耐震診断補助拡大を

2014年6月17日  

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以下、「しんぶん赤旗」より掲載。

耐震診断補助拡大を

辰巳氏 改修事例を紹介

 日本共産党の辰巳孝太郎議員は17日の参院国土交通委員会で、敷地売却制度を導入するマンション建て替え円滑化法改定案(18日の本会議で可決・成立)は、居住者の住まいの安定よりもデベロッパーの利益を優先するものだと批判し、耐震診断・改修への支援強化を求めました。

 1981年以前に建てられた旧耐震基準マンションは、8割以上で耐震診断が行われていません。辰巳氏は区分所有者の費用負担が耐震化のハードルになっていると指摘し、耐震診断・改修に対する補助制度の整備状況をただしました。井上俊之住宅局長は「(耐震診断は)市町村数で34%。改修は29%」と答弁。辰巳氏は国の補助拡大を求めました。

 辰巳氏は、専門家・施工会社と管理組合が信頼関係を築き、修繕積立金の範囲内で耐震改修を行った分譲マンションの事例を紹介。住民の合意形成を促すために、国や自治体が工法や費用について適切な情報提供を行うよう求めました。

しんぶん赤旗(2014年6月27日)


議事録を読む

○辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎です。
今法案は、マンションを除却し、その敷地売却を推進するもので、現行法にありました危険又は有害な状況にあるマンションの建て替えの勧告制度等を廃止し、耐震不足のマンションを建て替えとは違うマンションの除却、敷地売却を実施しようとするものであります。
一九八一年五月以前の旧耐震基準で造られたマンションで耐震不足のものをまず特定する必要があると思います。そのためには、耐震診断を実施してもらうことが何よりも必要であります。東京都の調査では、旧耐震基準の分譲マンションの八割以上が診断すら行っていないということであります。
国交省に確認しますけれども、この耐震診断、そして改修に対する補助制度の整備状況はどうなっていますでしょうか。
○政府参考人(井上俊之君) お答え申し上げます。
マンションを含む耐震診断、耐震改修への補助制度につきましては防災・安全交付金等によって支援をしておりまして、診断については、通常でございますが、国三分の一、地方公共団体三分の一、合わせて三分の二、改修につきましては、国一一・五%、公共団体も同じでございまして、合計二三%というのが今の補助制度でございます。
この補助制度につきまして、普及状況でございますが、平成二十五年度時点で、診断については、市町村の数のベースで三四%、人口に置き換えますと、大都市で整備されていますので六五%、それから改修につきましては、市町村の数のベースで二九%、人口ベースでは五五%、前年に比べれば数%ずつ上がっているというような状況でございます。
○辰已孝太郎君 これから耐震化を進めていかなきゃいけないということですから、まだ人口ベースでも六割ほどということですから、これもっと進めていかなきゃいけないと思っています。
補助制度は、国としてはあるけれども、そもそも自治体がこの制度をつくっていなければ活用できないということであります。そういうことの背景の一つには、やはり三分の一とはいえ、自治体でも負担があるということではないかと思っておりまして、本年六月四日の全国市長会、この決議の中には、地震・津波対策の充実強化についてという項目の中にこうあります。民間住宅等の耐震化促進補助事業等、防災・減災に係る諸事業に対して、事業推進を図るとともに、財政措置を拡充強化することと、こういう要望も出ているわけですね。
以上が国や自治体の問題なんですが、じゃ、一方で区分所有者にとっての課題とは何かといえば、これもやはり経済的なハードルだと私は思います。国交省の資料でも、やはり耐震化の阻害要因、一番目に挙げられているのが耐震化に要する費用負担が大きいということでありますし、日本マンション学会のマンション建替えに関する意見では、マンションの建て替えが進まない理由について、これは決議要件ではなくて区分所有者の経済的負担が主な理由だと、こういうふうにも言っているわけであります。
そこで、大臣にお聞きをしたいと思うんですけれども、やはり昨年改正された耐震改修促進法にのっとりながら、耐震の診断そして改修に対する国の補助を今よりも拡充する、広げる必要があると思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(太田昭宏君) 何といっても個人の所有物ですから、マンションの耐震化に当たっても一般の住宅の耐震化に係る補助率との整合性というものを図る必要があるというふうに思います。
そういう意味では、避難路の沿道のマンション等について補助率を引き上げたということを想定して昨年のそうした対応をさせていただいて、現在、私ずっと見ておりますと、地方自治体が三月議会とかそういうところで徐々に対応を加えてきているという状況がありますものですから、それがきちっとできれば私は適正な対応が恐らく多くの方たちができるようになるというふうに思っておりまして、もう少しそこはこの法律の状況を見ていく、そして地方自治体へのお願いも加えていくということが大事なことだというふうに思っているところです。
○辰已孝太郎君 是非、高齢化が進む中で、まず改修と。そして、それをどうスムーズにしていくかというところでいえば、引き続きこの制度の拡充を求めていきたいと思います。
今法案は、区分所有者に決議が可決をされればいや応なく出ていかせるということになります。井上局長も先ほどから、従来のマンション建て替えと今回が違うのは、従来は新築のマンションというものに置き換わると。今回は、制度上の理解としては価値がお金に換わると答弁もされておられます。つまり、今回の制度では、元のところに戻るという権利といいますか、これは保障されないということであります。
確認をしますけれども、買受人に対して代替住居の提供、あっせんを今法案でも義務付けるということでありますが、では、戻らない方々には具体的にどのように住居は担保されるのかということを確認したいと思います。
○政府参考人(井上俊之君) お答え申し上げます。
代替住居の提供、あっせんは、区分所有者あるいは借家権者のいずれに対しても行うものでございまして、また、戻る、戻らないにかかわらず、言い換えますと、建て替えマンションも一つの選択肢でありますし、近傍で流通をしている中古マンションないしは賃貸住宅を提供、あっせんするというのも居住者側から見れば一つの選択肢ということでございまして、建て替え後のマンションに限ってあっせんをするということではございません。
その上で、これも繰り返しになりますけれども、提供、あっせんについてはガイドラインでしっかりやり方等をお示しをし、特に区分所有者個々の方の御意向、場合によっては経済条件、こういうこともしっかり把握をしていただいて、希望に一番近い物件を何とか探してくるということをしっかりやっていただくということをお示しをしたいというふうに思います。
加えて、都道府県知事ないしは市長が、不十分な取組については、先ほど来御説明していますように勧告、そして勧告に従わない場合には公表という一種のペナルティーも設けて、しっかり監督をしていただけるようにしてまいりたいと思います。
以上です。
○辰已孝太郎君 それで本当に十分なのかという議論が先ほどもありましたけれども、今法案は、市町村が手を挙げてマンション等の除却や建て替えを求めていく現行の危険マンション勧告制度とは違って、区分所有者からの発意だからあくまで自治体の関与は少ないと、つまり公営住宅などの提供は求められないということであります。
二〇〇六年の住生活基本法の第六条でも、住生活の安定とその向上が健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤だとして、高齢者などの居住の安定の確保が図られなければならないと、こうされているわけですけれども、私はこの精神にも反するんじゃないかというふうに思います。
もう一つ、続けて確認しますけれども、今法案は、耐震不足のマンションに限定をして敷地売却を認める法改正でありますが、今後この対象を一般の老朽化したマンションに広げるつもりはあるんでしょうか。
○政府参考人(井上俊之君) お答え申し上げます。
先ほども御説明をいたしましたが、この法案を作るに際しまして、どういうマンションを要件にするかということについては、一方で事業を幅広くやって耐震化を進めたいという観点から検討もいたしました。しかしながら、例えば高齢者の方がマンションを買われて、買うときには分からない形で建て替えの話が進んでいたと。入居後一年たったら出ていかなければいけない。これは、財産権についてかなり侵害されると言っていいかどうか分かりませんが、財産権の保障という考え方からすると、従来でいえば難しい問題、慎重に検討すべき問題だというような議論をいたしまして、結果としまして、身体の安全、それから周りの方々にも迷惑を掛ける、危険をもたらす、加えて、昭和五十六年以前のマンションは耐震性がないということについては、かなり可能性については周知をされてきている、こんなことを勘案しまして、耐震性がないマンションに限ってこういう決議による売却ができるのではないかというふうに結論に至ったわけでございます。
そういう意味では、耐震性不足マンション以外のものを対象にするのは困難だと思いますし、また、国交省としても近い将来に、まあ未来永劫ということはとても言えないと思いますけれども、近い将来に耐震性不足マンション以外のものをすぐ加えていくということは今は想定しておりません。
○辰已孝太郎君 考えていないということであります。
私、一番危惧するのは、大手ディベロッパーは、この限定を外して拡大するようにということを求めているわけですよ。この大手ディベロッパーが中心になってつくっている老朽化マンション対策会議では、二〇一四年一月二十一日の提言でこう書いてあります。現行の建て替え決議制度以外に区分所有関係の解消制度が必要であることについてかねてから主張してきたが、この際、耐震性に問題のあるものに限定せず、社会的に陳腐化したマンションをも広く対象とし、劣悪な環境や不便を強いられているマンション居住者のニーズに広く答えるべきであると、こういうふうに求めているわけですから、私は、先ほどありました個人の財産権を侵すおそれのあるものですから、こういうものを拡大することがあってはならないというふうに言っておきたいと思います。
そこで、やはりこれからも長く住みたいという人にどれだけ良質な情報を提供して選択肢を広げることができるのかと、私はここが行政の頑張りどころではないかなというふうに思っております。
そこで、確認しますけれども、行政として、耐震診断、耐震改修を行おうとする管理組合に対して、費用やまたその工法についてどのような情報提供を行っているのか、簡潔にお願いします。
○政府参考人(井上俊之君) お答え申し上げます。
現行で、例えば東京都とか横浜市などの地方公共団体におきましては、マンションの耐震診断、耐震改修を促進するために、管理組合に対して広報、これは一般的な広報でございますが、加えて、ダイレクトメールの送付、それから戸別訪問、無料相談会、こんなことを開催しまして、様々な働きかけを行っているというふうに認識をいたしております。こういった取組、公共団体にとっても負担になる面もございますけれども、安全の確保という観点から、各公共団体がこういう取組を強化していただくようにお願いをしてまいりたいなというふうに思います。
あと、先ほどの、繰り返しになりますが、財団法人、社団法人等で専門的な相談に応ずる体制も現在取られていますので、これも充実をしてまいりたいと思います。
○辰已孝太郎君 充実という話でありましたけれども、今回のスキームでは、百六万戸のうち、今回の敷地売却では約十二万戸、約一割の建て替えを促進しようとするものでありまして、本来であれば改修しようとする、四十二万戸をこれ想定されるんですが、ここに一番の重点、力点が置かれるべきだと私は思っております。
最後に、一つ、耐震改修で紹介しておきたい事例を紹介させていただいて終わりにしたいと思うんですが、先日、大阪の枚方市というところにある築三十八年、三百八十戸の分譲マンションである労住まきのハイツというところにお邪魔をしてまいりました。ここの管理組合は、耐震改修の検討に当たり、基本的な方向性として鉄骨筋交い工法、あのバッテンのやつですね、これはもう見た目が悪いからやらない、もう一つは修繕積立金の範囲内でやると、こういうことを基本的に条件に挙げまして、その結果として鋼板パネル耐震壁というのを採用するということになったと。私、それも見てまいりました。
住民の皆さんは、当然、建築の素人であります。行政では、認められる工法などについて制約があったりして、住民の様々な要望に応えてもらえないのではないかという声も私聞いております。結局、この管理組合では、NPO法人に耐震診断と設計を行ってもらったと。工事の結果、Is値は〇・八から一・一にすることができるということであります。六千万円というローコストで耐震改修もできると。
その背景には、やはり専門家、施工会社と管理組合が信頼関係を築いて、管理組合、住民の方が合意形成を粘り強く行ってきたということに一番あると思います。区分所有者の合意形成を促して耐震改修を実現していくためには、やはり行政からの情報提供とそれぞれの信頼関係というのが一番大事だと思うんですね。
昨年、せっかく、せっかくですよ、様々な新たな耐震改修工法を認める法改正というのがされました。主な耐震改修……
○委員長(藤本祐司君) 申合せの時間が来ておりますので、ポイントを絞ってください。
○辰已孝太郎君 工法ですね、このマンション耐震化マニュアルというので例示してくれているわけですよ。だけど、これ、最後の改定が平成二十二年でしょう、四年前なんですよ。結局、法改正のものがここに反映されていないということになっておりますので……
○委員長(藤本祐司君) そろそろ終わってください。
○辰已孝太郎君 私は、二〇一〇年に改定されたきりで全く反映されてない、ほんまにやる気あるのかということを最後に申し上げて、耐震改修のためには全力挙げて私も頑張りたいということを申し上げて、終わりたいと思います。

反対討論を読む

○辰已孝太郎君 マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。
 本改正案は、法律の名称を「マンションの建替えの円滑化等」から「マンションの建替え等の円滑化」に変え、マンションの除却、敷地売却を推進するものであり、これまでの建て替えとは全く違う、法の性格そのものを変えてしまうものであります。
 反対する第一の理由は、現行法にあった危険又は有害な状況にあるマンションの建て替えの勧告制度等を廃止し、居住者に対する代替建築物の提供等の行政の関与を弱めているからです。耐震不足のマンションを建て替えではなく、いきなり除却、敷地売却を実施しようとするものであり、マンション敷地売却制度ありきにほかなりません。
 第二の理由は、居住者の住まいの安定よりもディベロッパーの利益が優先されるものになるからです。
 敷地売却制度創設と容積率緩和措置と相まって、一部のゼネコン、ディベロッパーに都市開発用地を確保させ、区分所有者に対する強要や管理組合に売却を求めるおそれがあります。
 第三の理由は、敷地売却に反対した五分の一未満の区分所有者、賃借人は意思に反して強制的に売却されることになり、生活基盤が失われるからです。特に、高齢者など資力を有しない区分所有者は再びマンションや戸建て住宅を購入するのは困難です。賃貸住宅入居でも契約締結を断られるなど、安心、安全な住居を確保できないことも予想されます。現在マンションに住んでいる人の過半数は永住を望んでいます。
 第四の理由は、改正案では、マンション耐震性不足を理由に、補償金を払えば賃借権を消滅させることができるとしており、借地借家法の正当事由制度を掘り崩すことになりかねないからです。
 最後に、マンションは必然的に老朽化しますが、その対応として、やみくもに建て替えを急ぐのではなく、管理して長く使うことを基本とするべきです。安心して住み続けられるためにも、修繕積立金の範囲内でできる耐震改修等、現実的な対策を取るべきであると指摘し、反対討論を終わります。