日本共産党 衆院比例 近畿ブロック たつみコータロー

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国会会議録

業界介入許す意見交換 辰巳氏、規制委批判 衆院原子力特委

2025年04月10日

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(写真)質問する辰巳孝太郎議員=10日、衆院原子力特委

日本共産党の辰巳孝太郎議員は10日、衆院原子力問題調査特別委員会で、原子力規制委員会が事業者側の求めに応じて設置した建て替え原子炉の審査に関する意見交換会について、「『規制の虜(とりこ)』が繰り返される事態だ」と批判しました。

原発回帰を鮮明にした政府は、今年2月に閣議決定した第7次エネルギー基本計画で、廃炉を決定した原発を所有する事業者の原発内での「次世代革新炉」への建て替えの具体化を進めるとしています。

これに関連して、電力事業者や原発メーカーからなる「原子力エネルギー協議会(ATENA)」は、開発・設置を狙っている「革新軽水炉」の「規制の予見性」を高めたいとして原子力規制委員会に意見交換を要求。それを受け規制委は、昨年10月、実務レベルの意見交換会の設置を決定しました。

辰巳氏は、ATENAが「革新軽水炉」と呼ぶが、規制委が「建て替え炉」と呼んでいる理由をただすと、規制委の山中伸介委員長は「本質的には既存の技術の延長上にある」と答弁。さらに今の規制基準の要求が適用できるかとただしたのに対し、山中氏は「基本的には現行の規制基準の枠内で審査ができる」と答えました。

辰巳氏は「わざわざ意見交換の必要はない」と強調し、ATENAの狙いが、今回の意見交換会を皮切りに、新技術等の適用促進に向けた事前確認制度を広げていくことだと指摘。「規制側をどんどん取り込んでいく気だ」として、意見交換会をやめ、原発ゼロに向かうべきだと迫りました。

2025年4月11日(金)付「しんぶん赤旗」より引用

議事録を読む

○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
二〇一一年の原発事故を受け、原発行政において最も反省し、教訓としなければならないことは、原子力を規制する側が推進する側の論理に取り込まれてしまうとりこの構造、規制のとりこを二度と繰り返してはならないということだというふうに思います。山中規制委員長に確認をします。そういうことでよろしいでしょうか。
○政府特別補佐人(山中伸介君) 二度と規制のとりこにはなってはいけない、規制当局自身がそれを肝に銘じて決意を示さなければならないというふうに考えておるところでございます。
○辰巳委員 かつて、吉井英勝衆議院議員は、まさにこの国会で何度も何度も全電源喪失などの可能性を指摘をして、冷却機能を失った原発の危険性を警告し続けましたけれども、規制のとりことなった行政は聞く耳を持ちませんでした。そして、そのとおりの大事故を招いてしまいました。今、その規制のとりこが繰り返される事態となっているということを私は厳しく指摘をしなければなりません。
私は、今年決定された第七次エネルギー基本計画を見て驚きました。これまでにあった原発依存度の低減という文言が消えて、原発の最大限活用という文言が躍っていたからであります。同時に、第六次エネルギー基本計画にはなかった次世代革新炉の開発、設置が盛り込まれております。
次世代革新炉のうち革新軽水炉は、東電など電力会社や、三菱重工、東芝、日立などの原発メーカー、電気事業連合会などで構成する原子力エネルギー協議会、通称ATENAですけれども、まさに原発利益共同体、原子力村そのものと経産省が開発と設置を狙っているものであります。
そして、このATENAが昨年の三月の二十五日に革新軽水炉について規制当局に対して設置を求めたのが、規制当局との意見交換の場であります。確認しますけれども、このATENAとの意見交換会は何を目的に設置をされたんでしょうか。
○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えいたします。
委員から御指摘の革新軽水炉、規制委員会では建て替え原子炉と呼んでおりますけれども、これについて、事業者から設置許可基準規則の解釈の一部において議論したい内容があるとの申出がございましたので、これを受けて、昨年十月九日の規制委員会で、建替原子炉の設計に関する事業者との実務レベルの技術的意見交換会の設置を了承し、昨年十二月から事業者との意見交換を実施しているところでございます。
この意見交換会は、まず、規制庁と事業者との間での建て替え原子炉の設計の事実確認等を進めることを目的としています。その結果として、規制上の判断の必要がある事項が出てくれば、規制委員会の場でその内容について報告を受けた上で、規制上の対応の有無など議論を行うこととしているところでございます。
○辰巳委員 ATENAは、規制の予見性が十分でないとか、規制の予見性を詳細にしてもらいたいというふうに、繰り返し主張をしています。
ただ、確認したいんですけれども、推進側が革新軽水炉と呼んでいるものを、規制委員会はそうとは呼ばずに、建て替え原子炉と呼んでいますよね。これはなぜそういう呼び方をしているんですか。
○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えをいたします。
事業者やメーカーが開発を進めておりますいわゆる革新軽水炉についての話題が出始めた当初、令和五年七月に閣議決定をされたGX推進戦略において、廃炉を決定をした原子力発電所の敷地内に建て替えるとされたことから、規制委員会では、規制基準の検討を行う上で建て替え原子炉と呼ぶこととしたわけでございます。
なお、この建て替え原子炉につきましては、これまで事業者からその内容を聞く限りにおいては、既存の加圧水型原子炉から新たな改良を加えているものの、本質的には既存の技術の延長上であるというふうに認識しているところでございます。
○辰巳委員 要するに、規制委員会は、今の加圧水型原発、PWRと変わらないと考えているということです。まあ、言っても、改良型という程度の話だということなんですね。
続けて確認しますけれども、では、今の規制基準が求める性能要求は、この革新軽水炉に適用することはできないんでしょうか。
○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えいたします。
現在の規制基準は、東京電力福島第一原子力発電所事故の深い反省の上に、事故の可能性をゼロと考えるのではなく、事故が起こり得るという前提の下で、重大事故の防止とその影響を緩和するための手段、大規模損壊による影響を緩和するための手段等を求めているものでございます。
この規制基準において求められております技術要件というのは、いわゆる性能規定でございまして、これを達成するための技術的内容を規則解釈として例示しているものの、十分な保安水準の確保が達成できている技術根拠があれば、規則解釈に限定されるものではございません。
建て替え原子炉につきましては、事業者からこれまでその内容を聞く限りにおきましては、既存の加圧水型軽水炉から新たな改良を加えているものの、本質的には既存の技術の延長上であるという認識でおります。
したがいまして、基本的には、現行の規制基準の枠内で審査ができるものと考えておりますけれども、まずは、規制庁の職員と事業者との実務レベルでの技術的な意見交換会により事実確認を行って、規制委員会の場でその報告を受けた上で、規則解釈の明確化の必要性の有無等を議論してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○辰巳委員 つまり、戻りますけれども、推進側は解釈が分からないといって意見交換会の場を設けてほしいと言うんですけれども、規制委員会は、いや、従来のものと変わらないんだから、しかも、皆さんの規制ですよね、本解釈に限定されるのではなく、技術的根拠があれば規制に適合すると、これははっきり書いてあるわけですから、わざわざ意見交換する場を設ける必要はないわけなんですよ。
それでは、何でこういうもの、意見の交換の場を設けてくれということをATENA側が求めているのか、狙いは何なのかということですよね。それは、どうすれば規制委員会の許可や認可を得ることができるのか、その答えを教えてほしいということじゃないですか。言ってみれば、試験の問題を教えてくれと先生が生徒に言われて、はい、分かりましたと先生の側が応じるようなものじゃないですかね。
しかも、意見交換の内容は原則公開だ、こうなっているんですが、セキュリティー、商業上の理由から、非公開あるいはマスキング処理をするともされております。つまり、このやり取りの中で実際に答案が示されていても、国民にはブラックボックスということになりかねないわけですね。こんなことをしていれば、ついには事業者側にとって都合のよい規制基準、事業者に合わせる基準になってしまうおそれがあると私は言わなければならないと思います。生徒のレベルに応じた答案、問題、これが用意されてしまう危険性が私はあると思います。
大体、この意見交換は規制委員会が求めたわけではないわけですね。原発推進側のATENAが求めるままに設置をされたわけですよ。規制側のメリットというのはあるんですか、やっていて。どうですか。
○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えをいたします。
一般論といたしまして、被規制者である事業者から許認可の基準の適用性について照会を受けた場合、行政の公正性及び透明性の確保の観点から、その照会内容に関する行政機関としての見解を示すことは当然であると考えているところでございます。
建て替え原子炉については、先ほどお話をいたしましたとおり、本質的には既存の加圧水型原子炉の技術の延長上のものであるという認識ではございますけれども、事業者が一から基本設計を考案したものとなりますので、事業者が示しています、常設設備を基本に重大事故等に対応することなどの論点に関しまして、現行の規制基準をそのまま適用できるものかどうかを事実確認をした上で十分整理をして確認することは、規制当局にとっても重要なことであるということを認識しているところでございます。
安全上の課題あるいはリスクをこの意見交換の事実確認の中で判断することは、我々規制当局としては極めて重要であるというふうに考えているところでございますし、この意見交換を通じて得た知見というのは、将来、申請を受けた際に、規制委員会が行う審査の際にも有効に活用できるものというふうに考えているところでございます。
○辰巳委員 いや、ほとんど変わらないと言いながら、そういう推進側の意見を取り入れていくということだと思うんですよね。
推進側の狙いは明確ですよ。ATENAの作成した文書によると、こう書いてある。今後確認したい事項として、「新技術等の適用促進に向けて技術等を事前確認する制度の活用・拡大」、こうあるんですね。つまり、今回の意見交換会を皮切りに、事前確認制度を広げていくんだと。これは事前審査になりかねないと思いますよ。規制側をどんどん取り込んでいく気だというのがATENAの狙いなんですね。
私は、このATENAの要求を規制側がのんだのは今回だけではない、前歴があると言わなければならないと思います。
規制委員会の審査などによって運転が止まっている期間は運転期間として算定しないでほしいというATENAの要求に応じて、二〇二〇年、規制委員会は運転期間に関する見解を決定をして、それを経産省が即座に利用して、運転期間は利用政策側の法体系の中で検討すると強引に主張しました。山中規制委員長は、原発推進の経産省のこの言い分を、何の疑問も挟まずに、反対意見も挟まずに丸のみをして、運転期間の定めは利用政策側の判断、つまり経産省の判断だと即座に表明をしました。
この論理で、原発の運転期間を定めた規制委員会所管の原子炉等規制法の条文は、丸ごと経産省所管の電気事業法に移されてしまったわけでございます。
挙げ句の果てに、原則四十年、特例に限り二十年延長が可能という、まさに東京電力第一原発所の事故の教訓を基に作られた原発の運転期間の法規定は簡単にほごにされてしまって、ATENAの要求どおり、規制委員会の審査による停止期間は運転期間から除外するという、安全を無視した原発の六十年超の運転が可能となったわけであります。
私、これはもう完全に取り込まれている、とりこになっていると言わなければならないと思いますよ。意見交換会は私はやめるべきだと言いたいと思うんですね。そもそも、原発が抱える重大な問題点、使用済核燃料の処分の問題であるとか、帰還が念頭にない避難計画を作らざるを得ない問題等々、解決できない問題ばかりですから、これは原発ゼロ社会に向けて動き出せということを改めて私の方から求めて、質問を終わります。
以上です。