地方財政拡充へ国が責任を 地方税法改定案審議入り
![]() (写真)質問する辰巳孝太郎議員=18日、衆院本会議 |
地方税法等改定案が18日の衆院本会議で審議入りし、日本共産党の辰巳孝太郎議員は、地方財政のあり方を転換するため国が責任を果たすよう求めました。
辰巳氏は、自民党が推進した「平成の大合併」「三位一体の改革」が地域の衰退をもたらし、急激な人口減少も自民党の失政がもたらしたと批判。地方自治体の第一の役割「住民福祉の向上を図る」ことができるよう「責任を果たすことに全力を」と要求しました。
埼玉県八潮市の道路陥没事故を巡り国が巨大な下水道管路に着目した点検の仕組みを設けず、法定点検を地方に任せきりにしていた実態を指摘。同事故は、下水道事業の大規模広域化と職員の削減、独立採算制による住民負担を推進してきた国の政策の結果であり「国の責任で財政措置すべきだ」と迫りました。村上誠一郎総務相は「一般論として下水道管路の建設・改良費等に対して所要の地方財政措置を講じている」と強弁しました。
辰巳氏は「各地の災害、老朽化対応で自治体の人的リソースが不足している認識はあるか」と追及し、人件費など地方の一般財源額を、実質的に前年度と同じ水準に抑制するルールを見直すよう要求しました。
訪問介護報酬引き下げで訪問介護を主に行う事業所の倒産件数が昨年、過去最多を記録しても石破茂首相が「事業所が閉鎖されても、近隣市町村でもやっている」と国会答弁したと告発。「どこに住んでも安心して暮らせるよう、訪問介護の基本報酬、ヘルパーなど介護職員の賃金の抜本的引き上げこそ今必要だ」と強調しました。
森友学園・公文書改ざん事件 包み隠さず公開せよ
日本共産党の辰巳孝太郎議員は18日の衆院本会議で、森友学園に国有地が破格の安値で売却され関係文書が改ざんされた事件を巡り隠蔽(いんぺい)された公文書の全面開示を国に要求しました。
辰巳氏は、改ざんを強いられて自殺した財務省近畿財務局職員・赤木俊夫さんの妻・赤木雅子さんが、国に対し改ざんの経緯にかかわる行政文書の開示などを求めた訴訟で、文書不開示決定を取り消した大阪高裁判決の上告を国が断念したと指摘。
「公開が当然の公文書開示のため訴訟までせざるを得なかった赤木雅子さんに謝罪すべきだ」「隠蔽してきた公文書を包み隠さず提出し、国民の前に真実を明らかにするべきだ」と迫りました。
加藤勝信財務相は、謝罪の言葉は述べず「今後の開示の判断にあたっては、総理の指示を踏まえ、法令の規定にのっとりつつ国民に対する説明責任の観点から適切に対応する」と述べるにとどまりました。
2025年2月18日付「しんぶん赤旗」より引用
○辰巳孝太郎君 私は、日本共産党を代表して、地方財政計画、ほか二案について質問をいたします。
村上総務大臣は、今世紀末に人口が半減すれば、現在千七百以上ある自治体は三百から四百で済む、極端なことを言えば、県庁も全部要らないし、道州制も意味がないとの発言を行いました。
村上大臣にお聞きします。
平成の大合併と三位一体の改革が、周辺地域の衰退をもたらし、暮らし続けることが困難な地域を拡大させたのではありませんか。我が国の急激な人口減少は、自民党政治の下での失政がもたらしたという認識はないのでしょうか。物価高騰による暮らしと営業の危機、保育、介護などケア労働者の確保、災害や事故への対応などに直面する地方自治体が、その第一の役割である住民福祉の向上を図ることができるように、国としての責任を果たすことに全力を傾けるべきではありませんか。
埼玉県八潮市の道路陥没事故についてお尋ねします。
トラックドライバーの一刻も早い救出作業に全力を尽くすことを求めます。
問題の管路は、前回の点検では直ちに工事は必要ないとされていたのに、なぜ崩落したのですか。国は事故の原因を把握しているのですか。今回の崩落は、下水処理施設に近接する巨大口径の管路で起きました。ところが、国は、こうした巨大な施設に着目した点検の仕組みを設けていませんでした。なぜですか。
国は、腐食のおそれが大きい箇所について、五年に一度の法定点検を義務づけています。しかし、実態は、法定点検を地方任せにしていたのではありませんか。これでは、危険な管路について国は状態を把握できないではありませんか。
この陥没事故は、下水道事業の大規模、広域化と下水道事業に係る職員の削減、独立採算制による住民負担を推進してきた国の政策の結果ではありませんか。今回の事故に対する費用負担を利用者に転嫁することは許されません。国の責任で財政措置すべきと考えますが、いかがですか。
自治体の職員数は二百八十一万人、三十年前と比べ四十七万人も減少しました。下水道職員数は、九五年の約四万七千人から二三年には約二万七千人へと激減し、災害や事故の際に対応できる技術力は失われています。各地の災害、老朽化対応で自治体の人的リソースが不足しているという認識は総務大臣にありますか。
この間の地方財政審議会の意見では、これまで社会保障費の自然増を投資的経費や人件費の抑制で調整してきたが、今後それは困難になると指摘されています。地方の一般財源額を実質的に前年度と同じ水準に抑制するというルールは見直すべきではありませんか。
深刻化する介護崩壊について聞きます。
訪問介護報酬引下げの影響で、昨年の訪問介護を主に行う事業所の倒産は過去最高となりました。ところが、石破総理は、二月十四日、我が党の堀川あきこ議員の質問に、事業所が閉鎖されても近隣市町村でやっているなどと平然と答弁しました。余りにも無責任ではありませんか。
介護事業所の相次ぐ閉鎖で、移住もできずに、望む介護が受けられない人はどうするのでしょうか。どこに住んでも安心して暮らせるよう、訪問介護の基本報酬、ヘルパーなどの介護職員の賃金の抜本的引上げこそ、今必要ではありませんか。
最後に、森友学園公文書改ざん事件についてお聞きします。
公文書の開示をめぐる裁判で、政府は上告を断念しました。まず、政府は、公開が当然の公文書開示のため、訴訟までせざるを得なかった赤木雅子さんに謝罪すべきではありませんか。
私は、かつて参議院で、理財局と近畿財務局とのやり取りについては最高裁まで争う覚悟で非公表との内部文書を明らかにしました。今こそ政府は、隠蔽してきた公文書を包み隠さず提出し、国民の前に真実を明らかにするべきです。
以上求めて、質問といたします。
○国務大臣(村上誠一郎君) 辰巳議員から、五問の質問をいただきました。
答える前に、まだ私の真意がよく伝わっていないので、言わせていただきます。
私が申し上げたのは、今世紀末に国民の人口が五、六千になったときに、今のシステムで千七百の市町村が成り立つかどうか。御承知のように、もう二〇四〇年問題というのがありまして、多分、近々、役場を構成できない地域も出てくるんじゃないかという気がしております。そういう中で、どのようにしたらこの国の行政、地方自治ができていくかということを、やはり今から真剣に考える必要があるんじゃないかということを実は問題提起したわけであります。(発言する者あり)ありがとうございます。
まず、平成の大合併、三位一体の改革が人口減少をもたらしたのではないかとの御質問がありました。
平成の大合併は、人口減少などの進展を背景に、地方分権を推進する上で、基礎自治体の規模、能力の充実を図るために、自主的な市町村合併を積極的に推進したものであります。
また、三位一体の改革は、国から地方への税源移譲の実現や国庫補助金改革などを通じて、地方の自立や地方分権の進展に資するために行ったものであります。
一方で、人口減少対策については、総務省も含め、政府一丸となってこれまでも取り組んできたところでありますが、引き続き、待ったなしの課題であり、地方創生二・〇の推進により、地域経済の好循環と持続可能な地域社会の実現に向けた取組を進めてまいります。
次に、自治体が住民の福祉の向上を図るための国の責任について御質問がありました。
総務省といたしましても、どのような地域でも一定水準の行政サービスを提供できるよう財源を保障することは国の責務であると考えており、地方交付税の財源保障機能を適切に発揮することが重要であると考えております。
このために、令和七年度の地方財政計画においては、地方交付税を含めた一般財源総額について、交付団体ベースで、前年度を一・一兆円上回る六十三・八兆円を確保いたしました。
引き続き、安定的に行政サービスを提供できるように、適切に対応してまいります。
次に、埼玉県八潮市の道路陥没事故に伴う費用負担に係る財政措置についての御質問がありました。
今回の道路陥没事故については、事故原因に係る調査が進められているものと承知しており、今回の事故に伴う具体的な費用負担の在り方については、まずは埼玉県を中心に検討されるものと認識しております。
その財政措置について、具体的な費用負担の在り方が未定であるため、お答えすることは困難でありますが、一般論で申し上げますと、総務省では、下水道管路の建設改良費等に対して所要の地方財政措置を講じています。
次に、自治体の人的リソースについての御質問がありました。
公共施設等の老朽化や災害からの復旧復興に対応するためにも、特に技術職員の確保は重要な課題と認識しております。このために、都道府県等が平時に市町村支援を担い、災害時に派遣する技術職員を確保するため、必要な人件費に対して地方交付税措置を講じております。
自治体の定員においては、行政の合理化、能率化を図るとともに、行政課題に的確に対応できるよう、地域の実情を踏まえつつ、適正な定員管理に努めていただくことが重要と考えております。
最後に、一般財源総額実質同水準ルールについての御質問がありました。
地方の一般財源総額については、閣議決定された基本方針二〇二四に基づき、実質的に同水準を確保することとされております。
この基本方針に基づき、令和七年度地方財政計画においては、社会保障関係費や人件費の増加、物価高への対応を適切に反映した上で、一般財源総額を確保いたしました。
今後も、基本方針に沿って、地方財政計画の歳出に必要な経費を計上した上で、一般財源総額を確保してまいりたいと考えております。
以上であります。
○国務大臣(中野洋昌君) 辰巳孝太郎議員から、埼玉県八潮市の道路陥没事故についてお尋ねがありました。
まず、今回の道路陥没事故の原因につきましては、今後、施設管理者である埼玉県において調査がなされるものと承知をしております。
点検の仕組みにつきましては、下水道法に基づく維持修繕基準において、下水道管理者が、全ての施設について、構造や流入する下水の量などを勘案して、適切な時期に、適切な方法により行うこととしております。
また、腐食するおそれが大きい施設の点検につきましては、国土交通省において、下水道管理者から点検結果や結果に対する措置状況について毎年聞き取りを行い、取りまとめて公表するとともに、異状が認められた箇所については、速やかに対策を講じるよう求めているところでございます。
国土交通省としては、今回のような事態が再び起きないよう、今後、大規模な下水道の点検手法の見直しを始め、施設管理の在り方などについて有識者委員会で議論し、その議論も踏まえ、必要な対応をしっかりと検討、実施してまいります。
○国務大臣(福岡資麿君) 辰巳孝太郎議員の御質問にお答えいたします。
訪問介護についてお尋ねがありました。
訪問介護は、人手不足や燃料代等の高騰などにより、厳しい状況にあると認識しており、処遇改善加算の更なる取得促進や、先般の補正予算による、地域の特性や事業所の規模等に応じたきめ細かい対策を着実に進め、地域で必要なサービスが確保されるように努めてまいります。
なお、介護サービス事業所を閉鎖する場合には、他の事業所等を紹介するなど、利用者にとって必要なサービス提供が継続されるよう適切な配慮を行うこととされており、総理の答弁も、そのような配慮の下、近隣市町村の事業所などから広域的な介護サービスが提供されることを答弁したものと承知しております。
○国務大臣(加藤勝信君) 辰巳議員より、森友学園事案についてお尋ねがありました。
情報公開法は、不開示情報が記録されている場合を除き、開示しなければならない旨を規定しており、各文書の内容について、不開示情報が含まれるかを一つ一つ判断する必要があります。
今後の開示、不開示の判断に当たっては、総理の指示を踏まえ、法令の規定にのっとりつつ、国民に対する説明責任の観点から適切に対応してまいります。
最後になりますが、改めて、高い志と倫理観を持ち、真面目に職務に精励された赤木俊夫さんに哀悼の誠をささげます。