阪神高速淀川左岸線2期事業は中止せよ

2014年5月27日  

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以下、「しんぶん赤旗」より掲載。

阪神高速淀川左岸線2期事業 辰巳氏が中止求める

参院国交委

 日本共産党の辰巳孝太郎議員は27日の参院国土交通委員会で、着工に向けた準備が進行中の阪神高速淀川左岸線2期事業(大阪市此花区高見―同市北区豊崎)の問題点を浮き彫りにしました。
同事業は、2006年度から大阪市の街路事業と阪神高速道路株式会社の有料道路事業との合併施行で事業化され、総事業費1330億円のうち1240億円を国と市が負担するものです。
辰巳氏は、約4㌔にわたって堤防の中にトンネルを埋め込む形で建設する全国でも例のない計画だと指摘。「安全上問題ではないか」とただしました。
国交省の森北佳昭水管理・国土保全局長は「(防災・治水の面で)盛り土による堤防と同等の機能を有するかを個別に判断する」と答弁。石井喜三郎都市局長は、道路構造物と堤防を一体化した場合の安全性について「(専門家による)技術検討委員会を設置して議論している」と述べました。
辰巳氏は、同事業をめぐっては「液状化対策の必要性」も指摘されているとし、「安全よりも事業の開始が最優先になっている」と批判。広く知見を求めるためにも「検討委員会の議事録を開示すべきだ」と迫りました。
太田昭宏国交相は「公開の範囲は委員会が判断すべきだ」などと無責任な答弁に終始しました。
辰巳氏は、南海・東南海地震の発生に備えるためにも「老朽化対策を優先すべきだ」と主張し、同事業の撤回と中止を求めました。
(2014年05月29日 しんぶん「赤旗」近畿版)


以下、大阪民主新報の記事より転載

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(2014年6月8日 大阪民主新報)


以下、会議録を掲載

議事録を読む

(2014年5月27日 参議院国土交通委員会)

○辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎です。
前回に続いて、高速道路の新規建設についてお聞きします。
淀川左岸線二期事業は、一九九六年に都市決定をされたものであります。元々は阪神高速道路公団の事業でありましたけれども、民営化の際、会社だけでは負担できないということになりまして、二〇〇六年から大阪市の街路事業と阪神高速道路株式会社の有料道路事業との合併施行で事業化されているものであります。総事業費の一千三百三十億円のうち会社負担は九十億円、残りは税金ということであります。この事業は、その名のとおり淀川の左岸、これ堤防の中にトンネルを埋め込む形で高速道路が造られるということになっております。
国交省にまず確認をしますけれども、堤防の中に構造物を入れるのは安全上問題があると思いますけれども、どうでしょう。
○政府参考人(森北佳昭君) お答えを申し上げます。
河川堤防の構造に関しましては、河川管理施設等構造令というのがございます。これに基づきまして、盛土で築造するということを原則に、堤防の天端幅、のり面の勾配など、形状等が所定の要件満たすことが求められます。この構造令では、河川堤防として必要となる断面の中に道路構造物が築造される等、特殊な構造とする場合には、耐震性、耐浸透性など、河川堤防が有すべき機能につきまして、盛土による堤防と同等以上の機能を有するかを個別に判断することといたしております。
事業主体から構造等について申請がなされた際には、このような観点から適切に判断することになります。
○辰已孝太郎君 個別に判断ということなんですが、このような事業というのはかつてこれまであったんでしょうか。あったかなかったか、簡潔に。
○政府参考人(森北佳昭君) これまでにこういったものについてはないというふうに承知をしております。
○辰已孝太郎君 それでは、この安全性について個別に判断ということなんですが、この淀川左岸線二期事業についてはどうなんですか。
○政府参考人(石井喜三郎君) お答え申し上げます。
この淀川左岸線の二期事業の建設に当たりましては、今御指摘の道路構造物と堤防を一体とした場合の安全性、施工方法及びその維持管理手法等について技術的な審議を行うことを目的といたしまして、大阪市、近畿地方整備局及び阪神高速道路会社により、直近では淀川左岸線二期事業に関する技術検討委員会を設置をして検討をしておるところでございます。
○辰已孝太郎君 検討委員会で検討しているということですが、実はこの間、大阪市、そして国、かつての道路公団、道路会社は、この事業化に当たって大変迷走しております。堤防設置に関しては2Hルールというのがありまして、これは堤防の防災、治水機能を守るために、堤防の一定の範囲に異物の構造物を設置することを禁止をするものであります。事業化に当たって、この2Hルールがあるので、どうこれをクリアするのか、このことに国も大阪市も阪高も腐心をしてきたということであります。
例えば一九九六年の十二月二十四日、淀川左岸線二期に係る建設省淀川工事事務所の説明の議事録というのが手元にもあるんですけれども、ここで建設省からは、スーパー堤防ありきでこの事業は協議を進めればよいという発言がなされております。つまり、これは九二年の建設省河川局の水政、計画、治水課長通達で、スーパー堤防は2Hルールの適用外と、こういう通達が出されておりまして、恐らくこれを前提とした発言だろうと思います。議事録では、建設省側が一体整備ができなければ2Hルール遵守となって管理から厳しい条件が付くだろうと、こういう話もしております。
しかし、スーパー堤防というのは簡単に整備は進みません。ですから、二〇〇〇年には部分的なスーパー堤防ではどうかという話合いも出てきておりますし、二〇〇一年には、これは近畿地方整備局から、暫定スーパー堤防とか、スーパー堤防ができるまでは兼用工作物という見解で進めていきたいということも記されております。
森北局長に確認をしますけれども、国、大阪市、高速道路会社、つまりかつての公団は、堤防内のトンネル設置は2Hルールが壁になって事業化が難しいということをずっと議論をしてきたわけでありますけれども、この議論、国土交通省としてこういう議論を行ってきたことは承知はされていますね。
○政府参考人(森北佳昭君) 御指摘の点については承知をいたしております。
○辰已孝太郎君 承知をしていると。
2Hルールというのは堤防の安全や安定性を保証するためのもので、非常に大事な取決めでありますけれども、結局、これまでの議論を見れば、安全よりも事業の開始というのが私は最優先になってきたんじゃないかなというふうに思います。
そして、今回、先ほどの答弁にあったように、大臣の認可ということで、今度は2Hルールそのものを適用除外にしようとしているわけであります。これまでに例のない事業でありますから、この淀川左岸線二期事業に関する検討委員会ということで、安全性については議論をしております。この間の委員会でも、全路線での液状化の対策の必要性が改めて指摘をされているところでありますけれども、そもそも、国交省にお聞きしますけれども、液状化の可能性が指摘をされているような区間に道路建設をすることについて、これ、どういうふうにお考えですか。
○政府参考人(石井喜三郎君) 先生御指摘の、今の委員会における検討の状況でございますが、同委員会におきましては、液状化によって様々な静的解析、動的解析による液状化の検討を含めて、地震時に河川堤防として要求される機能が満足できるかという観点から検討しております。
ちょっと分かりにくかったかと存じ上げるんですが、具体的には、今般は道路が入る、カルバートが入る位置が確定をしてまいります。それを踏まえて詳細にまず検討をする。そして、今先生から御指摘がありました、地震時に液状化が起きるということを想定した上で、河川堤防の治水機能が確保できるか、また、機能を確保するためには堤防の構造がいかにあるべきかということを本委員会では検討をされております。
公開されております委員会の資料によりますと、液状化対策としては、サンドコンパクションというそうですが、砂のくいを地盤に打ち込んで地盤を締め固める締め固め工法や、液状化する層そのものを他の土に置き換える置き換え工法、置換工法を検討しているというふうに承知をしております。
委員会ではまだ結論を得ていないところでございますが、これらの検討を踏まえて、液状化について必要な対策を進めるというふうに承知をしております。
○辰已孝太郎君 この淀川左岸線、川下の方に行きますと此花区酉島地域というのがあります。ここは阪神大震災のときに堤防が一・八キロにわたって三メートル陥没したという地域でもあります。この淀川左岸線事業区間のほんの三キロ先なんですね。
対策はするというんですけれども、元々液状化するだろうというところに、このような、これまで施工したことがない、堤防の中にトンネルを造るということそのものが私は間違っていると思いますし、先ほど検討委員会で議論を踏まえてという話ですけれども、実はこの検討委員会の議事録が十分に公開されていないという問題があります。私、請求をしても、このような黒塗りの議事録、これもうほとんど黒塗りなんですね、しか入手ができないということになっております。技術検討委員会で検討するといいますけれども、委員会に入っていない専門家の方々が、これでは検討が十分にできないじゃないかということをおっしゃっておられます。
ここは大臣にお聞きしたいんですが、やはり前例のないこういう工事だというのであれば、広く知見を求めるためにも私は十分な情報開示というのが必要だと思います。この検討会の委員会の議事録を、これ全面開示するべきだと思いますけれども、どうでしょう。
○国務大臣(太田昭宏君) この淀川左岸線の二期事業は、大阪市と阪神高速が事業主体となって整備することとされています。その技術的な検討は、今御指摘のような淀川左岸線二期事業に関する技術検討委員会が設けられてしているということです。この委員会の議事の公開につきましては、規約において原則として非公開で開催するということとされています。会議でのまた配付資料及び議事要旨につきましては、大阪市及び近畿地方整備局のホームページに公開することとされています。
議事要旨におきましては委員からの主な意見についても記載されていますけれども、いずれにしても、公開の範囲については委員会が判断すべきものと考えます。
○辰已孝太郎君 議事要旨といいますが、それではやはり議論の中身というのは十分には分かりません。規約という話ですけれども、これ結局、阪高は先ほど九十億しか出さないと、残りは国と大阪市が負担するんです。国の方が負担分は多いというわけですから、これきちんと公開するべきだと、国の判断もきちんと伝えるべきだというふうに私は思っております。
堤防内のトンネル工事については、何よりも安全性が求められます。専門家の中には、こういう前例のない工事なんだから、最低二十年間のテストを行って堤防の全基準を満たす確たる安全性のある計画とすることが不可欠だと、こういう指摘もあるわけですので、私は、それを一部の議論だけで決めてしまっては、安全が保証されるのかは甚だ疑問だというふうに言わなければなりません。
この淀川の左岸線、更に延伸の計画というのもあります。しかし、そもそもこれらの道路が必要なのかということであります。阪神高速道路の利用者というのはこの間も減ってきております。九八年当時、阪神高速の一日の利用台数は九十五・二万台でしたけれども、二〇一一年では八十七・九万台になっております。供用の延長というのは増えていますけれども、交通量は減っております。渋滞量にしましても、一九九〇年のピーク時の、二〇一〇年は半分以下にも減っております。
私は、淀川左岸線の延伸部も、そういうお金があるんだったらそれこそ老朽化対策を優先すべきだと思いますけれども、この延伸部、事業化すべきでないというふうに私は考えます。もう同じ答弁だから答弁を求めませんが。
かつて、この淀川左岸線事業の前には、一九六七年に同地域に都市高速道路網構想の一つとして大阪高槻線というのが、これ実は公表されております。これは高架構造で造られようとしたものですけれども、当時、公害問題、環境問題で大きな反対運動が起こりまして、一九七三年の第七十一回国会衆議院内閣委員会において我が日本共産党の東中光雄議員がこの問題を取り上げて、当時の金丸信建設大臣が、百聞は一見にしかずだと言って、現地まで足を運ぶと言って、ついに一九八〇年には大阪高槻線の予算はゼロになって計画はなくなったと、こういう経緯もあるわけでございます。
今後、南海・東南海地震というのが高い確率で発生すると言われております。この淀川左岸線の二期工事、それに続く延伸部、私は、こんな地盤の弱いところにわざわざ堤防の中にトンネルを設置するなんて、国土強靱化どころか国土軟弱化ではないかと、私は事業の撤回とそして中止を求めて、質問を終わります。

反対討論を読む

○辰已孝太郎君 私は、道路法等の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。
 本改正案は、高速道路の大規模更新・修繕を実施する費用四兆四百五十億円を捻出するため、二〇五〇年までとしていた高速道路の料金徴収期間を十五年延長するなどとするものです。これは、高速料金の無料化を十五年先送りし、高速道路の建設や修繕に係る借入債務の償還期間を先送りすることにほかなりません。
 法案に反対する第一の理由は、債務の返済期限の延長自体が、道路公団民営化時の債務返済計画がそもそも成り立たないずさんなものであったことを示しているからです。本来、大規模更新・修繕費用は、民営化の際に償還計画に含めておくべきものでありました。社会資本整備審議会からも、二〇〇二年以降、近い将来大きな負担が生じると繰り返し警告されていました。にもかかわらず、費用算定の具体の箇所や対処方法を決めなかったのは、管理費コスト削減を優先し、民営化先にありきで費用を小さく見せる意図があったとしか考えられません。
 第二の理由は、大規模更新・修繕の債務と高速道路建設等の債務を別枠としたことで、新規の高速道路建設を歯止めもなく継続する仕組みを温存することになるからです。
 今後も数兆円規模で予定されている新規道路建設を抑制すれば、大規模更新・修繕の費用も当初どおり四十五年で償還する計画の枠内に収めることは可能です。ところが、四十五年償還の建設に係る債務に大規模更新・修繕の債務は含めず、別枠にしています。これでは、今後も増え続ける大規模更新・修繕費用に影響されることなく、東京外郭環状道路などの事業中区間はもとより、約一千百キロメートルの未事業化区間、さらには淀川左岸線延伸などの地域高規格道路といった新規事業を引き続き進める仕組みは変わりません。
 第三の理由は、新規の高速道路建設を抑制することのないまま無料化を延長することは、新たな負担を利用者、国民に強いることになるからです。
 以上、今行うべきは、最後の警告に耳を傾け、新規建設よりも既存道路の老朽化対策等、大規模更新・修繕を優先させることであるということを申し述べ、反対討論を終わります。