南海・近鉄の駅無人化問題に歯止めを

2016年4月26日  

日本共産党の辰巳孝太郎議員は、26日の参院国土交通委員会で、関西の私鉄で進む駅無人化について、利用者の安全性と利便性、バリアフリーを後退させることになると指摘し、無秩序な無人化に歯止めをかけるため政府が指導力を発揮するよう求めました。

辰巳氏は、南海電鉄萩原天神駅で赤ちゃんが乗るベビーカーがドアに挟まれ140メートル引きずられる事故が起きたにもかかわらず無人化になった例などを指摘。大阪府、大阪市、堺市、泉大津市などの議会から無人化の見直しを求める意見書が出されていることも示し、大臣の認識をただしました。

石井啓一国交相は「安全性の確保を前提に、地元自治体の理解を得ていただきたい」と答弁しました。

辰巳氏が「障害者基本計画では、公共交通機関等のバリアフリー化推進のために、段差の解消、転落防止設備の導入などと合わせて、人的対応の充実を求めている。障害者が駅を安全に利用するためにも人員配置は必要だ」とただすと、石井氏は「安全性を確保し、サービス水準を低下させない、地元自治体の理解が得られるよう適切な指導をしていく」と答弁しました。

辰巳氏はまた、熊本地震で九州新幹線が脱線した問題を取り上げ、当区間で未設置だった脱線防止ガードを早急に敷設すべきだと要求しました。石井氏は「JR各社の防止対策の検証を踏まえて進める」と答えました。

2016年4月30日付「しんぶん赤旗」より引用

議事録を読む

○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
私の方からも、この度の地震でお亡くなりになった方々に心からの哀悼の意をささげ、そして被災された方々へのお見舞いを申し上げたいと思います。
JR九州の新幹線が震災で脱線をいたしました。この脱線した区間は、脱線防止ガードというのが未設置だったということであります。今日の資料にも付けておりますが、これJR九州では、全延長に対して一割に満たない脱線・逸脱防止対策となっております。そのほか、北海道、これも新しい新幹線ですから九四%、JR東日本の場合は三〇%、JR東海でも三五%、JR西日本では三〇%と、軒並みこの脱線・逸脱防止ガードというのは設置されていないところが多いということになっております。
大臣に確認しますが、やはりこれ早急に敷設させる必要があると思うんですけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 脱線・逸脱防止ガード等の設置は、新幹線の脱線や逸脱を防止し、安全性を高める上で効果的な対策であると考えております。
脱線・逸脱防止対策は、平成十六年の新潟県中越地震を踏まえまして、国土交通省、JR各社等で設置をいたしました新幹線脱線対策協議会におきまして整備方針等を検討してまいりました。これに基づきまして、JR各社において整備計画を策定し、必要性の高い箇所から段階的に新幹線の脱線・逸脱防止ガード等の整備を推進していると承知をしております。
国土交通省といたしましては、今般の熊本地震によります九州新幹線の脱線事故を踏まえまして、その詳細な状況の確認を行った上で、九州新幹線を含むJR各社の新幹線の脱線・逸脱防止対策の進め方について検証を行ってまいりたいと考えております。
○辰巳孝太郎君 是非早急に進めていただきたいと思うんですね。
被災地、現地では今ボランティアの方もたくさん行かれておりますが、やはりどれだけ機械化が進んでも人の手というのは最後に重要になってくるというふうに思うんですね。
今日は、その観点からも駅の無人化問題を取り上げたいと思います。二年前にも取り上げましたが、その後も駅の無人化が広がっております。今日、資料の二枚目にもお付けしましたけれども、JRは全体の半分以上が無人化となっておりますし、大手の民鉄でも二割を超えております。中小の民鉄はもう六二%が無人駅となっております。これ、あくまで、一部無人化を含むともっと増えるものだろうというふうに思います。
国交省に確認しますけれども、そもそも鉄道そして地域における駅の役割というのをどういうふうに位置付けられておりますか。
○政府参考人(藤田耕三君) 鉄道施設としての駅、この基本的な役割は、鉄道の利用客が列車に乗降する、このために使用するということにあると思っております。
他方で、地域にとりましては、鉄道ネットワークへのアクセス拠点にとどまらず、商業施設や観光案内所と一体となった交流の拠点としての役割を果たすなど、いろんな場合もあるものと認識をしております。
○辰巳孝太郎君 駅は地域の玄関口でもありますし、地域の中心的な役割を担っております。その玄関口である駅が無人化をされて安全性、利便性、治安が後退することは、地域にとって大きな打撃になると私は思うんですね。大体多くの鉄道会社自身が地域貢献、社会貢献を掲げている中で、私は無人化というのはそれに逆行することになると思うんですね。国交省も、この間、コンパクトなまちづくりということで、駅を中心の一つとして活性化していくという方針も掲げておられます。
国交省の認識を改めて確認するんですが、無人駅になることは駅利用の際の安全性、そして利便性の低下ということを招くことになると思うんですけど、どうでしょうか。
○政府参考人(藤田耕三君) 駅の無人化に際しましては、利用者の安全を確保するとともに、サービス水準を可能な限り維持することが必要であると考えております。そのために必要な措置、これは個別の駅の利用状況等に応じて、具体的に個別の状況ごとに検討をしていく必要があるものと考えております。
○辰巳孝太郎君 個別というんですけれども、やはり安全性に問題があっては絶対ならないというふうに思うんですね。
国交省は、駅の無人化に当たって各鉄道会社から無人化をするときには相談を受けているというふうに聞いているんですが、一体どういう相談で、国交省はどういうふうに返しておられるんですかね。
○政府参考人(藤田耕三君) 国土交通省としましては、鉄道事業者から駅の無人化につきまして、例えば無人化を予定している駅でありますとか、その時期などについて事前に報告を受けることがあります。一般的にはそのような場合に、安全性を確保すること、それから、サービス水準を可能な限り維持することを前提に、鉄道の利用者等に丁寧に説明を行って理解を得られるように指導しております。
○辰巳孝太郎君 安全性という面では、これから紹介していきますが、非常に後退することになるんですね。
太田前国交大臣は、我が党議員が昨年行った無人駅に関する質問に対して、大事なのは安全だと、それを利用する方が困るということがあってはならないというふうに思いますので、よく調べさせていただいて整理をさせていただきたいというふうに答弁をしております。
国交省、何を調べて、どういうふうに整理をされたか、紹介していただけませんか。
○政府参考人(藤田耕三君) 昨年の三月十日の衆議院予算委員会第八分科会におきまして、真島議員から、JR九州の無人駅について個別の御指摘がございました。国土交通省としましては、その御指摘を踏まえまして、指摘された事項についてJR九州に事実関係の確認を行ったところでございます。その上で、改めてJR九州に対しては、安全の確保、それからサービス水準を可能な限り維持すること、これを指導したところでございます。
○辰巳孝太郎君 聞きますと、九州だけしかしていないということですけれども、これ全部やっていただきたいんですね。それで、安全性の低下ということでいえば、具体的にどういうことが今起こっているのかということなんです。
例えば大阪、これ近鉄なんですが、乗降客が三千人を目安に駅の無人化を進めた結果、券売機が故障してインターホンを押したが、別の駅から係員が来るまで三十分掛かったということや、あと、線路に転落をしてけがを負ったと、誰もいませんから携帯電話で家族に電話して、家族の人が助けに来て間一髪命拾いしたというなどの実態が報告をされています。
中でも、南海電鉄が行っている駅の無人化は、私は看過できないというふうに思っております。南海電鉄は、大阪府内七十五駅、和歌山県内二十五駅、合計百駅を保有しておりまして、現在、そのうち三十三駅が無人駅となっております。
例えば粉浜駅というところでは、乗降客一日四千人を超えておりますが無人化となりました。駅員を呼ぶためのインターホンは階段を上がった改札口のところにしかありませんで、車椅子を利用されている方は、そこまでそもそも行くことができずに結局駅利用できないわけですね。
萩原天神駅というところでは、二〇〇七年に、赤ちゃんを乗せたベビーカー、先日、東京、地下鉄でもありましたけれども、ベビーカーの取っ手をドアが挟んで列車が百四十メートル進んだという事故がありました。幸い赤ちゃんにけがはなかったわけですが、母親がけがをしたと。この駅は、現在、乗降客七千人でありますけれども、結局、一旦は駅係員を付けたんですけど、また無人化にしてしまったわけですね。
無人の二色浜駅では、構内にある踏切遮断機をくぐって渡ろうとした高校生が亡くなる事故もありました。美加の台駅では、女性が一人でホームで待つのが怖いという声が出ております。
重大なのは、この南海電鉄が、利用客の極めて少ない駅の無人化を進めるだけではなくて、乗降客が八千人を超える駅についても無人化を進めているということであります。南海では、この八千を超える乗降客、三つの駅が無人化されました。この間だけで見ても、大阪府、大阪市、堺市、泉大津市議会、奈良県議会などなど、無人化の見直しを求める意見書というのが地方議会からたくさん国交省にも届いていると思うんですね。
そこで、大臣、やはり個々の経営状況は様々あるでしょう。しかし、駅の安全利用、利便性の向上のためには、これは無人化、私はやっぱりこれ歯止め掛けていくべきだと思うんですね。今様々な実態をお聞きいただきましたが、大臣の御感想をお聞かせください。
○国務大臣(石井啓一君) 南海鉄道と一部の鉄道事業者においては、経営改善策の一環として、都市部の比較的乗降客数が多い駅において無人化が行われていると承知をしております。
都市部におきましても、路線や駅によっては長期的に輸送人員の減少が見込まれる中、鉄道ネットワークやサービス水準を維持するための措置として駅の無人化を実施する場合もあると認識をしておりますが、そういった際にも、安全性の確保を前提としながらサービス水準を可能な限り確保するよう、そして地元自治体等に丁寧に説明を行い理解を得られるよう、引き続き指導してまいりたいと考えております。
○辰巳孝太郎君 しかし、ネットワーク維持のためといいましても、南海は別に赤字の会社ではありません。この資料でも、一番もうけているようなJR東海だって無人駅どんどん進めているわけなんですね。
やはり無人化で安全面、利便性で最も影響を受けるのが障害者だと思います。車椅子の方はインターホン押して呼ばなければなりません。隣の駅から、又は隣の隣の駅から来るんですね。だから時間掛かるわけです。そもそも車椅子から手を伸ばしても券売機に届かないというケースも見受けられます。また、降りるとき、ICカードに不具合があった場合などは駅員の方に来てもらわなあかんわけですね。しかし、点字ブロックの誘導がそのインターホンまで行っていないと。これでは視覚障害者は駅構内に閉じ込められてしまうと。そもそも聴覚障害者はインターホンにたどり着いても聞こえないわけですから、これ、駅員がいるといないでは障害者の方々の利便性、安全性にとって雲泥の差が出てくるということなんですね。
障害者基本計画というのを定めておりますが、その中で、生活環境分野における基本的な考え方の中で、こうあります。「障害者の自立と社会参加を支援し、誰もが快適で暮らしやすい生活環境の整備を推進するため、障害者が安心して生活できる住宅の確保、建築物、公共交通機関等のバリアフリー化を推進するとともに、障害者に配慮したまちづくりを推進する。」と、こうあるわけですね。国交省、確認しますが、この公共交通機関のバリアフリー化の推進等についてはどのように定めておりますか。
○政府参考人(藤田耕三君) 障害者基本計画におきましては、公共交通機関のバリアフリー化の推進等という項目ございまして、ちょっと読み上げさせていただきます。「駅等の旅客施設における段差解消、ホームドア等の転落防止設備の導入、障害者の利用に配慮した車両の整備の促進等とあわせて、人的な対応の充実を図ることで、公共交通機関のバリアフリー化を推進する。」、このように記述されております。
○辰巳孝太郎君 この文言、大事だと思うんですよ。
つまり、段差の解消、転落防止設備の導入、これホームドアですね、などと併せて人的な対応の充実を図る必要があると掲げているわけですね。つまり、そもそもバリアフリーをすれば無人にしてもいいというものでは当然決してなく、障害者基本法が掲げる障害者の自立と社会参加を支援するためには、設備の向上だけではなくて人的な対応を怠るなと、こういうふうに定めているわけなんですね。
全日本視覚障害者協議会は、情報弱者であり人員支援が必要だと、こう述べておるように、駅の安全利用のためにも人員配置が私は必要だと思いますし、先ほど来震災の質疑がありますけれども、震災時に、とりわけ都市部で起こったときに、駅で様々なものが落ちてくる、混乱も予想されるでしょう。そういうものに迅速に対応するためにも、私は無人化というのは、大臣、ここで聞きたいんですが、やはりこの無秩序な駅の無人化に歯止めを掛けるように政府が指導力を発揮すべきやと私は思うんですけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 鉄道ネットワークを維持するための措置として駅の無人化を行う場合もありますが、具体の対応につきましては、旅客の利用状況等総合的に勘案をいたしまして鉄道事業者が判断すべきものと考えております。
ただ、無人化に当たりましては、地元自治体や利用者など関係者の理解を求めることが重要であります。あわせて、状況に応じて、観光案内所や公共施設への転用といった駅の活用策を検討することによりまして、駅員はいなくてもそのほかの人はいるというような状況をつくることを検討するなど、関係者とともに多面的に考えていくことが重要であるというふうに思っております。
国土交通省といたしましても、こうした観点から鉄道事業者を適切に指導してまいりたいと考えております。
○辰巳孝太郎君 最後になりますけど、適切に指導ということを言っていただきましたので、先ほど関係者の理解が大事だと、私が今紹介した駅などは、関係者の理解、全然得ていないんですね。だからこそ自治体から様々な意見書も出ているということですから、国交省、適切に対応、指導をしていただくよう求めて、私の質問を終わります。