国民に際限ない負担 辰巳議員 原賠機構法改定案に反対

2017年4月17日  
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日本共産党の辰巳孝太郎議員は参院本会議で17日、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法改定案について質問に立ち、福島原発の廃炉や賠償費用を電力託送料金に上乗せし、国民に際限のない負担を強いる政府を批判。事故処理にあたって原発利益共同体の応分負担と原発からの撤退、再生可能エネルギーの普及に全力で取り組む路線に転換するよう求めました。

辰巳氏は、被災者には「自己責任」だと冷たく言い放ちながら、事故の張本人である東京電力と国の責任をあいまいにし、国民に負担を転嫁するのが法案の中身だと指摘。賠償費用の不足分2・4兆円を40年にわたって消費者から徴収しようとしているとして、原子力損害賠償制度の不備を口実に過去分を国民から徴収することは、「不当請求であり国民の納得は得られない」と批判しました。

辰巳氏は、事故と放射能汚染を起こした東電に加え、原発事業で利益を得てきた株主やメガバンク、原子炉メーカーが真っ先に事故処理費用を負担すべきだと主張。東電、東芝が日本企業のなかで史上1、2位の赤字決算となり、「原発ビジネス」が日本経済の重荷になっていると指摘し、「原発に固執することは日本経済にとって大きなリスクであり、福島の復興、日本経済のためにも原発とは決別すべきだ」と訴えました。

2017年4月18日付「しんぶん赤旗」より引用


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○辰巳孝太郎君 私は、日本共産党を代表して、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法改正案について質問をいたします。
 まず、今村復興大臣に伺います。
 大臣は、今月四日、福島原発事故の自主避難者への住宅の無償提供の打切りをめぐり、本人の責任、裁判でも何でもやればいいなどと国の責任を放棄する発言をいたしました。絶対に許すことはできません。自主避難者は国の原発政策の被害者です。大臣、そもそもその認識はありますか。
 子ども・被災者支援法は、避難指示が解除されようとされまいと、原発事故から避難し、どこに住むかは避難者の権利であること、国はそれを支援することを明確に定めています。三月十七日の前橋地裁判決でも、自主避難者に対する賠償と国の法的責任が認められました。
 大臣発言は、国の責任を放棄する安倍政権の本音が出たものではありませんか。帰りたくても帰れない、それが被災者の声であり、実態であります。大臣はそれでも、帰らないのなら自己責任だと言えますか。被災者に寄り添うというなら、被災者の怒りの声を受け止め、直ちに辞任すべきです。答弁を求めます。
 被災者には自己責任と冷たく言い放ちながら、事故を起こした東電と国の責任を曖昧にし、国民に負担を転嫁する仕組みを新たにつくるのが本法案です。
 東電改革提言では、東電の債務超過を回避させながら、国民に新たな原発事故費用を負担させる計画が打ち出されました。原発再稼働と原発海外輸出がこの改革の実現の条件だとし、それが福島への責任だと述べています。圧倒的多数の福島県民を始め、大多数の国民の声は、原発再稼働に一貫して反対をしています。大臣、福島への責任と言うのなら、まずふるさととなりわいと普通の暮らしを奪った原発からの決別をきっぱり決断すべきではないですか。
 事故処理費用について伺います。
 この提言が示すとおり、二十一・五兆円で済むのでしょうか。政府は、廃炉・汚染水対策費用八兆円について、保守的で上振れしない妥当な金額と言っています。しかし、この試算は、燃料デブリの取り出しまでの試算にすぎません。燃料デブリを取り出した後の輸送や貯蔵、処分、原子炉施設解体の総費用は、三十年から四十年後に示すと言ったきりです。つまり、幾らになるか分からないのです。大臣、莫大な廃炉費用を、この先ずっと国民に負担をさせるというのですか。
 日本経済研究センターによる試算では、事故費用は、廃炉・汚染水処理、賠償、除染などで総額七十兆円に上るとされており、国家予算にも迫る金額です。また、同試算では、原発による電力価格は火力を上回るとしています。大臣はこの試算をどのように受け止めますか。青天井に膨張する費用を加味してもなお原発は低廉だと言えるのですか。
 本来、経営合理化による超過利潤は、電気料金を下げて消費者に還元すべきです。しかし、提言では、これらを廃炉費に優先的に充てるとしており、消費者には実質的な値上げとなります。また、その利潤幅について、妥当性や合理性を国会がチェックする仕組みもありません。国民の承認なく、際限なく値上げが可能なスキームを認めるわけにはいきません。
 賠償費用についてお聞きします。
 政府は、原子力損害賠償制度の不備だったとして、賠償費の不足分である二・四兆円を四十年にわたって消費者から徴収しようとしています。まさに過去分の不当請求であり、国民から納得を得られるはずはありません。原発事故以降、原発由来の電力は使いたくないと新電力を選択した方々や、原発事故後に生まれた人たちへの費用の徴収を一体どうやって正当化するのか、お答えください。
 また、大臣は、この仕組みを通常の商取引ではないと言っています。では、どのような取引なのか。原賠機構法上の条文はありますか。お示しください。
 この度のスキームは、発送電分離、電力自由化などを盛り込んだ電力システム改革の下で、唯一総括原価方式が残る託送料金に賠償費用を上乗せし、消費者にツケ回しをしようというもので、到底納得できません。
 原賠機構法は、原発事故の加害者である東京電力を何度でも資金援助するスキームの下で発足し、実質債務超過の東電を虚構の黒字決算にして延命をさせてきました。大臣は、事故費用について、国民全体が原子力に裨益をしてきたのだから国民全体で負担をすると主張しています。ならば、真っ先に負担すべきは、事故と放射能汚染を起こした東電に加え、まさに原発事業から裨益をしてきた株主、メガバンクなどの貸し手、原子炉メーカーではありませんか。とりわけ、メガバンクは事故以降も莫大な利益を上げています。
 大臣、事故以降、東電が支払った銀行借入れや社債への利息は幾らになっていますか、お答えください。また、今後、事故炉以外の廃炉の費用についてもこの託送料に上乗せをするつもりですか。また、それは幾らになるのですか、お答えください。
 大臣は、国や事業者が安全神話に浸ってきたことを反省するとも述べています。しかし、歴代政府は、我が党や多くの科学者からの指摘や、チェルノブイリなどで明らかになった原発の危険性を無視し続け、福島原発事故を招きました。危険性を語れば原発は造れない。政府は、安全神話を国民に振りまいて、地震大国日本に原発を増設させてきたということではありませんか。
 原発がなくても電力は足りています。むしろ原発に固執することが日本経済にとって大きなリスクです。
 東芝は、二〇一七年三月期の決算で約一兆百億円の連結赤字となり、債務超過は六千二百億円に達するという見通しです。監査法人が結論不表明の報告書を提出するという異常な事態に至っています。国内企業の単年度の赤字は製造業では過去最大であり、全産業で見ても東京電力に次いで史上二位です。日本企業の決算で史上一位、二位の赤字が原発によってもたらされたということは、原発ビジネスが日本経済の重荷になっていることを物語っています。事実、各地での工場閉鎖や一万人以上の人減らしは、雇用や下請など地域経済に深刻な影響を及ぼし、技術の流出も懸念されています。
 大臣、国策として政官財一体となって原発推進路線をひた走り、こうした結果を生じさせた責任をどう考えておられますか。また、福島の復興、日本経済のためにも、原発と決別すべきではありませんか。
 日本共産党は、事故処理に当たっては、原発利益共同体に応分の負担を求め、究極の高コスト電源である原発をベースロード電源とするエネルギー基本計画を撤回させ、原発政策からの撤退を行い、再生可能エネルギーの普及に全力で取り組む路線に転換することに全力を尽くすことを決意申し上げて、私の代表質問といたします。(拍手)
   〔国務大臣世耕弘成君登壇、拍手〕
○国務大臣(世耕弘成君) 辰巳議員にお答えいたします。
 東京電力の原子力事業についてお尋ねがありました。
 昨年末の東電委員会では、福島第一原発事故による廃炉、賠償などに要する資金が拡大する中で、その資金を捻出し、福島への責任を果たすために、東電がいかなる改革を行うべきか御提言をいただきました。この中で、原子力事業については、発災事業者としての自覚の下、地元本位と安全最優先で信頼回復を行うことを前提とした上で進めていくことが述べられております。東電には、提言を踏まえて改革を断行し、福島への責任を果たしてもらいたいと考えております。
 廃炉費用の負担についてお尋ねがありました。
 福島原発事故に係る資金については、東京電力が責任を持って確保し、負担することが大原則であります。今般お示しした廃炉の所要資金八兆円については、東電が合理化に最大限取り組むことによって捻出し、確保してまいります。
 福島第一原発の事故対応費用に係る民間の試算についてお尋ねがありました。
 その試算は、国がお示しした試算とは相当異なる前提を置いており、単純に比較することは適当ではないと考えております。例えば、当該試算は、汚染水処理費用についてトリチウムを分離することを前提に、最大二十兆円掛かると試算しておりますが、国の有識者会議では、トリチウムの分離については直ちに実用化できる段階にある技術が確認されなかったと報告されており、前提が異なります。また、発電コスト試算について、政府としては、二〇一五年の発電コスト検証において、事故対応費用が増加した場合の感度分析も行っており、その結果は妥当であると考えております。
 原発のコストについてのお尋ねがありました。
 原発の発電コストについては、直近の発電コスト検証の際に、事故対応費用が増加した場合の発電コストへの影響を機械的に算出することができるよう感度分析を行っております。その試算に従うと、仮に福島第一原発事故関連費用が十兆円増加した場合、原発の発電コストはキロワットアワー当たり十・二から十・四円となり、福島第一原発事故の賠償費用等を勘案したとしても低廉な電源と考えられます。
 託送の合理化分についてお尋ねがありました。
 今回の措置は、世界にも前例のない困難な事業である福島第一原発の廃炉に当たり、東電に対して改革のインセンティブを付与することで、東電のグループ総力を挙げた合理化努力を引き出し、資金捻出を図る観点から、合理化分を廃炉費用に充てることができるようにするものです。これは、そもそもこの措置がなければ実現しないような合理化を引き出すものであることから、実質値上げであるとの指摘は当たらず、むしろ、東電の最大限の合理化努力を引き出すことで国民負担の抑制に資するものと考えております。
 なお、国としては、託送料金が高止まりすることがないよう、東電に対して、福島事故関連の資金を捻出するのみにとどまらず、消費者還元をも生み出すような最大限の合理化を求めることとしたいと考えています。
 賠償への備えの不足分に関する負担の在り方についてお尋ねがありました。
 賠償への備えの不足分については、政府としても、福島事故前の制度が不十分であったことを真摯に反省しつつ、福島を支えるという観点や、原子力の電気を広く消費者が利用していた実態があること等も勘案し、消費者間の公平性の観点から、託送制度を利用した公平な回収措置を講じることといたしました。
 この措置について、一部の消費者の受益と負担が一致しないとの御指摘ですが、現在の規制料金においても、受益と負担の厳密な一致までは求めておらず、全ての消費者から回収することにより公平性を確保することとしております。
 賠償への備えの不足分に関する措置の考え方についてのお尋ねがありました。
 電気事業は、電気事業法に基づく規制料金の下で、将来に追加的な費用が発生するリスクを勘案し、あらかじめその費用を回収することは認めず、費用の発生が明らかになった時点でその時点の料金原価に算入し、全ての消費者から回収することで消費者間の公平性を確保するという考え方で運営されてきました。つまり、原賠機構法というよりも、こうした電気事業法に基づく規制料金の下に置かれていたという点を捉えて、電気事業は通常の事業とは異なると申し上げているところであります。
 原発事故以降に東電が支払った利息の額についてお尋ねがありました。
 東京電力の有価証券報告書によれば、借入れや社債などに対する東京電力の支払利息は、平成二十三年度以降二十七年度までの五年間で計約五千四百六十億円となっております。
 通常の原発の廃炉に伴って生じる費用についてお尋ねがありました。
 原発依存度を低減し、廃炉を円滑に進める観点から、現在既に廃炉に伴って一括して生じる費用を分割して計上することを認める会計上の措置を講じていますが、こうした措置は、小売の規制料金が撤廃された場合には制度が成り立たなくなります。原発依存度の低減といった目的を果たすためにはこうした措置の効果を継続させる必要があるため、今回、制度の継続に必要な費用を託送料金の仕組みを利用して回収する措置を講ずることとしましたが、その金額は廃炉の時期や設備の償却の状況などによって異なるため、現時点でお示しすることは困難であります。
 これまでの原発の増設及び原発との決別についてお尋ねがありました。
 原子力の利活用の在り方については、政府として長期計画等で示してきたことは事実ですが、具体的な個々の原発の建設や運営については、民間事業者の判断によって進められてきたものと認識をしております。
 資源に乏しい我が国が、エネルギー供給の安定性を経済性、気候変動の問題にも配慮しつつ確保するためには、原子力はどうしても欠かすことができません。いかなる事情よりも安全性を最優先し、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針であります。
 東芝の問題に対する政府としての責任についてお尋ねがありました。
 我が国においては、国内にある燃料だけで数年にわたって発電を続けることができ、運転時に温室効果ガスを排出せず、経済性の高い電源である原発の活用は引き続き重要です。政府としては、福島原発事故の反省を踏まえ、いかなる事情よりも安全を最優先にしつつ、原子力政策を進めることとしております。
 他方、原発に関する個々の事業を具体的に進める主体は民間事業者であり、原子力をめぐる事業環境や各社の経営事情に基づき、各事業者が各自の責任において実施されるものだと考えております。(拍手)
   〔国務大臣今村雅弘君登壇、拍手〕
○国務大臣(今村雅弘君) 私の記者会見での発言等に関するお尋ねがありました。
 自主避難者の皆様が原発事故のために避難されていることにつきましてはよく承知をいたしております。その上で、御指摘の発言につきましては、帰還されるかどうかは、仕事の関係や子供の教育等様々な事情がある中、それぞれ御本人の自主的な判断を尊重すべきとの思いで述べたつもりであります。
 しかしながら、原発事故のために避難しておられるにもかかわらず、避難そのものまでが自らの責任のような伝わり方と印象を与えてしまい、この点について深くおわび申し上げます。
 国としては、これまでも子ども・被災者支援法の趣旨を踏まえ取り組んできたところであり、今後も引き続き、それぞれの方の御事情に応じて生活の再建が果たされるよう、福島県と連携し、しっかりと取り組んでまいります。
 また、私としても、引き続き、誠心誠意職務に当たり、被災者に寄り添い、被災地の一日も早い復興再生に全力を尽くしてまいります。(拍手)