大企業減税は行き止まり、応分の負担を

2016年2月17日  

 

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日本共産党の辰巳孝太郎議員は17日、参院「国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会」で参考人に対する質疑に立ちました。

辰巳氏は、安倍晋三政権の経済政策「3本の矢」の一つ「量的・質的金融緩和」(QQE)をとりあげました。QQEは日銀が銀行から長期国債などを買い取ることで市場に出回る資金量を増やし、金利を下げて資金の動きを活発にするというものです。

辰巳氏は、国会審議で安倍首相が「3本の矢」の成功を自画自賛しているものの、資金が企業の設備投資に回らず個人消費も冷え込んだままとなっている問題点を指摘。「日本でQQEを実施したことはよかったのか」と質問したのに対し、河村小百合・日本総合研究所調査部上席主任研究員は「QQEは国民の消費を増やすことが目的だが実際はそうなっていない」と答えるとともに、「長くやる政策ではない。副作用がどんどん出てくる」と将来への懸念も表明しました。

さらに、辰巳氏は、国の税収を増やす方法には法人税増税があると強調。研究開発減税など大企業に対する政策減税を見直すべきではないかと質問。小黒一正・法政大学経済学部教授は「有力な財源となるのは、先生の言う通り政策減税だ。この部分に切り込んでいく方法はある」と賛同しました。

2016年2月21日付「しんぶん赤旗」より引用

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○辰巳孝太郎君 共産党の辰巳孝太郎でございます。  三人の参考人の皆さん、貴重な御意見、本当にありがとうございました。  まず、河村参考人にお聞きをしたいんですけれども、本当に具体的に迫った危機ということでお示しいただきまして、非常に分かりやすく受け止めさせていただきました。  河村参考人の、日銀の今回のQQEに関しては事実上の財政ファイナンスだというふうにも断罪されたと思いますし、また、このままの状態では国際間の自由な資本移動、外国為替の変動相場制ということがもう享受できなくなるんじゃないかと、そういう例も示されたというふうに思います。  そこで、私がお聞きしたいのは、そもそもこのQQEを始めたことがよかったのかどうなのかということでございます。  国会審議の中では、それまでのいわゆる民主党政権との比較の中で、例えば株価が上がったであるとか、いろんなことで当然アベノミクスの成果だということで強調はされるわけでございますけれども、しかし、QQEの例えば当初の狙いである、金利を下げればマネタリーベースで市場にお金が出回って、それが設備投資に回るだろう、そして好循環の経済ということが言われていたわけですが、しかし、どうもそうもなっていないと。結局、マイナス金利まで踏み込んだとしても設備投資にはなかなか回らないんじゃないか、また、いわゆる個人消費というのは冷え込んだままだと。  こういうことが実態としてあるわけで、そもそもQQE、日本として、そういう低金利でやろうというのは、そんなに国はないということもおっしゃっていたと思うんですが、この日本という国の中でこれだけのQQEしたことがそもそもよかったのかどうなのかということの河村参考人の御意見をお聞かせいただきたいと思います。

○参考人(河村小百合君) ありがとうございます。  じゃ、そもそものQQEについての考え方ということなんですけれども、長らく日本経済がデフレの状況下にあって、ある意味八方塞がりのような状況になっていたと。じゃ、そこでどういう手を打つことがあり得たかということなんですけれども、QQEというのは、マネタリーベースを増やすことによって国民のインフレ期待を引き上げてというようなことで最初は御説明されていた。簡単にできますよ、二年たてばもうあっという間に上がりますよみたいな御説明があちこちの新聞にも書いてあったんじゃないかなと、国会でもそういう話になっていたかなというような気がするんですけど、実際にはそうなっていないと。  まず、政策のそもそもの立て付けを申し上げると、マネタリーベースを増やしてそれだけ意味があるのかということは、もうこれは二〇〇〇年代の日銀の経験で分かっていたはずで、海外の当局が一番それをシビアに見ていたはずで、同じ政策はやっていないんですね。彼らも結果的にマネタリーベースが増える政策はやっているけど、マネタリーベース、超過準備と言い換えてもいいですけど、増えてしまうのはしようがないんだけど、なるべくなら増やしたくないものなんです。先行きにもう災いをもたらすものでしかない。だから、なるべくそれを増やさないような形でやりたいというような感じで彼らは考えている。ところが、日本は違うんですよね。やり足りなかったからもっとやる。そうなのかなという感じは、私は思います。  ただ、当時の日本経済の状況に鑑みて、あの長期の状況をどう脱却するかというのは、こういうふうに、中央銀行が大規模に国債を買い入れて事実上の財政ファイナンスを使ってぐっと持ち上げるというのは、それはある意味必要だったんじゃないのかなというふうに思います。  あれ、最初は効いたじゃないかってみんな思うんですよね。円安に行った、景気も押し上がった、良くなった、物価も上がったと。確かにずっとマイナスだったのがプラスに浮いてきましたよね。でも、あれは何で効いたのかと。本当はもう計量分析すればきれいにきっと出るだろうと思うんですけれども、私はちょっとそっちの専門ではないですけど、あれはあのときの補正予算が効いたんだと思います。十三兆円でしたっけ、すごかったですよね。まあそれだけ効いた。  だから、QQEも、それを間接的に国債を大量に買い入れることで支えているといえば役に立ったかもしれないけれど、直接的なものじゃない。マネタリーベースを増やすことに意味があったら、今だってもっとずっと加速度的に景気も上がって物価も上がっているはずが、さっきお示ししたようなとおりだったんですよね。  ですから、そもそもやったのがよかったのかどうかというのは、最初はああいう政策に頼ることもそれはオプションとしてはもちろんあったんだと思うけれども、長くやる政策じゃない。副作用がもうどんどん大きくなってきて、本当にこの国の財政運営継続できるかどうかにまで懸かってきている状態に私はもうなっていると思います。だったら、今まで得られた成果をやっぱり大事にしたいじゃないですか。全部吹っ飛んじゃいますよ。そんなことになるくらいだったら、やっぱりこれから先は、先行きのことも考えながら政策の軌道修正、急にはやめられないですよね、もちろん、考えていくべきじゃないかなと思っております。  以上です。

辰巳孝太郎君 ありがとうございます。  私もこのQQEについてはタコが自分の足を食べるようなもので、ドーピングのようなものじゃないかと言う方もおられますけれども、河村参考人の御意見ありがとうございます。  続いて小黒参考人にお聞きをしたいんですが、財政でいえば、どうやって収入を、税収を増やすかということが大事だと思うんですね。今日の参考人の皆さんは消費税ということには肯定的な意見をお持ちだということは大体分かるんですけれども、税金ということでいえば、消費税以外の税金はどうなのかということも私自身はこだわっておりまして、その一つが法人税だと思います。  今、法人税、下げよう下げようという議論があって、二〇%台までということになっているわけでありますが、この間、いわゆるアベノミクスで税収が十兆円増えたうち、その半分以上が消費税増収の部分、増税の部分、五・六兆円ほどと。いわゆる企業の業績というのは過去最高になっているわけですが、いわゆる法人税収というのは一兆円そこそこで、そんなに伸びていないと。  いわゆる先生は世代間の不公平、公平ということもおっしゃっておられますが、日本はなぜか企業には結構優しいというふうに私認識しておりまして、ちょっと法人税の税収をもう少し上げるような、もちろん課税ベースの拡大、外形標準課税の拡大ということではなくて、実効税率だけではない、例えば政策減税の部分で恩恵を受けているところもあるんじゃないかというふうに思うんですが、その辺、法人税は今の政策の中で下げていった方がいいという議論もあるんですが、参考人はどのようにお考えでしょうか。

○参考人(小黒一正君) 法人税のお話ですけれども、先生がおっしゃられたように、税率そのものを引き上げるかどうかという議論については私はちょっと結構慎重でして、なぜかといえば、東アジア諸国とのいろいろなグローバルな競争がありますので、大幅に多分引き上げるのは難しいだろうと。ただ、財政再建を進めていく中で、少し上げる余地は若干はあるかと思いますけれども、そんなに大幅に引き上げるのはできないと。  その中でやはり有力な財源になるのは、先生がおっしゃられたように、その政策減税している部分で、この部分について切り込んでいく余地はまだあるのかなという。それは、先ほど佐藤先生が租特のところで隠れた補助金だという話、租税歳出の話をされていて、その部分を見える化することによって議論を喚起するということが必要なんじゃないかと思います。  加えて言いますれば、これから経済を引っ張っていくのは、日本は重厚産業業界だけではなくて、むしろIT関係の、設備が余り要らないような企業も増えてきていますので、そういうところに政策の資源を充てていくと、補助金、租特の意味での補助金ですけれども。  そういう意味では、その大企業に充てている政策減税を取って、逆に法人税率を下げるというような政策というのも私はあるのではないかというふうに思っております。

辰巳孝太郎君 ありがとうございました。