「門前払い」を助長 生活保護改悪案を批判

2013年11月12日  
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(写真)質問する辰巳孝太郎議員=12日、参院厚生労働委

日本共産党の辰巳孝太郎議員は12日の参院厚生労働委員会で、生活保護法改悪案を批判し、「いま求められるのは憲法25条の生存権の精神を生活保護の運用に入れ込むことだ」と迫りました。

辰巳氏は、改悪案が申請書類提出を義務付け、口頭での申請には「明瞭な意思表示」が必要としている問題を追及。所持金600円のシングルマザーを追い返した京都府舞鶴市の例を示し、「明瞭な意思を示しても門前払いするようなことがまかり通っている。改悪案が門前払いをいっそう助長するのは明らかだ」と批判しました。

田村憲久厚労相が「必要な方は保護するよう周知徹底する」と弁明したのに対し、辰巳氏は「『運用は変えない』というのだから、こういう事件が起きる」と反論しました。

辰巳氏は、長野市などが申請者の親族に民間会社作成の調査書を送って申請を断念させていた問題について「命にかかわる保護行政で、あってはならないことだ」と強調しました。調査書が絶対的扶養義務者でない兄弟姉妹の家族(子どもなど)にまで勤務先や月収の報告を求めていることを批判し、親族の援助が保護の要件でないことを明記するなど、調査書を抜本的に改めるよう求めました。

辰巳氏はまた、生活保護の実施機関が要保護者に指導・指示できるのは保護決定後なのに、大阪市は就労のため1週間に1社以上の面接を受けるよう申請者を指導し、従わなければ申請却下を検討すると脅していると告発。厚労省の岡田太造社会・援護局長は保護決定前にできないと認め、「市に事情を聞いて対応を考えたい」と答えました。

2013年11月13日(水)赤旗より転載

議事録を読む
Version:1.0 StartHTML:000000232 EndHTML:000023097 StartFragment:000000536 EndFragment:000023065 StartSelection:000000536 EndSelection:000023065 SourceURL:http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/185/0062/18511120062004c.html参議院会議録情報 第185回国会 厚生労働委員会 第4号○辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎でございます。
まず最初に、大臣の方から、先日の小池晃委員の質問に対しての国の考えというのを述べていただきました。報道によりますと、民間の会社がつくった情報システム、これが持っている文書をそのまま使ったと、こういうことであります。
私は、生活保護制度という個人情報が非常にセンシティブなこの分野で、民間業者に作らせたその文書をそのまま使っていたということそのものが信じ難いと思いますし、また同時に、生活保護制度は最後のセーフティーネットであります。命にかかわる生活保護行政でこういう間違いが起こったと。これは自治体としても、もちろん国としてもあってはならないことであるということをまず最初に言っておきたいと思います。
そこで、大臣に聞きたいんですけれども、なぜこういう間違いが、長野市で、前提という文言を使って扶養義務が前提であるかのような誤認を与える、要件であるかのような誤認を与えるような文言を使って送付していたかと。これ、大臣、なぜこういう事態が起こったのか、大臣の考えをちょっと聞かせてもらいたいと思います。
○国務大臣(田村憲久君) 今委員がおっしゃられましたとおり、コンピューターサービス会社、名前は申し上げませんけれども、そこが扱った書面といいますか、この中にこういう文言が入ったわけでありまして、それが、全国かなりの、五百を超える自治体に渡った中において、言うなれば、その中においてのチェックを入れてそれを直されたところもあるようでありますけれども、直していないところに関して、そのままそれが保護を要請する方々の手元に行ったわけであります。
だから、そういう意味からいたしますと、元々一番初めに文言を作ったところが本来の意味合いを取り違えてそれを書面に載せられて、チェックが漏れて、最終的にそれがそれぞれの保護を要請する方々の手元に渡ったというような形であろうというふうに認識いたしております。
○辰已孝太郎君 つまり、生活保護において扶養義務というのは要件じゃないと。ただし、法律には優先すると書いてあるわけですね。私は、優先なのか要件なのかということの、非常にややこしい、分かりにくい、これが一つこの誤解を招くような文言が加わった一つの原因になっているんじゃないかと思っているんですね。
この長野市の扶養届書について、もう一つ確認したいんですよ。ここには勤務先、月収、資産、負債などの記載に加えて、給料明細書やローン返済予定表の添付まで要求していたと。しかも、申請者の兄弟だけではなく、その兄弟の子供さんですね、御家族の職業や給料の額まで要求している文書になっております。
そこで質問をしますけれども、まず要保護者から生活保護の申請があれば、今の運用であれば、扶養義務者への確認ということに、こういう届書が届くということになります。この場合の扶養義務者の範囲というのはどこまでなのか、これについてお答えください。
○政府参考人(岡田太造君) 生活保護制度では、民法七百五十二条に規定されています夫婦、それから民法八百七十七条第一項に規定されています直系血族や兄弟姉妹、それから民法八百七十七条第二項に規定されています三等親内の親族のうち特別な事情がある者を扶養義務者と整理させていただいているところでございます。
生活保護法は、民法に定めます扶養義務者による扶養を保護に優先して行うということにしておりますが、現在でも行っている扶養義務者に対する扶養照会では、親子、兄弟姉妹という一般的に扶養可能性が高いと考えられる方に対して重点的に行うことが多く、三親等内の親族全てに対して一律に行っているというわけではございません。
○辰已孝太郎君 まず、先ほど冒頭に言いましたとおり、要件なのか優先なのかと、この言葉の違いについて非常に誤解を招くということから、こういう長野市のようなことも原因の一つとして起こったと私は思っているんですね。
こういう扶養届には、確かに民法八百七十七条書いてありますよ、生活保護法四条書いてありますよ。だけど、優先って書いてあるんだけれども、要件ではないとは書いてないんですよ。だから私は、こういう届書を送るときには、扶養義務というのは要件ではないよということも誤解を与えないようにしっかり書くべきだと改めて要求したいと思います。
それと、親や子供、また兄弟、これは絶対的扶養義務者ということになります。ただし、その兄弟の子供さんですね、これは相対的扶養義務者として家庭裁判所で指定してもらわなければ、これは改めてなかなか調査することもできないという、絶対扶養義務者と相対的扶養義務者をきちんと区別しているんですよ。
ところが、この長野市の扶養届書では一緒に書いているんですよ。これもやっぱり誤解を与えるような様式になっていると思うんですね。この様式について私はやっぱり改めるべきだと思いますけれども、これ、どうでしょうか。
○大臣政務官(高鳥修一君) 辰已委員にお答えを申し上げます。
生活保護法は、民法に定める扶養義務者による扶養を保護に優先して行うといたしております。扶養義務者にどの程度の扶養の責任を果たしていただくかは、絶対的扶養義務者であるか相対的扶養義務者であるかにかかわらず、受給者と扶養義務者との交際状況、扶養義務者の収入や資産、生活状況といった諸事情に応じて個別に判断されることになることから、扶養照会の書面は変える必要はないと考えております。
なお、扶養義務者に対する扶養照会は、実際には親子や兄弟姉妹という一般的に扶養可能性が高い方に対して重点的に行うことが多くなっておりまして、またお聞きできる範囲で申請者御本人に事情をお聞きいたしておりまして、三親等以内の親族全てに一律に行っているわけではございません。
○辰已孝太郎君 この長野市では、一番最後に、収入、負債の状況については、源泉徴収票、給料明細書、ローン返済予定表の写しなど、その状況が明らかになる書類を添付してくださいと、こうも書いてあるんですね。
社会・援護局保護課保護係が出している生活保護の問答集がありますけれども、ここには、相手方たる相対的扶養義務者に対し、これは調査に当たっては十分説明し、納得を得るように努めるべきであると、ここまでちゃんと書いてあるんですよ。だから、絶対的扶養義務者と相対的扶養義務者はここではちゃんと区別して、相対的に関してはちゃんと説明しなさいということまで書いてあるんですよ。しかし、長野市のこれでは源泉徴収票まで付けろと書いてあるんですから、これ、ちゃんとやっぱり様式を変えるべきだと私は思います。これ、ちゃんと検討してください。
この改正法案では、二十八条、二十九条で扶養義務者への調査の権限も強めております。しかし、今見たように、扶養義務をめぐっては、これによって申請を萎縮させたりまた申請をとどまらせる、つまりこのことでの水際作戦というのが横行しております。改正案のようなことをやれば、その上で会社にまで収入を調べに行くことが可能になります。こうした間違いを更に増やすことになるのは自明でありますから、こういう事態をこそ止める手だて、法改正ではなくて止める手だてを求めたいと思います。
次の質問に移りたいと思いますけれども、改正案二十四条についてであります。
通常国会に提出された政府案に加えて、生活保護の申請の際には、特別な事情がある場合は書類提出を要件とせずと、こういうことになりました。これは、口頭での申請も可能という答弁は先ほどからしていただいております。この場合、質問なんですが、口頭での保護申請が認められるには明瞭な意思表示が要件になるというふうに思いますけれども、これで間違いございませんでしょうか。
○政府参考人(岡田太造君) 今回の法改正二十四条の見直しは法制的な観点から規定したものでありまして、何度も答弁していますように、現行の取扱いを変更するというようなものではございません。
それから、保護申請につきましては、明確な意思を表示していただいて、それに応じてちゃんと適切に申請書をお渡しするように全国会議などを通じまして指導を徹底しているところでございます。
○辰已孝太郎君 明瞭な意思表示が必要ということでありましたが、しかし、現場では明瞭な意思表示があっても行政が申請書類を渡さないということが日常的に起こっているんですね。
二〇一二年六月、京都府の舞鶴市で、三人の子供を持つシングルマザーが所持金六百円という状況で福祉事務所に保護を求めましたけれども、行政は、帰ってください、業務の邪魔になると言いました。書類を渡さずに、その方は手書きの申請書をカウンターに置いて帰ろうとすると、忘れ物ですよと言って突き返そうとする、こういう事例もありました。福祉事務所に申請書が欲しいと申し出ましたけれども、母や妹に頼れ、借金があるなら受けられないと、とにかく申請書渡せないといって、何度も何度も申請の意思を口頭で表明しても断られたということであります。窓口の担当者は、生活保護バッシングの中で市民の声があるから遠慮してくれと発言したことも報道をされております。
これでは、法案二十四条、これが加わって、そして運用は今までどおりといっても、幾ら繰り返しても何の歯止めにもならないんじゃないでしょうか。どうでしょう。
○国務大臣(田村憲久君) 今委員がおっしゃられたような形態が起これば、それは不適切な対応であるわけでありますから、ちゃんとここは生活保護行政を実施していただかなければならないという話であります。
そういう意味からいたしまして、今までもそのような対応があるとすれば、それは不適切なわけでありますから、今般の法改正、これの中において、これ大改正でございますから、六十年ぶりの、しっかりと各自治体窓口に対して周知徹底をしていくという、そういう機会にさせていただきたいと、このように思っております。
○辰已孝太郎君 間違いがあれば正していくとか周知徹底していくとか、そういう答弁というのはもう何回も聞いているんですね。だけれども、是正がされてこないわけであります。
二〇〇七年、北九州市でも、生活保護の口頭申請を認められずに申請書類を渡されなかった六十代の男性が自殺をするという事件が起こりました。裁判になりましたが、福岡地裁小倉支部は、判決文で、生活保護を申請する者は申請をする意思を明確に示すことすらできないことが間々あると、こういうことを書いているんですね。
二〇一一年、これは別のケースですけれども、高松市の福祉事務所に生活保護を申請しに、二〇〇九年ですね、行ったと。これも拒まれたわけですけれども、これでも裁判になりました。香川県はこれ却下したんですけれども、国の方は女性の訴えを認めて、二〇〇九年八月申請時に遡って保護を支給させる決定を下したわけです。ここでの大臣裁決なんですね、福祉事務所を訪れ、対応した職員に対し請求人の生活が困窮していることを訴えていることが認められ、請求人から明確な申請の意思がされたとの判断はできない、しかし、そういう場合にも処分庁は請求人に対して保護の申請を書面で提出することを求めると。これ、大臣裁決で出ているんです。つまり、大臣裁決は生活困窮者が口頭で明瞭な意思表示をできない場合がしばしばあることを前提に、そうした場合には行政庁の方から積極的に書類を出して申請行為を明確化するように指示しているわけなんですね。政府にしてもここまで言わざるを得なくなっているわけですよ。本当に困窮している人は意思表示ができるはずだとか、困窮者が明確に意思表示さえすれば対応する、だから大丈夫というのは、私はここの政府の方針にも反していると思います。
いまだに現場では、明確な意思表示があっても行政が門前払いするようなことがまかり通っている、これが現実であります。この法案によってそれが一層助長される、これはもう明確でありますから、この法案めぐって、これを訂正するというお考えありませんか。どうですか。
○国務大臣(田村憲久君) この法案で助長するというのがちょっと私は理解ができないわけでありまして、今までもそういうことがあったと、これは幾ら言っても駄目じゃないかというような発言があられました、委員から。しかし、今まで以上の大改正、今回やるんですよね。その中においては、必要な方にはちゃんと保護というものが決定されるようにという精神は我々もちゃんと今までどおりあると言っているわけでありまして、これを機にやはり各自治体窓口に周知徹底をいかにしていくか、これは、いろんな会議もやります、そういう中において徹底していくことが大事でございまして、今までやれていないから何にもやらなかったらいいという話じゃないですよね、良くしなきゃいけないんですから。そのためにしっかりと対応をさせていただきたいと申し上げておるわけであります。
○辰已孝太郎君 運用は変わらないんでしょう、大改正っていうんだけど。運用は変わらないということは変わらないわけですよ。だけど、運用は変わらないんだけど、それはこういう事件が起こっているわけですよ。そういう運用を変えないということですから、この条文は削除するべきだと思います。
続いて、別の質問をします。
保護行政には、水際作戦、これもありますけれども、一旦申請を受け付けてから生活保護が認定されるまでの期間に、不当な扱い、不当な運用というのが見られます。それは、保護の決定前に行政が行う助言、指導についてであります。
そこで聞きますけれども、実施機関が指導できるのはどの段階でしょうか。
○大臣政務官(高鳥修一君) お答えいたします。
生活保護法第二十七条に基づく指導及び指示は、保護の実施機関が保護の決定開始後に、生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な場合に行うとしております。このため、保護の開始決定前に法第二十七条に基づく指導及び指示を行うことはできないことになっております。
なお、保護の決定、実施に当たりまして、保護の受給要件を満たしているかどうかを確認するために、保護申請をした方から、資産、収入の状況が分かる資料、求職活動状況報告書等の資料の提出を求めることや病院への受診を指示することは認められております。
○辰已孝太郎君 決定前の指導はできないということでありました。
ところが、これは大阪市なんですけれども、助言指導書なるものを、申請後、決定前に申請者に対して出しております。
ここにはこうあるんですね。指導助言事項、一週間の間にハローワークへ三回以上求人検索に行き、一社以上ハローワークから紹介を受けた会社の面談、面接を受けること、なお、これに従わないときは、保護の要件に欠くものとして生活保護申請の却下を含めて検討をするということになりますと。稼働能力の活用を決定前に促している文書ですけれども、面接を受けないと保護の要件に欠くものとして却下を含めて検討となっている。面接にたどり着けないことが却下の要件の一つになる、これは正しいのかどうか、これ、どうですか。
○政府参考人(岡田太造君) 御指摘の事例は、まず大阪市などに状況を詳細に確認したいと思いますけれども、面接を受けることであるとかそういうのは、御指摘のように二十七条の指導、指示と誤解される可能性があろうかと思います。先ほど言いましたように、保護の決定、実施に当たりまして、保護の受給要件を満たしているかどうか確認するために、資産、収入の状況を分かる資料であるとか求職活動報告などの資料の提出を求めることができるというのが法律上の規定でございますが、二十七条の指導、指示と誤解されるおそれがあるものにつきましては、大阪市の事情をちょっとよくお聞きした上で対応を考えたいというふうに思っています。
○辰已孝太郎君 大阪市は二年前からやっていますけれども、これガイドラインまで作ってやっているということはレクチャーのときに言っていますから、これ、ちゃんと指導してください。大阪市に指導してください。
私は、この稼働能力の活用なんですけれども、やっぱりこの間の新宿七夕裁判や岸和田の判決でもあるように、稼働能力を活用する意思について、これやっぱり判決では、社会通念上、最低限度必要とされる限度で、努力で事足りるということになっていると思うんですね。ところが、局長通知なんかでは、真摯に求職活動と、この文言がやっぱりもう躍っていると思うんですよ。
私は、この間の裁判の判例に際しても、やっぱり真摯に求職活動、これはもう実態に合わないし、判例、判決にも合わないと思います。これ変更する、そういうつもりありませんか。
○政府参考人(岡田太造君) この前の岸和田市の関係の裁判でございますけれども、稼働能力を活用しているかどうかという判断をどうするかということだと思いますが、これはやっぱり基本的にはその方の個人の状況に応じてどういうことが可能なのかということを基にして判断すべきだというような裁判所の御判断だというふうに思っております。
これは前回も御説明させていただきましたけれども、局長通知では……
○委員長(石井みどり君) 時間を過ぎておりますので、答弁は簡潔に願います。
○政府参考人(岡田太造君) はい。失礼しました。
局長通知では、画一的にやるんではなくてやっぱりその方の状況に応じてやるということで伝えておりますので、その裁判の趣旨に反しているものではないと考えているところでございます。
○委員長(石井みどり君) 辰已孝太郎君、時間を過ぎておりますので、質疑をおまとめください。
○辰已孝太郎君 もう実態には合いませんから、これ見直すべきだと思います。今求められているのは法律の改正ではありません。誰もが人間らしい生活を営む権利がある、この憲法二十五条の精神を生活保護制度の運用に入れ込むべきだということを訴えて、私の質問を終わります。

 

反対討論を読む
○辰已孝太郎君 私は、日本共産党を代表し、生活保護法の一部改正案及び生活困窮者自立支援法案に反対の討論を行います。
反対する第一の理由は、申請書の提出を法律で義務付けることにより、現行法下で行われている水際作戦を合法化させる点です。法律の本則に申請書など書面の提出を義務付ける法制度はほかにありません。また、申請時に、現行の施行規則で定めている記載事項よりも改正法では法文上の記載条項が多くなっており、明らかに申請のハードルを高くするものであります。口頭申請に関して特別な事情がある場合はこの限りではないとなっていますが、基本的に文書での申請が義務付けられることに変わりなく、特別な事情は行政当局が判断するものであり、申請権が侵害される危険性は否定できません。
第二の理由は、扶養義務者に対する調査権限の強化が盛り込まれ、扶養義務の履行が事実上要件化されたために、給付制限・抑制が更に進む事態が懸念される点です。保護を必要とする人たちに、親族に知られたくない、迷惑を掛けたくないと更に申請を断念させることにつながります。
現行法の下でも、窓口では教示義務違反や申請書を渡さない、受理しないという事態が多発しており、生活保護の給付を断られ餓死者が出ている中で、申請書の義務付けや扶養義務の強化は困窮する要保護者に対して制度の利用を一層困難にし、国民を制度から締め出し、更なる貧困と餓死者を生み出すものであり、絶対に容認できません。
第三に、生活保護の見直しと一体的に出された生活困窮者自立支援法案は、他法他制度優先を口実として、生活保護を受けるべき人が受けられずに支援事業に誘導され、保護の申請権を侵害しかねないこと、支援事業の事業者の資格基準がないために貧困ビジネスが拡大するおそれがあること、就労訓練事業も、取りあえず就労させることで最低賃金を下回る仕事が広がれば、地域の賃金相場を引き下げることになりかねません。
先国会で廃案後も、これらの懸念に関係団体や研究者からの厳しい批判が相次ぎ、反対の世論が広がっています。国連の社会権規約委員会からも指摘されているように、生活保護の捕捉率が二割という国際的に低い現状を改め、申請手続の簡素化など、保護を受けるべき人が受けられる仕組みづくりこそ求められています。
以上、憲法二十五条の理念を空洞化させる生活保護法案の廃案を強く求め、討論を終わります。