日本共産党 衆院比例 近畿ブロック たつみコータロー

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国会会議録

阪神港などの大型港湾開発を批判

参院国土交通委員会は12日、港湾法改定案を日本共産党以外の賛成多数で可決しました。採決に先立つ質疑で日本共産党の辰巳孝太郎議員は、スーパー中枢港湾や国際コンテナ戦略港湾など、過大な見積もりで港湾を次々に大型化し、不必要な14メートル級のバース(停泊場)を全国にいくつもつくるなど、一貫性のない政策で破綻した大規模港湾開発を批判しました。

国交省の菊地身智雄港湾局長は港湾整備予算(国費)が2015年度までの21年間で合計約6・6兆円に上ると答弁。辰巳氏は「東京の臨港道路を加えると20年までに6600億円をつぎ込む計画だ」と指摘しました。

さらに辰巳氏は、16メートル級の大水深バース建設は「北米航路の維持・拡大のため」だとする同省に対し、京浜港では北米航路の貨物量が10~14年に2割減少し、日本の製造業の海外子会社数が10年で1・5倍に、自動車大手の海外生産比率が6~8割に達したとし、「国内需要が減っている」と指摘しました。

同局長は日本発着コンテナ貨物量のうち北米はわずか1割でアジアが7割超だと説明。辰巳氏は圧倒的に多いアジアとの往来に大型船は不要で、東京港埠頭(ふとう)会社の調査では、国内最大の同港でも16メートル級の大水深バースは不必要だと強調。全国の大水深バースの使用実績や費用対効果を調査するよう求めました。

2016年5月17日付「しんぶん赤旗」より引用

議事録を読む

○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
私たちは、大規模開発である国際コンテナ戦略港湾事業などとともに、公共施設である港湾の民営化にも反対をしてまいりました。本法案は、国際コンテナ戦略港湾においても、民間事業者の行う岸壁や荷さばき施設などと同様に、民間大手企業への国の無利子の貸付けが可能となっていることから、賛成できません。
今日は、この国際コンテナ戦略港湾政策についてお聞きをしたいと思います。
政府は、二〇一〇年に掲げたこの国際コンテナ戦略港湾の目標として、二〇一五年を目標に国際コンテナ戦略港湾においてアジア主要港並みのサービスを実現させる、そのための具体的な指標として、アジア向けも含む日本全体の日本発着貨物の釜山港等東アジア主要港でのトランシップ率を現行の半分に縮減することを目指すとしております。また、二〇二〇年を目標として、アジア発着貨物の国際コンテナ戦略港湾におけるトランシップを促進し、東アジア主要港として選択される港湾を目指すとしておりました。政府は、この国際コンテナ戦略港湾への集貨、荷物を集める取組を強めるとしてきたわけであります。
国交省、確認しますが、集貨はどれぐらい進んだんでしょうか。
○政府参考人(菊地身智雄君) お答えいたします。
国土交通省では、我が国港湾に寄港する基幹航路の維持拡大を図るため、国内の貨物を集約する集貨、港湾背後への産業集積により貨物を創出する創貨、大水深コンテナターミナルの整備等による競争力強化から成る国際コンテナ戦略港湾政策に取り組んでいるところでございます。
このうち、集貨につきましては、釜山港等を経由して欧米向けに輸送されている貨物を国際コンテナ戦略港湾利用に転換することを目的といたしまして、国際戦略港湾競争力強化対策事業、これを二〇一四年度に創設をいたしまして、港湾運営会社が事業を実施しているところでございます。
この取組によりまして、阪神港におきましては、西日本諸港と阪神港を結ぶ国際フィーダー航路の寄港便数が六十八便から九十五便に約四割増加をしております。二〇一四年度には、約十三万TEUを集貨したところでございます。また、京浜港におきましても、昨年度末に京浜港の港湾運営会社が設立されたところでございますので、今年度から本格的な集貨事業を開始するとしてございます。
○辰巳孝太郎君 十三万TEU集めましたと、こう言うんですけれども、日本国内のコンテナ取扱個数は全部で二千万TEUですから、十三万と言われても、まあ知れているなということだと思うんですね。
大臣に確認しますが、では、率、釜山港へのトランシップ率、これは改善をしたんでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 釜山港湾公社の発表によりますと、我が国発着の国際海上コンテナ貨物の釜山港トランシップ率は、二〇〇九年で四七・九%から二〇一二年に四七・六%、二〇一四年に五一・八%と推移をしております。
○辰巳孝太郎君 つまり、トランシップ率は改善するどころか改悪されているわけですね。
釜山港利用のコンテナ取扱貨物は、逆にこの間増えてきております。例えば二〇一〇年でいいますと、トランシップ貨物、百万TEUということをずっと言ってきたわけですが、二〇一四年の資料で見ますと、それが百四十万TEUまで増えている、逆に率も個数も増えてしまっているというのが現状であります。
地方港から荷物を集めるんだと、こう言っても、しかし、地方でできた荷物というのは、阪神に持ってくる、京浜に持ってくるということではなくて、近くの港に持っていくわけですよ。それは、何でやるかといえば、それが一番安いし効率的だからやっているわけですね。大体、地方創生といいながら、地方の港から荷物を持ってこいということになれば、私は地方、地方港を衰退させることになるんじゃないかというふうに思うんですね。
国交省は、この間、九〇年代半ばの大交流時代、二〇〇二年からスーパー中枢港湾政策、二〇一〇年には国際コンテナ戦略港湾政策と、はっきり言ってしまえば、過大な見積りで港湾そのものを次々と大型化整備をし、一貫性のない政策、これに終始をしてきたと思います。これによって、いわゆる十四メーター級のバースを持つ港湾というのが全国各地に次々と造られたわけですね。
国交省、確認しますが、これらの政策でこれまでに掛かった費用は一体幾らなのか、そして国際コンテナ戦略港湾で掛ける費用というのはどれぐらいなのかをお示しいただきたい。
○政府参考人(菊地身智雄君) 一九九五年度の大交流時代を支える港湾、この策定をした一九九五年度から昨年度までの二十一年間の港湾整備事業予算の合計額は、国費で約六・六兆円となってございます。
また、国際コンテナ戦略港湾である京浜港及び阪神港の整備に係る事業費につきましては、二〇一六年度から二〇二〇年度までの五年間で約三千億円を見込んでいるところでございます。
○辰巳孝太郎君 二年前には、この国際コンテナ戦略港湾、五千五百億円大体掛けていくと言っていたんですね。レクの段階で聞きますと、ここに東京の臨港道路一千百億円が加わりまして、合わせて六千六百億円、二〇二〇年までにつぎ込んでいくという、莫大なお金なわけですね。
現在、十六メーター級のバースで供用されているのは、これは横浜港の六つのみなんですね。神戸はこれから五つ造ると、十六メーター。東京もこれから一つ造るんだと。大阪は二〇二〇年以降になるけれども、一つ造ると。これ、全部合わせて十三の十六メーター級のバースということを整備していくということになります。これらの大水深バースは北米航路の維持拡大のためにやるんだと、こう言ってきたわけでありますね、それで荷物を増やすことができるんだと。
それでは確認しますが、阪神・京浜港における二〇一五年における北米航路の貨物量の当初作った目標値と、そして実績、これを示していただけますでしょうか。
○政府参考人(菊地身智雄君) お答えいたします。
二〇一五年の北米向け取扱貨物量の目標値につきましては、国際コンテナ戦略港湾の選定時におきまして、京浜港、阪神港からそれぞれ提出をされた計画書において、京浜港が約二百六十五万TEU、阪神港が約七十万TEUとされてございます。これに対しまして、直近の二〇一四年における実績につきましては、港湾統計によりますと、京浜港は約八十五万TEU、阪神港は約三十三万TEUとなってございます。
○辰巳孝太郎君 つまり、京浜でいえば、二〇一〇年の百三万TEUから増やすどころか、貨物量をですよ、二〇%、二割も減少させたわけですね、二〇一四年。阪神は、二〇一〇年の三十八万TEUからも減少させているわけですよ。増やすどころか減少させているんですね。局長、これ、一体誰の責任ですか。過大な目標だったとは思いませんか、港湾管理者。
○政府参考人(菊地身智雄君) お答えさせていただきます。
国際コンテナ戦略港湾の選定時に、それぞれ京浜港、阪神港から提出された目標値につきましては、各港とも二〇〇八年の取扱貨物量に基づいた設定だというふうに聞いております。その後、発生いたしましたリーマン・ショックによりまして世界的に経済が落ち込みまして、我が国経済の回復に時間を要しているというようなことから、二〇一四年の我が国と北米の貿易額につきましては二〇〇八年の水準を下回っておるという状況でございます。
しかしながら、我が国と米国との貿易額、これについては二〇一二年以降、毎年平均一〇%程度の伸びを示してございますので、国土交通省といたしましても、引き続き国際コンテナ戦略港湾政策をしっかりと推進し、我が国経済の国際競争力の強化に貢献してまいりたいと考えております。
○辰巳孝太郎君 局長、そう言いますけれども、日本の貨物というのは増えているんですよ、全体では。全体では増えているんですよね。世界だって増えているんです。しかし、この北米航路については減っているということを冷厳に見ていかなきゃいけないと思うんですね。この原因は一体何なのかと。私は、幾ら集貨や創貨をしたとしても、国内の需要が減っているということが問題だと思うんですね。
例えば、製造業というのは海外にどんどん出ていっております。今日、経産省来ていただきましたけれども、製造業における海外子会社の数の推移と、そして自動車産業における海外生産の割合というのを示していただけますか。
○政府参考人(若井英二君) お答えを申し上げます。
まず、製造業の海外子会社の数ということでございますけれども、経済産業省の方で行ってございます企業活動基本調査という統計がございます。この統計におきまして、二〇一五年三月三十一日時点の速報値でございますが、二万七千五百二十二社と認識をしておるところでございます。
次に、自動車の海外生産比率ということについてのお尋ねでございますけれども、こちらは一般社団法人日本自動車工業会の統計によりますと、日本国内で自動車を生産しているメーカーは十二社ございまして、二〇一五年、こちらは暦年でございますが、この暦年二〇一五年におきます国内生産台数は約九百三十万台、海外生産台数は約一千八百万台でございますので、海外生産比率は約六六%となってございます。
○辰巳孝太郎君 海外の子会社の数が二万七千五百二十二ということは、これ十年前と比べて一・五倍に増えているんですね。今、二〇一五年示していただきましたけれども、例えばトヨタではもう六割が海外生産ですし、日産、ホンダではもう八割が海外生産になってしまっているというのが現状なんですね。国内回帰ということも言われてきたわけですが、しかし、大きなトレンドで見れば、日本の企業が海外に生産拠点を移しているということはもう確たる事実だと思うんですね。
そこで、大きなバースを造ればとにかく荷物は増えるんだというようなことをずっとしているというのは、やっぱりおかしいと思うんですね。今、北米航路の貨物量が減ってきたということを言いましたけれども、コンテナ貨物のやり取りをする相手先でいえば、今はもうアメリカよりもアジアが圧倒的なシェアを占めているわけですね。
国交省、確認しますけど、このコンテナ貨物量に占めるアジアと北米の割合というのはどうなっていますかね、今。
○政府参考人(菊地身智雄君) 国土交通省港湾局では、我が国発着の国際海上コンテナ貨物の流動を把握する目的で、五年に一度、全国輸出入コンテナ貨物流動調査を実施しております。
最新の調査といたしまして、二〇一三年十一月、この一か月間に実施をいたしました調査結果によりますと、我が国発着の国際海上コンテナ貨物全体に占める割合は、いずれも重量ベースでございますが、アジア向けが七四・一%、北米向けが一一・五%となっております。
○辰巳孝太郎君 北米がもう一割ですよ。アジアがもう七割占めているんですね。明らかに北米に対するプレゼンスは低下し、アジア、圧倒的になっていると。アジアとの船の行き来だったら、もう大きい船というのは不要になるわけですね。ところが、国交省はいまだに大水深のバースにこだわっていると。本当にこれ必要なのかということなんですね。
大型化これからしてくるんだというわけなんですが、しかし、私の地元である大阪港では、もう主力は千TEUとか二千ですよ。一番大きい船でもエバーグリーンの六千TEUなんですね。これ週一回だけ来ているわけですね。これでも喫水は十三メーターなんです、せいぜい。北米にはこれ直接もう行かずに、結局釜山に寄って行くわけですね、荷物全部大阪では積めないわけですから。これが実態なわけですよ。
大体、東京港ではまだ十六メーターできてないわけですね。それでも東京港、国内最大の港ですし、四百八十九万TEU、これコンテナの取扱量があるわけですね。何でこれだけのコンテナ量を積むことができるのか、十六メーターなしですよ。これ、非常に興味深いデータがあります。東京港埠頭会社が独自に調査したところ、東京港、欧州航路は最大でも十三メートル未満だったと。欧州航路の九千TEUの、これ大型船ですよ、満載で喫水というのは十四・五メートルなんですけれども、これ東京港はラストポートになりますので、十二・四メーターで楽々入ってきているということなんですね。北米航路でも、これ東京港は十三・五メートルが最大。そもそも、十六メーターなんて必要ないというのが、これ東京港の実態になっているわけですね。
私、大臣に、やはりこれ費用対効果ということを検証するためにも、各地の港で大水深のバースがちゃんと使われているかどうか、最大で何メートル喫水で入港しているか、これ調査すべきだと思いますけれども、大臣、どうですか。
○国務大臣(石井啓一君) 現在、基幹航路のコンテナ船につきましては大型化が進んでおりまして、アジア―北米航路では平均船型六千九百TEU、最大船型一万四千TEUの船舶が、また、アジア―欧州航路では平均船型が一万三千七百TEU、最大で一万九千五百TEUの船舶が就航をしているところでございます。我が国に寄港する北米航路、欧州航路につきましてもこうした大型コンテナ船が就航しておりまして、これらのコンテナ船が入港するには水深十六メーター級のバースが必要となっていることから、国際コンテナ戦略港湾では少なくともこの平均船型に対応したコンテナターミナルが必要と考えております。
国土交通省といたしましては、引き続き国際コンテナ戦略港湾政策を推進することによりまして、基幹航路の維持拡大を図り、我が国経済の国際競争力の強化や雇用と所得の維持、創出を図っていきたいと考えております。
○辰巳孝太郎君 時間だから終わりますけれども、最近エバーグリーンが開発したLタイプでも、非常に大きいんですけれども喫水というのは浅いというのがもう開発されていますから、これ各地、地方港で、やっぱり十四メーター使われていないと思いますよ。これから大水深バースもっと造っていこうというときに、ちゃんと費用対効果、調べるべきだということを最後に申し伝えて、私の質問を終わります。