大阪市 下水道 民営化適さず

2015年5月12日  

以下、しんぶん「赤旗」より転載。

2015年5月13日(水)

下水道 民営化適さず

参院委で辰巳氏 推進の大阪市・国を批判

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(写真)質問する辰巳孝太郎議員=12日、参院国交委

大阪市が下水道事業の民営化を進めようとしている問題で、日本共産党の辰巳孝太郎議員は12日の参院国土交通委員会で、「住民生活に密接に関わるインフラ(社会的基盤)であり、民営化にそぐわない」と指摘しました。

大阪市の下水道事業は13年連続黒字が続く“優良会計”です。市は、その運営権を民間に付与する方式(コンセッション)を検討中。同方式は政府自ら「日本再興戦略」で位置づけ推進しています。一方、下水道事業は生活環境の改善などを担う「公共性の高い社会基盤」(国土交通省)で、管理者は地方公共団体でなければなりません。

辰巳氏は、コンセッションを導入した場合に市と民間とで「責任の所在が不明確」「二重コストが発生する」として最終的な管理責任まで民間に負わせるよう提案した市作成の資料を示し、政府の見解をただしました。

国交省の池内幸司水管理・国土保全局長は「コンセッションを導入した場合でも管理者は地方公共団体」と明言しました。

辰巳氏は、政府が推進する民営化について「効率やもうけを優先させて自治体の関与をそぎ、他方で“最終責任は自治体にある”ということ自体に無理がある。必要な予算と体制の確保が国の責任だ」と迫りました。


以下、会議録を掲載。

議事録を読む

○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
従来の浸水想定区域は大雨による河川の氾濫、つまり洪水のみを対象としてきたわけですが、今回の改正案では、想定し得る最大規模の降雨を対象とすると同時に、内水、高潮に関しても浸水想定区域を設けることになりました。これは、近年、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化している下での当然の法改正だと思います。
私は、今日はまず浸水問題というのを掘り下げてみたいと思います。
二〇一三年の八月に大阪市内の梅田駅周辺で起きた浸水があります。大都会での浸水、十分間に二十七・五ミリの大雨が集中して、完全に排水能力を超えました。梅田周辺では道路がたちまち膝下まで冠水をいたしました。先ほどもありましたが、一九九九年には博多駅周辺の地下街や地下鉄、ビルの地下室に大量の水が流れ込んで、一人が死亡をしております。
この避難計画策定状況でありますが、二〇〇五年、水防法の改正によって地下街管理者に避難確保計画の策定が義務付けられて、二〇一三年には浸水防止計画の策定も義務付けられました。先ほども質問がありましたから言いますと、二〇一四年三月末で、八百九十五の地下街のうち、避難計画の策定が五百九十四だと、浸水防止計画というのが百四十一ということになっておりまして、避難計画そのものは八年たっても六七%、浸水防止計画策定に至っては一割台に残念ながらとどまっていると、こういうことだと思います。
先ほど、国交省では、手引の充実であるとかブロック会議、説明会、また公表していくという話がありましたけれども、しかし、策定する義務はあるんですけれども年限の設定はしていないということでございますので、実効性が問われているのではないかなということも一つ指摘をしておきたいというふうに思います。
この地下街における緊急時の対策には十分な準備で臨まなければならないと私も思います。
例えば、止水板の問題でございます。大阪では、大阪市、府、関係機関、地下街、地下駅、接続ビルの所有者又は管理者等で構成する地下空間浸水対策協議会というのが設置をされました。関係機関、各事業者が連携するためのガイドラインというのも作られました。しかし、課題もあります。例えば、浸水は地下街からの出入口だけではなくて、地下街に接続している商業ビルからも入ってくると。その地下街本体の出入口では止水板が設けられる、設置が進むわけなんですが、同時に、それらビル管理者まで、いわゆる接続ビルのビル管理者まで、止水板の設置がどこまで徹底できるのかということも考えなければなりません。また、地下駐車場の入口から水が浸入してくるということも考えなければなりません。
そこで、国交省に確認をしたいんですが、接続ビルとか地下駐車場などは、建設時に止水板の設置など、洪水や内水、高潮などを防ぐための法規制というのはあるんでしょうか。
○政府参考人(池内幸司君) お答え申し上げます。
現行の建築基準法ですとか、あるいは駐車場法におきましては、地下街と接続しているビルや地下駐車場に対して止水板等の設置等の浸水対策の義務付けは行われておりません。
一方、現行の水防法では、浸水想定区域内にあり、不特定多数の利用者の円滑かつ迅速な避難確保が必要な既設の地下街、接続ビル、地下駐車場等について避難確保・浸水防止計画の作成等の対策を講じることとしております。これらの既設の施設に加えまして、本法案では建設段階のものも避難確保・浸水防止計画の作成対象としております。これによりまして、地下街、接続ビル、それから地下駐車場等におきまして、建設段階から出入口等のかさ上げや止水板設置等、浸水に対して安全な構造とすることが期待できます。
また、本法案におきましては、地下街の管理者等が避難確保・浸水防止計画を作成しようとする際に、接続ビルの所有者等に意見を聴くこととしております。これによりまして、地下街と接続ビル等が連携して避難確保対策や浸水防止対策を実施することが期待できます。
本法案におけるこれらの措置を講ずることによりまして、地下街、接続ビル、地下駐車場等における浸水対策の一層の充実を図ってまいります。
○辰巳孝太郎君 基本的には建設段階での法規制というのはないということだと思うんですよね、止水板に関して設置しなければならないと。いろいろその計画を工事中であれば相談してやっていかなきゃいけないということでありますが、私は、ビルの建設段階から浸水を防止するための法整備、伴う改正なども必要ではないかなということも提起をしておきたいと思います。
そこで、今日はもう一つ、下水道事業の管理、そして政府が進めるコンセッションについてお聞きをしたいと思います。
まず、下水事業の管理者は自治体でなければならないとしておりますけれども、その理由を簡潔に述べていただけますでしょうか。
○政府参考人(池内幸司君) 下水道は、生活環境の改善、公衆衛生の向上、浸水被害の軽減、それから公共用水域の水質保全を担う公共性の高い社会基盤でございます。さらに、事業の実施に当たっては、住民や企業等に対しまして下水道への接続の義務ですとか、あるいは下水道へ排除する水質の規制を課すなど、公権力の行使を伴います。こうした下水道事業の特性から、下水道の管理者は地方公共団体としております。
○辰巳孝太郎君 公共性が高いということと公権力の行使があるということが二つの理由として挙げられたと思います。
あくまで管理責任というのは自治体ということになるわけですが、今政府は、公共施設等運営権方式といいまして、つまり施設の所有権は移転せずに民間業者にこの公共施設等運営権を付与する、これをコンセッションといっているわけですが、この方式の導入の音頭を取っていると。
日本再興戦略改訂の二〇一四年版で見ますと、こう書いてあります。公共施設等運営権方式について、二〇一六年度末までの三年間を集中強化期間に設定をし、この期間内に達成すべき数値目標として、空港が六件、上水が六件、下水道が六件、道路一件を設定したと。二〇二二年までの十年間で二、三兆円の事業規模を達成する目標としたんだけれども、二〇一六年度末までの、これを三年間に前倒しをしていくということも書かれてあります。
そもそも、このコンセッションですね、なぜ進めなければならないのかということを説明いただけますか。
○政府参考人(持永秀毅君) 御説明させていただきます。
現在、委員御存じのとおり、国それから地方共に大変厳しい財政状況にあるところでございます。こういった中でもありながら、インフラについては効率的に運営しなければいけませんし、また民間投資を喚起しながら経済の活性化も図っていかなきゃいけないという状況でございます。そのためには、政府といたしましては、やはりインフラ運営の中になるべく民間の資金でありますとかノウハウを注ぎ込んでいくことが必要だろうと考えておりまして、このため平成二十三年に、いわゆるPFI法と呼んでおりますけれども、そちらの改正によってコンセッションの制度を導入いたしております。
政府全体の目標については先ほど御指摘があったとおりでございます。昨年六月の再興戦略、それから同様の内容を昨年六月の、これもいわゆる骨太方針と呼んでおりますが、こちらにも記載をいたしまして、政府を挙げて取り組んでいるところでございます。
いずれにしても、内閣府といたしましては、全体の旗振り役でございますので、関係の省庁と連携しながらコンセッションの拡大に努めてまいりたいと考えております。
○辰巳孝太郎君 このコンセッション方式の第一号と下水ではならんとしているのが大阪市なんですね。百二十年の運営管理のノウハウを大阪市の下水道というのは有しております。高度処理、汚泥処理等自ら技術開発を行ってきたと。先ほど経済の話もありましたけれども、大阪市の下水は十三年連続で黒字なんですよ。二〇〇五年には累積赤字も解消したと。超優良会計なんですね、大阪市は。この大阪市が国の呼びかけに乗ってこのコンセッションを進めたいと、こう言っているわけですね。今日、資料にもお付けいたしました。
しかし、課題と同時に、これは将来の市民生活への影響は私は大きいんじゃないかなというふうに思います。このチラシの真ん中にあるとおり、上下分離方式というふうになるわけですが、いわゆる委託をされた方、運営権者は、市と結んだ性能規定の契約に沿って、事業主体となって改築・更新事業など建設工事を執行するということになっております。大阪市の問題認識は、そうなりますと、これ責任の所在が不明確だというようなこの絵になっているわけですね。
これちょっと確認したいと思うんですけれども、この大阪市の改築・更新事業において、説明責任や確定請負額や造られたものの品質の検証などの、つまり責任の所在ですね、これは自治体の方にあるのか、それとも運営権者の方にあるのか、どちらが負うんですか。
○政府参考人(池内幸司君) 一般論でお答えさせていただきます。
まず、民間事業者におきましては、実施契約に基づきまして適正な維持管理、更新を行い、サービス時には施設の健全度を確保することなどが義務付けられます。
一方、地方公共団体は、民間事業者による業務が適正に行われているかを監視する役割を担います。また、地方公共団体は、必要に応じ民間事業者の業務状況について報告を求め、調査し、必要な指示を行うこととなります。
したがいまして、コンセッション導入後も、地方公共団体は工事の品質確保を含め下水道事業が適切に実施されることについて責任を有しております。
○辰巳孝太郎君 ですから、ここに書いてある大阪市の責任の所在が不明確というのは、これは間違いで、あくまでコンセッションになったとしても最終的な管理責任、説明責任も市が負うということだと思うんですね。
大阪市は、このコンセッションを進めるに当たって、改善策として、これ右の絵になりますけれども、国に法改正を求めていると。つまり、最終的な責任を運営権者に移せと。そうしないと検証、説明責任を担保するための体制を大阪市側に残す必要が生じる、これは二重コストじゃないかと、こういうことを求めているんですけれども、この課題について大阪市と協議をしているというふうに聞いておりますけれども、これについて国はどう考えていますか。
○政府参考人(池内幸司君) 大阪市の御提案について、まだちょっと詳細について把握できていない面がございますので個別具体のことについてはコメントを差し控えますが、一般論として申し上げますと、下水道は、公共水域の水質保全ですとか浸水被害の軽減を担う公共性の高い社会基盤であるとともに、下水道への接続義務や下水道へ排除する水質の規制を課す等の公権力の行使を伴います。また、民間事業者によって不適切な使用料の設定ですとか、あるいはサービスの低下を招くことがないようにする必要がございます。このため、再度になりますが、コンセッションを導入した場合でも管理者は地方公共団体としております。
○辰巳孝太郎君 なるほど。ですから、大阪市のこの態度、対応といいますか、提案というのは論外だと私は思うんですね。
先ほど下水道の管理が自治体でなければならないという理由を述べていただきました。つまり、住民生活に密接に関わるインフラですから、完全民営化といいますか、これはそぐわないと私も思います。
ただ、政府が推進するPFIやコンセッションを進めてしまいますと、管理責任があって、そして運営権者をモニタリングする自治体側の体制というのは、私は先細っていくと思うんですね。一方で効率や民間のもうけを優先させて、自治体の関与と体制をそぎながら、他方で最終責任は自治体にあるということ、私はこのそもそものスキームが無理があると言わざるを得ないと思うんですけれども、大臣、お考えをお聞かせください。
○国務大臣(太田昭宏君) 再三、今出ているんですが、下水道は地方公共団体が設置し、管理をするものです。一方、民間の資金やノウハウを活用することによりまして事業の効率化やサービスの向上が図られる場合は、業務の一部にコンセッションを導入するということは可能となっているわけです。この場合においても、地方公共団体が水質保全や浸水被害の軽減など、下水道管理者としての責務を有することに変わりはありません。
国としましても、この点について昨年三月にガイドラインを策定して明らかにしたところです。具体的には、コンセッションを導入する場合にも、地方公共団体が計画の策定、水質規制などの公権力の行使などの管理者としての責務を果たすものであること、地方公共団体は主体的に不適切な使用料設定やサービス低下がなされないよう確認をすること、地方公共団体は管理者としての責務を果たせる体制整備を行うことなどを盛り込んで、地方公共団体に対しまして周知をしたところでございます。
○委員長(広田一君) 辰巳孝太郎君、時間が参っておりますので簡潔にお願いします。
○辰巳孝太郎君 人員の体制というのは必要だということをおっしゃるんですけれども、元々やっぱり国が自治体に職員削減を押し付けてきたということが問題の根本にもあると思います。
震災時の対応などでも体制がなければ不十分になってしまいますので、必要な予算、体制を確保すること、これが国の責任だということを述べて、私の質問を終わります。


以下、委員会で配布した資料を掲載します。

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