「消費税増税で実質賃金減」指摘 日銀総裁“その通り”

2015年5月13日  
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(写真)辰巳孝太郎議員

日本共産党の辰巳孝太郎議員は13日の参院国民生活のためのデフレ脱却および財政再建に関する調査会で、実質賃金が下がり続け個人消費も冷え込んでいる実態を示し、黒田東彦日銀総裁の消費税増税ありきの姿勢を批判しました。

辰巳氏は、実質賃金が23カ月連続で減少していること、日銀の生活意識に関するアンケート(今年3月)で、「支出」について「1年後を現在と比べると」「増やす」と答えた人がわずか5%で、53%が「減らす」と回答したことを紹介。「なぜこういう数値が出たのか、どう分析しているのか」とただしました。

黒田総裁は「消費税増税の影響で実質賃金が下がり続けているのはその通り」と認めました。

辰巳氏は、黒田総裁が消費税を増税しないと財政の信任が失われると述べていることをあげ、「同じ税金でも、所得税や法人税もある。消費税に頼らない財政再建はあり得ないという立場か」と質問。政府が進める法人税減税で税収が減るリスクはないのかとただしました。黒田総裁は「是非について申し上げることは控えたい」と答えました。

2015年5月22日(金)赤旗より転載

議事録を読む
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎です。
デフレ脱却のためには、やはり賃金の上昇と個人消費、これが上向きになるということがもう何より大事だというのは論をまたないと思うんですね。二〇一三年の骨太方針の中でも、今後、物価の上昇が想定される中で、賃金や家計の所得が増加しなければ、景気回復の原動力となっている消費の拡大は息切れしと、こういう言及があるわけでございます。
先ほど、個人消費が想定外で伸びていないという話もありましたけれども、にもかかわらず緩やかな回復の基調にあると、こう言っているわけですね。雇用者所得が上がっていると、こういう話があるんですが、あくまで名目賃金の話であります。実質賃金というのは二十三か月連続で減少をしていると。
一方で、収入と個人消費はどうかというので、日銀のアンケート、生活意識に関するアンケートというのがあります。私、これ見て改めてびっくりしたんですが、収入について、一年後を現在と比べると増えると答えた人は八・七%。九一%の人が変わらない若しくは減ると答えているわけですね。これは収入です。同じ調査で、支出についてどうかと。一年後を現在と比べると増やすと答えた人は、支出、五%にすぎないと。五三%の人が減らすと回答しているわけですね。この減らすと回答した人は、昨年の九月からこれ連続でもうずっと増え続けているわけであります。変えないと答えている人は四一%と、こういうことなんですね。つまり、一年後も、収入については九割の人が増えないと感じていて、五割の人が支出を減らそうと考えているということであります。
これを黒田日銀総裁に、なぜこういう数値、アンケートの結果が出ているのかということを、どう分析されているのかということをまずお聞かせください。
○参考人(黒田東彦君) 先ほども申し上げましたとおり、消費税率引上げの影響が少なくとも十二か月は物価に効いてまいります。
西村副大臣の話にもございましたとおり、名目雇用者所得は増加している下で、消費税率引上げの影響を入れた消費者物価でデフレートしますと、おっしゃるとおり、ずっと実質賃金、実質雇用者所得もマイナスだったと思いますが、その消費税率引上げの消費者物価に対する影響というのは、十二か月で基本的に剥落をいたします。
それから、そもそもこの消費税率引上げというのは、これは政府でお決めになったことでありますけれども、社会保障の持続可能性を確保し、また様々な部門で社会保障の充実を図るというために必要なものとして増税、国民の税負担を増やしたわけですので、その影響で実質所得が減るというのは、これはまさにそのとおりであります。
ただ、二つ申し上げますと、一つは、今回の春闘その他を見ましても、また雇用の増加を見ましても、いずれにせよ名目雇用者所得は引き続き増加し続けると。そうした中で消費税率引上げの消費者物価に対する影響は剥落していくということですので、実質賃金、実質雇用者所得も今後増加していくことは間違いないというふうに思います。
また、先ほどの日銀の調査につきまして、詳細ということであれば、また別途御説明したいと思います。
○辰巳孝太郎君 いわゆる消費税の物価に対する影響というのは十二月たてば剥落していくと。これはいわゆる前年と比べてそうなるということだと思うんですけれども、しかし、消費税の負担というのは、これは別に前年と比べてどうということではなくて、結局、昨年の四月の増税でこれは増えたわけですよ。国民生活にとっては苦しくなったというのはこれ非常に大事なことでありまして、消費税が下がらない限りこの負担というのは増えていくということをしっかり見ておく必要があるのと。
あとは、賃金についてなんですけれども、やっぱりしっかり見ておかなければならないのは、名目は上がっていると、しかし従業員五人から二十九人の本当に零細、小企業、ここではまだ賃金下がっているんですよ、下がっているんです。確かに、大企業、輸出大企業とか金融とか保険業とか、あとはゼネコン、ここは上がっていますが、こういう小企業のところではずっと下がっているわけですね。
これはなぜかと分析しますと、やっぱり一つは非正規雇用労働者が多いということですよ、割合が多い。正社員が少ないということですね。もう一つは、小売業やサービス業が多いために、この消費税増税の反動減の影響を受けやすいというところ。
ですから、先ほど消費税増税については日銀総裁も財政再建のためというようなことをおっしゃっていますけれども、しかし、日本の経済の、先ほどの二十九人以下の従業員というのは、これは全労働者に占める四九%ですから、半分ですから、ここに一番大きい影響を与えている消費税が上げられたということをしっかり見ておく必要があると思うんですね。
黒田総裁は、この消費税についても何度か言及をされております。昨年の十月には、予定された一〇%への増税先送りについて、財政の信認が失われると対応が極めて困難になると、こういうこともおっしゃっているわけですね。私は、この消費税を上げないと財政の信認が失われるということ自体、財政再建のためには消費税を上げるしかないという思考停止の表れだと思うんですね。同じ税金でも、所得税や法人税もあるわけですよ。消費税に頼らない財政再建というのも私はあると思っているんですけれども、黒田総裁は、消費税以外の財政再建というのはあり得ないと考えるのか、どうなんですか。
○参考人(黒田東彦君) 私、従来から申し上げておるわけですけれども、財政再建、財政の持続可能性を確保していくということは、財政にとって重要であるというだけでなくて、日本経済にとっても不可欠のことであると思っております。また、金融政策にも財政の状況というのは間接的に影響をしてまいりますので、そういった観点から財政再建の重要性ということは申し上げておるわけであります。これは日本だけでなくて、欧米の中央銀行総裁も常に主張をしているところであります。
その一方で、どういった方法で財政再建をするかと、歳入の確保あるいは歳出の抑制といった中身につきましては、これはあくまでも政府、国会において議論し決定されることでありまして、私はその税制改正の中身についてどうこう申し上げる立場にはございません。
一昨年の時点で、昨年の四月に三%の消費税率を上げるかどうかという議論で、経済財政諮問会議において外部の識者をたしか六十名ほどお呼びしていろいろお話を伺ったわけですけれども、そのときにある方から私に向けて、消費税を上げたときのリスクと上げないときのリスクはいかんと、どうかというふうに聞かれましたので、あの時点で政府は三%消費税を上げるということによって財政再建を進めるということを考えておられましたので、逆に言うと、三%引き上げないということになりますと財政再建にかなりの影響は出るという状況でありましたので、やったときのリスク、それが景気に何らかの影響を与えたときにはいろいろな対応ができるとしても、やらなかったときに直ちにJGBクライシスが来るとは言えないと思いますけれども、その可能性、確率は低くても、もしそういうことが起こってしまうと財政政策でも金融政策でも対応ができないと、難しいということになるというリスクがありますということを申し上げたわけでございます。
○辰巳孝太郎君 私は、今回、政府が今、法人税の減税ということでやるということになっていますが、逆に内部留保はこの一年で十三兆円、大企業ですけれども、増えておりますから、それで税源は減るわけですから、そのことについてもちょっと黒田総裁に、逆に法人税収が減ってしまうことについてのリスクはどう考えるのかを聞きたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 何度も申し上げますけれども、私から税制改正の中身あるいは税制改革の在り方について具体的に今申し上げることは差し控えさせていただきますが、法人税率の引下げについて私が承知している限りでは、政府は課税ベースの拡大等によって恒久的な財源を確保して法人税率を引き下げると、それも数年掛けて二〇%台まで実効税率を引き下げるという方針を示しておられるというふうに承知しております。
ただ、その是非等について私から何か申し上げることは差し控えたいと思います。
○辰巳孝太郎君 終わります。ありがとうございます。