疫学調査で「香害」実態解明を/辰巳氏 衆院厚労委
2026年06月19日
日本共産党の辰巳孝太郎議員は19日の衆院厚生労働委員会で、柔軟剤や芳香剤などの香料への暴露によって頭痛やめまい、呼吸困難などが生じる「香害」問題について、政府に実態把握と対策強化を求めました。
上野賢一郎厚労相は「厚生労働科学研究」に基づき、化学物質過敏症患者の約70%が柔軟剤の香料が症状出現の契機だったとする報告を示しました。
辰巳氏は今年から始まる研究は、香りに含まれる化学物質と化学物質過敏症との因果関係を解明するものかと質問。同省の大坪寛子健康・生活衛生局長は、病態や発生機序が明らかでなく、治療法も確立しておらず、今後も研究を続けるとの従来の答弁を繰り返しました。
辰巳氏は、発症因子の解明と同時に、新たに発症する人をなくすため、疫学調査によって研究を前進させるよう求めました。
辰巳氏は香りの成分が衣類や寝具などに移る「移香」を防ぐため、クリーニング店が柔軟剤の香りの付いた衣類の受け入れを断っている例を紹介。「営業に深刻な影響を与えている」と述べ、業界への実態調査を求めました。さらに、香りを長期間持続させる製品の普及が被害を拡大させていると警鐘を鳴らしました。
また、学校での香害被害に関する調査で、香りが原因で登校を嫌がる子どもが50人に1人いることが明らかになったとして、文部科学省に独自調査を要求。米国疾病対策センター(CDC)が施設内での香り付き製品の使用抑制を進めていることも紹介し、厚労省内の「フレグランスフリー(無香料)」を提案し、消費者庁には大きいポスターで香害について周知するよう強く求めました。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
今日は、ずっとやりたかった社会問題にもなっている香害問題について聞いていきたいと思います。
この十五年から二十年で、香りを取り巻く状況は一変したと私は思っております。どこに行っても合成洗剤や柔軟剤由来と思われる甘い香りが漂っております。御存じ、化学物質過敏症は、柔軟剤、洗濯洗剤、芳香剤などの香りに含まれる化学物質に繰り返し暴露することで発症をいたします。そして、それ以降、少量の化学物質の暴露であっても、頭痛や目まい、呼吸困難等の健康被害に及んでまいります。職場や学校に行けなくなり、公共交通機関も利用できなくなる人もおります。
私も何人かにお話を聞きました。この方は、突然症状が出るわけなんですけれども、マンションにお住まいで、隣の方が洗濯物をベランダに干すと、そこから漂うにおいがきっかけで発症をされた。その隣のおうちは、家電量販店で洗濯機を買う際に、サービスで合成洗剤を二年分もらったと。そうなんですよ、本当に。それを使い始めて漂い始めた。お隣の人は化学物質過敏症になってしまっておりますので、お隣のところまで行って、お願いですから二年分の洗剤を私に購入させてください、買いますからということで、香りの元を絶ったわけですね。そこまでせなあかんわけですよ。
二〇二四年に、大臣は、前の厚労大臣ですけれども、厚生労働省としても、こうした香害に関わる因果関係の研究調査というのは極めて重要であると認識をして、それを一貫して行ってきておりますと。そして、二〇一七年以来、厚生科学研究費による研究テーマを紹介をして、実際にどこまでこの健康被害というものが生じているのか、それをしっかり解明していくことがまず第一だと考えていると述べておられます。
三年ごとのプロジェクトなんですけれども、一旦このプロジェクトというのは終了しているんですが、大臣、まず、この研究でどのようなことが分かったのか、紹介していただけますか。
○上野国務大臣 まず、化学物質過敏症について、令和四年度の厚生労働科学研究において、化学物質過敏症を訴える患者のうち、約七〇%の方が柔軟剤等の香料が症状出現の契機の一つであったといった報告がございます。
また同時に、この研究の総括報告書においては、化学物質過敏症と中枢神経感作症候群の因果関係を明らかにしていく必要があるとされておりますので、引き続き、厚生労働科学研究等を通じまして、病態の解明に向けた研究を行っていくこととしております。
○辰巳委員 驚きですよね。この研究では、約七割の方が発症の契機は柔軟剤等の香料だった、ここが出ているわけなんですね。
大臣、もう一回ちょっと改めて確認したいんですけれども、今年から新しい研究というのもスタートするというふうに聞いております。これは、この香りに含まれる化学物質と化学物質過敏症との因果関係を解明していく研究ということでよろしいですね。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
厚生労働省では、引き続き研究事業を行うこととしておりまして、化学物質過敏症に係る研究を継続して行っております。
病態の解明に向けた更なる研究が必要なわけでありますけれども、因果関係、七割ぐらいの方がそれの影響があったのではないかということまでは分かっておりますが、病態ですとか発生の機序、こういったものが明らかになっておりませんので、診断基準ですとか治療法が確立していないという状況にございます。
引き続き、今年度の難治性疾患の研究事業においても手続を進めてまいりたいと思っております。
○辰巳委員 今、大事な答弁が続いているんですけれども。
因果関係は分かっていないというものの、それは、因果関係が分かっていないので、診断であるとかあるいは治療法というのがまだ確定はしていませんね、それは研究で調べていってもらったらいいんですよ。それはやってもらったらいいんです。ただ、今、七割の方が柔軟剤等の香りで発症しているというところまで分かった。もちろん、この研究費というのは一千万円ぐらいの研究だというふうに聞いていますから、例えばサンプルがまだまだ十分じゃないということもあるかもしれません。だったら、もう一度、機序、診断方法、それは調べてください、やってください、これは重要なんです。
だけれども、やはり、一般の人なら問題にならない少量の暴露でも、特定の人には頭痛や嘔吐などのひどい症状が出るんだ。メカニズム、これは調べていただいたらいいんです。ただ、この香害の発症因子をやはり突き止めていかなければならないと同時に、発症する人を止めるといいますか、起こさない、そういう症状を起こす人をなくしていくというためには、私は、もう一歩進んだ厚労省の研究、つまり疫学調査ですよ、疫学調査をやっていただきたいというふうに思うんです。
大臣、是非、サンプルはどれぐらいか分かりません、疫学調査していただいて、因果関係を含めた解明を是非前進させるようにお願いしたい。大臣、お願いします。
○上野国務大臣 いろいろな議論があろうかと思いますが、先ほど局長が答弁したとおり、まだ病態、機序が明らかになっておりませんので、今般実施をする予定の、今年度、難治性疾患の研究実施、これに向けた今手続を進めておりますので、そうした中で、因果関係の解明も含めた研究を推進をしていきたいと考えています。
○辰巳委員 機序が分からなくても、原因物質がこれだということはほぼ分かっているわけですから、そういう原因物質から遠ざけるという対策をやはりやらなきゃならないんですよ。そうじゃないと、化学物質過敏症の方がどんどん出てくると思いますよ、出てきますよ。
今、香りを長もちさせるマイクロカプセルという技術があるんですね。しかし、苦しい人にとってはこれは苦しみが長く続くだけです。熱や摩擦によって時間差でカプセルがはじけて、香りの化学物質がわあっと外に出ていく。だから、これはすぐにカプセルははじけませんから、例えば椅子などに付着をして他人の服にくっつく。移香というんですね。移動する香り、逃げられないわけですよ。
兵庫県内にあるクリーニング店にお話を聞きました。複数の顧客から預かった洗濯物を一つの洗濯機で洗うと、柔軟剤のにおいが別の顧客の衣服につく。そういう苦情が多数寄せられたので、もう柔軟剤の香りのする衣服は断らざるを得なくなったとおっしゃっているんですね。
例えば、ワイシャツとかコート、我々、クリーニングとかに持っていきますけれども、家では下着を洗うわけです。だけれども、その下着に柔軟剤の香りがつくと、ワイシャツに移るわけですよ。ワイシャツからコートなどにも移っていくわけですね。寝具、羽毛布団、これににおいがくっつくんですよ。
そういうものはこの店では洗えなくなって、お断りするということになっちゃったので、この店では、従来の売上げが、本来の半分近くに減ってしまったということで嘆いておられるんです。洗濯のプロでも取れないんですよ、この香りが。
クリーニング店を所管するのは厚労省なんですね。大臣が、クリーニング業界の振興指針というのを定めているんですよ。クリーニング店、なかなか大変な業界だということで、頑張りましょうということで、振興指針を定めてくれているんです。クリーニング店にとれば、営業妨害されている立場なんですね。
大臣、この場合の原因と結果、因果関係、これははっきりしているじゃないですか。においなんですよ、原因はにおいなんです。これはもう因果関係がはっきりしている話ですから、大臣、クリーニング店の影響に、この香料といいますか香りがいかほどの影響や損害を与えているのか、実態をつかむべきやと思いますけれども、いかがでしょうか。
○大坪政府参考人 ありがとうございます。
クリーニング事業者の中で、先生おっしゃるように、甘いにおい、こういったにおい移りの観点から、御家庭での洗濯物において香りつき柔軟剤等を使用したことによる香りがついた衣類、それをお断りしているケースがあるということは、私どもも、ホームページ上でそういうクリーニング事業者がいることは承知をしております。
ただ、一方で、業界団体全体から、顧客が使用する柔軟剤等の香りによる営業への影響について御意見を頂戴したことは、我々としてはございませんので、引き続き、業界団体等からも、様々な場で業界団体とお話しする機会がございますので、お話を伺ってまいりたいと思います。
○辰巳委員 お話を、今ホームページで見たと言うのに業界から聞いていないというのはおかしな話で、聞いてくださいね。クリーニング店、厚労大臣なんですから、やってくださいよ、聞いてください。こんなことは本当に二十年前になかったですよ。やはり異常やと思うんですね。
私、いろいろ柔軟剤に詳しくなりました、おかげで。それで、見たらびっくりしますよ。百日間続く香りを売りにする商品があるんですよ。これは開発されて、今売っています。あきれるしかないですね。
どの企業もSDGsといって掲げてくれているんですけれども、誰一人取り残さないといいますけれども、苦しむ人は増え続けているし、取り残され続けていると思うんですね。メーカーの中には、環境大臣賞といって受賞している企業もあります。
これは、食品の例えばアレルギーであれば、具合が悪くなれば食べなきゃいいんですよ。自らの選択で結果を回避できる。だけれども、この香害は、自分の意思ではどうにもなりません。電車、学校、職場、病院、歯科、スーパー、道路、公衆トイレ、そして隣の家、およそ生きている限り、自分の力ではどうしようもないんですよね。
今、百日続く香りと言いましたけれども、別のメーカーでは、百日分の蓄積においを根本から剥がし取るという商品も出ているんですよ。百日つけるのか百日取るの、どっちやねんと。むちゃくちゃでしょう。やり過ぎ。
やはりこれは学校です。学校の香害被害についてもたださなきゃなりません。
驚きの調査結果が出ました。日本臨床環境医学会の環境過敏症分科会と室内環境学会の同分科会が、各地の地方議員らを通じて教育委員会に依頼をして、九都道県、二十一自治体の学校、園に、去年の五月から、グーグルフォームで一万人以上の子供に対する調査を実施をいたしました。子供の香害及び環境過敏症状に関する実態調査、これは中間報告ですけれども、出ました。
この調査結果によりますと、香害による体調不良の有無について、小学校低学年は六・八%、小学校高学年で一一・二%、中学生で一二・九%と、これは徐々に増えていくんですね。症状としては、腹痛、胃のむかむか、吐き気、下痢、頭痛、関節痛、鼻水などなんですけれども、体調不良になった子供のうち、およそ四人に一人が香りが原因で登園、学校を嫌がることがあると答えています。つまり、これは全体の二%ですので、五十人に一人が香りが原因で学校に行きたくないなと思っている、そういうことなんですね。これはかなりのケースで、しかも教室内で起こっているということなんです。
今日は文科省にも来ていただいているんですけれども、児童生徒の学習環境がもうはっきり侵害されていると思います。子供たちに行きたくないと思わせる学校空間を放置しておいていいはずがありません。この調査結果をどのように受け止めているか、まず受け止めを聞かせてください。
○中村副大臣 お答え申し上げます。
委員御指摘の実態調査につきましては、両学会の有志の研究者が、協力を得られた学校に対して実施をされたと伺っておりますけれども、具体的な質問項目や調査方法などを含めて、文部科学省では詳細を把握しておりませんので、コメントは差し控えさせていただきます。
一方で、香料等に起因して健康不良を訴える児童生徒が存在することは承知をしておりまして、このため、文部科学省としては、関係省庁と協力をして、香りへの配慮に関する啓発ポスターを作成し、事務連絡で学校の方に周知をしております。
また、都道府県、指定都市教育委員会の担当者が集まる会議の場において、学校における個別の対応例を紹介するなど、各学校において適切な取組が行われるよう引き続き呼びかけてまいります。
○辰巳委員 ここに来て塩答弁は、ちょっと看過できないと思うんですよ。受け止めないと駄目だ。
それと、この一万人の調査というのは、何か外部の民間だと言いますけれども、この調査された団体の一つは、厚生労働省の研究班の一つでもあるんですよ。だから、突き放すのはちょっとひどい話なんですね。これは、文科省がやらないから、その民間団体なんかが苦労してもやっているわけですね。
私は、そこまで文科省が言うのであれば、文科省として調査に乗り出すべきだと思います。これは一万人、苦労してやられたわけですけれども、文科省が先頭に立ってやったら、学校現場でもっと大きな疫学調査を含めてできると思います。いかがですか。文科省として調査もしていただきたい。どうですか。
○中村副大臣 いわゆる香害を含む化学物質過敏症につきましては、現在、厚生労働省において研究が行われている段階と承知をしております。
文部科学省としては、現段階で実態調査を実施する予定はございませんけれども、厚生労働省の研究により原因等が明らかになった場合には、学校における実態把握の必要性も含め、今後検討したいと考えております。
○辰巳委員 いや、もう是非、厚労省任せじゃなくて、文科省が先頭に立ってやっていただきたいと思います。
アメリカのCDC、二〇〇九年、施設内における香りつき製品の使用を禁止し、約一万五千人の職員に、香りつき洗剤や柔軟剤などで洗濯した衣類を身に着けて職場に来ることを自粛するよう要請いたしました。
日本でも、労働安全衛生法上は、仕事をしやすい環境を整える義務があります。照明の明るさとか温度については基準がありますけれども、においに関する指標はありません。職場でも香害に苦しむ人は、厚労省にだっていると思います。仕事が続けられなくなるというのは死活問題だと思います。
大臣、隗より始めよだと思うんですよ。やはり、配慮せなあかんと言うのであれば、厚労省の中で、フレグランスフリーといいますか、いきなり年がら年中じゃなくてもいいですよ、この期間は、一週間、二週間、あるいは一月は、そういう期間を設けるということを検討していただけませんか。どうですか。
○上野国務大臣 まず、当該病態など、明らかになっていない、また、柔軟剤等の香りが健康に与える影響も科学的に明らかにされていないので、なかなか現段階で委員御指摘のような対応を取ることは少々難しいかなというふうに考えています。
一方で、香りでお困りの方々への配慮、これを呼びかけることは重要ですので、消費者庁や厚労省、また国土交通省など、関係省庁で啓発ポスターを作っていまして、御案内かと思いますが、これを自治体に配ったり、厚労省でも大変目立つ場所に貼っておりますので、まずはそういったことから始めさせていただきたいなと考えています。
○辰巳委員 もう時間なのであれですけれども、やっていただきたいと思いますよ。
ポスターという話、今日は消費者庁と国交省にも来ていただいたんですけれども、ちょっと質問はできませんが、消費者庁、ポスターをちゃんと印刷してやってくださいよ。何かPDFで送っただけじゃ、出てくるのはA4のチラシしかないんですよ。大きいポスターでやはり下ろすということをやっていただきたい。
見たことありますか、皆さん、そのポスター。ほとんど見ないでしょう。ツチノコばりに見ないと言われているポスターなんですよ。行き届くようにちゃんとやっていただきたいというふうに思いますし、国交省も、公共交通機関ですから、香害被害で苦しむことがないように対応していただきたいと思います。
引き続きやっていきたいと思います。
以上です。