参議院国土交通委員会でURに対して甘利疑惑を追及

2016年5月24日  

 甘利明前経済再生相の金銭授受問題をめぐり、都市再生機構(UR)が、薩摩興業が不法占拠した資材置き場だけでなく、違法建築した同社の事務所に対しても必要のない補償を進めていたことがわかりました。24日の参院国土交通委員会で、日本共産党の辰巳孝太郎議員が明らかにしました。

 問題の事務所は市街化調整区域にあり、開発許可や建築確認も受けていない違法物件でした。辰巳氏の質問に上西郁夫UR理事長は、2011年の物件調査で事務所が違法物件だと認識していたと認めました。

 問題の事務所については、薩摩興業の施設内に道路ができるため、同社敷地内の別の場所に同事務所を再配置する費用として2億2000万円の補償契約がURとの間で結ばれました。しかし、予定地には産業廃棄物が埋まっていて再配置できず、敷地外移転の交渉が進められています。上西氏は「(敷地内での)再配置として補償契約したものを別の場所に移した事例は過去にない。今回は非常に特殊なケースだ」と認めました。

 辰巳氏は、URは薩摩興業がまともな交渉相手ではないと認識しており、裁判に訴えることもできたが、甘利氏側が13年6月にUR本社を訪問した直後、薩摩興業が当初求めていた補償とは別の補償があるとしてURが弁護士抜きの当事者交渉を提案したことに言及。甘利氏の関与がURを補償ありきの交渉に傾かせていったのではと質問しました。

 上西氏は、UR職員が薩摩興業側の接待を受けたのは「相手から強く誘われ、断ったら工事が円滑に進められなくなることから断れなかった」と認めました。

2016年5月26日付「しんぶん赤旗」より引用

議事録を読む

○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
甘利前大臣の金銭授受問題に関わって、URの対応について取り上げます。
今日は資料にも付けましたけれども、現在、三回の補償を行っており、四回目、五回目の補償については交渉中だということであります。一回目の補償は、道路建設予定地上にあったコンクリート敷きの資材置場をこのS社から撤去させるというもので、千六百万円が支払われております。この道路の予定地というのは、一九六七年に千葉県が既に取得をしたものであって、そもそもこれは不法占拠の物件でありました。千葉県の企業庁は二〇〇七年の三月二十九日付けで、建設工作物及びその他動産に関する撤去並びに土地明渡しについてと題する通知を出したところ、このS社は受け取らずにそのまま放置したと。やっぱりこのS社、コンクリートまで敷いて不法占拠をする、相当あくどいと、こう言わなければ私はならないと思うんですね。
問題はそれだけじゃありません。このS社、そもそもこの道路予定地に隣接する事務所、これが違法物件であります。この事務所、建築許可は取っていないと思いますが、確認をします。いつからそのことをURは御存じでしたか。
○参考人(上西郁夫君) お答え申し上げます。
正確にいつから知っていたかということははっきりしないわけでございますけれども、遅くとも、平成二十三年度には物件調査を行っておりまして、このときには建築確認を受けていない建築物であるというふうに承知をしているということでございます。
○辰巳孝太郎君 取っていないと、違法な物件であるということでありますね。
最も不可解なのは、この二回目の補償であります。このS社の敷地内に道路ができるため分断されると、その補償として、この残地内に物件を移動させるための補償であります。当初、これ、一億八千万だったものが、一声、もう一声ということで最終的には二億二千万となりました。ところが、この物件移転、再配置ですけれども、結局、県から下に産廃が埋まっているということで指導が入って、現在、この郊外移転の補償を交渉をしているということであります。
二月十八日の決算委員会、私の質疑に対する答弁において、一九九二年から産廃の存在についてURは認識があったと。産廃の上には、再配置、これ物を建てることはそもそも許されないわけでありますね。にもかかわらず、URは補償を行おうとしたわけですね。その理由について、URは答弁において、S社が残地内での営業を強く要望していたこと、そして二つ目には、産廃があっても建築物の建設が認められた事例も過去にあるなどといたしました。
確認します。事例というのはどういうものでしたか。
○参考人(上西郁夫君) 具体的な事例といたしましては、明示できるものとしては東京都稲城市や埼玉県のさいたま市にありまして、どちらも産廃物の処分場跡地の上にグラウンドや広場を造りまして、それらの管理棟及び防災倉庫を建築し利用しているものということでございますが、これ以外に一般の個人や法人の保有する建築物に係る事例も幾つか承知しておりますが、個人や法人の財産に関わることでございますので公表は差し控えさせていただきたいと思います。
○辰巳孝太郎君 今例を挙げていただいたやつは、元々産廃処分場で、それを有効活用しようということで使われたものでありまして、今回のものとは全く性質が異なるわけですね。
今回、再配置できない、産廃があるとできないということになって、できないからといって郊外移転をしようじゃないかということで交渉が進められておりますけれども、こういう例はあるんですか。
○参考人(上西郁夫君) 全ての事例を調査したわけではございませんけれども、一度残地内の再配置として補償契約したものを別の場所に移すといった事例は承知をしていないということでありまして、今回のケースは非常に特殊なケースであるというふうに考えております。
○辰巳孝太郎君 非常に特殊なケースだと、過去にないということでありました。そうなんですね。当然ですよ。URさんはディベロッパーですよね。ビルを建てることの皆さんプロ集団なんですよ。再配置の補償をするときに、そこに再配置できるかどうか、できないかどうか、これ調べるのは当然なんですよ。URは七人の決裁、これ全部取って再配置の補償の契約を結んでいるわけですね。にもかかわらず、これが結局はできないということになったわけですね。非常に不自然なわけであります。
今見てきたように、この一連の補償というのは、元々不法占拠されたものや違法建築に対するものでありました。九六年に千葉県が道路用地を都市計画決定でもう取得をしている。このS社は九四年の創業ですから、これ確信犯的に当の土地を占有しているわけですね。その後、県はS社に対して不法占有物件の撤去の要請を度々行ったにもかかわらず、逆にS社は代替地を要求をしたりしているわけですね。URは、これらの経過を知っていながら、こういうまともでない相手だということを認識しながら、初めから毅然とした態度を取らずに、既にこの補償契約に基づいて二億八千七百万円が補償されているわけですね。私が言いたいのは、そもそもこの出発点が皆さんの対応が間違っておって、そこに付け込まれ続けているというのがこの全貌じゃないかと思うんですね。
理事長、聞きますけど、相手がどういうところだということははっきり認識していたと思うんです。なぜ毅然とした態度を初めから取らなかったんですか。
○参考人(上西郁夫君) 当機構とS社は現在交渉中でございますので、交渉中の相手について詳細にコメントすることは差し控えたいということでございますけれども、不法占拠をめぐって千葉県と長年交渉してきたという経緯を踏まえて、なかなか大変な交渉相手であり、交渉が難航して長期にわたっている案件であるというふうに認識しているわけですけれども、いろんな考え方があると思いますけれども、公共事業を実施する上では、相手方が財産権をお持ちである以上、交渉相手を選ぶというわけにはいかないわけでございまして、その辺なかなか厳しいものがあるということであります。
当機構といたしましては、これまで根気強く交渉を続けてまいったわけでございますけれども、今後については、例えば裁判所等の第三者機関の判断を仰ぐというようなことも検討していかなければならないというふうに考えているところであります。
以上でございます。
○辰巳孝太郎君 認識をされていたわけなんですよね。だったら、初めから毅然とした態度を取るべきだったんですね。URは裁判に訴えることだってできたわけですよ。それは時間が掛かるから、道路を造るために補償契約をということだと思いますが、結局時間が掛かっているわけですよ、今の方が。初めからやっておけばこんなことにはならなかったと私は言いたいと思うんですね。
そしてもう一つ、甘利氏の関与が、URが毅然とした態度を取らずに、さきにあったような補償ありきの交渉へと更に傾かせていったということも指摘をしなければなりません。
甘利氏側は、二〇一三年の六月にURの本社を訪問しております。その直後、S社が当初求めていた補償とは別の補償があるといって、弁護士抜きの当事者間交渉を内容証明の返答で提案をした、これがURであります。これが二・二億円につながるわけですね。これも不可解なわけですよ。
URによりますと、このURの職員二名がその後二〇一四年十月から二〇一五年の十月にかけてアルコールを含む接待を受けていたということも判明をしております。UR職員はみなし公務員です。なぜこのような接待、受けたとお考えですか。
○参考人(上西郁夫君) 誠にコンプライアンス違反ということで問題があるというふうに考えているわけですけれども、本人からの申出によりますと、相手方から強く誘いを受けて、これを断ると工事を円滑に進めることができなくなると感じたことから誘いを断れなかったということがきっかけだということを言っておりますが、いずれにしろ、こうした行動はコンプライアンス上極めて不適切な行為ということでございますので、現在、弁護士の先生方による調査をやっているところでございまして、事実関係の発生原因の調査、再発防止策の検討をお願いしているというところでございます。
以上でございます。
○辰巳孝太郎君 ですから、これコンプライアンス違反した職員はとんでもないですよ、許されるものではありません。しかし、今理事長も言ったとおり、断れば工事が進まないんじゃないかということで接待を受けたわけですよ。私申し上げているように、初めから毅然とした態度をURが取っていれば、このような接待を受けることも私はなかったんじゃないかというふうに思いますよ。
結局、税金である補償金の一部が、この接待費の、決めたということであります。二・二億円の振り込み直後の八月二十日には補償金の一部である五百万円が甘利氏側に渡ったとされております。このS社の総務担当一色氏は、元々右翼団体に所属をしていた人物と言われております。補償金の原資は税金でありますけれども、この補償金がそういう団体に流れている可能性も否定できないと私は思うんですね。
最後に大臣にお聞きしますけれども、この間の答弁でも補償の在り方問題ないという答弁続けておられますけれども、今の議論聞いて、大臣、やっぱりこの補償の在り方、これ問題ないで私は済まないと思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(石井啓一君) 個別の事業においてURがどのような補償等を行うかにつきましては、URがその責任において判断すべきものでありまして、一義的にはURが説明責任を果たすべき問題であります。URからは、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱を始めとする各種基準に基づいて適正に算定をしていると、このように聞いているところでございます。
現在、URにおいては、既に会計検査院の検査への対応を行っておりまして、また、さらに四月八日には捜査当局による家宅捜索を受けたと承知をしております。URからは、今後も引き続き捜査等に協力していく方針であると聞いているところでございます。
なお、職員によるコンプライアンス違反につきましても御指摘がございましたが、これは極めて不適切な行為であり、国民の信頼を失うような事態が生じたことは大変遺憾であります。私からも、調査等について適切に行うとともに再発を防止するための措置を講じ、その内容を報告するよう指示をしております。二度とこうした事態が起きないようコンプライアンスを徹底してもらいたいと考えております。
○辰巳孝太郎君 引き続き全貌の解明が必要だということを申し述べて、終わります。