日本共産党 衆院比例 近畿ブロック たつみコータロー

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国会会議録

タクシーライドシェア問題で石破大臣と高城自交総連委員長に質問

日本共産党の辰巳孝太郎参院議員は19日の内閣委員会で、新経済連盟の三木谷浩史氏(楽天会長)などが国家戦略特別区域法などで強力に導入を進める自家用車の「ライドシェア(相乗り)」の問題点を取り上げました。全国自動車交通労働組合総連合会(自交総連)の高城政利委員長が参考人として発言しました。

高城氏は「ライドシェアは、IT仲介業者が車両を持たず、マッチング(仲介)するだけで、すべての責任はドライバー任せにする危険なものです」と話しました。

辰巳氏は「白タク」行為(一般ドライバーが自家用車で客を有料で送迎)は「乗客の安全を確保する保証がない」と指摘。安全輸送のために厳格な「2種免許」や運転手の健康配慮として「改善基準告示」があるが「過剰な規制か」と質問。国土交通省は「必要かつ適切」と答弁しました。

「安全・安心の運行は最優先。経済の発展、成長のために犠牲にしてはならない」と追及したのに対して石破茂地方創生相は「それで結構です」と答えました。

辰巳氏は昨年10月、ILO(国際労働機関)が、ライドシェア会社に、雇用保障や労働条件の低下防止のための決議を採択したことや、世界的にドライバーの暴行事件などが問題になっていると強調。石破氏は「乗客の安全が確保されないものを認めることはない」と答えました。

辰巳氏は、ライドシェアについて、総務省調査で国民の8割が「利用もしたくない」し「検討もしていない」と国民は求めていない現実を示しライドシェアの推進をやめるべきだとしました。

2016年5月20日付「しんぶん赤旗」より引用

 

議事録を読む

○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
タクシー事業に関わる国家戦略特区についての質問を行います。
まず冒頭、今日は自交総連の中央執行委員長の高城さんにお越しいただきましたので、まず、高城さんの方から、今回の国家戦略特区の一部改正法案、どのように受け止めておられるか、お聞きしたいと思います。
○参考人(高城政利君) ただいま御紹介にあずかりました自交総連中央執行委員長の高城です。意見陳述の機会をいただきまして、大変感謝しております。
まず、国家戦略特別区域法自体、憲法九十五条との関係で違憲の可能性も含むのではないかというふうに考えております。なぜならば、地域指定など、内閣の判断、行政の意思決定によって他の地域と違う基準が当てはめられることになり、特定地方公共団体の住民が持つべき権利を侵害する危険性があります。したがって、特区法による規制緩和が安易に行われることは、国民の生命、身体、財産の確保に関わる事項について、より一層の慎重さが求められるのではないかということをまず申し述べた上で、今回の改正案について意見を述べたいと思います。
衆議院での審議では附帯決議が付されておりますが、厳格に履行されるのかが重要になると思っていますのが一点です。といいますのも、我々、改正タクシー特措法でも附帯決議が付されましたが、十分には履行されていないというのが実態であるからであります。
さて、道路運送法七十八条以下で例外的に認められています自家用有償運送に関し、外国人旅行者等にまで拡張し、同法の特例を認めようとしていますけれども、自家用有償運送を行う場合、特定の者のみが有償運送を行い、旅客も限定されており、運営協議会による同意制度が義務付けられています。今回の改正案では、外国人観光客以外の者の輸送も排除していません。従来の範囲を大幅に緩和し、特区の区域会議で実施を決めれば都市部においても自家用自動車有償運送を行うことが可能になってくる危険を含んでおり、乗客についても制限もなくなっております。これは、輸送の安心、安全を確保するため厳格な基準を満たしたバスやタクシーで担わなければならないという原則が大幅に後退されています。
区域会議の構成員には特定事業の実施予定者を加えるとしていることから、ライドシェア事業者が構成員となり、規制緩和の制度設計に関与していく事態も考えられます。そもそも、外国人が多く訪れるような地域にはバス・タクシー事業者が既に事業展開しているというのが一般的で、むしろ供給過多となっています。観光旅客の移動のための交通手段を主たる目的、そして自家用有償旅客運送を認める必要性、すなわち立法事実は認められないと主張いたします。
先月、交通空白地と言われます兵庫県養父市、また京都府京丹後市に組織として訪問してきたわけでありますが、外国人観光客の姿は全くなかったと報告をされております。また、タクシー会社のない地域では制度化されていますNPOや地方自治体による有償運送によって住民の移動手段を確保している地域も多く、一方で、タクシー会社と地方自治体で協力、運行する乗り合いタクシーは既に全国で三千コースで運行しています。
本改正案は、ライドシェアの全面的な導入に道を開くもので、ライドシェア解禁につながる法律案ではないかと危惧していることを述べたいと思います。
さて、このライドシェアですが、相手仲介業者が車両も持たず、マッチングするだけで、全ての責任はドライバー任せにする危険なものであります。ライドシェアは、輸送したい人が空いている時間を有効に活用し、業務登録をするというふうに主張していますが、そもそもタクシー運転者は、道路運送法二十五条や運輸規則でアルバイト雇用、期間雇用が禁止されており、副業も禁止されております。これらは全て安全の確保と旅客サービスの改善のためであるということを強調しておきたいと思います。
東日本大震災のときには、被災地仙台におきまして、プロドライバーとして公共交通機関を担う立場で、燃料が切れるまで被災者住民の足を守り続けました。ライドシェアのドライバーが責任感を持ってそういったことができるのか、甚だ不安であります。
最後に、そもそもライドシェア企業の取締役であり自らの利益になるような方が、規制改革にライドシェアを推進する立場で産業競争力会議や新経済連盟など規制改革推進の中心にいること自体、常識的には許されないことだというふうに思います。
ライドシェア解禁につながる国家戦略特区法の一部を改正する法律案は、有償運送に関しては除外ないし法案自体を廃案にすべきだという意見を述べて、発言を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○辰巳孝太郎君 ありがとうございました。
プロドライバーとしての矜持であるとか、全ての規制というのは安全につながっていくんだというような話もしていただきました。
今日は、まず、そのライドシェアなんですけれども、これは白タク行為ということでありますから、当然禁止をされているわけですね。マイカーで有償で旅客を運送すると、これが白タク行為ということなんですが、かつて道路運送法の白タク禁止規定が憲法二十二条一項の職業選択の自由、これに違反しないのかというような裁判も実は行われたことがありました。一九六三年の十二月四日に最高裁で、いや、これは合憲なんだという判決も下されたわけですね。
国交省、どのように判示されているか、ちょっと紹介いただけますか。
○政府参考人(持永秀毅君) 御説明申し上げます。
自家用車によります有償運送につきまして、昭和三十八年の十二月になりますけれども、委員御指摘のとおり、最高裁において判例が出ております。
正確に申し上げますと、内容につきまして、自家用自動車の有償運送行為は無免許営業に発展する危険性の多いものであることから、これを放任するときは無免許営業に対する取締りの実効を期し難く、免許制度は崩れ去るおそれがある。それゆえに、道路運送法が自家用自動車を有償の用に供することを禁止しているのもまた公共の福祉の確保のために必要な制限と解されるという内容になっております。
○辰巳孝太郎君 ですから、この白タク禁止というのは非常に重みのあるものなんですね。
かつて、戦前では一円タクシーというものがあったりとか、あと、将来ある学生を殺してしまった神風タクシーの問題であるとか、この白タクが許されない根源的な理由というのが、乗客の安全が確保される保証がないと、こういうことであります。
タクシー事業の認可に当たっても、道路運送法六条において、事業の計画が輸送の安全を確保するため適切なものであること、また、業務の遂行上適切な計画を有するものであること、自ら適確に遂行するに足る能力を有するものなど、厳格な適合基準というのが定められているわけであります。そして、午前中の質疑でもありましたが、二種免許ですね、二種免許が必要です。
改めて聞きますが、なぜタクシードライバーには二種免許の取得が必要とされているんでしょうか。
○政府参考人(井上剛志君) お答え申し上げます。
タクシー等の旅客自動車運送事業に用いる自動車の運転につきましては、一般的に営利を目的としており、営業効率を上げようとするため一日の走行距離や輸送人員が多くなること、乗客の指示による急な方向転換等に対応するため通常より高度の運転技能や知識が必要とされること、旅客自動車による事故は人命を損なうことが多いことなどを踏まえ、第一種免許よりも厳格な要件を求める第二種免許を必要としているものでございます。
○辰巳孝太郎君 それだけではありませんで、タクシードライバーの健康等にも配慮するということが安全、安心の輸送につながるということで、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準、いわゆる改善基準告示というものが定められております。
確認しますけど、この改善基準告示を遵守することがどういうふうに安全に寄与するのでしょう。
○政府参考人(持永秀毅君) 御説明申し上げます。
改善基準告示についてでございますけれども、これは、御存じのように、事業用自動車の運転者の勤務時間について定めておるわけでございますけれども、この基準を遵守して労務管理を適切に行うことが運転者の休息、休憩の確保につながり、ひいては過労運転の防止、さらには輸送の安全の確保につながるということであると認識しております。
このため、私ども国土交通省といたしましては、厚生労働省と連携しながら、事業者への指導でありますとか悪質な事業者への監査、処分等によりまして、その改善基準告示の徹底を図っているところでございます。
○辰巳孝太郎君 我々、現行の改善基準告示というのはまだ十分ではないという立場ではありますが、それでも、安全のために、安全の運行のために設置されているのが基準告示というものであります。そのほか、アルコールチェック、車体管理など、事業に関わる全てにおいて厳しく管理をされているというのがタクシー事業というものであります。
確認しますが、これらの規制、これはタクシーの安全輸送のために必要だということでよろしいですね、国交省。イエスかノーかで。
○政府参考人(持永秀毅君) 御説明申し上げます。
委員御指摘のとおり、輸送の安全を守り、また利用者の利便を確保するためのものであると認識しております。
○辰巳孝太郎君 続けて、過剰な規制だと思いますか。安全のためには必要ということでよろしいですね。過剰な規制だと思いますか。
○政府参考人(持永秀毅君) 現在、道路運送法に基づいてタクシー事業者に課しております規制、改善基準告示だけではなくもろもろございますけれども、これは、営利事業として全国各地でタクシー事業を展開するにおいて必要かつ適切な規制であると考えております。
○辰巳孝太郎君 必要だということであります。
ところが、安全運行を阻害する事態が起こりました。これが二〇〇二年の施行の道路交通法の改正です。需給調整規制が撤廃されました。タクシー事業は免許制から許可制に移行し、その結果、増車や新規参入が進んだと。事故の多発、運転手の労働条件が悪化をしました。その後、一転、規制強化ということになりまして、二〇〇九年のタクシー活性化法制定となりました。
それに先立つ二〇〇八年十二月十八日の交通政策審議会の答申ではこう書いてあります。タクシーは我が国の地域公共交通を形成する重要な交通機関である、こう位置付けた上で、タクシーの在り方を検討するに当たっては、利用者の良質のサービスを提供する視点は当然のこと、産業としての健全性、労働者の生活の確保、地域社会への貢献等の視点も含め、全ての関係者にとって望ましい姿を探求する必要がある。まさにこの規制緩和の反省がここに記されているわけであります。
石破大臣、安全、安心の運行は最優先で、このことはいかなる事由、例えば経済の発展、経済の成長などのために犠牲にしてはならないということで確認したいと思います。
○国務大臣(石破茂君) それで結構です。
○辰巳孝太郎君 確認できました。
それでは、ライドシェアについて聞きたいと思います。新経済連盟の三木谷氏などが導入を強く要望している、ウーバー社、リフト社などに代表されるライドシェアについてであります。
国交省、なぜこのライドシェアは認めることができないんでしょうか。
○政府参考人(持永秀毅君) 御説明申し上げます。
いわゆるライドシェアにつきましては、運行管理でございますとか車両の整備などについて責任を負う主体を置かないままに自家用車のドライバーが運送契約の主体となって、かつその運送責任を負うという形態を前提としておるものでございます。
そういった意味で、事故の防止という面で考えれば、運行ですとか車両整備の管理が不十分であろうということにもなりますし、万が一の事故のことも考えますと、ドライバーだけが責任を負うということで、その万が一のときの賠償等々が不十分になるおそれもあるということ。
したがいまして、結論から申し上げれば、安全の確保、それから利用者の保護といった観点から問題があるものと考えております。
○辰巳孝太郎君 ライドシェア、大分問題がありますね。
昨年、二〇一五年十月十二日から十六日までに開かれた、ILOの道路運送部門の安全衛生三者構成部門別会議が開かれました。そこでは、トランスポート・ネットワーク・カンパニー、TNC、つまりライドシェアの会社ですね、に関する決議が採択をされております。
国交省、この決議、把握されていると思うんですが、紹介していただけますか、ライドシェアに関する決議。
○政府参考人(持永秀毅君) 御説明申し上げます。
御指摘いただきましたように、昨年の十月、ILOの道路運送部門、ここにおきます安全衛生三者構成部門別会議、こちらにおきまして、いわゆるライドシェアに関しての決議がなされております。
簡単にそのポイントだけを申し上げますと、運送事業者と同じ法規制の枠組みをいわゆるライドシェアの事業者に対して適用させる必要性を強調しつつ、ILO加盟国に対し、いわゆるライドシェアの運送形態に対する国内規制の全面的施行を求めるといった内容となっております。
○辰巳孝太郎君 それ、なぜ同じ枠組みを適用させる必要があるのかということについては、これ雇用条件や労働条件、そして安全の低下を防ぐためだということも記されているかと思うんですが、それで確認、よろしいですか。
○政府参考人(持永秀毅君) 御説明申し上げます。
決議の中では、御指摘のように、労働者のこと、それから利用者の安全の観点も含め記載がされております。
○辰巳孝太郎君 ということなんですね。安全性の低下を防ぐためにということであります。つまり、世界各国で乗客の安全と運転手の権利が保護されない事態というのがこのライドシェアによって起こっているということであります。
国交省、具体的には世界でどのような事態がライドシェアに関わって起こっているんでしょうか、つかんでいる事例を紹介していただけますか。
○政府参考人(持永秀毅君) 御説明申し上げます。
私どもでつかんでおる範囲は報道ベースとなりますけれども、海外におけますウーバー社に関連した事例ということで一例を申し上げますれば、例えばアメリカにおきまして、またインドなどにおきまして、乗客がドライバーから暴行を受けるなどのトラブルがあったと承知しております。また、欧米、アジアでの裁判所等との関係につきましては、例えばドイツにおきましては裁判所が自家用車を用いたサービスを禁止する判断を下したでありますとか、また、韓国においてはソウル検察が自家用車を用いたサービスを行った者を起訴したといった事例があったものと承知しております。
○辰巳孝太郎君 もう世界で様々な問題を起こしているというのがこのライドシェアであります。
石破大臣、改めて確認しますけれども、こういうものは今後も認めるということはないということでよろしいですね。
○国務大臣(石破茂君) 乗客の安全が確保されないというものを認めることはございません。逆に申し上げれば、それを認めるという場合には、どのようにして乗客の安全が確保されるか、そしてまた、万々が一事故等が起こったときにどのようにして対応がなされるのかということについて、政府としてきちんと責任が持てることが大事なことでございます。
○辰巳孝太郎君 ということになりますと、今のウーバー、リフトなどでは日本ではできないということになろうかと思います。
今回、この特区法では、自家用有償旅客運送を拡充するということで始まるということであります。そもそも、この自家用有償旅客運送とは何なのかということですが、これは、地域住民の生活の維持に必要な輸送がバス・タクシー事業などによって提供されない場合に、その代替手段として市町村やNPO等が自家用車を使用して有償で運送できる制度のことであります。例外的に異なる安全基準を適用していると、こういうことであります。
ただ、この間の審議の中で政府は、この特例における事業は過疎地域その他の交通が著しく不便な地域においてのみ行われるものと考えておりますという答弁を繰り返しております。交通が著しく不便というのはどういう状態を言うんですか。
○政府参考人(持永秀毅君) 御説明申し上げます。
過疎地域その他の交通が著しく不便な地域、この考え方は、現行の道路運送法に基づきます自家用有償の運送の制度、それから今回御提案申し上げているところの特例制度、いずれにおいても共通の考え方になっております。
ただ、考え方としては、まさにバス、委員御指摘のように、バスやタクシーによって移動するということが困難な場合という、困難な地域ということが条件となっておりまして、あらかじめどこかの場所を特定しているものではございませんので、地域におけるケース・バイ・ケースの中で、地域における交通状況の中でそれぞれ決まってくるものと考えております。
○辰巳孝太郎君 ということは、現行法、都市部ではこれはできないということでよろしいですか。
○政府参考人(持永秀毅君) 御説明申し上げます。
若干重複で恐縮でございますけれども、過疎地域その他の交通が不便な地域という言い方をしております。過疎地域は申すまでもございませんが、その他交通が不便な地域という言葉も付いております。これは、意味合いとしては、基本は過疎地域であろうとは思いますが、過疎地域でない部分においてこの自家用有償の制度を実施することを排除したものではございません。
○辰巳孝太郎君 ということは、都市部でも現行法の自家用有償旅客運送というのはでき得るということですね。
○政府参考人(持永秀毅君) 御説明申し上げます。
委員御指摘のとおり、都市部でありましても、地域地域、交通の状況としてはバスやタクシーの利用が困難な地域もそれぞれあり得るかと思いますので、そういった地域でありますれば、過疎地域でなくてもこの制度の実施が可能と考えております。
○辰巳孝太郎君 ということなんですね。都市部でもでき得ると。
それともう一つですが、対象ですね、運送する対象についてであります。
昨年の省令改正で、これ、誰でも運べるように実はなっているんじゃないですか、どうですか。
○政府参考人(持永秀毅君) 現行制度についてのお尋ねかと思いますけれども、現行の制度におきましては、まずは地域の住民の例えば買物ですとか通院といった足がない場合に行い得るという制度となっております。
昨年の改正におきましては、外部からの来訪者、例えばビジネスでお越しになる方でございますとか観光でお越しになる方がいらっしゃるかと思いますが、そういった方につきましても、当該市町村の長の認めるところがあれば輸送ができる形となっております。
○辰巳孝太郎君 これ、おかしいですね。都市部でも、現行法ですよ、自家用有償旅客運送できると。そして、これまで過疎地で交通、例えば通院のためにとか日常の買物、つまり地域の住民の福祉や生活を支えるために有償旅客運送はあるんだという説明だったわけですが、実は去年の四月の省令改正で誰でも運べると。観光客だって、今おっしゃいましたビジネスマンだって運べるということになっているわけでありますね。
先ほど、なぜタクシー事業には二種免許が必要なのかということを私はお聞きしました。こう答えていただいております。乗客の指示による急な方向転換等に対応するため、通常より高度の運転技術や知識が必要だと。旅客自動車による事故は人命を損なうことが多いので、厳しい二種の要件を課しているという話でした。乗客の指示による急な方向転換、これ、観光客含めビジネスマン、有償旅客運送ではやらないんでしょうか。
○政府参考人(持永秀毅君) 御説明申し上げます。
急な方向転換でございますとか急に止まってくれといったオーダーが出るといったことはないとは言い切れないと思っております。
○辰巳孝太郎君 じゃ、なぜ一種免許でいいということになるんですか。
○政府参考人(持永秀毅君) 御説明申し上げます。
現行の自家用有償の制度におきましては、先ほども御答弁申し上げましたけれども、二種免許を求める、ないしは一種免許かつ大臣の認定による講習を義務付けて、普通の要は一種免許の方よりも知識、技能がアップされた方に限定をして運転を認めております。
これは、そもそも現行の自家用有償制度の何でスタートしたのかというところに戻ってまいりますけれども、本来、バス、タクシーといった道路運送法に基づく許可事業がきちんと十分なサービスとしてその地域において提供されておりますれば、自家用車を使わなきゃいけないということにはならないかと思いますけれども、人口減少等々諸事情の中で、やっぱりそういうバスでありますとかタクシーが順次撤退する等によりまして、その利用がなかなか難しいという地域が出てきた地域におきましては、そうはいっても住民の輸送、これは必要になる場合もございますし、地域が生きていくためにいろんな外部の方も含めた輸送が必要になる場合もありますので、そういう場合に限り、要は営利事業としてのバス、タクシーさんがなかなか使えないということでやむを得ず自家用車を使うという、そういう形に鑑みて、二種免許ではない部分も含めて容認しているところでございます。
○辰巳孝太郎君 ちょっと答弁が的を射ていないわけなんですけれども。
大臣講習という話ありましたね。これ、大臣講習、期間どれぐらいするんですか。
○政府参考人(持永秀毅君) 御説明申し上げます。
講習としては実技、知識ございますけれども、中身としては一日で終了いたします。
○辰巳孝太郎君 たった一日の講習なんですね。これで二種免許と同等の安全輸送ができるというのは誰も思わないわけですね。
ですから、これ、地域の足のために例外にという元々の自家用有償旅客運送、この哲学から、去年の四月の省令改正で誰でも運べるというふうに変えちゃっているわけなんですね。となると、じゃ今回の特区法ですよ、そもそも立法事実はあるのかということを確認したいんですね。今、観光客の輸送だけでなく、誰でも今でも運べるわけですね。ところが、今回の特区では観光客を主としたみたいなことが書かれているわけですね。
石破大臣、そもそも現行法で誰でも運べるようになっている自家用有償旅客運送、なぜ現行法でやらないんですか。
○国務大臣(石破茂君) 今後、今議論になっておりますような外国人観光客等々の需要が今ないではないかということですが、政府として、これから先、いわゆるゴールデンルート以外のそういうお客さんも増やしていかねばならないと思っております。同時に、私の選挙区もそうですけれども、本当にタクシーなぞというものはほとんどいない、四、五人タクシーを求めようものならば大変なことになるような地域というのは日本国中に相当あると思っております。したがいまして、今回新たな需要が想定をされること、またそういう需要をつくっていかねばならないこと、そうした現状に鑑みてこのような制度を提案しておるものでございます。
○辰巳孝太郎君 いや、ですから、私が申し上げているのは、現行法でも観光客運べることになっているんです、今。なぜわざわざ特区でやらなければならないのかという理由をお聞かせいただきたい。
○政府参考人(持永秀毅君) 御説明申し上げます。
まず、現行制度について申し上げますと、現行制度では、買物ですとか通院といったような地域の住民の方の足がなかなかうまく提供できないという場合に初めて発動できる制度になっております。一方で、今回御提案申し上げております外国人観光客等を主目的とした自家用有償の制度につきましては、これは地域の住民の足ということではなくて、まさに観光客等がそういう観光地に行く又は帰ると、いろいろあるかと思いますけれども、そういった場合の足がない場合において発動できるということになっておりまして、そういう意味におきまして、現行制度と今回の制度におきましては、法令上、制度の発動要件が違うと認識しております。
○辰巳孝太郎君 発動要件は違うかもしれませんけれども、できるんですよ、今でも。ですから、今、有償旅客運送の認定を受けている自治体というのは四百二十四市町村ありますね。
観光客を運ぶようにしたいと手を挙げた自治体、どれぐらいありますか。
○政府参考人(持永秀毅君) 昨年の省令改正以降、観光客も運べるような形に至っております市町村は七市町村でございます。
○辰巳孝太郎君 だから、やっておるんですよ。できるんですよ、やろうと思えばですね。
今回の特区と現行法の自家用有償運送、この違いは、出発のとき、また目的が違うということではなくて、意思決定の所在が違うということなんですよ。ここが大事なんですね。現行法は、事業の実施について関係者の合意が必要な運営協議会、これが存在しております。ところが、特区の下では、この事業の決定、策定は、運営協議会ではなくて区域会議が行うということになっているわけなんですね。タクシー事業者などは、関係者はあくまで協議をするだけなんですよ。今まで合意が必要だったにもかかわらず、もう協議だけでいい、あと決定するのは区域会議だけだと、こういう話になっているわけですね。
石破大臣に確認しますが、それでも協議はするんだと、まず前提として、おっしゃるわけなんですけれども、この協議が調わなければ区域会議は特区はやらないということでよろしいですか。
○国務大臣(石破茂君) それは協議が調うような環境をつくるべく努力をするということだと思っています。とにかく、協議というのは、そこにおいていろんな話合いがなされなければいけないわけで、いろんな方々の御意見がそこで出る、そのことによって考え方が改まることもあるかもしれない、そのためにやるわけでございます。ですから、合意というものが前提にあるわけではありませんが、合意が得られるような状況をつくっていくということが必要で、たとえ反対する人がいても最終的には区域会議で押し切ってしまうのだというような、そういうようなことを企図しているものではございません。
○辰巳孝太郎君 そうおっしゃっていただくんですけれども、ただ、例えばこの協議の中に市長が入っているわけですね。市長がもし特区賛成論者であれば、これ、区域会議の中に市長が入るわけですから、これはなかなか協議そのものが無意味になってしまう可能性、懸念が払拭できないというふうに思うんですね。
それで、今回の特区、これが仮にやられた場合、観光客を運ぶんだ、過疎地なんだということをおっしゃるわけなんですが、なぜ緑、つまり事業許可を取って有償旅客運送でやるのかと、そもそものところでいえば、これはなかなかもうからないからだということですね。タクシーがなかなか進出できないから緩和されている安全基準でやるんだということであったと思います。
そうすると、もし今回の特区制度によってこの過疎地と言われるところが観光客で活況を呈することになった場合ですね、なった場合ですよ、つまり、そうなりますと、タクシー事業者などがこれだったらペイできるということになって、そこに営業所なりをつくりたいと、こうなっていくわけでありますが、この場合、どのような判断で誰がこの自家用有償観光旅客等運送事業をストップするんですか。
○国務大臣(石破茂君) そういうことになれば大変めでたいことでありまして、この制度は地域の交通事業者によってそれを運営することが困難であるということが要件になっているわけです。ですから、本当に委員がおっしゃいますような活況を呈して、そういうような業者さんが入ってきても十分ペイするぞということになりますれば、地域の交通事業者によることが困難である場合というのがなくなるわけでございます。
そうするとどういうことになるかといいますと、タクシー事業が可能となった場合には、区域会議というものが地域の交通状況等を踏まえ本制度の必要性等を再検討し、継続の是非等も含め改めて判断ということになりますが、そういうことができないからこういうことをやっているわけで、できるようになればこの制度というものを適用するという必然性は当然なくなるということでございますが、形式要件といたしましては、この区域会議の議を経るということに相なります。
○辰巳孝太郎君 分かりました。
自家用有償運送なんですけれども、改めてライドシェアにちょっと戻りたいと思うんですけれども、総務省、ちょっと確認しますが、このライドシェアサービスの利用意向の調査というのをされていると思うんですけど、その結果、ちょっと教えていただけますか。
○政府参考人(富永昌彦君) お答え申し上げます。
総務省におきまして、二〇一五年に情報通信白書を策定するに当たりまして、一般のドライバーの自家用車に乗って目的地まで移動できるサービスにつきまして、消費者の利用意向を調査いたしました。
その結果、利用したいあるいは利用を検討してもよいと答えた人は二二・九%でございました。また、利用したくない理由につきまして、事故やトラブル時の対応に不安があるからと答えた人が六四・〇%でございました。
以上でございます。
○辰巳孝太郎君 利用したくない人は何%、したくない人。
○政府参考人(富永昌彦君) 利用したいあるいは利用してもよいと答えた人が二二・九%でございますので、その一〇〇から引いた七七・一%ということになります。
○辰巳孝太郎君 つまり、八割が利用もしたくないし検討もしていないと。つまり、国民は求めていないわけですね。誰が求めているのかというのは、繰り返しになりますが、これは、産業競争力会議でライドシェアを求めている楽天の三木谷氏であったりとか諮問会議のメンバーである竹中平蔵氏などの規制緩和論者だと、こういうことであります。
このライドシェアの問題を、改めて観光という切り口から考えたいというふうに思うんですね。
観光客を乗せるというんだったら、私は、安全緩和されたいわゆる一種でいいんだというようなものではなくて、きちんと二種の免許を持ったタクシー事業者にやってもらうべきだと、これこそ私はおもてなしだというふうに思うわけですね。
今日、高城参考人にも来ていただきました。
かつて、かつてといいますか今も、二〇二〇年の東京オリンピックに向けてこれはもう規制緩和をじゃんじゃんやろうじゃないかと、こんな話も少し声が上がっているように認識しておりますが、これについてどのようにお考えになりますか。
○参考人(高城政利君) お答えいたします。
さきの東京オリンピックの際は、オリンピックということでタクシーが三千五百六十七台増車されましたのと、交通渋滞の関係もあり需要は伸びなかったと、結果として経営が悪化して、免許返上する事業者も相次いだというふうに聞いております。
○辰巳孝太郎君 ということであったわけですね。
オリンピック関連でいいますと、滝川クリステルさんも招致の際のスピーチでこう言っておりますね、東京は世界で最も安全な都市と紹介した上で、タクシー運転手の親切さ、これが世界第一位の評価を受けているんだと。日本では夜に一人で女性がタクシーに乗れる、これ私たち当たり前だと思いますけれども、これ世界では当たり前ではないというのが現状であります。私は、地方創生というんだったら、タクシーを地方に根付かせるための努力を国がもっとすべきだと思うんですね。
京丹後市では、去る四月の二十七日、高速タクシーの網野タクシー営業所、近畿自動車の久美浜タクシー営業所が発足して、出発式も行われました。来賓挨拶をされた近畿運輸局自動車交通部長は、このタクシー営業所の誕生についてこう言っております。雇用で地域の貢献ができる、まさに地方創生だと、こう言ってくれているわけであります。
もう一度高城参考人にお聞きしたいんですけど、このタクシー業界も、デマンドタクシーなど乗り合いタクシーなどで様々努力をされていると思うんです。少し紹介いただけたらと思います。
○参考人(高城政利君) 御説明いたします。
一つの事例ですが、山形県鶴岡市、三川町では循環バスが定時運行していたわけですが、一運行で利用者が約三、四名ということで、そうしたことから、コストダウンとフットワークの良さ、加えて車が玄関までお迎えに上がれるということで、そこのタクシー会社が自治体と粘り強く交渉して、デマンドコースに切り替えたというところもあります。町内であれば三百円でどこへでも運行できるというのを実施しているということであります。
○辰巳孝太郎君 ありがとうございます。
タクシー業界が様々な取組や努力をしていると。しかし、デマンドタクシーについて言いますと、国の支援、この予算はたった三十億しかないわけですね。
国交省に最後にお聞きしたいと思うんですけど、こういうタクシー業者の取組、努力をもっと国は援助する、予算の増額や支援を拡充するということを考えていただきたいんですけど、どうですか。
○政府参考人(蒲生篤実君) お答え申し上げます。
少子高齢化が進む中で、地域社会の維持、活性化を図るためにも、地域内の生活交通を維持し、高齢者や学生の足を確保していくことが大変重要な課題であると認識しております。
国土交通省といたしましては、デマンドタクシーなど地域内の生活交通の運行に伴う欠損部分に対する支援を行っております。先ほどお話がありましたように、平成二十六年度の実績では約三十億円でございますが、二十七年度は、一割ほど増えまして約三十三億円となっております。
今後とも、厳しい財政状況の中ではございますが、地域の実情に応じた生活交通の確保に向けまして、必要な予算の確保に努めてまいりたいと思っております。
よろしくお願い申し上げます。
○辰巳孝太郎君 今日の質疑で、改めて立法事実がないということと、今タクシーの応援ということも言っていただきました。石破大臣にも安全、安心の運行最優先と、このことはいかなる事由、経済の発展、成長のためにこれは犠牲にしてはならないという答弁もはっきりといただきました。今回の特区制度だったらこれはもう立法事実ないと、やめるべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。