原賠機構法改定案 “原発コスト安くない” 賠償費問題“納得できない” 参考人質疑

2017年4月27日  
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(写真)意見を述べる(左から)大石美奈子、橘川武郎、山内弘隆の各氏=27日、参院経産委

参院経済産業委員会は27日、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法改定案について参考人質疑を行いました。

「日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会」の大石美奈子代表理事は、東京電力福島原発事故の廃炉・賠償費を送配電網の使用料である託送料金に上乗せし、消費者などに負担させる政府方針の問題を指摘。「原子力を使わない選択をした消費者にも負担を求め、小売業者が原子力を使わない電気を売ろうとしても(託送料金として)廃炉費を払うことになる」と述べ、送配電部門の独立と中立的運営という「電力システム改革」の目的に反すると強調しました。

事故以前に必要な賠償費を積み立てず不足している分を「過去分」との名目で消費者に負担させるのは「全く納得しかねる」と述べました。

日本共産党の辰巳孝太郎議員は、原発のコストに対する見解を質問。大石氏は「廃炉費や賠償費は想像もつかない額がかかる。高レベル放射性廃棄物処分費などを入れずに計算して『安い』とすることに不信感をもっている」と語りました。

東京理科大学の橘川武郎教授は、維新・石井章氏の質問に対し「(原発のコストが『安い』という説明に)強い疑問をもっている。上限は青天井だ。全体として『安い』とは言えない」と述べました。

2017年4月28日付「しんぶん赤旗」より引用


議事録を読む(参考人部分)

○参考人(山内弘隆君) それでは、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案につきまして、参考人として意見を述べさせていただきます。
 本日は、このような機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。
 私の資料、お手元にあります「原子力事故に係る賠償および廃炉の費用負担について」という一枚の紙でございます。
 福島原発事故と電力システム改革ということでございます。
 御承知のことでございますが、福島原発事故がございまして日本の電力の需要が大きく変わったという実態があります。しかし、その前に、電力自体が恐らく一九九〇年代ぐらいからシステムの大きな改革を遂げてきたという事実がございます。世界的に見ましても、電力事業改革をして自由化をする、その中で効率性あるいは費用の削減を目指していくと、こういう流れがあったわけでございます。
 具体的に言いますと、電力事業というのは、基本的にこれは地域の独占で行われてきた、地域の独占で行われてきたことによるいろいろな弊害が目立ってきた、そういうことと、それから、さらには新しい技術、新しいイノベーションというものを推進していく必要がある、それで社会全体のコストを下げていくと、そういう目的があったわけでありますね。
 そこで、事業をこれ切り分けるという表現をそこ使っておりますけれども、今まで垂直的に統合してきた発電と送電、配電、小売と、これが一体的にやってきたわけですけれども、それを切り分けることによって競争を実現すると、こういう動きになってきたわけであります。日本では、一九九〇年代の半ばから特別高圧といういわゆる産業用の電力を中心に自由化を始めたということであります。そういう流れの中で福島の原発事故というものが起こったということであります。
 我々、もちろん原発事故を、これに対する対処というものを第一にしなければいけないわけでありますけれども、その背景として、今申し上げたような電力事業を自由化、改革すると、こういう流れがあったということを御理解いただきたいというふうに思っております。
 しかし、福島の事故が起こって、何がその教訓として得られたかということでありますが、例えば、福島の大きな発電所、原子力発電所が事故起きて、それでいろいろな周辺に被害を及ぼしたんですけれども、それだけではなくて、供給システム自体の、いわゆるその集中型の供給システムがいいのかどうかと、こういう問題ですね。例えばドイツのようなところでは、さらに分散型のシステムを取り入れているということもございます。そういたしますと、供給のシステムとして集中型がいいのか分散型がいいのかと、こういうことも考えなければいけない。
 それから、デマンド・サイド・マネジメントといいますけれども、今までは電力というのはピークが立つとそれに合わせて発電をつくってきたわけでありますけれども、そういう中で需要の方を抑制する、コントロールすると、こういう視点はないのかどうかと、こんなような議論もあったというわけであります。
 いずれにいたしましても、そういう自由化というものが進んで、その中でこの事故が起きたということであります。自由化が進むと、自由化といいますか、制度改正が進むとどういうことが起きるかというと、今までの体制と変わってきますから、そこで新しいシステム、新しい法体系の下では回収できないような費用というのが発生する、ストランデッドコストというような言い方をしますけれども、そういったことも一方であり、その中で今の事故の問題があったということであります。
 東京電力の在り方につきましてですけれども、事故以来いろいろな意見があったことを承知しております。東京電力自体を法的整理をしてしまった方がいいんではないかということも言われたところであります。
 私は、一貫して東京電力については法的整理をせずに現存の企業体として残しておくべきだというふうに主張してまいりました。その理由は幾つかございますけれども、一つは、原子力損害賠償法で言われる第三条のいわゆる責任問題というのがあって、それを完遂するためには今の事業体の方がよろしいんではないかというのが一つであります。それから、もう一つは、法的整理に伴っていろいろな賠償の債務債権関係が非常に複雑になる、そうしますと、緊急を要し、しかも社会的にも絶対的に必要な賠償というものに対する、何といいますか、時間的な遅れとか複雑性とか、そういうものが生じるんではないかと、こんなふうに考えたわけであります。
 そういう中で、法的な主体として残して、東京電力を残して、そしてある意味では責任を取っていただくと、こういうことが望ましいんではないかというふうに考えてまいりました。ただ、その責任を取るときに最も重要なことは、その責任を取るための安定的な資金を長期にわたって確保していくと、こういう必要性であります。最初に原子力賠償の損害支援機構が成立をして、そこでそういう仕組みができたわけでありますけれども、それだけでは十分ではないと、こういうことが分かってきて、それで、御承知のように昨年の秋ですかね、夏以降、東京電力の在り方についていろんな議論が起こってきたということであります。
 そこで、私、そこにありますけれども、電力システム改革貫徹のための政策小委員会というものに参加させていただいて、その司会役、座長を務めさせていただいたということであります。これは、言うまでもないことでありますけれども、東京電力がどのようにあるべきか、どういうふうに改革すべきかという、そういうその姿、これは別のところで議論をされていたわけでありますけれども、そういうあるべき姿と、それから一方で、どれだけの費用が必要なのかと、これは将来にわたって必要なのかと、こういうようなこと、これも別のところで議論されていた。それを受けた上で、電力システムを改革をする、先ほど申し上げたような自由化を中心とする改革をする、こういったことを無事に、そして整合的に行えるためにどうしたらいいかと、こういうことを議論するための小委員会であったというふうに理解をしております。
 これは非常に複雑な話でございますので、今日ここで全てを御説明して、そして私の意見を言うという時間がないと思いますけれども、基本的には、今申し上げた、市場の改革をするという一方で、東京電力の安定的かつ将来的にわたるような資金を確保すると、こういうことで、今そこにありますように、市場の整備のワーキンググループと、それから財務会計のワーキンググループという名前のワーキンググループをつくって、それぞれにおいて市場の在り方と資金の在り方ということを議論したということでございます。
 私は商学部に属しておりまして、そういう面では、技術的なことではなくて、今申し上げたような財務的な、あるいは、基本的には私の専門は経済学でございますので、社会的にどういうふうな形で費用負担をしていくかと、こういう議論が私の得意なところ。その意味では、財務会計の方を担当させていただいたというわけであります。
 財務会計のワーキンググループで、そこにありますけれども、四つの論点ということであります。
 一つは、原子力事故に係る賠償への備えに関する負担の在り方ということであります。これは御説明の必要もないと思いますけれども、事故によって生じたいろいろな損害に対して賠償をする、それをどういうふうに費用負担をしていくかと、こういう具体的な話であります。
 それから、二つ目が廃炉の資金管理・確保の在り方ということであります。本日ここの場で議論されている法改正の内容についてが直接これに関係するものだというふうに理解をしております。
 それから、三番目が廃炉に関する会計制度の取扱いということです。これは事故炉以外の原子力発電所を廃炉する際の会計的な扱いということであります。
 それから、四つ目が税制面の課題についてということで、これは法人事業税の取り方でありますけれども、ある意味ではこれはマイナーな問題と言えるかもしれません。
 そこで、一番最初の賠償の備えに関する負担の在り方というのが一番大きな議論になったところかというふうに思っております。
 先ほど申しましたように、どれだけ将来的に費用が必要になるのかというのは、これは我々のところではなくて別のところで議論されていたわけでありますけれども、それに対して東京電力という枠組みを使ってきちっと損害賠償をしていくというためにどうしたらいいのか、その費用をどういうふうに負担したらいいのかと、こういうことになったわけであります。
 そこで、基本的にはこれ、何らかの形で利用者、国民の皆さんに御負担いただくというのが前提になるわけでありますけれども、どういう形でそれをお願いするのかということであります。結論的に申し上げると、我々のところで取った策は、託送料金にその分を上乗せしてといいますか、託送料金の一部としてそれをお願いして御負担していただくと、こういうことだったわけであります。
 これはなぜそういうことなのかということでありますけれども、今申し上げたように、私自身のこれは考えですけれども、国民の方々広く御負担いただくというのが基本だというふうに思っておりますけれども、これ託送料金で取るのかあるいは税金という形で取るのかと、こういう議論になったところでありますけれども、これは両者メリット、デメリットあろうかというふうに思いますけれども、我々の取った考え方は、託送料金の形を取ることによって、ある意味では受益と負担といいますか、そういうものを結び付けることができる、あるいは負担の在り方も少しバリエーションを付けることができる、それが国民的な理解にとって非常に重要ではないかと、こういうふうに考えたところであります。
 今申し上げました受益と負担というところでありますけれども、受益、これは何かということでありますけれども、我々の考え方ではこれは過去分という言い方をしておりまして、これは非常に誤解を招きやすいのでこの言葉のワーディング自体は私自身も少しどうかと思っておりますけれども、過去分、要するに原子力発電を今まで消費してきたといいますか、その中で得てきた消費者、利用者、受益者、需要者としての利益みたいなものを考えたらどうかということであります。
 これは非常に分かりにくいんですけれども、これ逆に企業の財務の方から見てみますとどういうことかということなんですけれども、これ、今までの電気料金というのは総括原価でやってきたわけでありますけれども、その総括原価でやってくると、その中で費用項目といいますか、費用はこれだけだということをある意味ではきちっと固めていくわけでありますね。ところが、それに含まれなかったような費用というのがあったのではないか、それは取りも直さず今回の事故で明らかになったいろいろなリスクですね、こういったものを取りこぼしてきたのではないかということであります。事故のリスク、あるいはそれにまつわる様々なリスクですね、こういったところが、制度的リスクとも、先ほど申し上げたようにストランデッドコスト的なものでいえば制度的リスクということになりますけれども、そういったものを取りこぼしてきたのではないかということであります。
 そういったものを考えたときに、その分だけ皆さんの御負担が小さかった、これはある意味ではそれを取り込めなかった自体ということが問題ではありますが、今考えてみればそれが利益、受益というふうにつながるのではないかと、こういうふうに考えるわけであります。そこで、今申し上げた受益というものとそれから負担というものを結び付けるということによる、これの形でいえば託送料金という形が望ましいのではないかと、こういう結論に達したということでございます。
 企業の会計でいうと引当金というのがございますけれども、引当金というのは、ある意味では、今いろいろな事業活動を行う上で、それに備える意味で引き当てるというのがございますけれども、その中にもある意味ではリスクを含むということがあるわけでありますけれども、そういった引当金的なものが十分に行われなかったと、こんなふうに考えるわけであります。
 ここが一番大きな論点であったわけでありますけれども、御承知のようにこれに対してはいろいろな御判断、御発言、御意見がございまして、税金でやるべきだという御意見もございましたし、いろいろな御反対もありました。我々としては、報告書の方にまとめましたけれども、そういう反対というものがあった上でこういうふうに決めましたということで御理解いただいたというふうに考えております。
 それから、廃炉の資金管理ということでございます。これは長期にわたって廃炉をしていく。この廃炉の費用は、これは一般的な負担ということではなくて東京電力の全体としての負担としてやっていく。その資金を確保するために、支援機構等を通じた明確な資金の流れというものをつくっていく。これをするための内容ということになっております。時間の関係で詳細は省きますけれども、これにつきましても、長期的な資金の確保という意味で非常に重要なものであると私は考えておる次第でございます。
 総合いたしまして、大きなシステムの改革の中で今回の事故があって、それを、システム改革との整合性を取りながらこれを処理していくといいますか、手当てしていくという必要性があって、今回の結論に至ったということであります。私自身は、やはり新しい制度の下で、競争あるいはそこから生まれるイノベーションというものが電力供給そのもの、あるいは更に言えば、日本のインフラ産業の効率的な在り方というものを導き出していっていただきたいというふうに考えております。
 御参考になればと思いますけれども、以上が私の考えであります。どうもありがとうございました。
○委員長(小林正夫君) ありがとうございました。
 次に、橘川参考人にお願いいたします。橘川参考人。
○参考人(橘川武郎君) ありがとうございます。橘川と申します。
 それでは、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の改正に関しまして、参考人として意見を述べさせていただきます。
 私、両隣の二人の参考人と違いまして、この法改正を準備しましたシステム改革貫徹小委員会の委員ではございません。私、十数年来、経済産業省で、主として資源エネルギー庁でたくさんの審議会の委員を務めさせていただいてきました。私の専門は電力の歴史を研究する経営史家なんですけれども、なぜか専門の電力でだけ審議会の委員に呼ばれたことは一度もなくて、それ以外のことでは多分全ての原課で委員を務めさせていただいたという者でありまして、よって、この法律の改革についての細かい論点については、メンバーじゃないので私は十分には分かっておりません。したがって、それよりはもう少し大きく、あるいは広い観点から、福島事故の事後処理の在り方あるいは東電改革の在り方という点から私の意見を述べさせていただきたいと思います。
 お手元に青い題字のパワーポイントの資料があると思いますので、それを見ていただきたいと思います。
 一ページ目です。
 エネルギー基本計画の冒頭の「はじめに」の部分を書かせていただきました。こちらの委員会には私、委員として参加しておりましたので。やはり福島の方々に寄り添い、福島の復興再生を全力で成し遂げると、これがエネルギー政策を再構築するための出発点であると、ここが大事な考え方だと思います。
 次のページをめくっていただきたいと思います。
 そういう観点に立ちますと、東電福島事故に対処する事後処理に当たっての原則というのが私は二つあると思います。一つは、ともかく福島の復興再生に全力を挙げるという点であります。それから、もう一つは東京電力が供給エリアとしていた地域において電気の低廉で安定的な供給をきちんと確保すると。これが二大原則だと思います。東京電力がどうなるかということはある意味では二の次と言っては失礼かもしれないけれども、この原則を貫徹するということが一番大事だと、こういうふうに、この二つの原則が大事だと思っております。
 次のページをめくっていただきたいと思います。
 御存じのように、昨年の暮れ、現時点で東京電力の福島事故の事後処理の費用が二十一兆五千億円に上るということが発表されました。特に廃炉費用については、まだデブリの存在も特定できていませんのでここは更に膨らむ可能性もありますし、汚染水の処理なんかを考えますと更にやはり膨らむ可能性もあるということであります。
 これを、筋からいきますと当然東電が払うべきではありますが、とても私は払い切れないと思いますので、最終的にはかなりの部分が国民負担になるのはやむを得ないと考えております。それはなぜかといいますと、先ほどの第一の原則ですね、福島においてきちんと廃炉、除染、賠償が進められませんと福島の再生復興はあり得ませんので、福島県民にお金が回らないと困りますので、やむにやまれずですが、国民負担はやむを得ないと。そういう意味では、事実上、東電の責任は有限責任という形にこの件に関してはなるのではないかと、こう思います。
 ただし、その国民負担を具体化する前にやるべきことがあると思います。やはり、国民からすると、それを納得するためには事故を起こした東電がやるべきことをきちんとやると、全てをやった上で、ならば国民負担のことについて議論をしましょうというのが物事の順番ではないかというふうに思っています。
 それでは、東電がやるべきことは何か。それは、発電所を中心に資産を完全に売却する。特に、国民負担をしているにもかかわらずまだ東京電力が原子力発電の事業を続けるというのはなかなか納得ができないと思いますので、まずは柏崎刈羽の原子力発電所、そして、そうしますと新々総合特別事業計画も成り立たなくなりますので、火力発電所を含めまして全ての発電所を売却し、その売却で得た収益をまずは廃炉の費用に充てるということが重要なのではないかと思います。
 この場合、決して私は、柏崎刈羽の原発は比較的新しい原子力発電所でもありますので、規制委員会の承認が取れた場合には動かした方がいいという、そういう立場に立っております。それを動かす人たちは、今の東電の人たちが新しい事業者に移るということです。火力発電所についても、事業主体が替わるけれども、実際に動かす人間、設備は同じということでありまして、二の原則の方の電気の低廉、安定供給の方にも支障はないと、こういうふうに考えております。それが私の基本的な考え方であります。
 次のページをおめくりください。
 ここで、やはり民意ということを考えますと、昨年十月の新潟県知事選挙の結果が非常に意味があると思います。なぜ意味があるかと申しますと、三・一一以降四回の国政選挙がありましたが、そこでは必ずしも原子力の問題というのは中心的な論点とはなりませんでした。原発問題が中心的な論点となった選挙は二つしかありませんで、二〇一四年二月の東京都知事選挙と二〇一六年十月の新潟県知事選挙です。結果は全く逆でした。原子力に批判的な勢力が東京都知事選では敗れ、新潟県知事選では勝ちました。その理由は一体何なのかという点、私は二つあると思っております。
 私、反原発だ、推進だという形で二項対立で議論が進むこと自体がおかしなことだと思っていますので、原子力問題というのは現実的に考えていかなきゃいけないという立場であります。
 そういうことからすると、何でその都知事選と新潟県知事選挙の結果が違ったというところに一つの大きなヒントがあると思うんですが、次のページにちょっとグラフを掲げましたけれども、エネルギー価格の動向です。細かいことは申しませんが、この一番上の黄土色の線がブレントで示された原油価格でありまして、あとの三つの線は、上から日本、ヨーロッパ、アメリカの天然ガスの価格を示しますが、二〇一四年二月の東京都知事選の頃は原油価格が一バーレル当たり百ドルくらいでした。それに対して、二〇一六年十月の新潟県知事選挙のときには一バーレル当たり四十ドルくらいにまで下がっています。これによって日本の貿易赤字は消えております。そして、原発が動くことによる電力コスト面での貢献というのもその分小さくなったというようなところがあります。私は、この辺のことを選挙民の方々はきちんと判断されていて、違う判断になったんじゃないかと思います。
 それから、もう一点重要なのは、再稼働自体が困難だと思われます福島第二を除きますと、柏崎刈羽が唯一の、原発が立地している地域がその会社の供給エリアでないという、いわゆるたこ揚げ地帯方式と言われるエリアであります。これに対する新潟県民の批判的な観点もやっぱりあったんではないかと思います。
 そういうことを考えますと、この東京電力による柏崎刈羽の原発の完全売却ということがいろんな問題を解決する出発点になるのではないかというふうに思います。
 もう一度申しますが、国民負担の議論の前に東電の徹底的なリストラが必要だと考えます。そもそも、貫徹小委と同時に行われました東電改革・1F委で打ち出されました東電から原発を分離して、分社して連携するという案は、東電が残りますので、ということは二十一兆五千億の福島リスクと必ず結び付けられますから、他の電力会社はこの案には絶対乗ることができないと思います。東電がいる限りそうなってしまうので、東電が完全売却してそれを廃炉の費用に充てることによって福島リスクと切り離されると、初めて柏崎刈羽の再稼働の議論ができるようになると、こういうような物事なのではないかと思います。端的に言いますと、私は規制委員会の許可が下りれば柏崎刈羽は動かすべきだと思いますが、そういう立場からいって、東電、あんたは邪魔なのよと、こういうことであります。
 それでは誰が買うのかという話になりますけど、やはり地元の電力会社でありますので、避難計画のことも考えまして、東北電力は必要だと思います。ただし、東北電力はキャッシュが足りないと思いますので、中心的な受皿になるのは日本原電なのではないかと考えます。日本原電は現在、敦賀一号機が廃炉、二号機が活断層の問題、東海第二は地元の自治体の長の同意がなかなか得にくいということで、事実上原発なき原電というような状況になっていますので、原電が役割を変えて、この問題児沸騰水のオペレーション会社みたいなような形になるのではないかと、こういうふうに思っております。
 二つページをめくっていただきまして、この完全売却を行いますと波及効果があります。
 そもそも、そういうやり方をして東電は大丈夫なのだろうかと、こういう話あろうかと思いますが、私は十分にやっていけると思います。東京の地下を走ります二十七万五千ボルトの高圧線、それに伴う世界最高の消費地へ向けての配電線、これが一番の競争力の源泉、コアコンピタンスになると思いますので、いわゆるネットワーク会社、グリッドパワーと、いわゆる小売会社、エナジーパートナーを中心にやっていけると思います。
 これらの会社が堅実に上げた利益の一部を長期にわたって賠償に回すべきだと思います。ちょうどチッソと同じ方式であります。チッソは液晶の世界の半分を作り出して利益を上げて、それを半世紀にわたって水俣病の賠償に回してきました。世界史的にこんな会社はほかにありません。こういうことを東電についてもやるべきじゃないか。
 一方で、福島の責任はきちんと果たしていただかなければいけないので、その場合にも福島第一廃炉推進カンパニーの事業は継続していくと、こういうことになってまいります。
 こういう形で原電を中心に柏崎刈羽の原発を管理するようになって、もしそれが再稼働ということになりますと、そこから出た電源は中立的な値段で電力卸市場に回すということができるようになります。現在、電力の離脱率約五%、頑張っていると思いますけど、まだまだ十分とは言えないと思います。それはやっぱり卸取引所のシェアが三%であることと強い相関関係があると思いますので、そういう意味で、この完全売却をやると、卸取引所を厚くして自由化を促進するという効果もあると思います。
 一方で、更に火力発電所まで売りに出ますと、東京湾のLNG火力が売りに出ますので、今、東京湾をめぐっては、東京市場に参入したい他地域の電力会社や石油会社やガス会社がたくさんの石炭火力発電所を造ろうという計画がありますが、それは東電が売りに出すLNGを買えばいいわけでありまして、あえて石炭火力を建てる必要がなくなりますので、これは地球温暖化対策に対しても貢献するのではないかと、そういう波及効果があるのではないかと思います。
 最後に、一番最後のページですが、原子力をめぐってはネガティブキャンペーンを言っている時代は終わったと思います。どうやって解決していくのか、私は三つの方向が重要だと思っております。
 何%であれ原子力を使うというならば、危険性を最小化しなきゃいけないのは当然であります。ということは、新しい炉を使った方がいいに決まっているわけでありますから、堂々と、使い続けるというのならば新しい原子力を建てるということを言うべきだと思います。一方で、古い原子力はどんどん畳んで依存度全体は下げると。リプレースと依存度低下を同時に追求するというのが道筋だと思っています。
 そして、何よりも、使用済核燃料の処理問題、バックエンド問題を解決しなければいけません。そのためには、何といっても、一万年単位で危険な期間が続きますと、どこの自治体も最終処分地として受け入れることはできないと思いますので、「もんじゅ」が廃止になるのであればそれに代わる、「もんじゅ」は基本計画ではバックエンド問題の中心と位置付け直されていて、その方向は正しいと思うんですけれども、それが廃炉になってしまいますので、どうやってその危ない期間を短くするのかという、その毒性低減の炉の開発に全力を挙げるべきだと思います。あわせて、そのためには、時間が掛かりますので、原子力発電所の中で追加的なエネルギーが必要としない安全な形での空冷式の中間貯蔵を行うという、オンサイト中間貯蔵というような考え方が必要なんじゃないかと思います。
 そして、バックエンド問題が解決しない場合には、やはり長期的には原子力を畳んでいかなければいけない。その場合、原発立地地域、福井県のような原発立地地域はどうするのかという話になると思いますので、そこでは、送変電線を使って火力シフトをする、廃炉で雇用を確保する、そしてオンサイト中間貯蔵に対して消費地から保管料を払うというような枠組みで、一つの選択肢として原子力からの出口戦略という選択肢も準備する必要があるんじゃないか。これ、原発をやめろと申しているわけではありません。バックエンド問題が解決すれば原発は使い続けることができると思いますが、二つの選択肢を持つ必要があるのではないかと思います。
 以上で私の意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(小林正夫君) ありがとうございました。
 次に、大石参考人にお願いいたします。大石参考人。
○参考人(大石美奈子君) ただいま御紹介にあずかりました大石と申します。
 本日は、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 私は、先ほど最初に御発言いただきました山内先生と同じ、俗に言う貫徹委員会の委員として参画しておりました。今日のお話は原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律の案についてということではありますが、その基本となりました貫徹委員会の中に参加した消費者の代表としての意見を述べさせていただきたいと思います。
 それでは、お手元にお配りしてあります資料をおめくりいただきますでしょうか。
 もう既に衆議院の方は通ってしまったということではあるんですけれども、私は、そもそも今回のこの電力システム改革の中での貫徹委員会の結論というのは大変大きな問題を抱えたままでいるというふうに認識しております。
 まず、そもそも第一番目の問題として、私たち消費者は、今回、電力システム改革というものに大変大きな期待を持って臨んでおりました。今まで自分の使う電気の電源、これを我々は選べないできたわけですけれども、この電力システム改革の一つの大きな目的として、電気事業者を選ぶことができる、自分が使う電源も選ぶことができるということを大きな期待を持って見ておりました。
 一方、事業者の方も今までは参入できなかった発電部門及び小売部門に対して参入ができるということで、これをもって自由な競争が起きて、それがひいては電気料金の低減又は多様なサービスの提供ということで消費者への利益が増すものというふうに期待しておりました。
 ところが、今回の貫徹委員会での結果をもちますと、廃炉費用、原子力発電所の廃炉費用の積立て、これが不足した場合に原子力発電所が破綻するというおそれがある、この事態を防ぐためには廃炉会計という、私たち消費者にとっては幾ら説明を受けても理解し難い理屈ではあるんですけれども、原子力を使わないことを選択した消費者にも託送料金で廃炉費用の負担を求めるという内容になっております。消費者は、自分が選びたい電力を選んだとしても、最終的には原子力発電所の廃炉費用というのを負担し続けなければいけないと。それから、参入する小売事業者にしても、自分たちは消費者の意向を受けて原子力を使わない電気を消費者に小売していこうと考えても、やはりそこで原子力の廃炉の費用というのを払わなければいけないという、そもそもの電力システム改革の目的に大きく反する内容になっていると思っております。
 それから、二枚目ですけれども、今回、先ほど山内先生のレジュメの中では四つの論点があったというふうに書いてありましたけれども、その上の三つを私は今回取り上げてあります。
 現在停止・稼働中の一般の原子力発電所の廃炉の費用の問題、それから一方、この大きな事故ですね、福島第一原子力発電所の廃炉の費用の問題、それから事故の賠償費用の問題、この三つが論議されたわけですけれども、今回同じ議場で論議されてはしまいましたけれども、この一番と二番、三番というのは、これはまさしく別に議論すべきものであったと思っております。なぜならば、やはり国民は今回の福島の事故に対して大変心を痛めております。費用を払うというときに嫌だと言うのはとても倫理的に反するということで、なかなか声を上げられないという実情があると思います。
 一般廃炉の費用というのは、これは託送料金ではなく、原子力発電所を持つ各発電事業者が売電、電気料金の中で回収すべきものであって、もしそれで廃炉の費用が足りないというのであれば、電気料金を値上げして事業の中で賄うべきものだというふうに思っております。
 一方、二番、三番の福島第一の事故の責任というのは、これは先ほど橘川先生のお話にもありましたように、東京電力若しくは国に第一義的な責任はあるとはいえ、やはりこれだけ大きな事故ですから、事故炉の廃炉それから賠償の費用が今後足らなくなるというのはもう今の時点で明らかです。それを全てどこかに押し付ければいいというふうには国民は思っておりません。復興のため、税金なのか賦課金なのか、これはこれからの議論になると思いますけれども、広く国会の場で議論をして、本当に国民全体としてどうやってそこをみんなで担っていくかということをきちんと議論すべきだというふうに思っております。
 それから、三番目として、今回の議論の進め方ですけれども、消費者団体からいろいろなパブコメですとか意見も出されたわけなんですけれども、余りにも拙速。昨年の九月から始まって、十二月にはもうほぼ結論が出ておりましたし、パブコメを一応取りましたけれども、そのパブコメの内容というのが中間とりまとめにはほとんど反映されないということで、かなり国民の声を無視した拙速な進め方で決められたということに対して大変不満を持っております。
 まず、貫徹委員会財務ワーキングでは消費者代表というのは私一人でした。それから、非公開で開催された東電委員会と並行して開催されて、その影響を受けつつ、短い時間で決着をしてしまった。それから、そもそも私たち、例えば何かの費用を払わなきゃいけないというときは、例えば住宅を買うにしても、自分が幾らの住宅を買って、それを支払っていくためにはどれだけの期間どういう方法で支払っていくかということを考えるわけなんですけれども、今回、その負担すべき費用というのが提示されたのはパブコメ直前の最後の委員会でした。ですので、回収の方法だけを先に議論して、じゃ実際に幾ら払わなければいけないかという数字が出されたのが最後であったということからも、今回の議論というのはとても難しかったというふうに思っております。それから、先ほども申し上げましたように、議論の途中、私以外の消費者団体ですとかNPO、NGOの多くの市民グループから何度も意見書が出されましたけれども、それについては全く取り上げられなかったことも大変残念に思っております。
 ということで、今回、託送料金を使われるということに対してやはり消費者はとても大きな不安と不満を持っておりますので、その内容について述べさせていただきたいと思います。
 まず、一般原子力発電所の廃炉の費用ですけれども、これ、通常炉の廃炉というのは、これを託送料金で取るというのはこれは全く本末転倒の話で、発電事業者がやはり電気料金の中で回収するのが正当であるというふうに思っております。
 着実な自由化が進みますと、新電力に移る消費者が増えて着実な費用の回収の見込みが立たないので、自由化の中でも規制料金として唯一残るこの託送料金の仕組みを利用して回収することが妥当というふうな結論が出されたわけですけれども、そもそも託送料金というのは、これは託送のための費用に使われるべきであって、発電事業者の費用として回収されるというのは間違っているというふうに思っております。
 発電事業者というのは別に原子力一つ持っているわけではありません。原子力二つ、三つ持っていらっしゃるところもありますし、それからそれ以外の火力、水力、いろいろな発電所を持っているわけで、その中のたった一つの原子力発電所の廃炉の費用が足らない、なのでそれを国民から託送料金で回収するというのはどうなのかというふうに思います。
 廃炉をするかしないかというのは最終的にはその発電事業者が決めることであって、廃炉会計を利用したからといって必ず廃炉に結び付くというものではないと思っております。そういう意味では、もう廃炉会計のあるなしにかかわらず、やはり再稼働をするというときであれば、やっぱりそれは事業者としてはある程度の収益の見込みがあるから再稼働をするのであり、また費用を掛けて再稼働するのは事業として成り立たないと思うから廃炉を考えるのでありますから、よって、託送料金でこの費用を回収するというのは全く本末転倒だというふうに思っております。
 それから、次のページになりますけれども、原子力事故に備えて確保されておくべき賠償の備え、先ほど山内委員長からもお話がありましたけど、この過去分という考え方、これについても全く消費者は納得しかねます。
 通常の経済活動では、過去に積み立てておくべきだった費用を現在、未来の消費者に求めるということはあり得ないわけです。以前、話が出たと思いますけど、レストランで食事をしたときに、使っていた調味料の代金が高くなったので、あなた、その分賄ってくださいよということを決して事業者は言わないと思います。
 過去分というのであれば、では、これから払っていかなければならない未来の消費者、一度も原子力を使っていない未来の消費者にはこれをどのように説明していくのか、納得いく説明ができるのかということを大変疑問に思っております。
 現在、もう既に託送料金の中には託送料金以外のものが入っているのも事実です。バックエンド費用でありますとか電源開発促進税というのが含まれていることは周知のものでありますけれども、これはきちんと国会で議論されて法律で定められた中でこの送配電の部分に乗せようということが決まったのであって、今回の場合は、経済産業省の中だけですね、省令の中で議論が進み、自由にこれは省令だけで変更できるというのは、全く消費者にとっては不安以外の何物でもありません。
 それから、最後のところになりますけれども、原子力発電所の事故処理費用の一部を送配電部門に賄わせるという話ですね。これについても託送料金を利用するということになっているんですけれども、この部分についても消費者としては納得ができません。送配電部門が独立し、中立的な運営をすることが求められる、これが電力システム改革の大きな一つの目的であったはずです。それを、値下げをしないのだからいいだろうと、その値下げのしない分を託送料金で回収して廃炉の、賠償の費用に充てようというのは、これはやはり値上げをしているのと全く同じことだというふうに思っております。
 もっと言うならば、東京電力パワーグリッドの経営合理化分を東京電力ホールディングスの廃炉費用に充てるということは、託送料金の不正使用であって、違法ということも言いかねないというふうに思っております。
 ということで、次の八ページになりますけれども、託送料金で回収することの問題点として、やはり託送料金というのはそもそも送配電事業者が送配電事業のために使うべきものだというふうに思っております。
 昨年十月十二日、霞が関も影響を受けたと思いますけれども、新座洞道の火災事故が起きたことは記憶に新しいところですけれども、今後、自由化によって送配電分離をした場合には、こういう送配電部門の点検費用ですとか保守費用というのが更に掛かってくると思います。そういう意味では、託送料金というのはその託送の費用のためだけに使われるべきだと思っておりますし、あと、電気料金の四割を占めるのが託送料金なんですね。ということで、消費者にとってはこの託送料金というのは大変電気料金への影響が大きく、消費者委員会からも厳格な託送の見直しをこれまでも求められてきております。そういう意味では、今後この託送料金の適正さをどれだけ厳格に検証できるのかというところ、大変消費者としては気になっております。
 また、先ほども申しましたけれども、今回のこの託送料金というのは経済産業省の省令のみで変更ができると。もし一度この仕組みが認められたならば、必要な金額が増えたという場合には、また、あってはならないことですけれども、再度このような大きな事故が起きた場合には、青天井で託送料金の中に転嫁されるということにならないかということを大変懸念しております。
 そういう意味で、本当にこれが必要な金額であるということであれば、国会で論じて、税金として回収すべきであるというふうに思っております。常に国民が福島のことを忘れずに一緒にいるためにも、必ずこれを見える形で、国民に見える形で徴収していただきたいというふうに思っております。
 最後に、まとめとしまして、今までお話ししてきました三つの費用ですね。今回、一般原子力の廃炉の費用にも、それから福島第一の事故炉の廃炉の費用にも、それから損害賠償の費用にも、みんなこの託送の仕組みを使って回収するという案が出されました。けれども、これはどれを取っても託送が適当であるとはどうしても思えません。一般廃炉については、これは電気料金で発電事業者が回収すべきですし、二番、三番の事故炉の廃炉の費用、それから損害賠償の費用については、これは広くやはり国会で再度議論をして、税金で求めるべきというふうに思っております。
 最後になりましたけれども、事故の処理費用というのは、日本経済研究センターのまとめによりますと、さらに五十兆円から七十兆円になるとの報告も出されております。国家予算に匹敵する、百兆円の国家予算に匹敵するようなこの費用を国会の議論を経ずにここで決定してもいいものかということを疑問に思っております。このままもし強行することになれば、国民からの行政への不信感、また原子力神話ですね、今まで安い、安全だと言われてきてそれを信じてきた国民の不信感というのが更に増大することになるというふうに思っております。これから何十年、何百年と続く廃炉のものについては、将来世代にもきちんと説明できるよう、再度国会できちんと議論をしていただきたいと思っております。
 以上です。


 
議事録(辰巳質問部分)を読む

○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
 今日は、お三人の参考人の皆さん、お忙しい中、本当に貴重な御意見ありがとうございました。
 まず、大石参考人にお聞きしたいと思います。
 いわゆる有識者会議は最初から結論ありきだったのではないかというお話もあったかと思うんですけれども、大石参考人としては、結果としては報告書というのが出ているわけでありますが、まずこの委員会に入っていろんな意見をお聞きしたいという話があったと思うんですけれども、そのときに、この委員会の中で、どういう気持ちでこの委員会に臨んで、いわゆる電力システム改革の流れの中でどういう負担の在り方がいいのか、どういうお気持ちでまず臨まれたかということをお聞きしたいと思います。
○参考人(大石美奈子君) ありがとうございます。
 先ほどの中でも述べましたけれども、やはり消費者の代表というのがたった一人でありましたので、周りが事業者の方ですとか学識経験者の方で、やっぱり生活者の現実といいますか気持ちというものをどうやったら代弁できるだろうかということが一番大きかったです。
 それと、あともう一つは、今のこの現時点を見てどうするかというよりも、今回の話の内容というのは、これから何十年も、もしかしたら何百年も掛かるかもしれないものを、この本当に数か月の会議の中で簡単に結論付けていいのだろうかと。やっぱり未来の人たちへの責任というのをどういうふうに私たちは考えなければいけないのかというのを一番最初の議論が始まったときから一番気になっておりました。
 以上です。
○辰巳孝太郎君 ありがとうございます。
 続いて大石参考人にお聞きしたいんですけれども、端的に原発というのは高いのか安いのかという議論があると思います。いわゆる原発のコストということなんですけれども、いわゆる計算の方法が二通りあると。政府がしているのはいわゆるモデルケースというものでありまして、これで計算すると、原発というのは大体一キロアワー当たり十円とかそれぐらいだと、十・一円とかその程度だと。一方で、いわゆる今回の福島の事故を受けて、様々な廃炉の費用や賠償の費用、除染の費用を加えた、また汚染水の処理もあるでしょう、それらの実績を加味して考えますと、これは原発は高いのではないか。これが二つ拮抗し、議論があると思うんですけれども、大石参考人としては、国民に消費者の立場から訴えるといいますか呼びかけるときには、やはり原発というのは高いのか安いのか、どちらだとお考えでしょうか。
○参考人(大石美奈子君) 今回の事故が起きるまでは、消費者も安いと言われれば、ああ、安いのかなと。確かに、稼働中であれば、原子力というのは原料さえあれば安いのかもしれませんけれども、やはり今回の三・一一の事故があって国民も気が付いたと思いますけれども、一旦事が起こってしまった場合に、その事故に対する廃炉の費用ですとか賠償の費用ですとか、想像も付かないような額が掛かってくると。
   〔委員長退席、理事石上俊雄君着席〕
 結局、先ほどから過去分の話が出ていますけれども、過去には、原子力は安全であり、事故を起こしたとしてもそれほどの費用は掛からないということで積立てもされていたし、計算もされていたと思うんですけれども、やはりこれだけ先が見えない状態になっているのに、なおかつ、それでも原子力は安いんだと言われることに対しては、大変国民としては不満です。というか、信じられないという気持ちです。
 加えて、やはり今の原子力の費用というのは、バックエンドの費用というのはほとんど考えられずに計算されています。これから先、高レベルの放射性廃棄物をどこにどうやってきちんと処分していくのかということはまた更に費用が掛かってくることで、それを入れずに計算して安いと言われていることに対しては、今まで安いですよと言われてきただけに余計不信感を持っているというのが今の現状です。
 以上です。
○辰巳孝太郎君 ありがとうございます。
 続いて、山内参考人にお聞きしたいと思います。
 貫徹小委員会の委員長として議論もまとめていただいたと思います。大変御苦労されたと思いますけれども。
 先ほど、同僚議員の質問の中で、いわゆる賠償費用の過去分の在り方について、もう過去分というのは、あってはならないことですけれども、万が一の事故があったときにでもこれは駄目、過去分という取り方はできないだろうと、こういう御意見だったと思うんです。
   〔理事石上俊雄君退席、委員長着席〕
 私、先日の委員会の質問でも、過去分というよりも、今現在、一般負担金として各電力会社が一千六百三十億円積み上げているわけです。これはあくまでもし事故があった場合に備えてということで備えている、一方で、事故を起こした東電というのは特別負担金というのを負担している、ただ、現実問題としては、これらは現在、福島第一原発の事故の費用のために回されていると、実態としてはこうなっているわけです。
 万が一事故が起こったときに、じゃ、その事故の原因者は特別負担金を負担するということになるんでしょうが、一般負担金の金額の決め方、在り方として、安定的な電力供給、そして機構がきちんと業務ができるということがありますから、さほど一般負担金のこの一千六百三十億円というのを増やすことは、私はできないのではないかと。余裕があるんだったら今も積み増しすればいいわけなので。となりますと、もう一度やはり過去分という話、若しくは託送という話になってこないのかという危惧が私は少しあります。
 先ほど過去分というのはないという話がありましたけれども、その上で、託送料金にということもこれはするべきではない、あくまで万が一事故が起こったときはその事故の原因者が、発電の部門でやるべきというお考えでしょうか。これをお聞きしたいと思います。
○参考人(山内弘隆君) 先生御指摘のとおり、現在の立て付けですと、先ほど申し上げましたように、今の時点での過去分ということを計算した上での負担の額ということになるわけでありますので、将来的に何か起こった場合に、これが同じように託送料金で過去分でと、こういう議論ではないというふうに考えています。
 ただ、非常に個人的な意見を申し上げますと、私は原子力損害賠償法の三条の無過失無限責任自体に矛盾を感じておりまして、これは個人的な意見ですけれども、将来原発を進めて何かあるということであれば、そういったところから考え直す必要があろうかなというふうには考えております。
○辰巳孝太郎君 ありがとうございました。
 それでは、橘川参考人にお聞きしたいと思います。
 橘川参考人の御意見というのは、原発の立場は様々あるけれども、きちんと賠償しなければならない、廃炉しなければならない、そのためには東電の改革が必要だということだと思います。
 先ほど、民間活力を高めるためにもこの原発部門を切り離した方がいいんじゃないかという御意見があったと思うんですね。同時に、私の受け止めでは、なかなか原発というのはリスクがあったりすると、もうからないとか、いろいろそういう側面もあっておっしゃっているのかなというふうに思ったりもするんですけれども、そういう理解でいいんでしょうか。まず、そのことをお聞きしたいと思います。
○参考人(橘川武郎君) やや違います。比喩的に言いますと、もうかり過ぎるから問題だというふうに思います。
 例えば、大津の地裁で高浜三、四号機止まりました。それで関電何やったかといったら、値下げメニューを撤回したわけですね。ひっくり返しますと、先ほどの高いか安いかという話は、既設と新設でも大分違いますし、事故を起こしたところと今のところ起こしていないところでも大分違いまして、起こしていない既設の原発は現在やっぱり私は安いと思います。だから電力会社は必死になる。やると、動き出すと、やっぱり原発いいねということになって、どんどんどんどんそこに打ち出の小づちのようにはまっていっちゃうと。こういう経営が僕はかえって良くないんじゃないかと。だから、原発から自由になった方がもっといろんな個性を発揮して民間活力を発揮できるんじゃないかと。
 だから、端的に言いますと、もうかり過ぎるところに原発は問題があると、こういうふうに思っています。
○辰巳孝太郎君 原発そのもの単体ということだけではなく、様々国の関与というのもその中に恐らくあって、それで原子力というのが利益が出ているという側面もあるんじゃないかと私自身は思っているところなんですけれども。
 時間もあれですので、最後にお三方全員にお聞きしたいんですけれども、今回議論の中では、負担の在り方をどうするのかという少しテクニカルな話を、議論を、法案も含めてやっているわけなんですけれども、改めて福島の原発の事故と我々がどう向き合うべきなのかということをお聞きしたいと思うんですね。
 御承知のとおり、復興大臣の様々な発言がありまして、国会も昨日は開かれないということにもなりましたけれども、今日、新しい復興大臣の所信表明演説の中でも原発という言葉が出てこなかったんです。帰還困難区域という言葉はあるんですけど、しかし、それは原発事故があったからであって、それが出てこない。
 改めて、三人の参考人の方に、我々がこれを、どう向き合っていくべきなのかと、福島の事故と今の現状、復興。是非お聞かせいただければと思います。
○参考人(橘川武郎君) そういう立場から私は発言したつもりであります。
 それで、東電の福島に対する責任の果たし方は、まず柏崎を売ることです。そうするとみんなで国民負担の議論ができるようになるわけで、それが福島の復興につながっていくわけですから、そこをちゅうちょしていたら事が始まらないので、順番が間違っていると思います。国民負担の前にちゃんと資産売却をやるべきと、これが私の向き合い方です。
○参考人(大石美奈子君) ありがとうございます。
 先ほども申し上げましたけれども、やっぱりこの福島の事故というのは国民にとってとても大きな心の痛みにもなっております。国民としてというか、国としてやはり福島の人たちを支え、寄り添っていかなきゃいけないというふうに考えますと、やはりこの今回の改革の中で、私たちは税金ですとかそういう本当はっきりした形で一緒に負担していく必要があるというふうに私自身は思っています。
 以上です。
○参考人(山内弘隆君) 福島の震災、そして福島の事故、これについて、基本的に私は、やはり現在の法律の立て付けからいっても、東京電力がそれと向き合って長期的にコミットして、そして地域の振興とそれから可能な限りの賠償、原点復帰ですか、これをやるべきだというふうに考えています。それをやった上で国民的な理解が得られるのではないかというふうに思っています。
 そのために今回、資金的なことで我々議論したわけですけれども、繰り返しになりますけれども、東京電力がどのような形態になろうかというのは、私自身は、これ国民の理解の中でいろいろ変わっていくべきだというふうに思っています。ですから、資産の売却もそうでしょうし、経営陣の問題もそうでしょうし、そういった形で長きにわたってコミットしていく、これが基本ではないかというふうに思っています。
 以上です。
○辰巳孝太郎君 ありがとうございました。終わります。