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国会会議録

特定大企業に国費投入 ラピダス支援法案審議入り 辰巳氏が批判

2025年03月25日

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(写真)質問する辰巳孝太郎議員=25日、衆院本会議

ラピダスなど半導体大企業に10兆円以上の公的支援を行う、ラピダス・半導体産業支援法案が25日、衆院本会議で審議入りし、日本共産党の辰巳孝太郎議員が質疑に立ちました。

辰巳氏は、これまでの政府の政策が国内の半導体産業の衰退、大企業の内部留保拡大を招いただけで、半導体メーカー・エルピーダメモリ破綻で公的資金の約280億円が毀損(きそん)した際、政府の誰も責任を取らなかったと告発。法案で政府が出資を想定するラピダスは1社の取引先も1円の売り上げの見込みも立っていないとし、「同じことを繰り返すのか」と追及しました。

辰巳氏は同法案で、▽中小企業支援のための基金からの国庫返納金▽商工組合中央金庫(商工中金)の政府保有株の売却収入―が半導体産業支援に流用されようとしていることなども指摘。「中小企業支援に使うべき予算を一握りの半導体大企業のためにむしり取るなど許されない」と批判しました。

ラピダスへの「国費投入」「日米連携」の方向性を決めた経済産業省の「戦略検討会議」座長は、同社の東哲郎(ひがし・てつろう)会長が2021年から務めており、「あからさまな利益誘導だ」と断じました。

さらに辰巳氏は、米国に従属し、特定大企業に際限なく国費を投じる同法案を批判し、政策の転換を要求しました。

東会長の「重要な部分は国防の領域」「まずアメリカに届ける」との発言を示し、同社が赤字になっても米国言いなりで止められず、赤字が国民負担になると批判。将来にわたって同社の半導体を軍事利用させないよう明確な歯止めが必要だと強調し、「経済安保」の名のもと米国に従属し特定国を敵視する政策は、多くの半導体製造装置・素材を中国などへ輸出する日本産業の強みも危うくすると警鐘を鳴らしました。

武藤容治経産相は「政府が将来の販売先について制限を課すことは慎重であるべきだ」などと軍事利用の「歯止め」設置を拒否しました。

2025年3月26日付「しんぶん赤旗」より引用

議事録を読む

○辰巳孝太郎君 私は、日本共産党を代表して、いわゆるラピダス・半導体産業支援法案について質問をいたします。
法案は、ラピダスやTSMCなど、一握りの半導体企業に十兆円以上もの公的支援を行うものです。
ならば、問いたい。我が国半導体産業の衰退をもたらした日米半導体協定の対米従属、産業空洞化と大リストラによる技術流出などの教訓は、どう生かされているのですか。九九年の産活法以来、投資減税や設備投資、研究開発の補助金で大企業のリストラ、人減らしを支援してきましたが、結局、大企業の内部留保を蓄積させただけで、賃金は上がらず、国内投資を一向に拡大させなかったではありませんか。
その上、事もあろうに、二月十四日の予算委員会で、武藤経済産業大臣は、半導体メーカー、エルピーダメモリが破綻し、公的資金の約二百八十億円が毀損した際、政府、経産省の誰一人として責任を取らなかったことを認めました。驚くべきことです。
今回の法案で政府が出資を想定するラピダスは、一社の取引先も、一円の売上見込みも立っていません。また同じことを繰り返すのですか。赤字で破綻したら、国民負担など断じて容認できません。答弁を求めます。
法案は、回路線幅二ナノメートルの半導体の研究開発のための国の施設設備を、ラピダスの量産のために、そっくり譲渡するものであります。さらに、政府出資、債務保証、税負担の軽減と、至れり尽くせりです。中小企業への補助金の多くには、利益が出た場合に国庫に納付させる収益納付規定がありますが、ラピダスにはありません。どうしてですか。
また、法案は、中小企業支援のための基金からの国庫返納金、商工中金の政府保有株の売却収入を半導体支援に流用しようとしています。中小企業支援に使うべき予算を一握りの半導体大企業のためにむしり取るなど、許されません。
ラピダスと経産省の癒着の問題も重大です。
同社への国費投入、日米連携、量産支援の方向性を決めてきた経産省の半導体・デジタル産業戦略検討会議の座長を二〇二一年以来今日に至るまで務めるのは、同社の東哲郎会長です。その人物が経営する企業に兆円規模の国費を投入し、国有財産を譲渡するために法を改定するなど、あからさまな利益誘導ではありませんか。公共政策をゆがめる癒着がまかり通ることがあってはなりません。答弁を求めます。
なぜ政府はラピダスにこれほどの巨額の支援を行うのか。ラピダスの東哲郎会長は、二〇二三年十月、重要な部分は何かというと、国防の領域、そういう半導体を我々はまずアメリカのお客さんに届けるということをしなければならないと発言しています。仮にラピダスが赤字になっても、アメリカの言うがまま止められず、赤字が国民負担になるのではありませんか。将来にわたって、ラピダスの生産する半導体の軍事利用はさせないと、明確な歯止めが必要です。答弁を求めます。
経済安保の名の下に、米国に従属し、特定の企業に際限なく国税をつぎ込んでいく産業政策では、真の半導体産業支援にはなりません。日本は半導体の製造装置や半導体の素材に世界トップクラスのシェアを誇り、中国を始め諸外国に多く輸出しています。経済安保を振りかざし、特定国を敵視する政策は、日本産業の強みをも危うくするのではありませんか。日本の半導体産業のためにも、米国追随をやめ、日本産業の強みを生かした政策へと転換すべきだということを申し上げて、質問といたします。
○国務大臣(武藤容治君) 辰巳議員の御質問にお答えをさせていただきます。
半導体政策を含めた産業政策や技術流出に関する教訓についてお尋ねがありました。
我が国の半導体産業の凋落と、そのことによる人材、技術の流出については、貿易摩擦の結果として締結した日米半導体協定など、政府の政策にも一定の責任があると考えており、真摯に反省をしております。
現在の半導体政策は、こうした反省を踏まえ、米国を始めとする同志国、地域の政府や民間企業と連携しながら展開しています。
具体的には、TSMC等の海外のトップメーカーと連携して国内での供給体制を強化しているほか、ラピダスプロジェクトにおいては、IBMや世界トップレベルの半導体研究機関、imecと連携して取り組んでいます。
また、支援決定に当たっては、重要な技術にアクセスできる従業員を制限し、賃金等の相応の待遇を確保することを求める等、人材や技術の流出の対策を講じています。
また、御指摘の産活法については、中核的事業への選択と集中を促す事業再編支援を始めとした各種支援策を講じたものであり、企業の生産性向上に寄与してきました。
さらに、企業がコストカットに注力し、設備投資や人への投資を抑制したという課題に対応するため、現在、経済産業省では、DX、GX等の戦略分野における国内投資の促進や、人的資本経営の推進等を通じた人への投資の後押しに取り組んでおります。経団連からも、二〇三〇年度百三十五兆円、二〇四〇年度二百兆円という新たな国内投資目標が示されており、官民でこの実現に向けて取り組んでまいります。
エルピーダメモリの破綻に関する政府の責任やラピダスプロジェクトの失敗の可能性についてお尋ねがありました。
政府の政策は、その時々の社会経済情勢を踏まえ、必要かつ適切と判断したものを組織的に決定、実施しています。
結果として、必ずしも期待された成果が上がっていない政策が存在することは事実であり、重く受け止めなければなりませんが、その要因等をしっかりと検証し、次の政策立案に反省を生かすことが政府の責任であると考えております。
例えば、エルピーダメモリの事例では、国内企業同士の統合を優先した結果、海外の競合他社と差別化ができず、政府としても十分な支援を機動的に実施することができなかった反省がありました。
そこで、ラピダスプロジェクトでは、米国のIBMやベルギーのimecといった海外トップクラスの機関との密な連携や、機動的に適切な規模の支援を実施できるよう、本法案により、AI、半導体分野へ七年間で十兆円以上の公的支援を行う財源フレームを措置するなどの施策を実施しています。
顧客獲得については、国内外の複数の企業がラピダスとの連携を表明するなど、着実に進展しています。また、製造技術の開発状況等については、昨年十月に実施した外部有識者による委員会で順調に進捗していると評価されています。
経済産業省としては、今後も、半導体の技術や経営などの外部専門家等を交えて事業計画等を精査し、事業の進捗を確認する中で、想定外のリスクの兆候なども早期に把握するようにしながら、成功に向けて全力で取り組んでまいります。
ラピダス支援に収益納付規定を設けていない理由と、中小企業関連の基金の国庫納付金や商工中金の株式売却収入を半導体支援に活用する理由についてお尋ねがありました。
ラピダスへの研究開発支援については、補助事業ではなく、国として必要な事業を委託事業の形で実施してきました。委託元であるNEDOが建屋や設備の所有権を有しているため、ラピダスに対して収益納付は求めておりません。
他方で、本法案に基づいて選定された事業者に対し、委託研究開発に基づく設備等について現物出資等を行った場合、適切なタイミングで株式を売却することなどにより、公的資金の回収を最大限図っていくことを想定しています。
また、中小企業が生産性向上と成長を加速する上で、DXの推進が重要になりますが、それを支える基盤が半導体とAIです。半導体やAIの支援によって中小企業にも裨益することから、他の国庫納付金と併せて、中小企業関連の基金の国庫納付金や商工中金の株式売却収入を半導体、AI支援に活用することとしています。
ラピダスの東会長への利益誘導についてのお尋ねがありました。
東氏が座長を務める半導体・デジタル産業戦略検討会議は、半導体産業支援の目標やその達成に向けた全体戦略、技術動向等を踏まえた政策の方向性について、幅広い専門家に情報共有と意見交換をしていただく場でありまして、個別案件の支援内容や予算額等を検討いただく場ではありません。
個別案件については、例えば、御指摘のラピダスプロジェクトであれば、国の研究開発計画に基づき公募し、利害関係のない外部有識者に審査いただいた上で支援を決定をし、あらかじめ設定したマイルストーンの達成状況についても毎年厳正に確認いただくなど、適切に予算執行を行っており、東氏への利益誘導との御指摘は当たらないと考えています。
なお、本法案の制度設計は、産業構造審議会に設置した次世代半導体等小委員会で検討したものであり、支援対象事業者については、本小委員会の意見を踏まえ、事業計画等を精査した上で決定することとしています。
ラピダス社の赤字が国民負担になるのではないか、生産する半導体の軍事利用への歯止めが必要ではないかとのお尋ねがありました。
ラピダスプロジェクトは、半導体の技術や経営などの外部専門家等を交えて事業計画等を精査し、適切なマイルストーンを設定した上で、事業の進捗を確認しながら、必要な対応を行ってまいります。こうした取組を通じて、できる限り国民負担が発生しないよう努めてまいります。
また、ラピダス社からは、現時点では軍事への利用という想定はしていないと聞いています。加えて、政府がラピダスの将来の販売先について制限を課すことは、支援の目的や営業の自由等の観点から慎重であるべきだと考えております。
いずれにせよ、経済産業省としては、ラピダスを含めて、海外への先端半導体の輸出については、国際社会の平和及び安全の維持を期する観点から、引き続き厳格な輸出管理を行ってまいります。
経済安保を振りかざし、特定国を敵視する政策はやめるべきとのお尋ねがありました。
半導体は、チップの設計、製造から、製造装置や部素材、原料に至るまで、多様な産業や技術領域からサプライチェーンが構成されており、一国だけで全てを賄うことは困難です。
このため、経済産業省としては、同盟国、同志国等とのグローバル連携を推進しています。
また、安定供給が特に重要となる半導体や製造装置、部素材等の国内生産基盤の整備を支援し、安定的な供給の確保に取り組んでいますが、特定国を敵視する政策との御指摘には当たりません。
以上でございます。