「外れのない宝くじ」?

2014年5月22日  

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以下、「しんぶん赤旗」より掲載

外環道のトンネル部工事

不適正な入札指摘

辰巳議員

日本共産党の辰巳孝太郎議員は21日の参院国土交通委員会で、東京外郭環状道路(外環道)のトンネル部工事においてスーパーゼネコン(大手建設会社)が高額で落札し事業を分け合う不適正な入札があったと指摘しました。

同工事は、外環道のうち関越道と東名高速と接続する二つのジャンクション(立体交差)間16・2キロメートル(都内区間)を外径16メートルのトンネル2本で結ぶ巨大工事で、総事業費は1兆2820億円。

辰巳氏が指摘したのは「一抜け方式」と呼ばれる異例の入札方式です。四つに分けられた事業を順番に開札し、落札者は次以降の入札では無効になる仕組みです。この事業の入札に参加したのはスーパーゼネコンの共同企業体(JV)だけでした。大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設が筆頭のJVがそれぞれ落札。最後に残った大成建設の落札率(予定価格に対する落札額の割合)は98・51%という高さでした。

辰巳氏は、中日本高速会社の一般競争入札の落札率(2012年)の平均が89・69%であったことも示し、「談合を疑われても仕方がない数字だ」と指摘。「公正・透明で競争性の高い入札」をうたった政府の「指針」にも反するものだと強調しました。

太田昭宏国土交通相は「多様な技術やリスク回避の観点から適正に入札が行われた」と答弁。辰巳氏は「妥当性が問われる契約だ」と批判しました。

(2014年5月29日 しんぶん「赤旗」)


以下、会議録より掲載

議事録を読む

(2014年5月29日 参議院国土交通委員会)

○辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎です。
道路公団民営化後、高速道路会社は債務の返済のために道路を新たに造れなくなったのか。そうではありません。会社は四十五年以内に返済できる分だけ負担をして、今度は国の税金を入れて、合併施行方式で新たな道路は造れると。その合併施行方式で民営化後に事業化された東京外郭環状道路について、今日はお聞きいたします。
この外環道は、都心から十五キロの範囲を環状に整備する高速道路でありまして、延長約八十五キロメートル。このうち、関越道大泉ジャンクションから東名高速東名ジャンクションまでの十六・二キロメートルが二〇〇九年に事業化をされました。これ、外径十六メートルの地下トンネルを二本掘っていく大工事でありまして、総事業費は一兆二千八百二十億円、国がほとんどの事業費をこのうち賄って有料道路事業としていくものであります。
この工事は、外回りの北行きの線と内回りの南行き線のそれぞれのトンネルを、中日本高速道路会社、東日本高速会社が国からの委託を受けて発注をしたものであります。今日、皆さんのお手元にも三枚資料がありますが、この二枚目の図にもこのことを記させていただきます。
まず国交省にお聞きしますけれども、この事業をなぜわざわざ四つの事業区間に分ける必要があったのか、これをお答えください。
○政府参考人(徳山日出男君) お尋ねの東京外郭環状道路でございますけれども、首都圏の慢性的な渋滞解消に大きな効果を発揮する重要な道路としておりまして、早期供用が期待をされております。
御指摘の区間は、最大級かつ長距離のシールドトンネルを大深度地下で速やかに掘るという難工事でございまして、施工に当たっては、私ども、高速施工を実現すること、そしてもう一つはトラブル発生のリスクを回避することと、この二つが最大の課題となっております。
こうした課題を踏まえまして、学識経験者等によります東京外郭トンネル施工等検討委員会、東京都立大学の名誉教授今田先生に委員長になっていただいておりますけれども、いろいろ御検討いただきました。この委員会からは、予期せぬトラブルが発生した場合に、対向するシールド機の掘進距離を延伸して対応する可能性があることを考慮していく必要があるという御指摘などをいただいているところでございます。
事業効果の早期発現が期待される中、工期短縮の観点、もう一つはトラブル発生のリスクを回避する必要性という観点から、これは他のトンネルでも、東京湾アクアラインなども両側から掘進をしておりますし、施工実績がたくさんございます。こういったものも参考に、上下線を両側から掘ることといたしたものでございます。
○辰已孝太郎君 三枚目の資料を皆さん御覧いただきたいんですけれども、私、ちょっと不思議なことがあるんですね。
この四つの事業というのは今年三月の十七日に開札をされたわけですが、この入札に参加したのは、この図にあるとおり四つのJVであります。この入札は、いわゆる勝ち抜け方式とか、また一抜け方式と言われるもので行っておりまして、四つの事業が同じ日の開札で順番に開札をされていくと。一つの事業を落札しますと次以降の入札では無効になると、こういうものであります。四つのJVが応札したわけですけれども、四つの事業ですから必ず一つの工事は取れるというものであります。実際、大林、鹿島、清水、大成建設が筆頭を務めるJVがそれぞれ落札をしたわけであります。四つの事業に四つのJV、まさに外れなしの宝くじと言われるゆえんであります。
国交省に聞きますが、なぜこのようないわゆる一抜け方式の入札を導入したんでしょうか。
○政府参考人(徳山日出男君) 先ほども申し上げましたように、今回は大深度で長距離の大断面のシールドを掘るという工事でございますが、シールドトンネルは、それでなくても過去にも予期せぬトラブルが発生をして遅延した例がございます。今回、早期開通が求められる中で、過去に例のない高土圧の大深度、長距離シールドを掘進するものでございますので、仮に片側からの技術がトラブルに見舞われても、反対側からの別の技術により掘削をカバーすることで工期の遅延を最小限に食い止めることが可能となります。これが先ほどから申し上げております、委員会も御指摘いただいた、対向するシールド機の掘進距離を延伸して対応する可能性があるというこのトラブル発生リスク回避でございます。
こうしたことから、今回の入札では、リスクの分散を図るとともに、多様な技術の導入を目指して異なる技術を提案してもらうことを意図したものでございます。したがいまして、同一の会社でも異なる提案をいただければ複数受注することも可能な仕組みとなっております。
○辰已孝太郎君 早く早く、遅延なしにという話がありましたけれども、今回、大規模更新、改修で、首都高や名神、早く造って早く潰れてしまったということを想起せざるを得ないと思います。
リスクの分散といいますけれども、そもそもこれだけの大事業で、高額の、しかも高度な技術を必要とする事業のJVの中心になる企業というのはスーパーゼネコンに私は限られると思います。そもそも応札してくる企業というのが筆頭であれば限られてくると。実際にこの四つの事業に応札したのは四つのJVですから、仲よくみんなで高額の仕事を分け合ったと、こう言われているわけであります。
私が驚いたのは、この図の三にありますとおり、最後の大成建設が筆頭のJVの落札率であります。これは九八・五一%になっておりまして、普通だったら談合が疑われても仕方のないような高い数字になっております。ちなみに、調べてみますと、この大成建設は四つ全ての事業で高額の入札をしておりまして、ですから、一つ目は予定価格をオーバーになってしまったほどであります。
ちなみに、東日本、中日本高速会社の二〇一二年の一般競争入札における落札率の平均、会社の資料で私調べてみたところ、そうすると、それぞれ八六・二八%、八九・六九%でありましたけれども、それと比べても極めて高い落札率となっているわけです。事業費が莫大ですから、高いお金で落札すればそれだけの利益は出てくるわけで、仮に大成建設がこの平均落札率で受注した場合と今回の場合と比べた場合、百億円以上の差が出てくるわけであります。
私は、これだけ莫大な費用を要する事業で、国が事業主体ですから、入札方法の変更が私は行われるべきだったのではないかと思いますけれども、これについてはどのようにお考えですか。
○政府参考人(徳山日出男君) こういう入札を行います場合には、こういう高い技術を必要とする実績があるかどうかと、こういう経験を問うわけでございます。今回、例えば東日本高速道路会社がこの発注に当たっての条件と課したもの、例えば、一つは外径五メートル以上の密閉型シールドトンネルの経験があるかどうかと、こういった実績条件を課したわけでございますけれども、こういう条件に合致する企業が何社あるかということを調べてみますと、四つの工事の中でも競争参加資格者数が最も少ない東日本高速会社の工事に対しましても、参加可能な条件を満たす企業は四十五社ございます。そういうことでは、多くの応札者が現れる可能性が担保されておったわけでございます。
それから、四社が入札をして四つの工事なので外れなしと、こういうことでございましたけれども、近年の入札では、応札者同士が顔を合わせて一度に入札をするということはいたしておりません。各応札者は、全体の応札者数については事前には知ることができません。ですから、最後に開札となる工事につきましても、一社であるということを知らずにこの会社は入札をしていると。四社が全部四つに入れるわけですけれども、最後の開札となる会社は、必ず一人であるということが分かって入札をしているわけではないということでございます。
このようなことから考えますと、これらの入札につきましては適切に行われたものと私どもとしては考えております。
○辰已孝太郎君 入札を行った企業が何社入札したか分からない、当たり前の話です。しかし、委託された東日本や中日本というのは、何社の入札があったかというのは、これは分かるわけですね。
ですから、この一抜け方式、勝ち抜け方式の弱点というのはやはり最後の落札者が一社のみになった場合であって、例えば埼玉県の春日部市の契約課に問い合わせますと、こういう入札があるときは、落札可能業者が最後一社になった場合、これは実質的に競争性が発揮されないとみなされる場合、これは公告中に一抜け方式により執行すると明示をしていても通常の方式により執行する場合がありますと、こう言って、ちゃんと運用上の予防線というのを張っているわけであります。
先ほどありました、四十五社という話がありましたけれども、結局、実際は四社しかなかったわけですから、それをもちろん会社は分かりません、だけれども、東日本、中日本は分かっていたわけですから、違った入札の方式を取るということも私は可能だったのではないかと思うんですね。
国は事前にこのような入札方式を東日本と中日本が取ることというのを承知していたんでしょうか、それだけ。していたか、していなかったか。
○政府参考人(徳山日出男君) 発注手続につきましては、実際の発注者であります各高速道路会社の責任において実施するものでございます。しかしながら、国としても東京外郭環状道路の早期整備は重要と考えておりまして、また、二つの高速道路会社にまたがることもございますから、基本的な部分については関東地方整備局が両社からの協議を受けております。
お尋ねの発注方式、先ほど来申し上げておりますように、大断面、長距離のシールドトンネルの施工上のリスク回避及び早期整備の観点から必要な事項でございまして、関東地方整備局と各高速道路会社が事前に協議の上、実施されたものでございます。
○辰已孝太郎君 分かっていたということであります。
国の公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針ではこう書いてありますよ。入札及び契約に関していやしくも国民の疑惑を招くことがないよう、公正、透明で競争性の高い入札や契約の適正化に取り組むと、基本的な考え方を示しているわけです。
大臣にお聞きしますけれども、やはりこの外環道、国と高速会社の共同事業ということでありますけれども、ましてや事業費のほとんどが国民の税金で行う事業であるならば、このような入札が行われたことについて、行われると分かっていたわけですから、国は改めさせる必要があったんじゃないですか。
○国務大臣(太田昭宏君) 既にこれまで局長から答弁したとおりで、私からは付け加えることは何もありませんが、まさに公平性ということや技術的なことについてそうした工事が行われたんだというふうに、入札が行われたというふうに思っています。
一日も早い開通が望まれているということ、技術的な水準ということからいって難工事であるということを、技術を担保するということで行われなければならないということ、そのリスクを回避して早期開通を目指すという課題について、今回の入札は競争性を確保して多様な技術の導入を求めるものであって、適切に行われたものだと考えています。
○辰已孝太郎君 私は、国の指針にも今回の入札は真っ向から反するものだというふうに思います。契約の妥当性が問われるものだと私は思います。
この区間の事業、今大臣も望まれているという話がありましたけれども、これは二〇〇九年四月の二十七日に開かれた第四回国土開発幹線自動車道建設会議で僅か二時間の審議で決められたものであります。この会議の議事録、私も見ましたが、地下水や地盤への影響など環境問題について市民から意見や要望が出ているということも紹介をされております。
難工事、難工事と言いますけれども、それは、この地下のトンネルが四十メートルにも及ぶ大深度の掘削工事、また、武蔵野三大湧水池を横切るものでありまして、環境破壊が深刻であります。三鷹市や武蔵野市は六割から七割の水道をこの地下水に依存をしていますので、ますます深刻です。
また、外環道途中の東八インター付近の小学校のぜんそく罹患率、これ都内の平均というのは六%なんですけれども、例えば北野小学校は一四・八%、東台小学校は一三・八%、中原小学校は一四・八%と、今でもぜんそくの罹患率が極めて高くなっております。もしここに一日三万台もの交通量が見込まれているインターが設置されるということになれば、子供の健康が心配だと誰もが思います。だからこそ、周辺住民の皆さんは今でも反対の声を上げられているわけであります。
工事の契約というのは行われましたけれども、まだ本格的に工事を進める段階にはありません。外環道は、大深度地下を通るために、法律に基づいて大深度地下使用の申請があります。三月の二十八日、国土交通大臣がこの認可の告示をいたしました。この認可に対し、八百人を超える異議申立てが行われております。今まで百人以上が口頭陳述を申し出ているというふうにも聞いております。法律上、この全員から意見を聞く義務があります。
国交省に聞きますけれども、大臣に聞きますが、是非、大臣、国土交通省として、これらの市民の皆さんの意見に誠実に耳を傾けて、そしてその意見を踏まえて、改めて今回の事業の認可が適切かどうか私は再検討するべきだと思いますけれども、どのようにお考えですか。
○国務大臣(太田昭宏君) この事業は、平成二十五年十一月八日に、関東地方整備局、東日本高速道路株式会社及び中日本高速道路株式会社から申請のあった東京外郭環状道路、関越から東名まで結ぶわけですが、この大深度地下の使用の認可について、事業者が法に基づく周辺住民への周知措置を実施するとともに、公聴会の開催並びに関係行政機関及び学識経験者の意見聴取の手続を経て、平成二十六年三月二十八日付けで認可したところでございます。
平成二十六年五月二十日に、大深度地下の使用認可処分の取消しを求める異議申立書八百四十二通を受理をしたところです。それは御指摘のとおりです。これらの異議申立てにつきまして、行政不服審査法及び大深度地下の公共的使用に関する特別措置法に基づいて適正に手続を進めてまいります。
○辰已孝太郎君 大臣、市民の意見を聞いてもらえるのかどうか、これだけお答えください。市民の意見。
○国務大臣(太田昭宏君) 手続は、公聴会も行って聞いてきたというところでありますから、私も様々の機会に聞いており、早くこれをやってくれという声はかなり聞いてきたところでありますが、常に政治家は声は聞くというのは当然のことだと思います。
○辰已孝太郎君 この外環道に関しては、渋滞の解消だという話がありましたけれども、しかし、外環を利用すると言われている区間で、九九年と二〇〇五年の比較で既に交通量が十万台減っておりまして、例えば、これ二〇〇六年、東京都が作った十年後の東京という資料なんですけれども、これ、二〇一五年の時点、外環道が整備されていないという前提でこれ見ましても、主要渋滞ポイント六百か所がおおむね解消すると、こういう資料だって東京都は出しているわけであります。環状八号線の三十一キロの走行時間の短縮効果、これが外環道ができたとしても八十一分から七十五分、僅か六分しか短縮されないという推計も出されているところであります。
私は、今法案で、今回の法案で想定されている大規模更新、修繕に掛かる費用というのは、東日本高速会社で八千八百億円、中日本で一兆百億円であります。今回の事業全体の事業費というのは、一兆二千八百二十億円のうち、中日本と東日本が負担するのが二千五百十億円ですから、新しい高速道路につぎ込むお金があるのであれば、私は大規模更新、修繕にちゃんと回すべきだと思います。残りの一兆円は国が出すということですけれども、一メートル一億円の道路に使うお金があったら、これも大規模更新、修繕に、税源がなくて困っている地方のインフラ修繕などにも回すべきだというふうに私は思います。
このような事業よりも、今……
○委員長(藤本祐司君) 申合せの時間が来ていますので、簡潔にまとめてください。
○辰已孝太郎君 本当に必要な既存の道路、インフラの老朽化対策にこそ国民の税金を使うべきだということを訴えまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。

以下、委員会で配布した資料を掲載。

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