UR移転家賃引き下げ 10年経過後も補助

2015年4月16日  

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以下、しんぶん「赤旗」より転載。

2015年4月19日(日)

UR移転 家賃引き下げ

10年経過後も補助

辰巳議員に国交省答弁

参院国交委

写真

(写真)質問する辰巳孝太郎議員=16日、参院国交委

日本共産党の辰巳孝太郎議員は16日の参院国土交通委員会で、UR(都市再生機構)賃貸住宅の統廃合について、「住み慣れた団地に住み続けたい」という居住者の願いに背いた建て替え・移転とならないように求めました。国交省の橋本公博住宅局長は、移転に伴う家賃負担増について、「10年間は最大3・5万円を減額し、11年以降も同様の補助を行い減額を継続する」と答えました。

辰巳氏は、建て替え・移転に伴う家賃引き上げで低所得の高齢者が入居できるのかと追及。太田昭宏国交相は「安心して住み続けられることを大事にする」と答弁しました。

辰巳氏は、統廃合について「希望しない」「わからない」が6割を占めた機構の居住者アンケートを紹介し、「このまま住み慣れたところで生活したい」が居住者の願いだと強調。国交相は「居住者の同意を得ることが前提」と述べました。

辰巳氏は、UR住宅が持つセーフティーネットの役割を放棄し、居住者の思いを無視する統廃合の加速はやめるべきだと強調。国交相は「むりやり行わない」と述べました。

URと民間が共同出資した開発型SPC(特定目的会社)について辰巳氏は、大手デベロッパーと共同で大規模再開発を進めるものだと批判しました。


以下、会議録を掲載。

議事録を読む

○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎です。
UR賃貸住宅の統廃合加速についてお聞きいたします。
都市再生機構は、二〇〇七年に策定したUR賃貸住宅ストック再生・再編方針に基づき十年間で既存住宅八万戸を削減する取組を進めており、二〇一三年度末までの削減戸数は三万七千八百五十九戸となっています。機構は、この削減を推進、更に加速するために、新たにエリア単位での団地の再編手法の導入を打ち出しました。これまでの建て替えは同一団地内での居住者移転を原則としていたわけでありますが、適切な移転先確保が困難なため再編が進んでこなかったなどとして、本改正案により、近接地建て替え、つまり離れた地での建て替えを可能にしたということであります。これに対して不安の声が出ております。
大臣に確認しますけれども、この再編ですけれども、適切な移転先確保が困難なために進んでこなかったんでしょうか。これは、住み慣れた団地に住み続けたいという願いが強いからではないんでしょうか。
○国務大臣(太田昭宏君) 場所によっていろいろ違いがあると思いますが、いずれにしましても、老朽化が進んでいるということもありますし、そして、人口減少が進んで郊外の空き家が増えてきているというような状況にどう対応するかということが大事だというふうに思っています。
私は、何度も答弁もしておりますが、URについては、居住者が安心して住み続けられること、そしてUR団地は地域の貴重な財産として地域全体の安心に貢献すること、改革の名の下に居住者を追い出すことが絶対あってはならないことという信念の下でやっております。
UR団地の建て替えに当たっても、居住者のお気持ちを十分踏まえて、安心して住み続けられるようにしていくことが重要だと考えています。今回の法改正と家賃の減額措置の拡充は、こうした考え方に基づくものでございます。
○辰巳孝太郎君 大臣、今回のスキームでの移転は、入居者の同意が必要ということでよろしいですね。確認をいたします。
○国務大臣(太田昭宏君) URにとりましては、居住者が安心して住み続けられることが大事であるというふうに考えておりまして、UR団地の建て替えに伴う居住者の移転に当たりましては、居住者の同意が前提ということになると考えています。
○辰巳孝太郎君 同意が前提ということでありますが、これは当然の話であります。住み慣れた団地に住みたい、これが居住者の願いであります。
埼玉県和光市の西大和団地での隣接地への建て替え計画で機構が行ったアンケートがあります。これでは、事業予定区域の対象者に、新しい賃貸住宅への移転を希望するかどうかという、これ機構が行ったアンケートであります。結果は、移転希望する、これが四割、希望しない、分からないとした人が六割に上ったわけであります。このまま住み慣れたところで生活したいなどの意見が出されているわけであります。
希望する人がこれまで築いてきたコミュニティーを維持しながら住み続けるような取組を私はすべきだと思っております。新たに遠いところに建て替えなくても、エレベーターを付けるとかバリアフリー化を進めるということは、これは公団住宅でできるわけであります。
政府に確認しますけれども、大体エレベーターは実績でこの間何基付けたのか。エレベーターのない住戸戸数も併せて示していただけますか。
○政府参考人(橋本公博君) お答え申し上げます。
エレベーターが設置されていないUR賃貸住宅については、平成十一年からエレベーターを後付けで設置をしてきております。平成二十六年三月末時点において、後付けのエレベーターは五百四十七基、対象となる住宅は八千戸相当でございます。これら後付けのエレベーターも含めまして、賃貸住宅全体ではエレベーターは合計六千六百七基、対象住宅が四十万七千戸程度でございます。全七十五万戸のUR賃貸住宅に対する割合が五四・四%でございます。逆に、エレベーターが設置されていない住戸は三十四万一千戸程度でございまして、割合は四五・六%ということになっております。
○辰巳孝太郎君 ですから、半分近くがエレベーター付けていないと。先ほど、十五年で五百四十七基と、平成十一年から二十五年までの数字だと思いますが、五百四十七基ですから、十五年で年間僅か三十六基ぐらいのペースしか付けていないというのが実態であります。こういうエレベーターを付けてほしいという要望はたくさんあると思うんですね。付けたらもっと住める住宅というのはたくさんあると思うんです。結局、コスト削減で修繕も後回しにされていると。実際には近接地建て替えとなれば新たな入居の募集停止となりますから、コミュニティーの維持というのも困難になると私は思います。
この改正案に対して、全国公団住宅自治会協議会からは切実な声が出されています。要請文ではこうあります。私たちの住宅は、住環境に優れ、建物も良好な維持管理ができれば耐久性は十分あり、決して老朽建築物ではありません。住み慣れた団地で安心して暮らしていけることが多くの居住者の願いです。団地統廃合は貴重な社会資産を壊すことになりかねず、高齢の居住者に別の団地の移住と家計負担増を強いるような団地統廃合は望んでいませんと。私はこの声を、大臣も含めて重く受け止めるべきだというふうに思います。
この新しい住居に移る場合の家賃減額の措置について確認をしたいと思うんですね。新たに建てられる、これ駅前なども含みますから、駅前などの住宅というのは当然家賃が高くなるわけであります。先ほど同僚議員からもありましたが、この建て替えの後の住宅に十年間は三万五千円の家賃の引下げということをやると、その後も継続するという話がありましたが、もう少し具体的に内容を示していただけますか。
○政府参考人(橋本公博君) まず、家賃減額の内容でございますが、要配慮世帯、低所得かつ高齢者、あるいは子育て、母子世帯等々の方につきましては、最大三・五万円をまずは十年間、国の補助金も入れて下げます。それを十一年目以降もURの負担によって引下げを続けるということは先ほど大臣からお話をさせていただいたとおりでございます。
ちなみに、この三万五千円ということでございますけれども、これは、昭和四十年代に建設された最寄り駅までバスを利用する必要があるUR団地で平均的な住戸面積を有する住宅を、その同じ最寄り駅で徒歩圏の民間賃貸住宅と比較をしたところ、家賃差額が平均三・五万円であったということで、十一年目以降もURの負担によってその十年目までと同じ額だけ引下げを続けるということでございます。最大三万五千円をそのまま続けるということでございます。(発言する者あり)
○委員長(広田一君) 挙手をもって質疑をお願いします。
○辰巳孝太郎君 三万五千円を引き続きやるということですね。一般世帯はどうなんですか、要配慮者以外。
○政府参考人(橋本公博君) 一般世帯、要配慮者以外につきましては、これは最大二万円を十年間にわたって減額をすることは決めております。今後、この減額措置も十一年目以降続けるように、現在URで具体の措置等について検討をしておるところでございます。
○辰巳孝太郎君 踏襲していくということでいいんですね、今の制度を。しかし、これ十年間が限度ですから、十年以降はどうなるのかということの不安というのも出ているわけですね。
UR賃貸住宅というのは、元々これは公的賃貸住宅として位置付けられているわけであります。ところが、家賃そのものは、市場家賃としてこれはそもそもが高い設定になっていると。一方で、国の責任はどうかということでいえば、住宅セーフティーネット法におきまして、国は低所得者などの住宅確保要配慮者に対して、公的賃貸住宅の、これはURも含めてですが、適切な供給の促進に必要な施策を講ずるよう努めなければならないと、こう定められているわけであります。
大臣、これでどうやって、今回の再編、これを加速させるということですが、国の責任を果たすつもりなんでしょうか。
○国務大臣(太田昭宏君) 我が国の人口減少が進む中で郊外のUR団地については空き家が増加しておりまして、コミュニティー維持の観点からも団地の再編を行っていく必要があります。
このため、今回の近接建て替えは、老朽化が進み空き家が多くなっている郊外の団地をより利便性の高い土地に集約しようとするものです。その際、団地の再編は、その地域で高齢者がどのような住まい方に対するニーズを持っているかを十分踏まえて行うこととしています。
このように、高齢者のニーズが高い地域で近接地建て替えを無理やり進めることは行わないことから、団地の再編にとって高齢者の受皿がなくなるということはありません。今後とも、居住者が安心して住み続けられるUR団地としての信念を持って取り組んでいきたいと考えています。
○辰巳孝太郎君 大臣がニーズを踏まえてと言うのであれば、先ほどのアンケート調査にもあったとおり、そこでコミュニティーを維持しながら住み続けたいという人の、まさにその居住者のニーズに私は応えるべきだというふうに思います。
低所得者が多数入居している公団住宅を当面八万戸も削減をして、更に削減をしていくと、建て替え後の住宅の家賃というのはこれ大幅に上がっていくということであります。公営住宅というのも減っている、これは入れないということですから、国の責任が果たせないのは私は明瞭だと思います。
二〇一四年の第三期中期目標でも、公団住宅は、公的賃貸住宅として高齢者、子育て世帯等政策的に配慮が必要な者に対する住宅セーフティーネットとしての役割の充実を図ることと、こう書いてあるわけですね。本来、公団住宅が持つセーフティーネットとしての役割を放棄して、居住者の住み続けたいという思いを無視したこの統廃合の一層の加速はやめるべきだというふうに私は言っておきたいと思います。
続いて、SPCについてお聞きをします。
改正案は、都心の大規模再開発事業を推進するため、民間事業者から共同事業の要請があれば、従来のような公募の手続を行うことなく都市再生機構が民間と共同出資した開発型SPC、特別目的会社をつくることができるようになります。
なぜこれまでの開発型SPCの実績がなかったんでしょうか。
○政府参考人(小関正彦君) これまでなかった理由につきましては、現在の制度におきましては、所有する土地について公募が原則となってございまして、そのときに公募をしても適切な条件を備えた応募者がいない場合に限り認められております。この実績がないのは、公募により譲受人が定まってしまったためであるというふうに考えております。
また、民間事業者から見た場合も、URが公募しても譲受人が定まらない場合に限って投資ができるということでは不確実性が高く、事業実施方法の選択肢として検討することが困難であったというふうに考えております。
○辰巳孝太郎君 結局、これは大手ディベロッパーにとって使いにくいということなんですね。二〇一四年の十一月十七日の財政制度等審議会の資料の中でも、URが民間ディベロッパー約十社と意見交換を実施した結果、開発型SPCの要望が出ていると、こういう話であります。政府の資料でも、民間のみでは実施し切れない大規模開発等への参加ということになっているわけです。要するに、これ、リスクの高い事業に都市機構が民間との連携強化として乗り出そうということであります。リスクの高い事業を機構が引き受けること自体が私は問題だと思うんですね。それが民間の仕事なんですよ。リスクがあるということであれば、それは民間が判断をしてやめればいいだけの話であります。
私がこれちょっと気になるのは、この共同事業でありますが、URが公平中立な立場で合意形成を図っていくと、こういうふうに資料でもあるんですね。ところが、国際競争力の強化を前面に掲げて民間の大手ディベロッパーとの共同で大規模開発を進めようとしているURが、どうやって地権者や地域コミュニティーなどと公平中立の立場で合意形成に臨めるのか、これは分かりません。これ、説明していただけますか。
○政府参考人(小関正彦君) URが公平中立な立場でなぜ合意形成できるのかというお尋ねでございますが、まず、独立行政法人である都市再生機構の業務は、独立行政法人通則法第三条によりまして、公共上の見地から確実に実施されることが必要なものであることに鑑み、適正かつ効率的にその業務を運営するように努めなければならないというようにされておりますし、また、国土交通大臣が定めて指示をいたしておりますURの第三期中期目標の中におきましても、都市再生を的確に推進するため、機構の公共性、中立性、ノウハウを生かしたコーディネートを実施し、都市再生の先導的役割を果たすことを求めているというものでございます。
今回の出資に当たって行うこととしております合意形成につきましては、UR法に基づくコーディネート業務として実施するということでございまして、この業務の実施を出資の要件として規定しているところでございます。URは単なる投資家ではございませんで、その調整能力やノウハウ提供などを必要とする場合にその調整を機構が主体的に行うということでございます。
リスクにつきましては、現在でも、これまで事業採算性等を確認し、分担するリスクを確認した上で事業に着手しておりますし、引き続き徹底しながら投資を行うこととしたいと思います。
○委員長(広田一君) もう時間が参っております。
○辰巳孝太郎君 はい、最後。
大臣が定めるということで、これでオーケーということであれば、それはもうちょっと違う話になるわけですね。民業補完、連携支援どころか、まさに一体となって巨大開発を進めるということであります。
○委員長(広田一君) 時間が超過しておりますので、よろしくお願いします。
○辰巳孝太郎君 はい。
こういうものが、赤字が賃貸住宅にしわ寄せが及ぶというような事業というのはやめるべきだということを述べて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。