。今回の見直しでは、高額療養費四回目以降の多数回該当の引上げは見送られたものの、月額の上限は引き上げられました。つまり、多数回該当にならない高額療養費算定月が年三回以下の患者さんは負担が増えるということになります。
大臣に確認します。この外来特例を除く高額療養費の算定が年三回以下の患者さんの数はどれぐらいなんでしょうか。
○上野国務大臣 まず、外来特例を除きまして高額療養費に該当する回数が年に一回から三回の方は約六百六十万人と見込んでおります。
ただ、委員御指摘がありましたが、この全ての方が負担が増えるわけではなくて、年間上限額の導入等によりまして、例えば年一回か二回しか高額療養費の適用対象に該当しない場合であっても、非常に高額な医療にかかられた場合におきましては負担額が下がる、そうしたケースもありますので、必ずしも全ての方が負担が増えるわけではありません。
○辰巳委員 では、大臣、確認しますけれども、負担が増えない、今、年間上限額が新たに設定されることでむしろ減る方がおられると、あるいは、低所得者の方、ここも負担が減る方がおられる。どれぐらいおられますか、数字で示してください。
○間政府参考人 お答えいたします。
今委員の御指摘でございますけれども、まず一つは、新たにできました年間上限に該当する方は約五十万人いらっしゃるというふうに見込んでございます。
また、今回、多数回該当に該当する方については限度額は引き上げないということにしたわけですが、年一回以上多数回該当に該当する方は約百六十万人いらっしゃるというふうに見込んだところでございます。
低所得者の方については、済みません、ちょっと今直ちには、手持ちがございませんので、また追って整理をしたいというふうに思います。
○辰巳委員 上限設定することで最大五十万人の方の負担が軽減される、そして、低所得者の方でいうと、これは厚労省の資料ですけれども、三十万人ですね、七十歳未満と七十歳以上の方を合わせて三十万人、ダブりもありますから、最大で八十万人の方の負担が軽減される可能性はある。
今申し上げたように、三回以下の方は六百六十万人、ここから八十万人を引いて、そして八百二十三万人の高額療養費の受給者がおられるわけですから、最大で七割の方の、高額療養者、この制度を利用されている方の負担が増えるということでよろしいですね。
○間政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘になられましたように、重複の部分があるものですから、その点については正確に申し上げることは難しゅうございますけれども、概算でごくごく粗い粗い推計ということであれば、先生おっしゃったような点と大きく違わないのではないかというふうに思います。
○辰巳委員 これはとんでもない数字ですよ。軽い病気じゃないですからね、高額療養費制度を利用されている方は。重い病気の方で、最大で七割の方の負担が増えるということですよ。ペットボトル一本分の社会保険料の負担軽減と引換えに、それだけの方の負担が増えるというのが今考えられている改悪なんですよね。負担額も、とりわけ年収が六百五十万円から七百七十万円の方は、自己負担額が一・四倍にも増えるということになります。むちゃくちゃな改悪ですね。
厚生労働省の資料によりますと、高額療養費の上限引上げによる医療費の減少は二千四百五十億円と見込まれております。
大臣に確認します。そのうち、受診控えによる医療費の減少は幾らぐらいと見込んでおられますか。
○上野国務大臣 基本的に、受診控えによる医療費の減少については見込んでおりません。
○辰巳委員 大臣、そうじゃないでしょう。長瀬効果。厚労省がこの間、二千四百五十億円のうち、実効給付率が変化した場合に経験的に得られている医療費の増減効果の算定式に、今回の見直しに伴う実効給付率を機械的に算出すれば、一千七十億円がまさに受診控えで医療費が減少する額だ、そういう趣旨のことを説明してきたじゃないですか。違うんですか。
○上野国務大臣 委員から受診控えによるという御指摘がありましたので、受診控えということを前提にした計算はしておりません。
今委員から御指摘のありました、実効給付率が変化をした場合に過去の経験的に得られている医療費の増減効果、これを機械的に計算をして、今御指摘のありましたように、約〇・二八%低下をすると見込まれるため、機械的にそれを代入いたしますと、給付費の変化は約千七十億円の減となります。
○辰巳委員 まさに、それが受診控えなんですよね。自己負担が増加することによって受療行動が変わるから医療費が減るということ、これはまさに受診控えなんですよ。その言葉を言いたくない、だからごまかしているということなんですね。つまり、具体的には、治療を諦める、あるいは諦めさせるということがここで起こるということですよね。これはほんまにひどいと思いますよ。
全国保険医団体連合会が実施をした患者影響調査では、七割の方が受診抑制が起こる、六割の方が薬や治療法を変更する、七割の方が食費を削り、貯蓄を取り崩す、四割の方が子供の進路変更と回答をしています。
四十代の女性、乳がんの女性ですが、子供とまだ生きたい、成長を見届けたいという一心で治療と仕事を何とか両立していますが、この願いと努力を打ち砕き、命の選択を迫る改悪です、こう言っておられます。また、別の四十代の女性も、私の命と子供たちの教育費をてんびんにかける日が必ず来ると思います、少しでも長く生きて子供たちの成長を見守りたいです、こういう悲痛な声が寄せられております。
ペットボトル一本分の社会保険料の軽減のためにこういう思いをお母さんたちに、親たちに、あるいは子供たちから親を引き剥がす、こういう医療の大改悪は絶対にやめるべきですよ、大臣。今の声を聞いて、大臣、受け止めを聞かせてください。
○上野国務大臣 まず、必要な医療が適切に提供される、受診控えが起こらない、そうしたことは大切だと思っております。
社会保障審議会におきましても、この見直しに際しましては、事後的な検証、これも重要であるという趣旨の御意見をいただいておりますので、受診行動への影響につきましては今後とも注視をしていきたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、必要な受診がしっかりと行われるように、その点につきましてはしっかり周知をしていきたいというふうに思っておりますし、やはり制度を持続的に維持していくためには不断の改革というのも必要だと思っておりますので、それは是非御理解をいただけるように丁寧に説明をしていきたいと思います。
○辰巳委員 非常に冷たい答弁だったと思います。持続的と言いますけれども、医療費全体に高額医療費が占める割合というのは六・三九%、前年、二〇二二年ですね、前年は六・三二%ですから、二〇一二年度が五・五一%ですから、十一年で〇・八五%程度の伸びしかないんですよ、高額療養費というのは。しかも、それの伸びは年々鈍化していますから。
命と引換えにこういう大改悪を強行することは絶対に許されないということを求めて、私の質問を終わります。