参院本会議でTPP承認案・関連法案の反対討論

2016年12月9日  

9日の参院本会議で、日本共産党の辰巳孝太郎議員が行った、環太平洋連携協定(TPP)承認案・関連法案に対する反対討論(要旨)は次の通りです。


TPPに反対する最大の理由は、多国籍企業の利益を最大化する一方で、国民のくらしや農業、医療などを破壊する最悪の貿易協定であることです。

政府はトランプ次期米大統領による明確なTPP離脱表明にもかかわらず批准を強行しようとしています。TPPが国民生活をさらに危険にさらすものだからこそ、米国でも日本でも、国民の大多数に反対の声が広がったのです。そのような世界の潮流も分からずTPPにしがみつけば、米国をつなぎ止めるためにさらなる譲歩を重ねざるを得ません。また米国が2国間協議を求めてきた際には、日本はここまで譲歩する覚悟があるということを示すことになり、日本の経済主権を売り渡し、不平等条約への道を突き進むものとなります。

質疑を通じてTPPの重大な問題点が明らかになりました。

第1は日本の農業に壊滅的な影響を与えることです。国会決議で「除外」「再協議の対象」にするとしたコメ、麦、牛・豚肉、乳製品、甘味資源作物など重要5項目では、約600品目のうち約3割で関税が撤廃され、残りも無傷のものは何一つありません。

TPPは被災地の復興にも逆行します。岩手県議会では11月、批准反対の意見書が採択されました。被災者の声に耳を傾け被災地の復興を第一に考えるのなら、彼らの生業(なりわい)を根こそぎ奪うTPPは許されません。

第2は、米国や多国籍企業の要求を際限なく受け入れることになる問題です。総理は「国益を守る」と繰り返しますが、日本はこれまで、米国の数々の身勝手な要求を受け入れ、命や暮らしに直結する制度がゆがめられてきました。

食の安全もすでに脅かされています。現在日本では使用上限を定める基準がないにもかかわらず、毒性が指摘されているアルミニウム食品添加物をさらに4品目解禁することをサイドレター(日米並行交渉の合意文書)で約束していることが明らかになりました。

第3は、ISDS(投資家対国家紛争解決)条項が司法権をも蹂躙(じゅうりん)する問題です。政府は「日本は提訴されることはない」と繰り返してきましたが、根拠のない楽観論に過ぎません。政府は、日本の司法判断において勝訴し仲裁廷で敗訴した場合、「条約を順守する立場から、仲裁廷に従う」と答弁しました。ISDS条項がわが国の司法権さえ侵害するということを政府が認めたもので重大です。

第4は、TPPによって必要な国内の規制も課税もできなくなることです。政府が検討している「民泊新法」で、安全・衛生規制のために外国法人の民泊仲介業者にも国内の事務所設置を求めることはTPPの規定に抵触するとして、検討項目から削除されました。TPPによって安全・衛生規制ができなくなったのです。これは、「恒久的施設なくして課税なし」という租税原則のもとで外国法人への課税の機会を縮小させ、多国籍企業の租税回避が野放しにされかねません。

あらゆる分野で主権を損なう亡国のTPPではなく、各国の経済主権と食料主権を尊重し、国民のくらしを守る平等・互恵の貿易・投資のルールこそ求められています。

2016年12月10日付「しんぶん赤旗」より引用

議事録を読む

○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎です。
TPP協定承認案及び関連十一法案に満身の怒りを込めて反対討論を行います。
TPPに反対する最大の理由は、多国籍企業の利益を最大化する一方で、国民の暮らしや農業、医療などを破壊する最悪の貿易協定だからであります。
政府は、トランプ米国次期大統領による明確なTPP離脱表明にもかかわらず、自由貿易か保護主義かと繰り返しながら、批准を強行しようとしています。しかし、今問われているのは、国内産業を衰退させ、とりわけ中間層の所得を奪い、格差と貧困を広げてきた自由貿易、新自由主義一辺倒の政策であります。TPPが国民生活を更に危険にさらすものだからこそ、米国でも日本でも、国民大多数に反対の声が広がったのです。
そのような世界の潮流も分からずに、総理はTPPにしがみつき、批准することが、TPP並みのレベルの高いルールを締結する用意があり再交渉はしない意思を示すことになると強弁しています。
しかし、そもそもTPP協定は、発効後も協議の継続が大前提です。しかも、関税と非関税障壁の撤廃の方向での協議だけが許され、後戻りはできません。結局、日本は米国をつなぎ止めるためにも更なる譲歩を重ねざるを得ません。また、米国が二国間協議を求めてきた際には、日本はここまで譲歩する覚悟があるということを示すことになります。TPP批准は、日本の経済主権を売り渡し、不平等条約への道を突き進むものと言わなければなりません。到底容認できません。
委員会質疑を通じて、TPP協定の重大な問題点が明らかになりました。
第一は、TPPが日本の農業に壊滅的な影響を与えるということです。
国会決議では、米、麦、牛・豚肉、乳製品、甘味資源作物など重要五品目は除外、再協議の対象とするとし、さもなければ脱退としています。ところが、政府は、除外はできないと知りながらTPP交渉に臨んだのです。TPP参画協議にも従事した元農水省の作山巧氏は、国会決議が求めた除外はTPP合意にはない、国会決議が一〇〇%守られなかったと断言しています。そして、その結果どうなったか。重要五品目約六百品目のうち、約三割で関税が撤廃、残りも無傷のものは何一つないことが明らかになりました。国会を欺き、国民をだましてTPP協定の採決を強行することは絶対に許されません。
TPPは被災地の復興にも逆行します。岩手県議会では、先月、批准に反対する意見書が採択されました。福島県須賀川市議会でも、九月、全農産物の関税撤廃が迫られるおそれがあるとし、これでは地域農業は立ち行かないとの意見書が採択されました。十二月六日の参考人質疑でも、天笠日本消費者連盟共同代表は、被災者は放射能で汚染されていない野菜や果物を作り出すことに大変苦労をされており、TPPは生産者の努力を無に帰す可能性があると強い懸念を示しました。被災者の声に耳を傾け、被災地の復興を第一に考えるのなら、彼らのなりわいを根こそぎ奪うTPPは許されるはずがないではありませんか。
第二に、TPPは米国や多国籍企業の要求を際限なく受け入れることになるということです。
総理は国益を守ると繰り返しました。しかし、その言葉を到底信用できないことが、日本がこれまで米国の数々の身勝手な要求を受け入れ、命や暮らしに直結する制度がゆがめられてきたことからも明らかです。
米国からの年次改革要望書では、日本の薬価に対し米政府と米製薬業界が異議申立てできる制度の創設が求められ、完全実施されました。医薬品が見込みを大きく超えて使われたときに価格を引き下げる市場拡大再算定制度も、米国側から繰り返し廃止すべきと求められてきました。TPP発効で医薬品の価格決定の手続について各国協議が約束され、さらに、サイドレターにおいて、将来の医療保険制度についても日米の協議事項を受け入れると表明をしております。これまで米国の言いなりに次々と要求を受け入れてきた日本が、条約という更に強力な枠組みの中で世界に誇る皆保険制度を守れる保証は全くありません。
食の安全も既に脅かされています。現在、日本では使用上限を定める基準がないにもかかわらず、毒性が指摘をされているアルミニウム食品添加物を更に四品目解禁することをサイドレターで約束していることも明らかになりました。また、食品添加物にとどまらずに、外国貿易障壁報告書の中では、防カビ剤などのポストハーベストに関しても食品添加物指定をやめさせて表示をさせないように迫る米国の身勝手な要求がなされています。
協定発効後に設置されるTPP委員会は、多国籍企業や経済団体の意見を聞く仕組みがあり、その下に置かれる二十二の小委員会や作業部会、とりわけ規制整合性小委員会は、関税と非関税障壁の撤廃を前提とした協定全体の見直しに関わります。これまでも屈辱的な譲歩を重ねている日本政府が、TPPでさらに米国と多国籍企業の利益のために、国民の命に関わる医療や食の安全を更に危険にさらすことになるのは明らかではありませんか。
第三に、ISDS条項が司法権をもじゅうりんするこの問題です。
投資家が国家を訴えることができる当規定に対し、政府は、日本は訴えられることはないと繰り返し答弁してきました。しかし、訴えられないというのは根拠のない楽観論にすぎません。そもそも、請求の妥当性は国際仲裁廷の判断に委ねられるものであり、現にNAFTAでは六十九件の提訴がなされ、先進国であるカナダ政府も米国企業に訴えられています。米国企業の提訴が圧倒的であり、勝訴したのは米国企業のみ。政府が言う濫訴防止は絵空事にすぎません。
そして、政府は、日本の司法判断において勝訴し仲裁廷で敗訴した場合、条約を遵守する立場から、仲裁廷に従うとも答弁いたしました。ISDS条項が我が国の司法権さえ侵害するということを政府が認めたもので重大であります。司法権の独立さえ脅かすTPPを承認することは絶対に許されません。
第四に、TPPによって必要な国内の規制も課税もできなくなることが明らかになりました。
TPP協定の影響は、既に現時点においても我が国の政策決定に大きな影響を与えています。政府が検討している民泊新法において、当初は、安全衛生規制のために外国法人である民泊仲介業者にも国内の事務所設置を求めることが検討されていました。ところが、TPP協定に規定されている現地拠点設置要求の禁止規定に抵触するとして、検討項目から削除されました。TPPによって安全衛生規制ができなくなったのです。
このことは、恒久的施設なくして課税なしという租税原則の下で、外国法人に対する課税の機会を縮小させることにつながります。これでは、世界で大問題となっている多国籍企業の租税回避を助長、野放しにしてしまうことになりかねません。
最後に、与党の皆さん、このようなあらゆる分野で主権を損なう亡国のTPPに固執をするならば、TPPが最大の争点となった東北で与党の皆さんが大敗をした参議院選挙のような結果が今度は全国で起こるでしょう。
○議長(伊達忠一君) 時間が超過しております。
○辰巳孝太郎君(続) 今必要なのは、国民の暮らしや農業、医療制度を破壊して多国籍企業の利益を最大化する貿易ルールではありません。各国の経済主権と食料主権を尊重し、国民の暮らしを守る平等互恵の貿易、投資のルールこそ今求められているということを申し上げ、反対討論といたします。(拍手)