日本共産党 衆院比例 近畿ブロック たつみコータロー

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国会会議録

違法物件放置こそ問題 辰巳氏・参考人が批判

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住宅宿泊事業法(民泊新法)が9日の参院本会議で自民、公明、維新、民進の各党などの賛成で可決、成立しました。日本共産党と、社民党、参院会派「沖縄の風」は反対しました。

同法は、旅館業法上認められていない住宅での宿泊業を解禁します。従来、宿泊業には、消防設備や衛生基準など最低限の基準を満たし、旅館業法上の許可が必要でしたが、同法では基準を満たさない住宅での宿泊事業も、届け出だけで認められます。

8日の参院国土交通委員会の参考人質疑では、日本中小ホテル旅館協同組合の金沢孝晃理事長が、違法民泊を放置する政府や行政、報道しないマスコミに驚きを隠せないと発言。「ホテル旅館を40年経営してきたが、今の旅館業法の規制が厳しいと思ったことは全くない」と話し、安心安全に深く関わる「当たり前の規制だ」と断言しました。日本共産党の辰巳孝太郎氏が、「ホテル不足」の実態について問うと、金沢氏は「国内のビジネス客が利用するホテルが大阪や東京で取れないだけで、少し中心部から離れれば、ホテルはいくらでもある」と述べました。

株式会社「百戦錬磨」社長の上山康博氏は、宿泊施設仲介事業者の立場から「違法ビジネスを具現化するプラットフォームがある」と、海外大手仲介業者を批判しました。

辰巳氏は「違法物件と知りながら、対策を取らずに仲介を続け、収益を得ることは不法収益だ」と断罪し、「違法行為を防ぐ一番有効な手段は、仲介業者に違法物件を掲載させないことだ」と指摘。一部大手仲介業者が違法物件を掲載し続けていることを政府も追認し、違法民泊を野放しにしてきたと批判しました。

2017年6月10日付「しんぶん赤旗」より引用

議事録を読む
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
本法案においては、民泊は違法なんだけれども、結局増えてしまったので仕方がないと、むしろこれを解禁して適正な規制をするというのが立法の端緒となっていると私は思います。しかし、政府が本当にこの違法民泊の取締りに手を尽くしてきたのかと、これが私は問題だというふうに思っております。
民泊はシェアリングエコノミーの一業態で、住居のオーナーが仲介業者に登録をし、当該住戸に泊まりたい人を、顧客を紹介するというものであります。厚労省の調査でも、一万五千百二十七件のうち、大都市圏に限ると簡易宿所の許可を取ったのは僅か一・八%。圧倒的多数が現在違法営業、違法操業となっております。
この違法営業をさせない今現在一番有効な手だては、これ未然に防ぐことであります。つまり、仲介サイトに違法物件、つまり簡易宿所などの許可を得ていないものを掲載しないことであるというふうに思います。
そこで、厚労省にお伺いしますけれども、このことに関して、五万件以上が登録をされていると報道もされておりますけれども、どのような対策を取ってきたんでしょうか。

○政府参考人(北島智子君) お答えいたします。
厚生労働省といたしましては、違法な民泊の広がりに対応するため、現行の旅館業法の下において、民泊サービスが旅館業法の許可の下に適切に提供されるよう、昨年十一月に営業許可取得の手引を作成し、広く公表するとともに、各自治体における無許可営業施設への対応状況の把握に努め、現行法の遵守や悪質な民泊を対象とした取締り等の強化について、昨年九月に警察や自治体に協力を要請するほか、観光庁と連携し、民泊仲介サイト運営事業者に対し、簡易宿所取得の呼びかけ等を要請するなどの対応を行ってまいりました。

○辰巳孝太郎君 仲介業者に対して具体的にどういう要請を行ってきたんですか。

○政府参考人(北島智子君) 民泊仲介サイト運営事業者宛てに、観光庁と連名で要請文書を出しております。まず、旅館業法の許可が必要であるということを登録サイト等において周知することや許可取得について呼びかけること、注意喚起を徹底することなどを依頼してまいったところでございます。

○辰巳孝太郎君 その結果、政府が求めた対策をエアビーアンドビーなどの仲介業者は行ったのか、そしてその効果は出たのか、どうですか。

○政府参考人(田村明比古君) 平成二十八年四月以降、先ほど厚労省から答弁ありましたように、厚労省と観光庁と連名の文書で外国のインターネット仲介業者に対しまして、自社のサイトに物件を登録しているホスト等に向けて旅館業法の許可取得等を呼びかけるよう要請を行ったところであります。
また、国内に一定の拠点や代理人を有する仲介業者とは定期的に面談を重ねまして、簡易宿所の許可要件の緩和による許可の取得促進や旅館業の法令遵守の重要性というものを訴えてきたところでございます。
これらの取組の結果といたしまして、複数の仲介業者が要望書に応えて、登録ホスト等に対してメールを送信する等により要望書の内容の周知を行ったと承知しております。
また、例えば最大手と言われるエアビーアンドビーにつきましては、一定の宿泊日数を超えた物件をサイトから削除する仕組みを用意する等、各仲介業者は、登録ホストの法令遵守にも積極的に協力する姿勢を見せているところでございます。
その一方で、現状のサイトにおいては違法な民泊物件が引き続き掲載されているところでございますけれども、この民泊に係る新たなルールというものができましたら、それを遵守すべく取り組むとの意向も各仲介業者からは示されておりまして、できる限り早期にこの法案を施行することが必要であるというふうに考えているところでございます。

○辰巳孝太郎君 今長官おっしゃいましたけれども、ほとんど効果出ていないんですよね。これ、効果出ていたら、五万件、いわゆる違法物件というのはサイトからなくなるはずなんですよ。ここまで民泊の問題というのは広がるはずはないんですよ。これ、ほとんど効果出ていないということなんです。
今日、資料にも付けさせていただきました。政府としては仲介業者に対して様々な要請を行っているんだということであります。直接、エアビーアンドビーなどの仲介業者にも会って要請書を送付したり口頭の説明をしてきたと、こういう話なんですね。
この資料にもあるとおり、例えばエアビーアンドビーの主張であれば、簡易宿所を含む旅館業法の許可を取っていない民泊物件についてはサイトに引き続き掲載されている模様と。これはエアビーアンドビーが言っているんじゃなくて、これは政府の見解だと思うんですけれども、その理由として、民泊の新しいルールが整備される可能性があるため、新しいルールができればそれを遵守するというそういうホストの意向だと、こういう話ですね。
中国の自在客ですか、などの主張も同様に、ここは、日本を将来の有望市場と見ているため、できる限り法令遵守に努力するが、新しいルールが整備されるようなのでサイト上の掲載の可否については一定の猶予期間が欲しいと、こういう仲介業者の意向だということなんですね。
先ほどエアビーアンドビーの対策少し紹介していただきましたけれども、私もエアビーアンドビーのサイトにちょっと行ってみました。サイトに行きますと、ホストの物件登録の際には、同意をするというチェックボックスがあるんですね。そこにチェックをすれば、利用規約の中に示されているそこの地域の法令に従ってくださいと。チェックすればそれに従うということに同意したということになりますという、そういうことになるんですよ。やっているのはこれだけなんですよ。やっているのはこれだけなんですね。だから、なくならないわけですよ。
ですから、登録しているホストは、これ、法令に違反していることは百も承知なんです。分かっていてやっているんですよ。これだけの措置で実効性がないというのは、これはもう明らかなんですね。
この仲介業者に関して確認したいと思いますが、これ、違法物件だと知りながら、又は知り得ながら、その対策を取らずに仲介を続けて収益を得る、これは不法収益ではないですか。

○政府参考人(田村明比古君) 旅行業法は、日本国内に営業所等を有し国内で運送等サービスの仲介等を行う者を対象としております。そういう意味で、国内に営業所がない仲介サイト業者は旅行業法の適用対象外となります。

○辰巳孝太郎君 旅館業法違反の物件を掲載しているんですよ。これ、長官、旅行業法違反になるんじゃないですか。いかがですか。

○政府参考人(田村明比古君) 今申し上げましたように、旅行業法は、国内に営業所等を有し国内で仲介等を行う者を対象としておりますため、国内に営業所がない仲介サイト業者は旅行業法の適用対象外となっております。

○辰巳孝太郎君 それでは質問を少し変えましょう。
旅行業法の話がありました。しかし、登録しているホストというのはこれ明らかに旅館業法違反なんです。それをそのサイトに載せて収益をホストにも与えるわけですね。もちろんエアビーアンドビーにも収益があります。これは違法営業の幇助に当たるんじゃないですか。いかがですか。

○政府参考人(田村明比古君) 登録されている旅行業者がそういう行為を行った場合には、幇助に当たるということは解釈としてあり得ると思います。

○辰巳孝太郎君 エアビーアンドビーは、旅行業法のこれ登録していますか。

○政府参考人(田村明比古君) 現在のところ、登録は行っておりません。

○辰巳孝太郎君 なぜ登録を行わないんですか。

○政府参考人(田村明比古君) 旅行業法は、国内に営業所等を有しその仲介等を行う者を対象としておりまして、国内に営業所がない仲介サイト業者というのは旅行業法の適用対象外であるということであります。

○辰巳孝太郎君 皆さん、旅行業法の登録、要請してきたんじゃないんですか、エアビーアンドビーに。どうですか。

○政府参考人(田村明比古君) 旅行業法の違反というものについて、海外に本拠を置き、国内に営業所がない者については実効ある取締りというものは担保できないということであります。

○辰巳孝太郎君 ですから、皆さんはエアビーアンドビーに、国内に事務所を置いて旅行業の登録をせいということを求めてきたんでしょう。その事実関係、イエスかノーかだけ。

○政府参考人(田村明比古君) エアビーアンドビーに登録をせよと要請したということはございません。ただ、今後、この住宅宿泊事業法案が成立後、登録をしてくれという要請は行い、協力をしますというお答えはもらっているところでございます。

○辰巳孝太郎君 大臣、大臣、ちょっともう一回聞きますけれども、これ旅館業法の違反の登録なんですよ。仲介サイトがそれを載せているんですよ。違法行為を幇助している、こういうことになりませんか。

○国務大臣(石井啓一君) 今、観光庁長官の方から度重ねて答弁いたしましたとおり、現行法では、日本国内に営業所等を有しないエアビーアンドビー等は旅行業法の適用対象外になるということでなかなか実効的な取締りができない、だからこそこの新法を設けまして、新たに住宅宿泊仲介業を登録をさせて、しっかりとした取締りができるようにしようということでございます。

○辰巳孝太郎君 これは非常に情けない話ですよ。これ違法行為を幇助しているんですよ。そんなものに、国内に拠点があるかどうか、営業所があるかどうかなんて関係ないんですよ。これ、違法行為を幇助しているんですから厳しく対処するのは当たり前の話なんですよ。
今日三枚目に付けさせていただいた資料には、これエアビーアンドビーのホームページから出しました。インバウンドが三百万人、エアビーアンドビーの利用が突破したんだと、これ誇らしげに書いているわけであります。これ、仮に三百万人が一泊一万円の宿泊をしたとして、エアビーの手数料はホスト、ゲストから最大で一七%ですから五十一億円の収益上げたことになるんですよ。
これに関して政府の責任は、これ今の答弁ありましたけど、重大ですよ。違法行為をやめさせるために先ほどの要請程度では不十分であることはもう間違いないんです。
簡易宿所の許可は都道府県がやりますが、その情報さえ仲介業者に提供すれば、これ仲介業者はそれをきちんとひも付けして違法民泊のネット掲載を排除できるんです。百戦錬磨はそうやってきたんですよ、今日の参考人であったでしょう。何でこういう対策取らなかったんですか。長官、どうですか。

○政府参考人(北島智子君) 旅館業の許可営業施設の情報を民泊仲介事業者に提供することにつきましては、個人情報保護の観点から、許可情報を第三者に提供する場合には個々の事業者の同意を得る必要があることなどから、一律に許可営業施設の情報を提供することは困難でございました。
ただ、都道府県等、特に京都市などでは、個々の事業者の同意が得られた場合に、違法な者を峻別するため許可営業施設の一覧を公表している事例もあり、厚生労働省といたしましても、昨年七月の旅館業法等に関する生活衛生関係主管課長会議におきまして、こうした取組を先進事例として紹介しているところでございます。
また、今後、本法案が成立し施行された場合には、住宅宿泊事業の適正な取締りを行うため、玄関等の標識の掲示の義務付けや違法な者を峻別するとともに、観光庁においてワンストップの苦情窓口を設置することが検討されており、これらの措置を通じて、より無許可営業者の取締りを徹底したいと思っております。

○辰巳孝太郎君 個人情報の話がありました。これは同意を得ればできるんですよ。今京都の話もされましたね。
大臣、最後にお聞きします。
施行の後はそういうことをやるという話ですけど、そうじゃないんです。施行の前の今が大事なんですよ。この本法案の四十六条は、これ、登録を受けた者は住宅宿泊仲介業を営むことができると、こうなっているんですね。
大臣、これ申請の時点で、仲介業者が登録を申請する時点で、簡易宿所などの許可を得ていない違法物件の扱いを行っている仲介業者は登録を認めない、これよろしいですね。そのためには、今からやらないと駄目なんですよ。今からその情報を提供して、エアビーアンドビーにちゃんとひも付けさせて載せさせないと。これやってください、今。大臣しか答弁できませんから。

○政府参考人(田村明比古君) 御指摘の点も含めて検討してまいりたいと思います。

○辰巳孝太郎君 検討じゃ駄目ですよ、これ絶対やってください。そうやらないと、これ、百戦錬磨の社長がおっしゃっていたとおり、仲介業者の間のイコールフッティングもこれ反するんですよ。
絶対やるべきだということを求めて、質問を終わります。

議事録(参考人部分)を読む

○委員長(増子輝彦君) 住宅宿泊事業法案を議題といたします。
本日は、東京大学社会科学研究所教授松村敏弘君、株式会社百戦錬磨代表取締役社長上山康博君及び日本中小ホテル旅館協同組合理事長金沢孝晃君、以上三名の参考人に御出席いただき、御意見を聴取し、質疑を行います。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
参考人の皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、議事の進め方について申し上げます。
まず、松村参考人、上山参考人、金沢参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
御発言の際は、挙手していただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、参考人、質疑者共に御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず松村参考人にお願いいたします。松村参考人。

○参考人(松村敏弘君) 東京大学社会科学研究所の松村と申します。今回は、この検討会の構成員を務めていた関係でお話をさせていただきます。言いたいことを言い損ねないようにということで、言いたいことを全部書いて配付いたしておりますので、適宜御参照ください。
今回の住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法に関しては、私は全面的に賛成です。宿泊施設の逼迫というようなことがあり、そのためにいろんな問題が起こっているというようなことは検討の一つの大きな契機であったのは間違いないと思いますが、それだけが唯一の原因でも最大の原因でもないと思っています。
これは、日本全体で今後もいろんな形で発生してくるであろう遊休資産あるいは低稼働の資産というのをより効率的に利用して、それによって日本全体の生産性を高める、経済成長につなげていくという、こういう大きな視野に立った上で、この住宅という重要なピースというのに関してきちんと手当てをしようという、こういうものであって、ITの発展によって可能になったシェアリングエコノミーというのを日本全体で推進していって、これを適切に育成していくという制度を日本がちゃんとつくることができるということを世界に示すというようなものの重要なピースだというふうに考えています。今回の新法というのはその重要な一歩になるというふうに考えています。
もちろん、今回の新法というのだけで本当に問題が全て解決できるということではないと思いますが、今後も継続的な監視というのと制度改善のためのいろんな工夫、それから、これから更に出てくる政省令の整備というのに関して、あるいはさらに、運用というものに関してもとても重要になってくると思います。この点について十分見ていかなければいけないと考えています。
おめくりください。
今、生産性を高めるということを言ったわけですが、民泊は、数が多くなれば多くなるほど生産性が高まって良いというものではもちろんありません。民泊に伴って、既に違法民泊では顕在化している様々な外部不経済、典型的には近隣に迷惑を掛けるだとかという、そういうようなことですが、そういうようなことというのが起こった結果として、むしろ資産価値を損ねてしまう、地域全体の資産価値を損ねてしまうなどというようなことになればむしろ逆効果だということになりますので、そのようなことを抑える、つまり外部不経済を最小にしながら資産の効率性というのをできるだけ高めていくという、こういうことがとても重要になってくる。そのためには、優良な民泊を社会全体で大切に育てていくということがとても重要だと。
そうすると、今回の法案というもののメリットというのは、優良な民泊というのを育てるということに対してどれぐらい大きなメリットがあるのかということを中心に考えていかなければいけないと思っています。
逆に言えば、今回のような新法ができて、新しいルールができたのにもかかわらず、なお水面下に潜ってしまうというような違法民泊というのをむしろ助長しかねないというようなことがもし万が一あるとすれば、今の新法にはそのような要素はないと思っていますが、もしあるとすれば、そのようなものは適切に規制していくということを今後の政省令の整備などで、あるいは運用などで適切にやっていくということは当然の前提として、今回の新法というのはこのような目的に沿ったものだと考えています。
今回の民泊新法ができても、なお地下に潜ってしまうような、現状のような野放し状態の違法民泊というのが完全になくなるかというと、それは完全になくなるということはもう相当に難しいと思います。
しかし一方で、今回の新法ができて、今まで全く位置付けられていなかったプラットフォーマーというのが明確に法律上位置付けられ、管理事業者というのもつくられ、しかも、それも行政がちゃんと把握するという手段もつくられ、合法の民泊に関してはホストの情報もちゃんと得られるという、こういう状況になったということになり、しかも、その規制というのは異常に厳し過ぎるものではなく、とても合理的なものだ、公益的な目的のために必要最小限の規制になっているという、こういう状況になっていたとすれば、違法な民泊というのはこちらにどんどん移行してくるということになる。そうすると、違法な民泊自体の数が相当に減るということになり、そもそも規制はしやすくなるのではないか、取締りがしやすくなるのではないか。
さらに、社会的に見ても、まともな民泊というのは全部合法民泊に移行します。そうすると、違法民泊として残っているのは相当悪質なもの、これだけ緩い規制であるのにもかかわらず、なお登録しないような、なお届出しないような相当違法性の高いものというのだけが残るということになれば、そこに対して厳しい取締りをするということについても社会的な理解も相当に得やすくなるのではないかと思っています。
そういうような観点から見ても、今回の新法というのは、違法なものが残るのに対してどうするんだという問題、依然として残るのは間違いないと思いますが、今回の新法によって、その取締りというのに関しても実効性が増すというふうに考えています。それを更に増すためには、今後の政省令の整備だとか運用だとかというのはとても重要になってくるというのは事実だと思いますが、今回の新法は明らかに助けになっているというふうに私は評価しております。
おめくりください。
民泊は、そもそも主な用途が住宅であるという、こういう資産の低稼働の状況というのの生産性を高めるというのが目的なので、元々住宅であるものというのが使えないと意味がない。そういう意味では、住専地域で展開できるということがなければ全く無意味になってしまうと考えています。その意味で、今回の新法というのは、住専地域でも展開できるということにした点は高く評価すべきだと思います。
一方で、日数の制限というのが掛かったというのは、主な用途が住宅であるという立て付けの下で、もう必然的に掛からざるを得ない規制だと思います。これに関しては、一部の事業者の方からは、日数制限があったら採算性が取れなくて事業の展開ができないという形で批判というのを検討会でも随分受けたと思いますが、それでも、これは住宅地で展開するというものであって、住宅地では展開できなかった、住専地域では展開できなかった旅館業法に基づく旅館とは違うものだということを明確にするためには日数制限は不可避であるということで、日数制限というのは当然に課すべきだということになり、その下で最も合理的な規制というのが今回の新法で提案されたと思います。
さらに、これは上限百八十日というのは、これを地方自治の観点から、うちの地域では百八十日よりももっと多くしたいとかということは原則として想定されていないけれど、この地域の実情に応じてもう少し低い日数にするとかというようなことは一応想定されているような、そういう立て付けになっていると理解しています。
これに関しては、例えば都市部では何日以下、それ以外のところでは何日以下というふうに乱暴に集権的に決めてしまうのではなく、地方の実情に合わせて追加規制ができるということをしたのは、地方自治という観点から見ても、地方分権という観点から見ても望ましい制度設計だったのではないかと考えています。地方分権の観点からも合理的に説明可能な最小限の規制ではあるけれど、しかし地域住民にとって不可欠であるというそういうような規制だけが入ってきて、それで今回の新法の趣旨にきちんと適合するような追加規制というののみが出てくることというのを切に願っております。
民泊新法というのは、現時点でとても良い出来になっていると私自身は評価しているのですが、今後の課題として幾つかまだ残っていると思います。
まず第一に、この民泊新法というのは本当に正しく理解されているかどうかということは若干心配しています。
例えば、これ、プラットフォームというのを二つに分ければ、それぞれ百八十日ずつオーケーで、そうすれば年中可能ですと、そう誤認している人がいるのではないか。法の趣旨からしてそんなこと絶対あり得なくて、二つに分割したってトータル百八十日というのに決まっているわけですが、そのように誤認している人が現にいるという事実を踏まえれば、そのようなことは違法ですよというようなことを懇切丁寧に説明していただきたい。そういうことによって、誤って悪意なく違法なことをしてしまうというようなホストが現れないようにということについては徹底していかなければいけないと思います。
あるいは、友人泊めればこの規制は掛からないんですよ、友人泊まったと強弁すればいいんですよなどというようなことを平気で言う人というのもいる。これはもう明らかに法の趣旨に反しているわけで、対価を取って泊めていれば、それは友人であろうと何であろうと当然に規制の対象だなどというのは当たり前なんですけど、それを誤認している人が現にいるということを踏まえた上で、この新法の趣旨というのがきちんと伝わるように、広報も今後周知徹底していただきたいと考えています。
次、おめくりください。
外部不経済の問題というのは、現時点で、違法民泊においてはかなりの程度顕在化している。これが合法民泊に移行して、そういうようなものが極めて起こりにくい優良なものが育っていってほしいというふうに考えています。
違法民泊あるいは合法なんだけれど迷惑ばかり掛けるとかという、それを防ぐための方策というのはいっぱい取られているからその可能性は低いとは思うんですが、もしそういうようなところが頻発するということになったとすると、もう民泊の印象がとても悪くなってしまって、社会的受容性が大きく下がる。民泊なんてもう迷惑施設だというようなことになると、優良な民泊を大切に育てていくというのを、もうはなからつまずいてしまうという、こういうことになりかねません。
そのためには行政側の努力というのもとても重要ですが、一方で、私自身がとても期待しているのは、プラットフォーム事業者あるいは管理事業者というのが、ホストを教育するというのはちょっとおこがましいかもしれませんが、適切な情報提供をし、こういうようなことをするとトラブルが起きにくくなりますというようなことを積極的に言っていって、その結果として、このプラットフォーマーに預けると、ある意味で、いろんな情報もくれるし、いろんな有益な情報によって近隣被害とかというのも防ぐことができる、そういうような優良なプラットフォーマーに情報を掲載しようという、こういう好循環が生まれてくるという、こういうことで、業界全体としてもそういうものだけが生き残るというふうになってほしい。その意味では、政府の規制も重要だけど、業界の自主規制のようなものというのが適切に行われて、うまく機能するようになってほしい。
業界の自主規制というのがもう全く機能しなくて、違法民泊を助長するような事業者がばっこするというようなこと、これはこの法律からすると基本的にはないはずのことですが、そういうようなことが起こったとすれば、今後は規制強化というようなこと、更なる規制強化もやむを得なくなってくると思いますが、それは、そういう行儀の悪い事業者というのがばっこしたせいだというようなことであれば更に理解は得やすくなると思います。出発点として、この民泊新法の規制はとても良い規制だと思っています。
それからさらに、必要があれば旅館業法の見直しというのもとても重要だと思います。
今回の法案の範囲の外だと思いますが、既存の旅館の資産の生産性を高めるということももちろんとても重要なこと、そのために、余計な縛りがある結果として活躍できないという状況があったら困るということで、公益的な目的を満たすための最小限の規制は何かというのを考えていかなければいけないのは旅館業法も同じということで、この規制というのは、もう既に規制改革の動きは既に出てはいますが、この点は、業界の要望というのを十分聞いて、旅館の生産性も高めるというような改革も同時にできるように努力すべきかと思います。
最後、おめくりください。
基本的にこの民泊新法というのは、シェアリングエコノミーというのの推進のためにもとても重要なピースだと、この視点を決して落としてはいけないと思っています。
外部不経済を抑制するために、行政の規制とともに事業者の適切な努力というのを大きく期待しています。
今後は、運用だとか政省令の整備だとかいうのに関しても優良な民泊事業者を育てる、非合法な違法な民泊を合法な民泊の方に移行しやすくしていくというような視点というのを決して落とさないように是非お願いします。
それから最後に、旅館業法の見直しというのも継続して行っていくべきかと思います。
御清聴ありがとうございました。

○委員長(増子輝彦君) ありがとうございました。
次に、上山参考人にお願いいたします。上山参考人。

○参考人(上山康博君) ただいま御紹介いただきました株式会社百戦錬磨の代表をしております上山でございます。本日、このような場で発表の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、お手元の資料に大体沿ってお話をさせていただきたいと思います。
多分、聞き慣れない会社だと思いますので、簡単に当社のことを御案内をさせていただきたいと思います。
設立は五年前に遡ります。五年ほど前から民泊の分野を事業化しようということで事業活動を行ってまいりました。その際、この旅館業法を含め、関連法規、いろいろな角度で検討をいたしました。そうすると、日本の現時点でのルールにおきましては、現状、今、日本で約五万ぐらいあると言われている闇民泊、そのような事業活動ができないというふうに私は考えました。
通常ならば、当然その時点で、ということはやめようというふうに考えるのが一つの見解。もう一つは、だけどちょっともうかるからやってみようかというよこしまな考え方の企業もあろうかと思います。当社は三つ目の選択をさせていただきまして、今後、民泊というビジネスといいますか、この動き、運動というものは必ず日本にとってプラスになると私は考えまして、できることならそれをしっかりとルールにしていただきたいということで、国の皆さんに対してルール制定のお願いをしてまいりました。
ようやくその中で、ちょうどシェアリングエコノミーの流れもありましたし、国家戦略特区、最近何か違うところでいろいろ言われておりますけれども、その国家戦略特区の中に特区民泊というものをやっていただけないかということで申請をさせていただいて、たまたま御検討をいただいたことでルール化されたと。そして、それをまずは大事に、せっかく作っていただきましたルールですから、そういったものを活用していこうということで進めてまいりました。
よく言われる、量が足らなくなるから量を増やすという視点もございますが、当社としてはそれだけではなくて、どちらかというと、地方の遊休資産、古民家であったり、それから空き家であったり、公共財、そういったものを活用して新しい旅のスタイル、新しい滞在スタイルというのをつくっていきたいなということが趣旨でありました。
ようやくSTAY JAPANのトップというところに行っていただきますと、当社は、立ち位置的には基本的にプラットフォーマー、先ほど松村先生から御案内ありました仲介事業者の立ち位置にあります。私ども、このSTAY JAPANというサイトを運用し、そして次のページでありますが、掲載しているコンテンツは全て何かしらのルールに沿って公認の民泊しか掲載しておりません。また、外部不経済等々の問題もありますけれども、二十四時間の、これはお客様だけではなくて、近隣の皆さん方に対しても二十四時間のコールセンターというものをつくらさせていただいておりまして、何か、例えば騒音がうるさいとか、ごみの捨て方がおかしいとかというのが仮にあった場合でも、ちゃんとどこに何を言っていけばいいのかというようなことを当社内で機能として備えております。また、日本国内の保険会社に私どもが加入をし、何か問題があった場合は当社の賠償の責任の範囲内でちゃんとそれを対応していくというようなこともやらせていただいております。今考え得る限りの一定の安心、安全というのは、プラットフォーマーの義務として私どもは果たしていると思います。
次のページです。
当社のコンセプトは、先ほども申し上げましたように、いろいろな海外の方、日本人、日本人同士、いろいろな方々が民泊を通じて交流を深めていく、交流人口を拡大していこうということが、当然、私どもの目指すところであります。
そして、テーマとしては、オルタナティブロッジング、今までのホテル、旅館の宿泊スタイル、これはこれで十分以上の魅力があるものと私は確信をしておりますが、また違った、特に欧州、ヨーロッパの方では普通になっているロングステイとか長期滞在、そういった地域の生活そのものを味わうようなそういった機会、滞在スタイルを提供していきたいなということをコンセプトとしております。
次のページでございます。
先ほど御案内しました特区民泊、こちらスタートをしたんですが、正直、この場で申し上げていいのか分かりませんが、スタート時というのは行政の皆さん方も非常に慎重になられます。それは当然だと思いますし、元々のルールとしてもかなり、何ですかね、コンサバというか、安心、安全方面に振った内容になっています。正直、旅館業法で申請するのと変わらないというよりは、より運用面においても厳格なものになっています。
それを実際使う人っていますかということが正直あったんですけど、私ども、元々、内閣府さんに提案した立ち位置ですから、まずは自分たちでやってみようということで、特区民泊、今は東京の大田区と、それから大阪府、大阪市だけしかありませんけれども、そこの全て第一号物件というのは当社が申請をし、かつ運用もさせていただいています。その後、この特区民泊の制度を使いたいという方々に対しては、最初にやったからお話しできるアドバイス等々もさせていただきつつ、地道にではありますけど、その数を増やしてきていると。今ようやく当社の特区民泊で、こちらに書いております約百ぐらいの物件が掲載していただいている状況になります。
この写真の方は、これは大田区にあります築六十年の空き家、結構ぼろな空き家だったんですけど、それをリノベーションし、そして六名定員ということなので、結構やっぱり家族でいらっしゃる、家族で六名とかというと通常のホテルでいうとやっぱり二つ、三つぐらいに分かれてしまうということもありますので、そういう方々にとっては重宝していただいているということと、それから、やはりキッチンがあるということで、宗教的なこととか、そういったものも含めて自分で作るということもできるんではないかなということを今評価していただいています。
このように、今、そのままだと空き家というものを活用することによって新しい需要もつくれるかと思いますし、また、空き家対策にもなってくるんではないかなというふうに思います。
また、特区民泊に関しましては、近隣の方々の外部不経済の問題、実際、もう一年半ほどやっておりまして、そういった、何というんですかね、重大になるようなクレームは基本的に一切ありません。やはり、事前にここでやりますよということをお話をしている、そして何かあったら連絡できますよということをしっかり地域の方々にお伝えしているというのは、やはり地域の方々にとっても安心、安全ではなかろうかというふうに思います。
次のページ、私どもは元々農泊、いわゆる農村地域での滞在というのを基本にしておりましたので、こういった活動を今は地方から、また都会、両方やらせていただいていると。
もう一つ、イベント民泊という、たくさんの方々が一気に集まるところに、ホテル、旅館はもうほぼ満室ですと。その際に、せっかくたくさんの方が地域を訪れたんだけど泊まるところがない。その期間だけ、年に一回程度、地域の皆さん方に有料で、有償で泊まらすというようなことも今やらせていただいております。これも一つ大きな地域に対する貢献ではなかろうかと思います。この究極は、二〇一九の全国のラグビーワールドカップであったり、二〇二〇のオリンピックも実はこれイベント民泊の概念で捉えられるんではないかなというふうに考えております。
そういう立ち位置ですので、当社はプラットフォーマーが基本的なポジションではあるんですが、次のページ、住宅宿泊事業法の考え方のこの図で申し上げますと、私どもはこの仲介事業者の立場が基本です。しかしながら、住宅提供者若しくは住宅を提供する方に代わって管理をする運営代行、そういった事業を一通り全部やっています。そしてまた、現行法においてできる範囲内のことを今やらせていただいているのが現状です。
今回の住宅宿泊事業法に関しまして、一つだけ、是非ここはしっかりと御検討いただき、そして、このルールがスタートする際にはそれだけは守っていただきたいというのが一つあります。
元々、この仲介事業者、後ほどはっきりと申し上げますが、例えば代表的な企業ではエアビーアンドビー社というアメリカの会社があります。エアビーアンドビー社がないと、この現在の約五万の闇民泊、これは存在しなかったと思います。やはりそういった違法民泊を掲載をし、そしてそれを世界の方々と結び付ける、マッチングをさせる機能があったから闇民泊が存在したというふうに思っています。そういう意味合いでは、今回のルールは、この仲介事業者をこのルールの中に入れていただいている、そして、海外の企業にもそれを要求しているということは、私どもにとっては非常にいいことだと思いますし、是非そこをしっかり進めていただきたいと思います。
この問題を、よく百八十日の問題とかというところで皆さん議論あるんですけど、一番の問題は、やはり仲介事業者であります。私どもも仲介事業者ですので、何となく同業のことを言うのもちょっと気が引けるところあるんですけれども、しかしながら、ここは、だからこそしっかりルールを守ってしていくという、その実効性を是非担保していただきたいと思います。次のページに仲介事業者と書いていますけれども、これがやっぱり一番のポイントになるかと思います。
ただ、ここは、観光庁に旅行会社とほぼ同じ条件で登録ということになってはおるんですが、もう大前提なんですけど、今エアビーアンドビー社に約五万の違法物件がありますねと、その状態で登録申請しますというようなことを彼らは記者会見で言い切っています。それが最後のページになります。これは観光経済新聞という業界紙なんですけれども、業界紙だけではなくていろんな記者の方々が集まったところで、エアビーアンドビー社は新しいルールを守りますと。それは、百八十日を超えた場合においては必ず削除します、それは大いにいいことだと思うんです。だから守っているという言い方をするんですが、しかしながら、この今既に違法な状態の五万物件に関しては削除しませんと。削除をせず、そしてそのまま登録申請をしますと。これで、この違法状態のプラットフォームを、申請が上がってきたものを認める、それって今ここで皆様方に御検討いただいてるルールの根幹を揺るがす話だと私は思っていますので、是非そこだけはないようにしていただきたいと。
仮に、経過措置云々というお話もあるんですけれども、経過措置というのは、正しいルールをやっています、そのルールが次のルールに移行するのでその経過措置というのは理解できるんですが、違法状態から正しいルールに行くのに経過措置は要らぬでしょうというふうに私は考えますし、仮に百歩譲って、今回のルールが決まった、そして施行するまでは数か月あるんだと思います、その間にちゃんと整理をすると。次の新しいルールに則して運用する、それは住宅事業者も管理者も、そして仲介事業者、みんながそれを準備するというのが一番正しい在り方ではないかなというふうに思います。
是非、実効性あるルールの制定をよろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。ありがとうございました。

○委員長(増子輝彦君) ありがとうございました。
次に、金沢参考人にお願いいたします。金沢参考人。

○参考人(金沢孝晃君) 日本中小ホテル旅館協同組合理事長、金沢といいます。よろしくお願いいたします。
政府は、近年における外国人旅行客の増大に伴う国内のホテル不足を理由として、国家戦略特区の中で関東圏、関西圏において旅館業法を大幅緩和させ、民泊として宿泊施設を拡大させるとしました。しかし、この特区民泊に応じたのは羽田空港を近くに持つ東京大田区だけであり、他の全ての地域においては民泊はやらないとその当時しました。まさしく、これが全国の都道府県と地域住民の民泊に対する本音と考えております。
しかし、この民泊が僅か二年ほどの間に全国で五万か所に及んでいると本年二月一日の日経新聞の記事にも出ておりました。今日、六月時点では五万数千か所になっているでしょう。民泊は九九%が旅館業法の中で最も重い罪となる無許可営業であり、現在の罰金三万円、懲役六か月ということでありますが、この法律は昭和二十三年に公布されており、当時の罰金三万円は現在の貨幣価値に換算すると約二百五十万円となる大変重い罰則、罰金であります。この五万を超える違法民泊の存在を放置している政府と行政機関、そしてその違法民泊のことを書かない、報道しない今のマスコミに私は驚きを隠せません。
首都圏、関西圏を中心として、全国から私どもの組合に届いている違法民泊取締り要請と住宅宿泊事業法案に対する反対署名が四万人を現在超えております。
大阪市で現在十五人の専任メンバーで担当している民泊苦情窓口には、現在二千七百五十件、もう既に二千八百件になっていると思いますが、の民泊苦情とその取締り要請が来ております。そんな中、その十五人のメンバーでは、担当者がうちの組合にもちょくちょく来ますし、私ども協力もするんですが、違法民泊の一部を指導するだけで目いっぱいで、それ以上のことは全く何もできません、できていません。そのようにはっきりおっしゃっています。
そういう中に、当組合が調査をし、二十八か所の大阪市内の違法民泊の場所と持ち主を特定した資料をまたお渡しし、しっかり検挙までこぎ着けてほしいというお願いをしましたが、当面時間が取れませんので、理事長、済みませんけど、しばらく待ってくださいと、このように言われました。時間が忙しいからなかなかそこまではできない、では、私の方でやりましょうといって二十九件を特定しましたけれども、持っていったら、すぐにはできません、いつやるのと言ったら、ちょっとそれも今は返事ようしませんと、これが現在の環境であります。
我々、ホテル、旅館業者は毎年、関係行政に宿泊者の安心、安全確保のために建物や設備管理の定期報告書というものを毎年出しております。消防もそうです。そんな中、一部不動産業界から自民党員を増やすなどということによる政治献金を受けたことによって、この住宅宿泊事業法案が国民の生活に甚大な被害を及ぼすことを分かりながら、一部不動産業界の利益を優先させるという暴挙に私は怒りを隠すことができません。
旅館業法には民泊をするために緩和できる部分がないということで、厚労省は旅館業法の大幅緩和はやりませんでした。私自身、ホテル、旅館の経営を四十年してきた中で、今の旅館業法の中身について規制が厳しいと思ったことは全くありません。私たちの仲間も多分そう思っていると思います。それは宿泊客の安心、安全や命に関わることであり、旅館業法の緩和という部分においてはするところがないと私は考えます。
そういうことで、厚労省はやらない、では、政府どうするかということになって、今まで全く旅館業と関係のない国交省に法案作りを命じ、国交省に民泊を担当させるということで、この住宅事業法案ができたのが経緯であります。この法案を最も嫌がっているのが国交省、厚労省の担当の役人の人たちであると私は思っております。本当なんですよ。
旅館業法の緩和は、政府の言う岩盤規制の改革、何の関係もありません、旅館業法の緩和は。岩盤規制でもありません、あって当たり前の規制です。反対に、宿泊客と地元住民にとって絶対必要のものであり、旅館業法は緩和すべき部分がないということをホテル、旅館業者として断言いたします。
二〇一五年に民泊議論が起きたときから自民党内においても反対派議員が大勢いたことは周知の事実であり、その代表格となる自民党観光産業振興議員連盟会長細田博之さん、自民党生活衛生議員連盟会長伊吹文明会長が連名で、二十八年一月十四日に民泊サービスに関する決議という主意書を民泊中心派の方たちに渡されております。これを、全部読めませんので、一部読みます。全部明かしますから。
民泊サービスに関する決議。自宅の一部や空き別荘、マンションの空き室などを利用して宿泊サービスを提供するいわゆる民泊サービスについては、訪日外国人観光客の急増などに伴う東京、大阪を中心とした深刻な宿泊施設不足への対応、地方における空き家を活用した地域振興、地方創生、日本の生活を味わいたいという新たな宿泊ニーズへの対応など、様々な観点からその有効活用が期待されている。
少し飛ばさせていただきまして、こうした状況に鑑みれば、民泊サービスについては、既存の旅館、ホテルとの公正な競争条件等に十分配意しつつ、安全性の確保、地域住民とのトラブル防止のための担保措置など、適正な実施が確保されることを前提に行われるべきである。このため、下記に掲げる各項目への対応について申入れを行うものであるという申入れをされております。
一つ、宿泊施設不足への対応策として、まずは既存の旅館の活用のための支援、地方創生の観点から、地方への誘客促進に積極的かつ具体的に取り組むこと。民泊については適正な実施が確保されるよう、旅館業法に基づく許可を取得しやすい仕組みを検討すること。マンションの空き室などを活用した民泊については、管理規約に違反した使用や賃貸借契約に違反した無断転貸しなどが行われることのないよう、適切に対応すること。特に、投資型民泊ともいうべきものについては排除すべきである。このようにお書きになっております。
国家戦略特区制度に基づく外国人滞在施設経営事業についてのその課題等について、まずは実施状況を踏まえた十分な検証を行うべきであり、旅館業法の適用除外となる地域や宿泊日数の要件などを容易に拡大しないこと。この中で、付け加えますと、海外の民泊は最高で九十日です、世界中で。民泊サービスの在り方について新たなルールができるまでの間、許可なく民泊営業ができるという誤解のないよう国民に周知すること。このように書いております。
この誤解のないように国民に周知することということに対して、私は大きな疑義を持っております。というのは、日経新聞の記事を私は毎日全面、飛ばすことなく読みますが、この一年半、ほとんど、民泊というものが旅館業法大幅緩和されて解禁になる、いいことをするんだと、そんなような記事ばかり出ております。新聞社がこれでいいのかということを非常に疑問に感じます。この日経新聞の記事で、現在、五、六千か所の民泊が誕生したと、このように言っても言い過ぎではないと考えております。
平成二十八年一月十四日でございます。自民党生活衛生議員連盟会長伊吹文明さん、自民党観光産業振興議員連盟会長細田博之さん、この方の連名でこういう要望書が提出されております。
直近に私が与党の中枢の代議士から得た情報で、与党の中でも現在七割以上の議員が民泊はやはりやらない方がいいと、問題が多過ぎると思っていると聞いております。会場におられる委員の皆さんにおかれては、今日が最後の機会です、この法案を廃案にする勇気を持ってほしいと思っています。法案の成立に賛成したことが皆さんの地元住民に分かれば、次の選挙のときには必ず票を落とすことになるのは明らかなことです。怖いですよ。私の地元にどうしてこんなに民泊あるのと、いや、うちの先生賛成したらしいですよといって入れてくれませんよ。この法案に賛成する一般市民、全くいません、一般の住民は。
全国のホテル、旅館業界での昨年の稼働率は観光庁発表で六〇%となっていますが、これは全国のホテルで取られた係数ではなく、半分も入っていません、全国でいうと。最も数の多い中小のホテル、旅館の稼働率がほぼ統計に入っておりません。入っておりません。堂々と言います。私の組合員に、私のホテルもそうですが、どこかの官庁から稼働率の問合せなんて何十年間一回もありません。どうして分かるのかなと思いますけれどもね。観光庁に申し入れました。調べていないと言いました。
全国のホテル七万八千件の稼働率は現在五割にも満たないと推測されます。ということは、現在のホテル、旅館の空き室を使えば、全国になりますけれども、今から八千万人ぐらいの観光客が来ても何とも問題ないです。そんな中に、大阪市内だけで今新築中と建築確認が下りたホテルの数が三百四十件あります。これから三百四十件がほぼ一年半以内に新築されます。めちゃくちゃ多いんですよ。
そんな中、皆さんよく御存じのアパというホテル、去年、おととしの秋から年末にかけて平日で二万円取っていました、二万円。今、平日で七千円から一万円までです。半分以下に下がっています。暇なんですよ、ホテルはもう既に、アパさんでも。値段半分になっていますよ。
だから、アパさんがどうこうじゃないですよ。大変もうけてはりましたので、それぐらいの値段になってもビジネスとしてはやっていけますので、アパさんは健全な会社やとは思っていますが……

○委員長(増子輝彦君) 金沢参考人に申し上げます。
申合せの時間が過ぎておりますので、おまとめください。

○参考人(金沢孝晃君) はい。
我々ホテル、旅館業者は、建築確認済証、消防法令適合通知書、管理者の三百六十五日二十四時間常駐、この三項目のどれを取っても外せないものと遵守してきました。今回のこの法案は三項目全てが除外されています。これで宿泊者の生命の安全が保障されますか。
今日、飛行機から降りて、スマホを見て民泊に訪ねてくるんですね。ダイヤルキーを開けて入るんですよね。私もやってみましたよ。そのとおりですわ、エアビーアンドビーに予約してね。非常におかしな雰囲気ですよ、ダイヤルキーこう回してね。
これが現在の民泊ということで、今回のこの新法が通過されますと、それを待っている団体がたくさんおりますので、全国八十万戸と言われる、空き家の一〇%、僅か一〇%が民泊をするだけで八十二万か所になります、たった一〇%でね。それで、八十二万か所に……

○委員長(増子輝彦君) 金沢参考人、再度お願い申し上げます。
申合せの時間が過ぎておりますので、おまとめください。

○参考人(金沢孝晃君) はい。
八十二万か所の周囲には四千三百五十万人の住民が住まいをされていることになります。このことを報告して、終わりとします。
ありがとうございました。

○委員長(増子輝彦君) ありがとうございました。
以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。

 

議事録(参考人への質疑)を読む

○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
三人の参考人の方、貴重な御意見、本当にありがとうございました。
まず、松村参考人にお聞きしたいと思います。
先ほど、やはり立法の趣旨は遊休地の活用ではないかというお話があったと思います。そこで、この新法がもし成立をすれば、いわゆる投資型の民泊施設の新築というのが私は増えるのじゃないかというふうに思っているんですが、それは遊休地の活用という観点からいえば余り好ましくはないというお考えでしょうか。

○参考人(松村敏弘君) まず、そもそもそれをターゲットにしていないというのは間違いないと思います。それに関して、私はかなりやりにくいのではないかと思っています。
まず第一に、百八十日という制約が掛かっていて、元々不動産業界の方とかは、これでは採算が取れないということで、日数制限撤廃ということをずっと言われていたわけですが、しかし、それでは主な用途が住宅であるというようなこととコンシステントでないということで、日数制限がちゃんと付いた。逆に言うと、そのためだけにやっても半分は必ず空いてしまうというようなもので、まず採算性がとても取りにくいということがあると思います。
もう一つは、その目的のために造るというのはやはり法の趣旨に反しているので、そのようなものは認めないということの方針が既に示されていると思います。実際に賃貸として、住宅として貸すというつもりで一定期間募集したのだけれどもそれでも埋まらなかったというところを活用するとかということはあり得るかもしれないけれども、最初からこれのためにやるというのは合法ではないという位置付けになっていると思いますし、これからの政省令で必ずそういう形で運用されると思いますので、御懸念の問題というのは極めて起こりにくいのではないかと思います。

○辰巳孝太郎君 なるほど、法の趣旨からいえばそういうことだということであれば、投資型の民泊施設というのが、百八十日という制限はありますけれども、それをくぐり抜けて、先ほど募集の話がありましたけれども、例えば賃貸、分譲の募集を、チラシ一枚でどこに配ったか分からないような募集を一応やって、それで抜けてしまうと、そういうことがないように実効性を高めるということが必要だということが分かったと思います。
続けて、上山参考人にお聞きしたいんですが、先ほど来、エアビーアンドビー社の話がありまして、今五万件を超える違法民泊があると、そのほとんどがエアビーアンドビー社だろうということだと思うんですね。なぜこれほどまで広がったのかということで、先ほどビジネスとして違法民泊を具現化できるプラットフォームにこの会社がなっているんじゃないかということだったと思います。
そこで、上山参考人の百戦錬磨なんですが、これはもう合法民泊だけやろうという御決意で経営されているということなんですが、私がお聞きしたいのは、合法なのか違法なのか、つまり、簡易宿所として若しくは特区民泊としてきちんと申請をしている、それを御社はどのように確認をしているのかということを少し教えていただければと思います。

○参考人(上山康博君) 簡易宿所にしても、それから特区民泊にしても、当然、特区の認可が下りたということで、番号であったりとか何かしらの証明するものが出ます。その証明書をもって私どもは合法であるというふうに確認をしています。

○辰巳孝太郎君 つまり、そういう申請がされたときには、そういう証明できる番号なり物が発行されるので、それを確認すれば簡単に識別をできて、違法か合法かということで、合法の物件だけを掲載するということですね。
となりますと、国内の企業か海外の企業か、仲介企業かという差はあるとは思うんですが、エアビーアンドビー社であっても、そのような手続をすれば十分に識別をして違法の物件を排除することができるという、そういうことになるんでしょうか。

○参考人(上山康博君) はい、先生おっしゃるとおりだと思います。
ただ、じゃ現状どうなっているかというと、これは詳しくはエアビーアンドビー社さんにお伺いしていただければと思いますが、基本的には、登録をする際にその地域の法律、ルールをしっかり守ってくださいねということは英語で書いています。また、それを了解しましたということで、その場で表明保証させています。ですから、あとは知らない。そういう意味でいうと、CツーCのピア・ツー・ピアでやっているプラットフォームなので、仲介とかそういう立ち位置にはいないというのが彼らの考え方になろうかと思います。
また、あと、ちょっとこれは付け加えですけど、今回、今お話ししているのはほぼ無人のお話を、家主がいないというのをお話しされていると思うんですけど、私どもは、多分この民泊新法がスタートすると、有人、ホームステイ型が多くなるんじゃなかろうかというふうに思っています。内容を見ますと、やはりホームステイ型が増えるようなルールだと思いますし、また、投資型というのは、先ほど松村先生がおっしゃったように、なかなか成立しづらいのではないかと。特に、今の現状空いているところだけを活用するという流れになるんじゃないかなというふうに私は思っています。

○辰巳孝太郎君 ありがとうございました。
続いて、金沢参考人にお聞きします。
陳述の中でも、やはり安全規制というのをホテルや旅館は課せられていて、しかも、金沢参考人は、その規制が厳しいと思ったことは一度もないと、当然のことだというお話をされていたかと思います。
そこで、お怒りというのは、イコールフッティング、旅館やホテルはこれだけの安全を当然ながらしているけれども、民泊ではしないんじゃないかという怒りがあったり、四万人の署名という話もあったと思うんです。
そこで、今回の民泊新法の立法の端緒となっているのがホテル不足ということだと思うんですね。ただ、金沢参考人は、ホテルというのは今でも余っているじゃないかということだと思うんです。
確かに、私も、都心部ではホテルなんかは取りにくい状況というのはある程度理解できるんですが、しかし、都心から少し離れれば、これは中小のホテルも含めてかなり余っているんじゃないかというふうに考えておりまして、その辺りのホテルの不足感、いや足りているんじゃないか、もう少し詳しく実態があれば教えていただければと思います。

○参考人(金沢孝晃君) 今おっしゃられたように、ホテル不足というのは、大阪の市内中心部であったり、東京二十三区の場所のいいところで、確かに去年、おととしに随分いっぱいになりました。そのときは、お客さんの方が、特に日本のお客さんですね、海外の人と日本のお客さんの比率比べると、海外の人は一五%ぐらいですよ、今でも。八五%か、どうかしたら九〇%近くは国内客ですよ、ホテル、旅館使っているのは。国内のビジネス客の人たちがいつも使っているホテルが大阪でも東京でも、特に大阪で取れない、それは大阪中央区、北区という全く中心部のことです。だから、自分がちょっと電車に乗って、地下鉄に乗って十分、十五分も走ればホテルは幾らでもありました。だから、今でも余っています。それに、三百四十件、大阪市内は立派なホテルがこれから建ちます。そういう状況です。

○辰巳孝太郎君 時間も残り少ないんですけど、最後に上山参考人にもう一度お聞きします。
今回、民泊新法で特区民泊、これ、かぶるところが出てくるわけですね。かぶるといいますか、大田区、大阪市。どちらを選択されますか。

○参考人(上山康博君) 当然、両方、地域であったりとか地域を踏まえて両方の選択肢があるというのは大変有り難いことだと私は思っています。あと、投資型ということでお話あれば、それは私どもは特区を使わせていただくか、若しくはホテル、旅館業そのものを活用するかどちらかに、私どもが住宅事業者としてやる場合どちらかを使うかと思います。

○辰巳孝太郎君 ありがとうございました。
以上です。

反対討論を読む

○辰巳孝太郎君 私は、日本共産党を代表して、住宅宿泊事業法案について反対の討論を行います。
本法案に反対する第一の理由は、安全確保の観点から、旅館業法上認められていない住宅での宿泊業を解禁するものであり、宿泊者や周辺住民の安全を脅かすものだからです。
宿泊料を受けて人を宿泊させる宿泊業を行うには旅館業法上の許可が必要であり、許可を受けるには建築基準や消防設備、衛生基準など最低限の基準を満たさなければなりません。ところが、本法案は、こうした旅行業法上の基準を満たさない住宅での住宅宿泊事業を届出だけで認めるものであります。災害時の対応が不十分になったり、住環境を悪化させる危険があり、容認できません。
反対理由の第二は、本法案が既にはびこっている違法民泊の現状を追認するものであり、問題を拡大させこそすれ、解決にはつながらないからであります。
違法民泊は全国で五万件を超え、宿泊者と周辺住民との間でトラブルを引き起こし、地域に住民が住めなくなる事態まで起きており、地域の破壊につながるものです。こうした違法民泊を解禁、合法化することは本末転倒と言わざるを得ません。
違法民泊がはびこる背景には、国内外の民泊仲介業者がインターネットにおいて違法物件、つまり旅館業の許可を得ていない物件を掲載している実態があります。政府は、仲介業者が違法行為を幇助していると認識しているからこそ、仲介業者にその対策を要請をしてきました。ところが、一部大手仲介業者はそれに応じず、政府も事実上それを容認し、実効ある取締りを行ってこなかったことも明らかになりました。
今行うべきは、新法制定ではなく、政府として違法民泊への取締りを強化することであるということを申し述べ、反対討論といたします。