インフラ輸出支援法案に反対 リニア問題で追撃

2014年4月10日  

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以下、しんぶん「赤旗」より転載。

産業の空洞化進める

インフラ輸出支援法案 辰巳氏反対

参院国土交通委員会は10日、「成長戦略」の一環として海外へのインフラ輸出を支援する機構をつくる「株式会社海外交通・都市開発事業支援機構法案」を賛成多数で可決しました。共産、みんな、社民は反対しました。政府は、2020年に交通インフラ受注で7兆円(10年0・5兆円)、建設業の海外受注2兆円(同1兆円)を目指しています。

日本共産党の辰巳孝太郎議員は「もうけは民間大企業に与え、リスクは国民に負わせるものだ」と批判。太田昭宏国交相は「リスクを少なくして海外展開を進めることが大事だ」と支援を正当化しました。

辰巳氏はインフラ輸出が国内の需要・雇用に与える影響について質問。国交省の稲葉一雄国際統括官は「関連部品等の受注が拡大し、収益が国内に還元される。現地進出予定または既に進出している企業の活動・事業環境が改善される」と答えましたが、試算は示せませんでした。

辰巳氏は、国内の製造業従業者数が90年度以降7割に減少する一方、海外従業者数は3倍以上に増えた実態を示し「インフラ海外輸出を進めれば、現地生産を増やし日本産業の空洞化をいっそう進めることになる」と指摘しました。

(2014年4月17日 しんぶん「赤旗」)


以下、会議録を掲載

議事録を読む

(2014年4月10日 参議院国土交通委員会)

○辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎です。
本法案は、海外へのインフラ輸出に国が関与して支援するものであります。インフラには新幹線やリニアなども含まれてまいります。
私は、三月の十三日の質問でもこの国内のリニア問題について取り上げました。リニアは路線の多くがトンネルですから、残土の問題ですね、六千三百五十九万立米、これ東京ドーム五十一個分出てくると。しかし、行き先が決まっているのはそのうち六%ほどだということであります。また、騒音問題、振動、日照、大気汚染、磁場、磁界、景観、動植物への影響の不安がいまだに払拭をされておりません。
三月の二十五日に、沿線の七都県の知事がJR東海に対して意見書をまとめて提出をいたしました。各県の意見書が、騒音、振動、地盤沈下等々の影響でJR東海の準備書は過小評価の可能性があると、また、事業計画の具体的な内容が明らかじゃないということで根本的な問題を厳しく指摘したものにこの意見書はなっております。
そこで、大臣に、改めてこのような知事の意見をどのように受け止めておられるのかをお聞かせください。
○国務大臣(太田昭宏君) リニア中央新幹線の環境影響評価準備書に対して関係都県知事からの意見につきましては、環境影響評価法に基づいて、長野県及び山梨県から三月二十日、東京都からは二十四日、神奈川、静岡、岐阜、愛知からは二十五日、これが全て調ったというふうに承知しています。
これらの知事の意見を踏まえたアセス結果が今後JR東海によって作成されて、国土交通大臣及び環境大臣に提出をされてくるという予定になっています。なお、各知事からの意見及びこれに対するJR東海の見解は、環境影響評価書の中で示されることになります。
現段階ではまだ国に環境影響評価書が提出されていないために各知事からの意見に対するコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思っておりますが、国土交通省としましては、JR東海からの環境影響評価書の提出を受けまして、知事の意見が環境保全対策にどのように反映されているかを含めまして、また環境大臣の意見等も勘案いたしまして、環境影響評価法など関係法令にのっとって対応していくこととしていきたいというふうに思っています。十分ここは注視をし、見ていかなくてはいけないというふうに思っているところです。
○辰已孝太郎君 JR東海は、この間、各地で説明会も開いておりますが、どこでも出されている声というのは、JR東海が自治体や周辺住民の声を聞く姿勢が感じられないと、こういうことでありますし、今回の意見書の中で、山梨県の知事意見を見ますと、こう書いてあります。環境基本法第十六条に定められた環境基準というのは、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準として定められたものであり、現在の環境が環境基準を下回っているという地域において、対象事業による環境影響を当該基準値まで地域住民等に許容させることを定めたものじゃないと。今いい環境が、これが少しでも悪くなる、でも許容されると、そういうことではないんだよと。公害問題で非悪化原則ということが言われましたけれども、これをちゃんと踏まえてほしいということで、JR東海の不誠実な対応というのを批判をしております。
私は、JR東海のまともにこの説明しない、資料も明らかでないというのは、手続の大前提に関わる根本的な問題だと思いますし、リニアの採算性ですね、人体、環境への影響も含めて議論が尽くされていない問題だと思っておりますので、今からでもリニアはストップさせるべきだということをまず訴えておきたいと思います。
それでは、本法案の質疑に入りたいと思いますが、そもそも政府自身が海外へのインフラ輸出の推進をしなければならない理由をお聞かせください。
○国務大臣(太田昭宏君) 日本は一国だけで経済活動ができるわけじゃありません。企業も海外に、優れた技術があれば展開するということは、私は当然だと思います。
アジアということについて進出と言う方がいらっしゃいますが、私はむしろ、アジアはもう国内であるというぐらいの肺活量で経済活動を展開すると、こういうふうにしないと、これからの世界には生き抜いていけないというふうに思います。
その中で、日本の非常に大事なこの技術を保持している、そしてまた現実にODAなどで様々相手国に対して供与をし、そして具体的に大変喜ばれるインフラ整備というものが、下物が中心でありますけれども行われている。海外では、これから運営という点も含めて、日本のやり方というものは大変優れている。世界は運営も含めてという、そうした激しい争いになっているということからいきまして、その運営面も含めたセットとしての、あるいはまたODAで下物をやり、上物は、今度は運営面というのは民間でやる、あるいは民間との合同でやる、合弁でやるというような動きがかなり主流になっている中で、日本が今までのような国内だけの企業展開ということだけでは当然生きていけないというふうに私は思っています。
その上で、非常に不安的な要素も企業は持っていまして、政治的な大きな変動があったり、あるいは話合いをしたいと思っても、なかなかその中枢の人に会ってくれるということが、フランクに打合せができないのであるとか、あるいはまた決定したことが変わってしまう、法令が整備されていない、慣行、システムが違う、習慣も違う。いろんな中ででき上がっているものに対してきちっと見てもらうということがなければ、なかなかこの激しい競争に踏み込んでいくにちゅうちょしてしまうということがある。
リスクを少なくして海外展開ということを大いにやっていただいた上で、ああ、日本からすばらしい技術と、すばらしい橋梁でも道路でもまちづくりでも、展開していただいたなということがその国の人々に言っていただけるようなことがあれば、非常に日本の外交という点でも、これからの大きな展開という点でも必要になる。そのために、リスクを低減させながら、この機構というものができ上がって支援をするということは私は極めて大事で、政府は今回、この交通と都市計画だけにとどまらず、経協インフラという会議を行って、こうした貿易の輸出というものを十兆円から、現在の、三十兆まで持っていって、大きく行くということが大事だというふうに思います。
分配するということも大事なんですが、稼がなければ分配はできないと、私はそのように思っていまして、稼ぐという分野を失った経済戦略は私は取るべきではないと思っています。
○辰已孝太郎君 民間企業は、国内でも、また海外でも稼ぐというのは、これはもう当然です。私はそれを否定するつもりは全くありません。ただ、じゃ、なぜ政府が機構をつくって、民間企業のリスクを政府が受け持って応援しなければならないのかという理由というのははっきり述べられなかったと私は思います。
大体、このインフラ輸出、お聞きしますけれども、先ほどの質疑などでも国内の需要や雇用にも影響するという話がありましたけれども、じゃ、どれほどこのインフラ輸出を進めることによって、それらの需要、国内の需要、雇用に影響が出ると試算をされているんでしょうか。
○政府参考人(稲葉一雄君) お答え申し上げます。
インフラシステム輸出の推進は、優れたインフラシステムを相手国に輸出することによりまして相手国の経済発展に資するのみならず、相手国の国民生活の向上にも役立つと、このような意味で相手国にとって有益であります。それのみならず、我が国企業の事業展開につながるという意味で、我が国と相手国との間のいわゆるウイン・ウインの関係を形成すると、そのようなものであると考えております。
御指摘の点でございますけれども、そのようなインフラシステム輸出を進めることによって我が国にどのような経済効果があるかという点でございますけれども、三つの経済効果があると考えております。
まず第一に、我が国企業が海外の優良な交通や都市開発のプロジェクトに参入することによりまして、これらの事業の収益が日本国内に還元されます。第二に、これらのプロジェクトに我が国企業が参画いたしますと、関連部品や機器、例えば鉄道事業で参入すれば鉄道車両というようなものでありますけれども、このような日本製品が受注する機会が拡大すると、このようなことが期待できます。第三に、相手国の交通や都市インフラが整備されますれば、現地に進出しようとしている日本企業あるいは既に現地に進出している日本企業の活動環境、事業環境が改善されます。
このように、インフラシステム輸出は、世界のインフラ需要を積極的に取り込むことで我が国経済の成長を通じて国内産業の生産や雇用の誘発が期待できると、このように考えてございます。
○辰已孝太郎君 私は具体的な試算を聞いたんですけれども、具体的な試算についてはお答えにならなかったということであります。
私、ちょっと実態を紹介したいんですね。これ政府のデータですけれども、この間、大手の自動車又は家電メーカーを中心に海外への生産移転というのがもうこれ進んでいると、これ御承知のとおりだと思います。
かつて、一九九〇年度というのは、日本国内の製造業の従業者数というのは一千五百五万人でありましたが、二〇一二年度というのは一千三十二万人、これ七割以下になっているんですね。一方で、海外の従業者数というのは、九〇年度は百二十四万人でありましたけれども、二〇一一年度は四百十一万人、これ三倍以上に増えているわけですよ。海外に進出した企業や事業所が日本から材料などを仕入れする、調達する割合というのは、これ二割台なんですね。この間、ずっと低下をしているんですよ。
ですから、インフラの海外輸出といって海外に道路や港を整備すれば、これ進出企業というのはますます現地生産を増やすことになると。これが結果として、日本の経済や雇用にいい影響を与えるどころか、これ逆に日本の産業の空洞化というのをより一層進めることになるんじゃないかという見方が私はできると思っているんです。
やはり、今回の法文の中にも支援基準というのがありますね。改めて、この支援基準について、どういう基準なのかというのをちょっとお答えいただけますか。
○政府参考人(稲葉一雄君) 先生御指摘の支援基準でありますが、法の二十四条に規定してございます。
これはどのようなものかと申しますと、国土交通大臣は、機構が対象事業の支援、これを行う場合の対象者、それから当該対象事業支援の内容を決定するに当たって従うべき基準、これを定めると、こういうものでございます。
この基準の中にどのような内容を定めるかということでございますけれども、これにつきましては、まず第一に、その対象となるプロジェクトにつきまして政策的な必要性があるかどうかということが一つ。それからもう一つは、そのプロジェクトに関しまして、民間企業との関係でございますけれども、民業補完性があるかどうかということが一つ。それから三つ目は、プロジェクトの収益性に関わりますけれども、長期的な観点から見て収益性があるかどうかという観点、このような観点を盛り込もうと考えております。
なお、もう一言付け加えさせていただきますが、昨年九月に官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議の決定というものがございます。それは、官民ファンドの運営に係るガイドラインというものでございますけれども、これも官民ファンドの運営に関する重要な事項を定めておりますので、これらも参照した上で、また関係省庁ともよく相談しながら、この支援基準の内容については検討し、定めていきたいと考えております。
○辰已孝太郎君 民業補完という話がありましたけれども、結局、民間企業が事業を行うときにはリスクが付き物ですよ。しかし、そのリスクを国が面倒を見ましょうというのが今回の法案で、こんな都合のいい話はないと思うんですね。
こんなことを誰が提案しているのかといいますと、日本経団連なんです。二〇一〇年の十月には東アジア・サミットに向けたメッセージでこう言っています。インフラ整備は莫大な資金を要することから、基礎インフラの部分を我が国のODAを始めとする公的資金で整備をし、採算性の見込まれる部分への投資や運用を民間で行う手法を活用していくと、こういう話ですよ。
私は、成長戦略の掛け声の下で、例えばODAも、元々は発展途上国の支援のためという目的がありましたが、今では日本企業の利益が尊重されるようになっている。JBICも、元々は途上国向けに限定されていたものを二〇一〇年には先進国まで広げられた。貿易保険のNEXIも……
○委員長(藤本祐司君) 申合せの時間が来ていますので、まとめてください。
○辰已孝太郎君 今国会の貿易保険法の改正で、国内の損保会社も再保険の対象になるということで可決をされました。民間損保会社のリスクまで国民に背負わせるものであり、本当になりふり構わずだというふうに思います。
この法案は、一部の大企業のもうけのために、もうけは民間企業、一方でリスクは国民の税金というもので、絶対に賛成することはできないということを申し上げて、私の質疑を終わります。

反対討論を読む

○辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎です。
 海外交通・都市開発事業支援機構法案に対する反対討論を行います。
 本法案は、海外の交通や都市開発分野の大規模開発事業を日本企業が受注しやすくするため、インフラ整備に掛かる莫大な費用や、整備、運営に伴うリスクを軽減するなどの支援を行う機構を設立しようとするものであります。
 反対する第一の理由は、海外インフラ事業に参入する大企業の利益を保障するための支援策であり、インフラ整備に掛かる莫大な費用やリスクを日本政府が引き受け、国民の負担を拡大することになりかねないからであります。
 この海外インフラ事業に参入する企業は、ゼネコン、鉄道会社や総合商社などの大企業です。大規模開発事業が持つリスクが軽減されれば、事業に参入する大手企業は受注機会が増大し、受注した企業は開発工事や鉄道車両などの販売により確実に大きな利益が得られます。一方、大規模開発事業が持つリスクは日本政府が負うことになります。
 日本経団連は、採算性の見込めない基礎インフラ部分は公的資金で整備し、採算性の見込まれる部分への投資や運用は民間で行うといった身勝手な要望を表明しています。本法案は、それを正面から受け入れ実施するものにほかなりません。
 反対する第二の理由は、機構が行う支援には、海外での大規模開発事業を行う際に、自然環境と現地住民に与える影響に配慮する視点が全くないからです。
 開発途上国への支援は、大規模開発によって環境破壊と住民の貧困化が起こることがないことを前提にすべきです。しかし、機構の業務にはこうした視点はありません。ただ大規模開発事業の受注支援を推し進めるばかりです。
 反対理由の第三は、日本企業の海外生産拠点づくりを支援し、日本の産業空洞化を加速することになるからです。
 海外インフラ整備は、当該対象国のみならず、日本の自動車産業などの海外進出企業にとっても利用しやすい基盤を整備することになります。結果として、海外への生産移転を一層進め、日本の産業空洞化、雇用の減少、経済悪化につながることは明らかです。
 以上、反対理由を申し述べ、討論を終わります。