日本共産党 衆院比例 近畿ブロック たつみコータロー

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国会会議録

武力で解決できない 民間警備員の海賊対応

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(写真)質問する辰巳孝太郎議員=12日、参院国土交通委

海賊事件対処のためアフリカ・ソマリア沖で日本籍船に民間武装警備員の乗船を認める特別措置法案が12日、参院国土交通委員会で採決されました。日本共産党と社民党は反対しました。

反対討論で日本共産党の辰巳孝太郎議員は、2008年ごろから各国が軍隊を派遣してきた結果、事件発生場所を軍隊が活動していない海域にまで広域化させてしまったと指摘しました。軍出身者で構成される民間武装警備員を一般船舶に乗船させることは、海賊事件が非武装船舶に集中してしまう事態を招きかねないとして、「武力による対応では海賊問題を解決することができない」と強調しました。その上で、政府は国際社会と連携してまともな中央政府が存在しないソマリアの再建に向けた支援に本腰を入れて取り組むよう求めました。

2013年11月20日(水)赤旗より転載

議事録を読む
○辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎でございます。
ソマリア沖・アデン湾において、武装した海賊が民間船を攻撃し、ハイジャックし、人質を取って身の代金を要求すると。こうした海賊行為は許されない犯罪であります。同時に、自衛隊の派遣や民間船舶の武装化など力で対抗するやり方では海賊問題を根本的に解決することはできない、こうした立場から質問をしたいと思います。
本法案は、海賊多発海域を航行する大型タンカーなど日本船籍に民間武装警備員を乗船させ、そして小銃などを用いた警備を認めるものであります。そして、この警備には主に外国の特殊部隊など軍隊出身者が当たるということであります。
そこで質問をいたします。
これまでに民間武装警備員が武器の使用により海賊を殺害したケースが報道をされております。通常国会の衆議院の審議の際にも、御答弁では承知していないというものでありましたけれども、現時点でこのことについて把握をされておりますでしょうか。
○政府参考人(森重俊也君) お答え申し上げます。
委員御指摘の民間武装警備員が、警備の結果、海賊を殺害するに至った事案については、現時点でも承知しておりません。
○辰已孝太郎君 承知をしていないということでありました。把握もしていないと。
二〇一〇年の三月に、ソマリア沖でパナマ籍の貨物船を停泊させようとした海賊を、乗船していた民間武装警備員が射殺をしたケースが報道をされております。イギリス海軍のスポークスマンが記者の質問に答えて、通常は警告射撃を行うけれども、海賊側が再度発砲してきた場合には撃ち返すと、こう答えております。
このケース、適切な銃撃に当たると判断しているのかどうか、これ、どうでしょうか。
○政府参考人(佐藤雄二君) ただいまの件、ちょっと詳細にこちら把握しておりませんので、事件の概要というのをしっかり把握した上で検討をしなければなりませんが、一般的に今、委員御指摘のような話でございましたら、正当防衛という概念が適用される場合もあるかと思われます。
○辰已孝太郎君 このほかにも、例えば正規軍の兵士が商船に乗船して警備に当たっている、そういう国もあります。
二〇一二年の二月に、イタリアの民間船に乗船していたイタリア海軍の兵士がインドの漁船に発砲し、インド人二名が亡くなっています。なぜこういう事態になったのか、明らかになっていますでしょうか。このことを把握されていますか。
○政府参考人(森重俊也君) 今委員御指摘の二〇一二年二月、商船に乗船して警備中のイタリアの軍人がインド沿岸で銃を使用した事例については承知しております。
○辰已孝太郎君 なぜこういう事態になったのか、これはどうですか。なぜこういう事態になったのか。
○政府参考人(森重俊也君) そういう事態になりました理由ということにつきましては、現在、この案件が現在インドとイタリアとの間でいろんな調査等、裁判等がなされている状況でございます。詳細については把握しておりません。
○辰已孝太郎君 つまり、なぜ誤って漁民を殺してしまったのか、また、これがどこに問題があったのかも現時点では明らかになっていないということであります。同じ事態が起こる可能性は否定できないと言えるんじゃないかと思います。
しかも、相手が海賊なら殺しても船を沈めても報告されないケースも想定されると。確かに、海賊行為というのは犯罪です。許されない行為でありますけれども、しかし、だからといって何でもやっていいというわけではありません。法に基づく対応が求められていると思います。これ、非常に検証が必要だと思うんですね。
同時に、質問しますけれども、今、日本の船の会社が導入検討しているのはイギリスの民間武装警備会社だということであります。そもそも海事系の民間武装警備会社は世界全体でどれぐらいの数あるのか、国ごとの数はどうなっているのか、この辺は把握されていますでしょうか。
○政府参考人(森重俊也君) お答え申し上げます。
イギリスの海事系の民間武装警備会社、これにつきましては百社を超えるというふうに聞いております。他国の状況等につきましては承知いたしておりません。
○辰已孝太郎君 百社を超えると。先ほど、約四名の民間警備員が乗ると六万ドル、つまり六百万円の費用が掛かるという話もありました。
国連の作業グループの報告によると、インド洋地域で活動する民間海事武装会社が今激増をして、百四十社を超えているということであります。十一月四日付けの報告書では、民間軍事治安ビジネスがこの一年間で七・四%増大し、二〇一六年には二千四百億ドル、つまりこれは約二十四兆円の規模になると予測をしております。作業グループの議長は、民間武装会社の活動規制の必要性というのを指摘もしています。イラクでは、民間会社の武装要員による民間人の殺害が度々問題になってきました。海上でも同様の事態が懸念をされます。
先ほど来、IMO、国際海事機関ということが出てきておりますけれども、元々、このIMOは民間武装警備員の使用を推奨してこなかったわけであります。その理由については、こう述べております。商船による火器の所有、使用は事態をかえって危険にしてしまう、火器の操作は特別な訓練を必要とする、事故の発生の危険が高まる、正当防衛で火器を使用しても、それらが認められるような法制度が整っていないと、こういうことを言っております。
これは今も変わっていないわけでありまして、今IMOも、推奨はしないが、一方で民間武装警備会社が急速に増大をする中で、規制や業界の自主規制がないことが懸念材料の一つとなって、中には能力と熟練度に関して疑わしい会社があると、これ二〇一一年の九月の改定暫定ガイダンスでも述べております。
二〇一二年の五月には民間海上警備会社に関する暫定ガイダンスも改めて示されていますけれども、ここでちょっと質問をしますが、このガイダンスは、必ず守らなければならないという拘束力があるものでなく、あくまで最低限の勧告を示したものだと思いますけれども、そういう認識でよろしいでしょうか。
○政府参考人(森重俊也君) 委員御指摘のように、暫定ガイダンス、いわゆるIMOが策定しましたガイダンスでございますが、これは各国に対する強制力を持つものではございません。
○辰已孝太郎君 強制力はないということでありますから、このガイダンスは同時に、民間海上警備会社に関する国際的なガイダンスや基準が存在していなかった中で、こういったガイダンス示すことにより、海上におけるガバナンスを改善させ、潜在的な事故発生の可能性を減らして、適切で安全かつ法令を遵守した行動が促進されることになると思われると、こう書いているということなんですね。つまり、今でも民間武装警備会社のガバナンスには依然として問題があって、潜在的な事故発生の可能性があって、不適切で危険な、法令を守らないそういう行動があるということを示しているということであります。
そこで、改めて聞きたいんですけれども、今回の法案により民間武装警備員を乗船させる船、これ改めて、どういう対象船舶、どういうものかということと、その数がどれぐらいなのか、それをちょっとお答えしていただきたい。
○政府参考人(森重俊也君) 今の御質問と関連いたしまして、先ほどの、私、強制力がないというふうに申し上げましたガイダンスにつきまして、補足の説明をまず最初にさせていただきたいと思います。
御指摘のありました関連のガイダンスが二つございます。
二〇一一年の九月のガイダンスが委員御指摘のガイダンスだと思います。このガイダンスは、当時、民間武装ガードを各国の導入をどのようにするか、各国の対応が大きく分かれておりました。そういう中で、武装警備会社を調査あるいは選択する際のいろんな評価、考慮項目を示したのがこの二〇一一年九月の委員御指摘のガイダンスでございます。各国の対応が分かれる中でIMOが中立的な立場を示したものとして、私ども等は推奨する立場にないというふうな表現を受け止めておるところでございます。
一方で、前通常国会でも議論ございましたけれども、御指摘ございましたが、もう一つのガイダンス、二〇一二年五月、私どもが準拠しております最新のガイダンスでございますが、これは民間警備会社に関するガイダンスでございますけれども、IMOは、その後の世界的な武装警備の導入、これの大幅な増加、非常に効果があると、しかも、導入する国が大幅に増えまして立場を転換いたしまして、IMO自身が言っておりますけれども、各国の政策形成を支援し各国間の政策協調を促進する立場からこのガイダンスを作ったということでございます。
したがいまして、二〇一一年のガイダンスは、各国の対応が分かれる中での中立的な立場からその表現を取った。それから、二〇一二年の新しいガイダンスには御指摘のようにそういう表現はないわけでございますけれども、それは、導入国が多数になって効果も明らかになったので導入をIMOとしても支援する、入れることを決めた国に対して、どういうふうに要件を、いわゆる国際標準を提供すると、そういう立場になったということでございます。補足させていただきます。
それから、委員、今御指摘ございました対象となる船舶の話でございますけれども、対象船舶の要件といたしましては、まず、原油その他の国民生活に不可欠で輸入に依存する物質を輸送する船舶としております。また、海賊行為の対象となるおそれが大きいハイリスク船であることも要件としています。具体的には、速力が遅く、海面から甲板までの高さが低いものを考えています。こうした要件を満たすものといたしまして、我が国の船会社が中東地域との間で運航しております日本籍の原油タンカー、これを想定しております。現時点で十六隻が運航されております。
○辰已孝太郎君 国際商業会議所、ICCの国際海事局では、今年十月のレポートで、今、商船だけではなく、とりわけ漁船やダウ船への海賊の警戒と対策を促しています。つまり、一部の船舶の武装化が海賊行為の対象を非武装船舶に集中させるおそれが否定できないと、こういうわけであります。
ソマリア沖・アデン湾では、二〇〇八年ごろから海賊事件、これが急増し、各国が軍隊を派遣し対応したと。しかし、その結果、海賊の発生地域は、軍隊が活動していないインド洋、アラビア海の広大な海域まで拡大をいたしました。
これは大臣に聞きたいんですが、今回の法案、民間武装警備員の乗船について、衆議院の審議でも、あくまで対症療法的な措置だと、こういう答弁がありました。
今政府がやるべきは、国際社会と連携して、ソマリアにおいて外国漁船による違法操業や有害廃棄物の不法投棄を取り締まるための対策であり、根本問題であるソマリアの紛争と貧困を解決するための外交努力と民生支援だと思いますけれども、大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(太田昭宏君) 現実に今モンスーンが終わって、本当にどうなるだろうということで準備をしたり対応したりと、出港するときの緊迫感、そういう中でこの数年、あそこを航行する船舶が、そして危機感の中であそこを走行し、それを世界こぞって対応するということで、アデン湾を中心にして対応しているがゆえにそうした事案が減ってきているというのが私は現実だろうと思います。それへの対処というのは極めて重要なことです。
先ほど私はまた答弁しましたが、なぜそうした貧困を始めとする事案の中でこうした海賊が発生するのかということは、それはそれとして長期にわたってやらなくてはいけない。日本が二〇〇七年から全部で二億九千万ドル出して、民生の安定が大事であるという観点に立って外交努力もしているというのが実態だろうと思います。
○委員長(藤本祐司君) 辰已孝太郎君、時間が来ておりますので。
○辰已孝太郎君 はい。
ソマリアの紛争と貧困を解決するための外交努力と民生支援なくして海賊問題は根本的に解決をしないと考えます。自衛隊の派遣や民間船舶の武装化など、力で対抗するやり方は厳に慎むべきであるということを述べて、私の質問を終わります。

 

 

反対討論を読む
○辰已孝太郎君 私は、日本共産党を代表し、海賊多発海域船舶警備法案に反対の討論を行います。
法案に反対する最大の理由は、ソマリアの海賊問題は軍隊の派遣や民間船舶の武装化で解決できるものではないということです。海賊事件が急増した二〇〇八年ごろからソマリア沖・アデン湾に各国が軍隊を派遣し、日本政府も二〇〇九年以降、自衛隊を派遣してきました。しかし、こうした対応は、事件の発生場所を軍隊が活動をしていない海域に広域させただけでありました。このことは、武力による対応では海賊問題を解決することができないということを示しています。政府自身、答弁の中で、ソマリアの海賊根絶のためには、ソマリアの安定、民生の安定が根本的解決として必要であり、今回の法案が対症療法的な措置と答弁しているわけであります。
武力をもって事件の発生をしのぐだけでは問題の解決にはなりません。そのような中で、民間警備会社という軍隊の出身者で構成される武装集団を一般船舶に乗船させるという今回の法案は、海賊行為の対象を非武装船舶に集中させる事態すら招きかねません。ソマリア海賊問題の大本には、外国漁船による違法操業、有毒廃棄物の不法投棄の横行、欧米列強や隣国エチオピアによる植民地分割支配、独立後の米ソによる援助競争やアメリカ主導の国連平和強制部隊の派遣など、外部勢力による恣意的な介入があります。
政府に対し、国際社会と連携してソマリアの再建に向けた支援に本腰を入れて取り組むことを求めて、討論を終わります。