日本共産党 衆院比例 近畿ブロック たつみコータロー

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国会会議録

ODA新大綱は軍事支援拡大のおそれあり 撤回を要求

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以下、しんぶん「赤旗」の記事を転載します。

2015年4月12日(日)

軍事支援拡大の恐れ

辰巳氏「新大綱は撤回せよ」

写真

(写真)質問する辰巳孝太郎議員=6日、参院ODA特

日本共産党の辰巳孝太郎議員は6日の参院政府開発援助(ODA)特別委員会で、災害救助などの非軍事目的で他国軍への支援を盛り込んだ新ODA大綱(開発協力大綱)について「歯止めなく軍への支援が拡大する恐れがある」と批判し、撤回を求めました。

辰巳氏は、イラク戦争後の治安悪化が続く2004年に政府がイラク内務省に無償供与した警察車両1144台について、現在の状況を確認しているかと質問。岸田文雄外相は「公館を通じ、適切に使用されることを先方政府と確認している。フォローアップ(追跡調査)には努めていきたい」と述べ、現状は確認できていないことを認めました。

辰巳氏は、当時のイラク内務省が誘拐や拷問、虐殺を行っていたことが国連で報告され、日本が供与した警察車両が内戦を助長している懸念があるとのNGOの指摘を紹介。「軍事転用されかねず、転用の検証もできないということだ」と強調しました。

さらに辰巳氏は、新大綱下で最初の予算案ではインフラ輸出支援が2・1倍に増えており、今後、原発輸出のためにODAを用いた途上国への研修事業を再開するのかと追及。岸田外相は「途上国のニーズや要望を総合して実施を決定する」と答えました。

辰巳氏は「国際協力と言いながら、原発利益共同体が利益を得るための活動はやめるべきだ」と求めました。


以下、会議録を掲載。

議事録(原発輸出支援)を読む

○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
二月十日に閣議決定された新しい開発協力大綱の下での最初の予算案であります。
新しい大綱では、国益の確保やODAの積極的、戦略的活用を強調し、予算案でも、インフラシステム輸出支援の予算を六百六十六億円も計上しております。これ、前年度の三百十八億円から二・一倍に増やすなど、我が国の大企業の利益を優先させる姿勢が表れていると言わなければなりません。
私は、この安倍内閣が推進する原発輸出について今日は質問をいたします。
これまで原発の新規導入予定国を対象とするJICAの原子力発電基盤整備計画研修が行われてまいりました。一九八五年以降、これまでの受入れ実績と予算総額を述べてください。
○政府参考人(石兼公博君) お答え申し上げます。
JICAの課題別研修、原子力発電基盤整備計画コースは、原子力発電を新たに導入しようとする国に対し安全面、運用面、環境社会配慮など、導入に際しての諸課題について包括的な研修を行うことを目的として実施しております。
実績でございますが、本研修は、昭和六十年、一九八五年度以降、平成二十四年度、二〇一二年まで名称変更、コース内容の調整等を行いながら断続的に実施してきておりますが、原子力発電基盤整備計画コースとなりました平成十九年、二〇〇七年度以降平成二十四年度まで累計四十六名を七か国から受け入れております。
また、費用につきましては、直近の平成二十四年度は約八百六十万、平成十九年度以降平成二十四年度までの累計申し上げますと、約五千四百万円を支出してきているところでございます。
○辰巳孝太郎君 それだけのODAのお金が支出をされているということであります。
この原子力発電所新規導入予定国が対象だということでありますけれども、これは電気事業、エネルギー供給上及び環境面における原子力発電の必要性を理解する、パブリック・アクセプタンスについての講義、視察をやるという事業の内容になっております。茨城県での二か所、福井県での二か所の原子力PR施設の視察も行っているわけであります。
そして、このJICAが委託をしている海外電力調査会というところでありますけれども、この調査会は国内電力事業者十二社を会員として、会長は東京電力の副社長だった相澤氏であります。この相澤氏はホームページの会長挨拶で、発展途上国の原子力導入に対する技術協力を進めると、こう述べているわけであります。完全に原発推進の立場で行われる研修だと言わなければなりません。
二〇一一年に福島原発事故が発生した後も続けていますけれども、これについての反省はないんですか。
○政府参考人(石兼公博君) 平成二十三年、二〇一一年三月の東日本大震災、この発生の後は震災の経験あるいは教訓を踏まえまして、原発事故の原因、あるいは事故後の対応を含め、原子力開発と安全性の問題、これに関する講義を新たに追加するなど、一層安全面に配慮した形で実施しております。
○辰巳孝太郎君 安全面を強調されるわけなんですけれども、改めて経産省に聞きたいと思いますが、この研修の主な委託先である一般社団法人の海外電力調査会は、設立以来専務理事として原発を推進する経産省からの天下りを受け入れていますね。
○政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。
お尋ねのありました海外電力調査会でございますが、昭和三十三年に社団法人として設立されたものでございます。以来、これまで専務理事八名おられますけれども、そのうち昭和四十五年以降七人が経済産業省出身者でございます。
○辰巳孝太郎君 七名が経産省出身ということで、明らかに天下り先になっているわけですね。福島の事故以降、電力会社への天下りというのは自粛をされているわけでありますが、電力会社からの会費で成り立っているこの海外電力調査会には相変わらず天下りをしているということであります。
そして、この研修、安全のための研修だと繰り返されているんですけれども、じゃ、この研修を実施する側である海外電力調査会がこの研修をどのように位置付けているのかということであります。
二〇一〇年の十月に、当時の原子力安全・保安院が開催した原子力安全規制情報会議で海外電力調査会の部長が報告をした資料があります。ここではこう書いてあります。JICAの研修は、原子力導入のための基礎知識、人材育成支援と、こう位置付けているわけであります。そして、その後は、建設、運転の技術支援、二国間協力へと移行、強化していると、こういうふうに書いてあるわけであります。
外務大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、今、安倍内閣は原発を含むインフラ輸出を成長戦略に位置付けて積極的に推進をしております。今後、原発輸出のためにこのODAの研修を再開する予定というのはあるんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の研修ですが、我が国の経験、技術、又は震災での教訓、こうしたものを生かし、原子力発電を新たに導入しようとする国に対して様々な面で課題等について包括的な知識を習得せしめるため実施してきたものであると承知をしております。
そして、この事業につきましては、途上国の開発課題あるいはニーズ、また途上国側からの要望、また過去の研究の裨益効果、こうしたものを総合して実施を決定すると承知をしております。実施につきましては、総合的な考慮の中で検討していくことになると存じます。
ちなみに、二〇一三年、平成二十五年度においては、本研修、実施するのに十分な要望が集まらなかった等の理由によって中止をされていると承知をしております。
○辰巳孝太郎君 二〇一三年度はやらなかったということですけれども、あくまで、募集はしたけれども要望がなかったというだけの話で、これやるつもりだったわけですね。要望があればという話ありましたけれども、こんなもの要望があってもやっちゃ駄目ですよ。大体、福島の事故によって今でも十二万人を超える人たちがふるさとに戻れず、避難生活を余儀なくされております。福島の原発事故というのは、いまだに事故の収束もできずに、原因究明もできておりません。
国際協力と言いながら、ODAを使って電力業界、原発メーカー、建設業界など、原発利益共同体が原発輸出で利益を得るための研修というのは今すぐにやめるべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。

議事録(新ODA大綱)を読む

○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎です。
政府がインフラ支援のモデルケースと位置付け、二〇一三年から官民を挙げて進めているミャンマーのティラワ開発事業について、先ほど同僚議員からもありましたけれども、地域住民が貧困に陥っていると訴えている件についてお聞きしたいと思います。
昨年の六月、住民三名が来日し、JICA環境社会配慮ガイドラインに基づき異議の申立てを行いました。申立ての主な内容は、早期開発区域の四百ヘクタール事業に伴い移転を強いられた八十一世帯や周辺の住民が被る可能性のある実質的な損害について、強制的な追い出し、生計手段の喪失、生活の窮乏化、教育機会の喪失などを挙げております。
企業の利益を優先して住民を貧困にするような進め方は私は改めるべきではないかと思うんですけれども、大臣の御所見をお伺いします。
○国務大臣(岸田文雄君) このティラワの経済特区開発事業における住民移転ですが、住民の意思等に十分な配慮を行った適切な措置が確保されることが重要であるという認識は大切であると思っております。
そして、この住民移転により住民の生活水準が悪化しないよう努めることはJICAの環境社会配慮ガイドラインに定められており、これまでも同ガイドラインに沿った対応をミャンマー政府に申し入れ、そしてJICAを通じた技術支援を行っています。基本的な対応はこれは相手国政府ではありますが、我が国としましても、今申し上げました観点からしっかりとミャンマー政府に申入れを行い、技術支援を行っていきたいと考えています。
そして、御指摘の次期開発区域における住民移転につきましても、今後、ミャンマー政府が住民移転に向けた具体的な準備を行うに当たり、対象住民と丁寧に対話を行いながら適切に生計回復支援等を策定するよう、日本として必要な支援、働きかけ、行ってまいりたいと考えております。
○辰巳孝太郎君 丁寧な支援ということなんですけれども、しかし、この異議申立てでは、更に残りのこの二千ヘクタールの開発に伴って千五十五世帯が移転に直面をする、より多くの人々が同様の影響を被る脅威にさらされているとしておりまして、大規模な住民移転に当たり住民が困窮しては絶対ならないというふうに思います。
ガイドラインは遵守されているということだと思うんですけれども、しかし、この調査の報告書に対し、二〇一四年の十二月に当事者からの意見書も更に提出をされました。内容を見てみますと、例えばこの調査、審査をした役はJICAの専門家や通訳と現地調査を行っておりとして、これ中立性がないんじゃないか、村人の不信の原因になっているんじゃないか、もっと詳細で正確な情報を聴取することができたんじゃないかと、こういうことも述べているわけであります。また、当事者の意見書に添えられた国際NGO人権のための医師団が行った調査報告書では、別の調査ですね、住民が移転しない場合には拘禁すると住民を脅しており、移転のプロセスは国際ガイドラインを遵守していないと、こう指摘をして報告をしているわけであります。
また、このJICAのガイドラインの作成にも携わったNGO団体メコン・ウォッチからの意見では、申立人が審査役から受領した通知や報告書は、この申立人が理解のできない言語、つまり英語で情報提供されたというところも指摘をされております。JICAの意思決定前の遵守状況というのを検証して結論を論じるべきではなかったのか、JICAの異議申立て制度自体の独立性に疑問を抱かざるを得ない調査結果であると、ここまで指摘しているんですけれども、大臣はこの結果をどう受け止められますか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、こうした事業におきまして、JICAの環境社会配慮ガイドラインに沿った対応、これは大変重要であり、まずはミャンマー政府にこうしたガイドラインを尊重すること、こうした事業における国際的な水準についてしっかり理解をしてもらうべく努力をしていかなければならないと考えます。
そして、ミャンマー政府をしっかりと支援していかなければならないわけですが、その際の対応として、やはり地元の住民の方々の理解、協力、これを欠くことはできません。我が国の対応としても、住民の皆さん方の理解という観点からも、できるだけ丁寧にあるべき対応を考えていかなければならないと考えます。
○辰巳孝太郎君 ミャンマー政府の問題というよりも、このJICAの異議申立て制度自体の問題というのを指摘されているわけですから、ここは重く受け止めるべきだと言わなければならないと思います。
やはり、我が国にとっての重要性というのを過度に優先をして、今回の大綱ですね、支援を受ける国、貧困状態にある人たちにとっての必要性というのは二の次になっているのじゃないかと言わざるを私は得ないと思います。開発援助の第一の目的である援助対象国の自立的発展の実現と、貧困そして格差の解消と私は矛盾した開発というのは改めていく、考えていくべきだというふうに指摘しておきたいと思います。
次に、新しい大綱では、他国の軍隊そして軍人に対する支援も明記をしたわけであります。非軍事的目的に限定するとしていますけれども、これが、歯止めなく軍への支援が拡大するおそれがあります。NGOからも、軍事転用されないかきちんとモニタリングをして、その情報を公開すべきと指摘をされております。二〇〇四年にイラクの内務省に対して、これはODAですよ、緊急無償資金協力として一千百四十四台の警察車両の供与を行っておりますけれども、この車両は今どうなっているのか、モニタリング検証は当然行っているんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 二〇〇四年のイラクに対する警察車両供与支援についてですが、二〇〇三年のイラク戦争後、当時のイラク内務省は、警察官等の訓練、配置などによる警察組織の再建を進めていましたが、車両等の基本的な資機材が不足していたことから、我が国は二〇〇四年一月に、平成十五年度緊急無償、警察車両供与計画を決定し、警察車両を供与することといたしました。
供与に当たっては、所管の公館を通じて警察車両が適切に使用されることを先方政府との間に確認をしています。我が国が供与した警察車両は、国内の警察活動に活用するためイラク国内の警察署や国境警察に配備をされました。
こうした車両の耐用年数ですが、周辺地域の実例を見ますと六年から七年ということのようでありますが、引き続きましてこのフォローアップには努めていきたいと考えております。
○辰巳孝太郎君 いや、この一千百四十四台はどこに行ったのか、廃棄をされたのか、また別のところに配置をされたのかという事後評価はされているんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) こうした使用につきましては、今申し上げましたように、所管の公館を通じてこの適正な使用を確認をいたしました。そして、それに基づいて使用が行われたと承知をしております。そして、今後ともこのフォローアップについては努めていきたいと考えております。
○辰巳孝太郎君 そもそも、当時のイラクの状況というのは治安が非常に悪いわけですね。だからこそ緊急で支援をしたということだと思うんですが、しかし当時の内務省はシーア派の政党であるイラク・イスラム革命最高評議会が牛耳っておりまして、非常に危険な状態にあったと。これは、NGOと外務省のODA政策協議会においてもNGOから指摘をされております。この内務省は、ODA警察車両を送った内務省は、当時、誘拐や拷問、虐殺が中心に行われていたということも国連の人権報告で報告をされていると。そういうところに支援することは非常に注意をしていかなければならないということを、このNGO団体も指摘をしているわけであります。
結局、こういうところに送ってしまうとどういうものに使われているか分からないということでありまして、当時、アフガニスタンにも同様の無償協力というのをやっておりますけれども、カブールに送ったものが別のところに、地方に送られていたと、そういう報告もされているわけで、私は、これは軍事に転用されかねない、それの検証もできないと言わなければならないと思っております。
新しい大綱には戦略的に治安維持の強化や外国の軍への支援まで行うことまで盛り込まれているわけでありまして、国際平和や人間の安全保障の実現を阻む事態を生みかねないと指摘しなければなりません。私はこの閣議決定の撤回を求めて、質問を終わります。