日本共産党 衆院比例 近畿ブロック たつみコータロー

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国会会議録

「官製ワーキングプア」が暮らしを壊す

 

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日本共産党の辰巳孝太郎議員は25日の参院総務委員会で、公務職場で増えている非正規雇用について、大阪市の生活保護行政の実態を例に取り上げ、「正規職員を拡充して『住民の福祉増進』という自治体本来の役割を担える公務職場をつくるべきだ」と求めました。

総務省調査によると非正規雇用の地方公務員は全国で約64万5千人(2016年4月時点)で、12年の前回調査から約4万6千人増えています。

辰巳氏は、現業員の配置数が社会福祉法の定める標準数に足りない大阪市への厚労省の監査で、訪問調査活動の不備や、困窮者の申請を阻害する窓口対応が指摘されていることに言及。「非正規雇用への置き換えや民間委託が維新政治によって進められ、適正な行政サービスの執行に深刻な支障が出ている」と強調しました。

辰巳氏は、15年3月末で5年の任期を終えた任期付き職員212人中、130人が再任用されたとして、「任期付き職員は、一定期間に限り業務量の増加が見込まれる業務に従事させるもので、同じ業務に従事するために更新を繰り返すのは制度の趣旨と違う」として、正規職員の拡充を求めました。

2016年10月30日付「しんぶん赤旗」より引用

議事録を読む

○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
今日は、公務職場で広がる非正規の職員について取り上げます。
まず、総務省、確認をしますけれども、一時的でも臨時的でもなく、恒常的であり本格的な業務は、臨時、非常勤ではなくて常勤で、任期に定めのない正規職員が任用されるというのが地方公務員法で予定されている、求められているところだと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(高原剛君) 御答弁申し上げます。
地方公共団体の運営においては、公務の中立性の確保や職員の長期育成を基礎とし、職員が職務に安んじて精励することを通じ、能率性を追求し、質を担保することが求められております。このため、本格的業務については、基本的に競争試験を通じた成績主義に基づき採用される任期の定めのない常勤職員が中心となって担うことを原則としております。
その上で、地方公共団体の行政運営において最適な任用、勤務形態の人員構成を実現するために、任期の定めのない常勤職員、任期付職員、臨時・非常勤職員、それぞれを地方公共団体において活用されているものというふうに考えております。
以上でございます。
○辰巳孝太郎君 基本は、本格的、恒常的業務は正規職員が担われるべきだというのが公務員法の求めるところだと思います。
ところが、公務職場における非正規の数は、二〇一六年四月の一日現在で六十四万四千七百二十五人、二〇一二年の前回の調査から四万五千七百四十八人も増加をいたしました。恒常的で本格的な業務は臨時、非常勤ではなくて、常勤で任期の定めのない正規職員が任用されるべきとしながら、実際には、本来正規で任用されるべき保育士や教員や講師などが非正規として任用され、更新を何度も何度も繰り返されてきた、こういう方々もいるというのが実態であります。また、雇い止めや処遇をめぐっても裁判が繰り返されてきたわけであります。
総務省に聞きますが、では一体どれほどの非正規の職員が繰り返しの更新によって任用されているんですか。実態を把握されていますか。
○政府参考人(高原剛君) 御答弁申し上げます。
行政サービスの提供に当たりまして、どの業務にどのような任用、勤務形態の職員を充てるかは、基本的には各地方公共団体において判断されるべきものでございます。総務省といたしましては、臨時・非常勤職員の再度の任用については、平成二十六年通知において、長期的な人材育成等への影響や身分及び処遇の固定化のおそれがあることに留意するよう地方団体に助言しております。
そこで、総務省の臨時・非常勤職員の実態調査でございますが、再度の任用につきましては、各団体における運用状況を把握する観点から、再度任用の可否、再度任用の上限、同一人の再度任用を可能としている理由、同一人の長期任用事例、おおむね十年超などを調査しているところでございまして、平成二十八年の調査の結果については現在精査中でございます。
このように、実態調査においては任用主体である団体の数を把握しているところでございますが、今後調査を実施するに当たりましては、御指摘の点も含めて、必要な調査の在り方について検討を行うこととしたいと考えております。
以上でございます。
○辰巳孝太郎君 先ほど紹介されました通知の中でも、繰り返しの任用は避けなければならないと、こうしているわけです。しかし、全体数は把握をしておらず、十年超、長期の再任用、しかしその自治体の数しか出していないんですね。しかも、その期間というのは十年以上というものであります。労働契約法では、無期の雇用転換というのは五年というふうになっております。労働者派遣ではこれ三年であったわけですね。
二〇一〇年の九月の十日に、茨木市臨時的任用職員一時金支給損害賠償請求住民訴訟事件、これの最高裁判決において裁判官の補足意見というのが出されております。
非正規公務員の中には、常勤とまでは評価できないものの、勤務時間や勤務期間が長い者もいるであろうとした上で、当該職員の勤務実態を常勤と評価されるようなものに改め、これを恒常的に任用する必要があるときには正規職員として任命替えを行う方向での法的、行政的手当てを取るべきだろうと、そして、これらの対応のためには、当該地方公共団体の人的体制、定員管理の在り方や人件費の額等についての全体的な検討を余儀なくされる場面も生じようと、補足意見ではこう言及されているわけであります。
安倍政権は、一億総活躍社会というのを掲げました。総理は、非正規という言葉をこの国から一掃するとも言っております。二〇一四年の三月三十一日、決算委員会での我が党の田村智子参議院議員の質問において総理は、非正規の方々が正規に行く道をしっかりと広くしていきたいと答弁をしております。
大臣にお聞きします。大臣、政府としても、この臨時・非常勤職員が、補助的、臨時的業務ではなく、実際には本格的そして恒常的業務を担っている実態を踏まえた対応が今、政府にも求められていると私は思うんですけど、いかがですか。
○国務大臣(高市早苗君) この臨時・非常勤職員等の任用それから勤務条件については、任命権者である地方公共団体が、法令に基づいて責任を持って適切に対応していただかなければなりません。ですから、総務省としても、先ほど来出ております平成二十六年通知で改めて留意すべき事項を示して、各団体に必要な対応を図るように要請をしています。
もう今日この委員会でも何度もお話が出ましたが、年末に予定されている研究会の報告などを踏まえまして、臨時・非常勤職員制度の趣旨、勤務内容に応じた適正な任用、勤務条件の確保に努めてまいります。
○辰巳孝太郎君 先ほどの通知、そして大臣の答弁はあくまで任用根拠をきちんと整理しましょうということであって、本来は正規で雇われるべき職員が臨時職員、非常勤職員で働いていると、しかも正規で働きたいんだと、そういう人たちを正規にしていこうという流れの通知ではないし、大臣の答弁ではなかったと思うんですね。ですから、非常にここはやはり政府として実態踏まえた対応というのが求められていると私は思います。
そこで、この公務現場での非正規への置き換えや民間委託によって適正な行政サービスの執行に深刻な支障が出ている自治体、今日はこれを取り上げたいと思います。大阪市であります。命に関わる業務である生活保護のケースワーカーにも拡大する非正規職員について伺います。
厚労省は、都道府県や政令市に対して生活保護法施行事務監査の実施を毎年行っております。厚労省に聞きますが、二〇一五年度、大阪市において現業員の配置数についてどのような監査の結果が出ましたか。
○政府参考人(中井川誠君) お答え申し上げます。
平成二十七年度におきまして、議員御指摘のとおり、厚生労働省が大阪市及び浪速区に対して行った生活保護法に基づく事務監査におきまして、平成二十八年一月二十日の通知によりまして改善すべき状況を確認し必要な改善を求めたところでございます。
現業員の配置状況につきましては、今回の監査の結果、平成二十七年七月一日現在、今回監査を実施した大阪市浪速区保健福祉センターを含めた次の実施機関において現業員の配置数が社会福祉法第十六条に定める標準数に対して不足していることが認められ、また、大阪市浪速区保健福祉センターを含む十の実施機関において査察指導体制の整備が必要な状況であることが認められた。大阪市浪速区保健福祉センターについては今回の監査において、また、ほかの実施機関についても市本庁監査において、生活保護制度の適正運営のための基本的事項に問題が認められているところであるという御指摘を申し上げたところでございます。
○辰巳孝太郎君 基本的事項に問題が認められたと。
この大阪市の場合は、ケースワーカーの配置は、これは全国でもそうですが、八十の被保護世帯に対して一人という配置が標準数で定められております。ですから、大阪市の場合は実際には一千四百五十九人のケースワーカーが必要になるんですが、実際には二百四十一人不足をしているということであります。
この生活保護現業関連スタッフについては、本務職員のケースワーカーが大阪市では七百八十五人、そして任期付きの職員が二百十二人、高齢嘱託員が二百十六人、受付調査嘱託員が四十八人、事務嘱託員が九十五人、年金調査嘱託員が三十三人、そして警察官のOBが四十二人となっておりまして、ここに数字では出てきていない民間への業務委託されている就労支援員を含めますと、大阪市のケースワーカーというのは半数が非正規、民間委託になっているということであります。
これら体制不備が著しい大阪市では、的確な訪問調査活動すらできていない状態であります。大阪市の浪速区における訪問調査活動の監査の結果を改めて紹介してください。
○政府参考人(中井川誠君) 先ほど申し上げた通知の中での指摘事項でございます。
ケース検討の結果、まず第一に、訪問計画に沿った訪問調査活動を確実に実施し、生活実態を把握の上、必要な指導、援助を行う必要がある事例が多数認められ、二番目として、高齢者世帯について現業員による訪問調査活動が一年以上実施されていない事例も認められるなど、訪問調査活動に問題が認められた、また、三番目といたしまして、訪問調査活動後のケース記録の回付が速やかに行われておらず、査察指導員等による適時適切な訪問内容の審査及び現業員に対する指導が行われていない状況が認められた、さらに、四番目といたしまして、個々の世帯の課題に応じた具体的な援助方針が策定されていない事例など、援助方針の策定に問題がある事例が認められたという御指摘を申し上げたところでございます。
○辰巳孝太郎君 つまり、本来やらなければいけないことが大阪市では全然できていないということなんですね。この要保護者の自立に向けた課題を分析し援助していくという生活保護行政業務にとって最も重要な業務の一つができていない、これ重大な事態であります。
それだけではありません。保護行政で重要な業務の一つである、生活困窮者がまず初めに相談に訪れた際の受付面接記録票でも重大な運用がありました。どういうものですか。
○政府参考人(中井川誠君) 先ほどの通知の指摘事項でございます。
面接相談につきましては、今回の監査において、平成二十七年八月から十月までの保護申請に至らなかった受付面接記録票を検討したところ、多くの受付面接記録票において、記載内容が乏しいため、相談者の急迫状況、相談者からの相談内容やそれに対する助言内容、申請に至らなかった経緯が不明であり、適切な面接相談が行われたのか判断できないことが認められた上、親に扶養の可能性を確認した上で再度相談に来るよう指示している事例、申請に不要な通帳の持参を求めている事例、同居人の収入状況の確認が事前に必要であると説明している事例など不適切な事例が認められたという御指摘を申し上げたところでございます。
○辰巳孝太郎君 これ、申請の要件ではないんですよ、親の扶養にせよ、貯金通帳持ってこいということにせよですね。こういうことを窓口でやっていたということなんです。こういう親の扶養であるとか、あとは貯金が幾らあるかというのは、申請書を受け付けた後に調査をすればいいんですよ。申請をする前にそれら持ってこいというのは、これまさに水際作戦なんですね。こういうことが大阪市で行われていたということであります。さらに、この監査の中には、申請者が取下げの意思を表示していないにもかかわらず、実施機関の判断により生活保護の申請の取下げを行っている不適切な事例も認められたと記されております。
今日は厚生労働馬場政務官にもお越しいただきましたけれども、生活保護というのはこれ最後のセーフティーネット、命に直結する行政であります。その運用過程でまさに大阪市ではこの水際作戦が行われていたということではありませんか。どうですか。
○大臣政務官(馬場成志君) お答え申し上げます。
今委員からもお話がありましたように、生活保護は最後のセーフティーネットとしての役割を担っていることから、支援が必要な方には確実に保護を実施することが必要であります。そのため、生活保護の相談があった場合、相談者の生活状況を丁寧に把握し、生活保護の仕組みについて理解を得られるよう十分に説明を行うとともに、必要に応じて利用可能なほかの福祉施策を紹介する等の対応が必要であります。その際、相談者の申請権を侵害しないことはもとより、申請権を侵害していると疑われるような行為も厳に慎むこととして、適切な窓口対応に努めるよう全国の地方自治体に通知しております。
また、国や都道府県等の監査においても確認し、適切な窓口対応がなされていない事例があった場合には是正改善指導を行っており、今後とも適切に対応してまいりたいと存じます。
○辰巳孝太郎君 何度指導しても、大阪市ではこういうこと起こっているんですよ。
背景には何があるのか。一つは、大阪維新政治の下での保護行政の締め付けであります。これが職員の不適切な対応に反映しているわけです。そしていま一つは、公務現場での正規から非正規への置き換えであります。
総務省は、任期付職員の活用の検討を促してまいりました。任期付職員というのは、本格的業務に従事可能であり、三年から五年以内の任期の設定が可能とされ、相応の給与や手当の支給が可能とされ、大阪市のケースワーカーは任期付職員法第四条一項二号に基づく任用でありますけれども、これは一定の期間に限り業務量の増加が見込まれる業務に従事させるもので、総務省によりますと、想定されているのは、例えば東日本大震災に係る復旧や復興業務やイベント、プロジェクトなどであります。
総務省に聞きますけれども、任期付きというのは、これは本格的業務に従事は可能でありますけれども、あくまで一定期間であって、同一業務の従事のために更新を繰り返すことはこれ制度の趣旨とは違うということでよろしいですか。
○政府参考人(高原剛君) 任期付職員でございますが、正規職員と同様に本格的な業務に従事することができる、その一方で、一定の期間内に限り業務量の増加が見込まれる業務についてということで、三年ないし五年の任期を限っております。ただ、この任期付職員の任期が終了した後、当該業務が継続している場合に改めて当該業務に任期付職員を充てることは十分あり得るものというふうに考えております。
○辰巳孝太郎君 いや、ですから、じゃ、生活保護業務というのは、これは三年から五年で終わる業務ですか。大阪のこの生活保護の世帯は、それでもう任期付職員が要らなくなる程度のものなんですか。先ほど、大阪市の現業職員について言えば二百四十一人が今でも不足しているということを言わせていただきました。今でも不足をしているんですね。もしこれ三年から五年でもう要らなくなる、任期付き要らなくなるということになるんだとすれば、実際大阪市で二万人近い生活保護世帯がこれ減少しなければならないということになるんですよ。今の生活保護の状況というのはそういうことじゃないでしょう。そういうことじゃないんですよ。
厚労省、もう一回確認しますけど、大阪市において任期付職員が、じゃ、どれほど再任用されているか、紹介してください。
○政府参考人(中井川誠君) 今回の件に関しまして大阪市の方に確認を取りましたところ、大阪市では、平成二十六年度末までケースワーカーとして雇用されていた任期付職員は二百十二名でございました。同市では、平成二十七年度に改めて公募を行いまして、任用試験を行った上で新たに任期付職員のケースワーカー二百十二名を任用しております。このうち百三十名の方が再度任用された方であると聞いておるところでございます。
○辰巳孝太郎君 半分以上が再任用なんですよ。こういう人たちを正規にしなきゃならないんですよ。望む人は正規にしたらいいんですよ。こういうことを任期付きで繰り返しているのが今の総務省であります。
生活保護というのは命守っているわけです。行政にとってこれ以上の仕事はありません。ところが、大阪市では、この生活保護行政はまさに福祉施策の名に値しない状況になっております。最後のセーフティーネットと言われるこの保護行政において、法に定められた資格の所持や必要な体制、当然の運用も守られずに実施がされております。これ、行政需要というのは高まっているわけです。生活保護行政だけじゃありません。しかし、そのニーズに応えるために人員は非正規で行う、代替をしていく。しかし、そんなことをやっているうちに命に関わる生活保護行政まで非正規雇用で置き換えていくと。
私は、任期付きで働くケースワーカーの方にも話を聞きました。やはり三年、五年ごとの更新が不安定でつらいんだと、結局雇用の調整弁だと、来年の雇用も分からないのに本当に親身になって相談に来られた方の業務ができるのかと、疑問だという声も聞きました。
総務大臣、大臣はこういう声にどう応えますか。
○委員長(横山信一君) 高市大臣、時間ですのでお答えは簡潔にお願いします。
○国務大臣(高市早苗君) それぞれ、やはりその地方公共団体においてどのような仕事を、最も効果的な行政サービスを提供するためにどの業務にどのような任用、勤務形態、この職員を充てていくか、これは基本的に各地方公共団体が責任を持って判断されるものでございます。やはり、それによって採用された職員の方は、その雇用形態のいかんにかかわらず、それは市民のため、また府民のために公務員として責任を持って仕事をされるべきものでございます。その責任があると思います。来年が分からないから、再来年が分からないからそこは適当に仕事をしていいということにはならないと思います。
ただ、やっぱり先を見据えてしっかりと、正規職員になりたいんだと、そのために努力をしていく、そういう取組は必要でありますし、地方公共団体も、その方にお願いすべき仕事、それがどういうものであるのか、例えば繰り返し任用を行っている場合も、必ずしも本格的な業務に従事しているということが想定されないこともございますので、ここはしっかりと地方公共団体の方も、総務省の通知も踏まえながら適正に対応をしていただきたいと考えております。
○辰巳孝太郎君 ケースワーカーは恒常的業務なんです。本格的業務なんです。是非、命守る行政ですから、しっかりと正規職員を増やすように動いていただきたい。
終わります。