マイナンバー制度の廃止を 国民への負担増が狙い

2015年5月22日  

以下、しんぶん「赤旗」より転載。

2015年5月23日(土)

マイナンバー 国民への負担増狙い

辰巳氏 高齢者の資産把握

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(写真)質問する辰巳孝太郎議員=22日、参院本会議

マイナンバー(国民共通番号)法と個人情報保護法の改定案が22日、参院本会議で審議入りしました。

日本共産党の辰巳孝太郎議員は代表質問で「重大なプライバシー侵害であり、絶対に認められない」と主張し、10月からのマイナンバー通知の中止と制度自体を廃止するよう求めました。

辰巳氏は、改定案がマイナンバーの利用範囲を預貯金口座に広げることについて、財務省が預貯金額も勘案して国民に負担を求める考えを示していることを示し「高齢者の金融資産を調べ、医療、介護の負担を引き上げる。これが本当の狙いではないか」と追及。麻生太郎財務相は「社会保障制度を維持するため、負担能力に応じた負担を求めることが必要だ」と述べ、辰巳氏の指摘を認めました。

個人情報保護法改定案は、法案目的に「新たな産業の創出」などの文言が追加されています。

辰巳氏は、初めは保護すべき対象に入っていた携帯電話番号について、経団連が削除を求めた意見書が出された後、法案では対象外となったことをあげて、「個人情報保護より産業界の利益が優先されている」と批判しました。

また、個人情報の取り扱いを監視・監督する個人情報保護委員会に関して、民間分野だけでなく、多くの個人情報を集める公的部門も監視対象とするよう求めました。

山口俊一担当相は、個人情報保護委員会の監督対象に公的分野を含めることについて「検討されている」と答えました。


以下、会議録を掲載。

議事録を読む

○議長(山崎正昭君) 辰巳孝太郎君。
〔辰巳孝太郎君登壇、拍手〕
○辰巳孝太郎君 私は、日本共産党を代表して、個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案について質問をいたします。
初めに、共通番号法の関係について伺います。
法案は、政府が国民に付番する共通番号の利用範囲を、預貯金口座、特定健康診査、予防接種の履歴、特定優良賃貸住宅の管理等にも広げるものです。預貯金口座への共通番号の付番は、政府が国民の資産を効率的に把握することができるようになるものです。重大なプライバシー侵害であり、絶対に認められません。
先月二十七日に開かれた財政制度等審議会では、新たな財政健全化計画の策定に向けた社会保障費削減計画の議論が始まっています。財務省が示した案には、二〇一八年以降、全制度を通じ、マイナンバーを活用しつつ、所得だけでなく、高齢者を中心に預貯金等の金融資産も勘案して、負担能力に応じた負担を求めるとあります。個人の預貯金を狙って国の借金を減らしていこうというのでしょうか。財務大臣に伺います。
このほかにも、高齢者を優遇している制度を速やかに見直し、マイナンバーも活用し、高額療養費の自己負担限度額を引き上げる、金融資産を勘案し、後期高齢者の窓口負担を三割に引き上げる、介護保険の利用者負担を二割に引き上げる、そして、その対象は夫婦で二千万円以上の貯蓄を有する世帯などと例示されています。共通番号で高齢者の金融資産を調べ、夫婦で二千万円の預貯金があったら、お金持ちだといって医療、介護の負担を引き上げる。これが預貯金口座に付番する本当の狙いなのではないですか。財務大臣に答弁を求めます。
次に、特定健康診査への共通番号の利用拡大について伺います。
いわゆるメタボ健診の検査項目には、身長、体重などの情報だけでなく、服薬歴、血液検査による糖質検査、血糖検査、肝機能検査、さらに医師の判断により行われる心電図、眼底検査、貧血検査の情報が含まれています。個人のプライバシーに関わる機微な情報です。医療情報そのものではないですか。厚労大臣に伺います。
二年前に共通番号法案が提案され審議された際は、政府も、健診情報が機微情報であることを重視して、共通番号制度の利用範囲には入れませんでした。機微な医療情報が含まれる特定健診は共通番号と連携させるべきではありません。厚労大臣に答弁を求めます。
更に問題なのは、圧倒的な国民がこの共通番号制度を知らないということです。
内閣府が今年一月に行った世論調査では、共通番号制度について、内容まで知っていたと答えた人は二八・三%にすぎず、言葉は聞いたことがある四三%、知らなかったは二八・六%で、七割以上が内容について知らないと回答しています。
共通番号は広く民間で利用されることが前提となっており、例えば、全国約四百二十一万もの事業所の従業員とその扶養家族は個人番号を勤め先に伝えることが求められます。事業者の方でも、集めた個人番号の情報漏えいなどがないよう管理しながら、税金申告や社会保険の手続に共通番号の記載が求められます。
政府は、情報漏えいや不正利用を防止するために様々な規制や安全対策を施したとしていましたが、そうした対策を実効あるものにするためには、関係する全ての人が制度の内容やルールを正しく理解して、必要な取扱いをしてもらわなければなりません。しかし、実態は、多くの国民が制度自体知らないという状況です。このような下で共通番号制度をスタートさせるならば、情報漏えいや不正利用が横行することになりかねません。山口大臣、お答えください。
甘利大臣、政府が予定している今年十月からの共通番号の通知は中止すべきです。そして、共通番号制度は廃止することを求めます。
次に、個人情報保護法の関係について山口大臣に伺います。
法案は、第一条の目的規定に、個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであるとの文言を追加しています。しかし、改定案でも、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することが第一の目的であることは変わりません。衆議院での審議では、個人情報の利活用と保護のバランスとの発言が聞かれますが、個人情報の有用性とその保護は対等な立場で比較考量するものではないと考えます。大臣のお考えを伺います。
昨年十二月の法案骨子案では、保護すべき個人情報の例示として携帯電話番号や情報端末番号が挙げられていました。ところが、携帯電話番号は保護すべき例示から外していただきたいとする経団連からの意見書が出され、法案段階では携帯電話番号は外されています。個人情報の保護よりも産業界の利益が優先されているのではないですか。答弁を求めます。
匿名加工情報の規制について、これでは全く不十分、個人の権利利益が保護されないと、法案検討に参加してきた識者からも批判の声が上がっています。匿名加工情報を第三者へ提供するときは、提供先も含めて個人情報保護委員会への届出を義務付けなければ、匿名化が不十分な情報リストを監視できないとしています。山口大臣、見直すべきではありませんか。
いわゆる名簿屋対策について伺います。
今回、個人情報を第三者へ提供する際の記録保管義務やデータベース提供罪の新設など、一定の名簿屋対策が講じられました。しかし、特殊詐欺や悪徳商法などの犯罪で使われている名簿の大本を断つにはまだまだ不十分との指摘があります。国として調査を行い、名簿屋業者の実態をしっかりと把握し、更なる名簿屋の規制を検討していくことを求めます。
今回、個人情報保護委員会の権限が強化されたものの、その権限は民間分野に限られており、公的分野の個人情報保護については総務省の所管のままとなっています。本案の附則十二条五項には、個人情報保護委員会への集約の検討とあります。衆議院の参考人からも、公的部門こそ監視が必要、第三者委員会が本来果たすべき役割だとの意見陳述が行われました。直ちに行うべきだと思いますが、見解を求めます。
以上、幾ら規制や不正利用対策といっても、マイナンバー制度そのものがプライバシーと個人の権利を危険にさらす制度であり、このような法案は廃案にすべきだと述べて、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(麻生太郎君) 財政制度等審議会において、マイナンバーも活用した社会保障の負担を求めるべきと議論をされている趣旨についてのお尋ねがあっております。
医療や介護などの社会保障制度を維持していくためには、負担能力に応じた公平な負担を求めることが必要と私どもは考えております。
御指摘の四月二十七日の財政制度審議会では、こうした観点から、医療・介護分野において、高齢者に対して利用者負担を求める際、マイナンバーも活用しつつ、所得のみならず預貯金等の金融資産も勘案して負担能力を判断する仕組みとする必要があるのではないかと議論がされたものであります。
マイナンバーの預貯金口座に付番する目的についてのお尋ねもあっております。
預貯金口座への付番につきましては、社会保障制度の所得・資産要件を適正に執行する観点や、適正、公平な税務執行という観点から、現行法で認められております社会保障の資力調査や税務調査の実効性を高めるために行うものであると承知をいたしております。(拍手)
〔国務大臣山口俊一君登壇、拍手〕
○国務大臣(山口俊一君) 辰巳議員にお答えをいたします。
マイナンバー制度をスタートをさせることについてのお尋ねがございました。
マイナンバー制度は、法令に基づきまして、本年十月から番号の通知、そして来年一月から社会保障、税、災害対策の各分野の行政事務での利用が開始をされることから、情報漏えいや不正利用が横行することのないように、マイナンバーの適切な取扱いなどを含め、制度の一層の周知、広報につきまして政府を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
個人情報保護法の改正に関しまして、個人情報の有用性と保護を対等な立場で比較考量するものではないのではないかというふうなお尋ねがございました。
今回の法案における目的規定の改正というのは、既に現行法に規定をされております個人情報の有用性の具体例として、新たな産業の創出等を明示をすることにいたしたものでありまして、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護するというふうな現行法の趣旨を変更するものではなく、引き続き、個人情報の取扱いにつきましては、その保護を前提にしつつ、利活用の促進を図ってまいりたいと考えております。
昨年十二月の法案骨子で個人識別符号として例示をされました携帯電話番号が対象から外れたのは、個人情報の保護よりも産業界の利益を優先をしておるのではないかというふうなお尋ねがございました。
そもそも携帯電話番号が個人識別符号に該当するかどうかにつきましては、様々な契約形態あるいは運用形態があることから、現時点におきましては一概に該当するとは言えないと判断をして、今後、政令の制定に当たりまして該当性を明確化していくというふうなことにしております。
したがいまして、今後、政令の策定に向け、引き続き、消費者の方々あるいは産業界の方々の御意見もお伺いをしながら、携帯電話番号の個人識別符号への該当性につきまして最終的に判断をしてまいります。
匿名加工情報を第三者に提供する際に、個人情報保護委員会への届出を義務付けすべきではないかとのお尋ねがございました。
今回の法案におきまして新たに類型化をします匿名加工情報は、個人情報を加工して特定の個人を識別をすることができないようにしたものでありまして、個人情報そのものよりも個人の権利利益の侵害のおそれが低いものであります。
このような情報の性質も勘案をして、事業者による公表のみで、委員会は、匿名加工情報の取扱いに疑義が生じた場合も十分対応することが可能であるというふうなことから、過度な規制とならないように、届出までは求めないというふうなことにしたものであります。
名簿事業者の実態把握と名簿事業者に対する規制の検討についてお尋ねがございました。
今回の法案におきまして、名簿事業者への対応も意識をして、個人情報のトレーサビリティーを確保するための第三者提供に係る記録の作成義務等を新たに導入することといたしております。
お尋ねの名簿事業者の実態調査の実施や更なる規制の必要性につきましては、今回の措置の実施における効果等も踏まえた上で、今後、政府部内におきまして、関係省庁とも相談をしながら検討してまいりたいと思います。
公的分野の個人情報保護につきましても、個人情報保護委員会が監督を行うべきではないかとのお尋ねがございました。
行政機関等が保有する個人情報の取扱いに関する規制の在り方につきましては、行政機関等における匿名加工情報の取扱いに対する指導、助言等を統一的かつ横断的に個人情報保護委員会に行わせることを含め、現在、総務省において検討が行われているところというふうに承知をいたしております。
以上です。(拍手)
〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩崎恭久君) 辰巳孝太郎議員にお答えを申し上げます。
特定健診情報へのマイナンバー利用拡大についてのお尋ねがございました。
今回の改正は、生涯を通じた予防、健康づくりを推進するため、個人が転職や結婚等により医療保険者を異動した場合に、本人の同意を前提に、特定健診情報が円滑に引き継がれるようにするためのものでございます。
既にマイナンバー法に位置付けられている医療保険者について利用拡大を行うものであること、特定健診情報をマイナンバー法に位置付けることにより、一般の個人情報よりも厳しい規制が掛かることなどを踏まえ、関係者の理解を得た上で進めるものであり、適切なものと考えます。(拍手)
〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕
○国務大臣(甘利明君) 番号の通知を中止し、制度を廃止するべきではないかとのお尋ねがありました。
御要望には沿いかねます。
マイナンバー制度は、より公平公正な社会保障制度や税制の基盤として、また情報化社会のインフラとして導入するものでありまして、国民の利便性の向上や行政の効率化に資するものであります。
政府といたしましては、こうした観点から、関連法案を第百八十三回国会に提出をし、国会での御審議を経て可決、成立したものでありまして、その施行に向けて準備を進めてまいります。(拍手)
○議長(山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。