杭打ち不正問題で旭化成建材社長と国交大臣に質問 規制緩和を批判

2016年4月5日  

日本共産党の辰巳孝太郎議員は5日の参院国土交通委員会の参考人質疑で、横浜市都筑区のマンション基礎杭(くい)工事を担当し、杭打ちデータを偽装していた、2次下請け旭化成建材(東京都)の堺正光社長に質問しました。

辰巳氏はマンション建設地に従前の建物の残存杭が地中にあることを、元請け三井住友建設から知らされていたかと質問。堺氏は「情報はいただいてない」と答えました。杭の支持層(固い地盤)の傾斜などについても「情報の伝達はなかった」と述べ、辰巳氏は旭化成建材の責任とともに、「さまざまな情報を隠し持っていた三井住友建設の責任は重大だ」と強調しました。

また、辰巳氏は、規制緩和された建築確認申請問題について質問。杭打ちの着工が2005年12月27日で、杭の耐力を調べる「載荷(さいか)試験」を実施したのが06年1月26日だと指摘。試験結果を見ずに「確認済証」が交付、施工されたことを指摘し、「載荷試験は事後チェックでいいのか。安全軽視の規制緩和ではないか」と追及しました。

国交省は「設計時に安全側の数値で基礎杭の支持力を設定してその妥当性を施工時の載荷試験で確認する手法」と答弁。建築基準法上問題ないとの見解を表明しました。

辰巳氏は「(設計時より支持力の数値が下回った場合)途中で試験して構造計算をやり直すなんて大変なことはできない。安全第一で考えて載荷試験を事前にきちんとやらせるべきだ」と求めました。

2016年4月6日付「しんぶん赤旗」より引用

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○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
くい打ちデータ偽装、流用問題に関わって質問をいたします。
本年一月には、国交省は、関わった三社に対しまして、一次下請の日立ハイテクノロジーズ、二次下請の旭化成建材に営業停止十五日の業務改善命令を下し、また元請の三井住友建設は業務改善命令と指名停止一か月の処分が下りました。本来であれば、ほか二社を代表する方々にも委員会として話を聞く必要があったと思いますけれども、今日は旭化成と旭化成建材のお二人に来ていただきましたので、外部調査委員会の中間報告が提出をされておりますので、まずそのことに関わってお聞きをしたいと思います。
報告書では、敷地の地中には残存くいがあったということが報告をされております。また、従前に存在をしていた建築物がどのように解体をされ、どのようにくいを抜き、どのような処理をしたのかなどの情報は元請の三井住友建設から知らされていなかったという報告がされております。
旭化成建材に聞きますが、通常、そのような場合は、元請の三井住友建設から知らされるのが当然だと思いますけれども、どうですか。
○参考人(堺正光君) お答えします。一般論も含めてお答えさせてください。
一般的には、既存ぐいの処理がくい工事に影響があると設計者が認識されている場合は、既存ぐいの情報を持っている元請業者様から情報開示がなされ、撤去後の埋め戻しの方法、あるいは新規打設ぐいの支持力への影響等について相談を受けます。
先生の御質問でありました本件に関しましては、当時の状況を知る者へのヒアリング結果では、既存ぐいの情報はいただけておりません。
○辰巳孝太郎君 情報もなかったし相談もなかったということであります。この点、元請の三井住友建設の責任は私は重要だというふうに思います。
この中間報告にはこうも書かれております。工事日報には、掘削作業の過程で地中障害が見付かり、設計上のくいの打設箇所を変更している箇所が比較的多く見られると、こういう記述があるんですけれども、このことに関して旭化成建材の皆さんは三井住友に相談をされましたでしょうか。
○参考人(堺正光君) 当時の現場を知る者から聞きますと、確かにくいを打つ位置を変えたというような結果、日報等は聞いておりますけれども、どのような形で元請様の方に相談をしたかということの詳細までは、申し訳ございませんが、今私、承知しておりません。
○辰巳孝太郎君 関わって聞きますが、三井住友建設は、地盤調査の結果を踏まえて、くいの打設場所、各くいの長さ、各くいの仕様等を決定をしたわけでありますが、この判断の是非については旭化成建材としてどのように考えておられますか。
○参考人(堺正光君) 一般的には、支持層の傾斜などの問題がございますれば、設計者、元請業者から何らか指示されるが、当時はそのような情報の伝達はございませんでした。現時点で把握できている情報、これを当時得られておれば、くい打ち業者として、西棟、傾いていると言われる西棟の支持層が急傾斜していることが想定されるエリアについては更なる追加の地盤調査等の必要性を元請様と協議できていたかもしれないと今現在では思っています。
○辰巳孝太郎君 そう考えますと、様々な情報を隠し持っていた元請の三井住友建設の責任は重大だと私は思いますし、もう一つ確認をしますけれども、仮に今後、様々な情報が工事の過程によって、先ほどの工事日報の件もありました、いろんな障害があったということもありました、そういうケースの場合はきちんと元請に相談をするということを徹底するということでよろしいですか。
○参考人(堺正光君) 先生の御質問のとおり、今後そういうふうに改めてまいります。
○辰巳孝太郎君 ですから、三井住友の責任と、そして当時それをしていなかったやはり旭化成建材の責任も同時に問われなければならないというふうに思います。
次に、工法の問題を指摘をしたいと思います。
大臣認定制度は二〇〇〇年の建築基準法改悪に伴って新しく設けられたものであります。この大臣認定を一度取得をいたしますと、対象土壌など適用範囲が同じであれば現場での載荷試験とその図書、書類を省略することができるというふうになっております。大臣認定以外の工法を使うということになれば、現場で載荷試験を行う必要が出てまいります。この大臣認定の対象土壌にはれき質、砂質、粘土質、この三種類があります。
確認しますけれども、都筑区のこのマンションは粘土質に当たる土丹層ということが分かっておりますけれども、旭化成建材が工法として使用したダイナウイング工法はこの土丹層、つまり粘土質での大臣認定は取っておりません。なぜ大臣認定を取らなかったんですか。取っていれば現地での載荷試験は必要なかったわけですね。土丹は難しいという認識があったんじゃないですか、どうですか。
○参考人(堺正光君) 御指摘のとおり、対象として土丹層は対象にしておりません。
マーケットとして見たときに、関東であれば支持地盤は砂質地盤、それから砂れき地盤、この二つが圧倒的に多く、この二つの地盤での認定を取得すれば商売上のマーケットは相当広がるという考えの下にこの二つを対象として取りました。そういう意味では、土丹層というのは関東エリアで相当に少ない地層でございますので、これは対象としませんでした。
○辰巳孝太郎君 マーケットが小さいから取らなかったということであります。しかし、現実の施工では土丹層をこの大臣認定を取っていないダイナウイングで施工をしたということには変わりありません。ここに、本当にこの工法を使用することが正しかったのかという疑義が生まれてくるわけでありまして、もちろんこの工法をすると決めたのは三井住友建設でありますけれども、その工法の過程でどういう施工がされたのかというのも指摘をしていきたいというふうに思います。
このダイナウイング工法、プレボーリング拡大根固め工法といいますけれども、一般の埋め込みぐいと比べていわゆる根固め部が担う役割は非常に大きいと言われております。
日本建設業連合会や地盤基礎専門部会の提案でも、この根固め部の拡底部に焦点を当てた品質管理方法が求められると、こう記述をしております。
具体的に聞いていきますけれども、この根固め部について、この日建連は、特に土丹などの硬質粘土地盤では強度低下を招きやすく、速く掘削すると大きな土塊、土の塊となるため、細粒化するために掘削速度を落として羽根切り回数を増して、そして根固め液は注入量を増やして置換率を大きくする、そういうことをする必要があると、こう書いてあるんですが、旭化成建材に聞きますが、これは土丹層ということは分かっていたわけでありますから、このような回転数を増やして根固め液は置換率が大きくなる注入方法を採用したんでしょうか。
○参考人(堺正光君) 一般的に根固め部の強度がくいの支持力を発揮するために重要であるということは十分私ども認識しております。根固め液注入前に十分な支持層攪拌を実施し、健全な根固め部の築造、この対策を講じております。
本件、横浜のマンションにおきましても、土丹層においてはより丁寧に十分にこの攪拌をじっくりと実施するように指示しておったという現場のヒアリング結果も出ております。
以上でございます。
○辰巳孝太郎君 十分にじっくりというのは、一般的な工法よりもどれぐらい十分にじっくりやったということなんでしょうか。
○参考人(堺正光君) 申し訳ございません。数値で表せるデータを私、今持っておりません。
○辰巳孝太郎君 ですから、口頭で指示しただけで、本当に実際にそういう工法でやったのか、十分にやったのかということは分からないということであります。
二〇一二年の日本建築学会技術報告書にはこうもありますね。根固め部のソイルセメントの強度が低いと、くい先端から地盤への力の伝達が十分できず支持力低下が生じる、根固め部の強度低下に最も影響する要因の一つに支持基盤の細粒分がある、この細粒分を含むと根固め部のソイルセメントの強度が低い傾向が見られると。この細粒分というのは、粒径が〇・〇七五ミリ未満の土のことでありまして、つまり粘土のことであります。
確認しますが、この細粒分について、ソイルセメントの強度が低くなるという認識は当時ございましたでしょうか。
○参考人(堺正光君) 施工しましたのが二〇〇五年の時期だと思いますので、当時その認識を持っていたかどうかというのはちょっと、申し訳ございません、定かでございません。
○辰巳孝太郎君 つまり、このダイナウイング工法は粘土質の大臣認定も取っていない、そして、この載荷試験のときはそういう認識が、例えばソイルセメントの強度が低くなるんじゃないかという認識も定かではない、羽根の回転数を増やして根固め液の置換率を大きくなる注入方法、それを本当にしたかどうかも明らかでないと、こういうことであります。
確認しますが、この慣れない工法が今回のマンションの傾きに影響を与えたと考えませんか。
○参考人(堺正光君) 私どもでは、今現在、これがゆえのマンションの傾きというふうには思っておりません。現地で行われている調査の結果を踏まえて判断したいと思います。
○辰巳孝太郎君 根固めのありようについては、今後調査の中で明らかになっていくことだというふうに思います。
大臣認定制度について改めて確認しますけれども、これは政府に聞きます。この拡大根固め工法は支持層での土質が決定的になります。粘土といいましても、一つ一つの土質は現場で違ってまいります。大臣、確認しますが、このプレボーリング拡大根固め工法において、粘土質地盤の大臣認定を取得したものが幾つあって、そのうちこの土丹で載荷試験を行った認定工法は幾つありますか。
○国務大臣(石井啓一君) 基礎ぐいの支持力については、一つは国土交通省告示で示された算定式を用いる方法、二つ目には各建設地の実況に応じた試験による方法、三つ目には支持層の地盤の種類に応じて大臣認定を受けた算定式を用いる方法のいずれかにより算定することが求められます。
大臣認定では、支持層である先端地盤を砂質地盤、れき質地盤、粘土質地盤、腐植土地盤の四種類に分けて行っており、地盤の種類ごとに試験で確認された支持力を上限に認定を行っております。そのうち、粘土質地盤を先端地盤とし埋め込みぐい工法であるものは十七件認定されております。また、粘土質地盤のうち、いわゆる土丹、一般に硬い粘土質地盤でありますが、この土丹について載荷試験を実施し認定を受けたものは二件となっております。
○辰巳孝太郎君 土丹で行ったのは二つしかないんですね。ですから、先ほど日建連からも、土丹などの硬質粘土地盤では強度低下を招きやすいという指摘があるわけであります。
これでどうやって正確な性能評価をするんだと。二つしかしていないわけですよ。そもそも大臣認定制度そのものが試験や審査を簡略するためのものでありましたけれども、この規制緩和が安全を脅かしていると言われても仕方のない状況だというふうに思います。
この載荷試験の在り方について、もう少し掘って聞きたいと思います。不可解なのは、くい打ちの着工は二〇〇五年の十二月二十七日であります。そして、この載荷試験で支持力を確認したのは翌年、二〇〇六年の一月二十六日であります。載荷試験より前にこのくい打ち工事が始まっていたということであります。くい工事が完了したのが二〇〇六年の三月十日であります。また、載荷試験の報告書が提出されたのがその後の三月二十三日ということであります。検査機関である日本ERIにこの検査済証が交付されたのは二〇〇五年の十一月二十八日ですから、これ、載荷試験の結果を見ずして確認済証というのが交付をされているということでありますけれども、国交省、これ、こんなこと許されるんですか。載荷試験は事後チェックでよろしいんですか。
○政府参考人(由木文彦君) お答えいたします。
横浜市都筑区のマンションにおきましては、設計時には安全側の数値で基礎ぐいの支持力を設定いたしまして、その妥当性を施工時の載荷試験により確認をするという手法が採用されております。具体的に申し上げますと、設計時には、過去にこの工法を別の地盤において用いた際の載荷試験の実績等を踏まえまして、基礎ぐいの支持力を安全側に設定して設計をいたしております。建築確認の申請時には施工時に載荷試験を改めて行い、支持力の確認を行うことということを設計図書に明示をした上で申請がなされ、確認がなされております。
実際に行われました施工時の確認につきましては、工事の初期に敷地内で施工いたしました試験用のくいを用いて載荷試験を行いました結果、設計時の想定を上回る支持力が確認をされております。また、こういった試験を実施した妥当性につきましては、指定確認検査機関によりまして中間検査がなされた際にその妥当性が確認をされているところであります。
以上のような点から照らしまして、特に建築基準法上の問題はないものというふうに考えております。
○辰巳孝太郎君 これ、とんでもない話だと思いますよ。安全側の数値入れているから大丈夫なんていう話にはなりません。姉歯の構造計算偽造事件を国交省が明らかにして、建築確認申請の在り方が問われたのがまさにこの二〇〇五年の十一月なんですね。にもかかわらず、事後チェックを認めているということであります。
この規制緩和、二〇〇一年以前であれば、これ、工法ごとに告示で決められた係数から算出された支持力で計算をするか、それ以上の支持力での計算を望むならば一々載荷試験を行って実際の数値を算出することが必要でありました。
この載荷試験は大臣の認定を取得する必要がまずあって、この結果を待って建築確認申請をする必要があったと。これ、間違いないですね。イエスかノー。
○政府参考人(由木文彦君) お答えいたします。
平成十三年以前は支持ぐいの支持力を算定する方法は現在と違っておりまして、通常は、現在とこれは同じでございますけれども、告示で算定式を用いる方法と、それからくいの載荷試験の結果に基づき大臣が認めた数値を用いる方法、通常はこの二つの方法により行われております。
ただ、くいの周辺に軟弱な地盤がないという場合に限っては建設地での載荷試験に基づく数値を用いることが認めておりましたので、その場合には、限定的ではございますけれども、本件と同様に、設計時には安全側の数値を設定して、その妥当性を施工時の載荷試験により確認することができたという道も、一部ではございますが残っておりました。
○辰巳孝太郎君 ですから、基本はまず大臣の認定をもらわないと確認申請もらえないということなんですよ。
大臣認定制度というのは、指定性能評価機関において一定の性能を有していることのお墨付きを与えて図書の省略を許すものでありました。一方で、認定工法以外のものは載荷試験で支持力を確認するから安全だと、ここでお墨付きを与えるものであります。しかし、政府の説明であれば、大臣認定工法以外でも載荷試験の結果を待たずに建築確認申請ができて、工事の実施も可能だと。私は、これこそ安全軽視の規制緩和だと、運用だと言わなければならないと思います。
大臣、本来は載荷試験の結果を付して建築確認申請することが望ましいと考えないんですか。
○国務大臣(石井啓一君) 各建設地の実情に応じて基礎ぐいの支持力を設定する場合には、敷地の状況等により可能な場合には設計前に載荷試験を行うことが望ましいと考えております。しかしながら、土地の権利関係の移転や既存建築物の撤去の時期などの関係上、載荷試験を設計前の段階で行うことが困難な場合もあることから、法令上、載荷試験の時期については特に規定をしておりません。
載荷試験を設計前に行わない場合でありましても、設計時に過去にその工法を別の地盤において用いた際の載荷試験の実績等を踏まえて安全側の数値を設定して設計を行った上で、確認申請時には施工時に載荷試験を行い支持力の確認を行うことを設計図書に明示し、工事の初期に実際に敷地内で施工した試験用のくいを用いて載荷試験を行い、設計時の設定を上回る結果を得た上で、その載荷試験の妥当性について中間検査等において確認された場合には、建築基準法上の問題が生じるということはございません。
なお、仮に載荷試験の結果、設計時に設定した支持力を下回った場合には、載荷試験で確認された支持力により構造計算をし直し、必要に応じてくいの本数の追加等の設計変更を行うことになります。
○辰巳孝太郎君 時間が来ましたけれども、途中で載荷試験をして構造計算やり直してくいの本数変えるなんて、そんな大変なことなかなかできないですよ。やっぱり安全第一で考えて、載荷試験をきちんとやらせる、それで確認申請やらせると、そういうことにしなければならないというふうに申し上げて、私の質問を終わります。