「パリ協定」に背を向け権益拡大に走る政府の姿勢を批判

2016年11月10日  

 

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参院経済産業委員会は10日、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)法改定案を自民、民進、公明、維新の賛成で可決しました。日本共産党は反対しました。採決に先立ち日本共産党の辰巳孝太郎議員が質問と討論に立ちました。

同法案は、日本企業による石油などの探鉱を支援するため、JOGMECによるリスクマネーの供給対象を拡大するものです。

辰巳氏は、地球温暖化防止が人類的課題となるなか、世界では化石燃料資源から投資を引き揚げる「ダイベストメント」が注目を集めていると指摘。「パリ協定」が掲げる気温上昇2度未満の達成には、現在企業が保有している化石燃料の8割は燃やすことができないと英国のシンクタンクが分析していることなどを紹介しました。

世耕弘成経産相はあくまで化石燃料に固執する姿勢を示しました。

辰巳氏は、誤りの大本には原発と石炭火発を「ベースロード電源」と位置づけ、その輸出や開発を成長戦略の柱とする安倍政権の「エネルギー基本計画」があると指摘。温室効果ガスを大量に排出する石炭火発の規制に世界が進むなか、安倍首相が石炭のなかでも低品位の褐炭を有望資源と位置づけていることを示し、「『パリ協定』と整合性はとれない。世界から逆行している」と批判しました。

辰巳氏は討論で、(1)温暖化防止と整合性のとれた資源確保という視点の欠落(2)1・3兆円の大穴をあけた石油公団の二の舞いになる危険性が高い(3)日本国民への安定したエネルギー供給につながる担保がなく、多国籍企業の投資リスクを国民に肩代わりさせ、資源開発の成果を独占させることになる―と訴えました。

2016年11月11日付け新聞赤旗記事を転載

議事録を読む

○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
大臣、まずお聞きをします。
昨日、アメリカ大統領選挙がありました。トランプ大統領誕生ということになったわけですが、トランプ氏はこの間、TPPの撤退ということも言っております。今日、衆議院の本会議が職権で立てられたわけでありますが、TPPの批准、日本国としてもするべきじゃないと思いますけれども、どうですか。
○国務大臣(世耕弘成君) 国会の審議の状況について私は申し上げる立場にはありません。
TPP一般として申し上げますけれども、これは非常に自由で公正で開かれた新しい経済のルールでありまして、これをアジア地域にしっかりと展開をしていくということは我が国の国益に資するものだというふうに考えております。
○辰巳孝太郎君 我々、TPPというのは、国益というよりも一部の多国籍企業の利益のためのものだというふうに考えておりますし、日本の農業、酪農、林業、漁業を始めとした様々な影響というのも計り知れないと。また、医療の開放、皆保険制度の懸念なども出されているところでありますので、これはもう撤退しかない、批准すべきじゃないということをまず申し上げておきたいと思います。
さて、このJOGMEC法の中身の審議に入る前にもう一つ、政府のエネルギー政策について聞いておきたいと思います。
本年十一月の四日にパリ協定が発効をいたしました。現在、モロッコのマラケシュでCOP22が開かれております。政府は、この同じ条約であるTPPを強行に採決しようとしながら、パリ協定、これは後回しにいたしました。
このパリ協定というのは、世界の平均気温の上昇を産業革命以前よりも二度未満に抑えて、一・五度に抑える努力をしようということでありまして、今世紀後半にCO2などの排出を実質ゼロにしようというものであります。
日本はこの批准が間に合わずに大失態と、こういうことでありますが、大臣にお聞きします。この地球温暖化対策の政策をも担う経産大臣として、このことをどう受け止めておられますか。
○国務大臣(世耕弘成君) パリ協定は、史上初めて全ての国が参加する公平かつ実効的な枠組みでありまして、我が国としても一日も早い締結に向け、これまで作業、調整を行ってきたところであります。政府としては、パリ協定の署名が可能となりました四月二十二日に署名を行い、経産省としてもパリ協定と所管する国内法との整合性の確認などを行った上で、臨時国会後の審議日程の見込みなどを踏まえて十月十一日に閣議決定を行ったところであります。
このように、政府としては、外務省を始めとする関係省庁が一体となって可能な限り迅速に作業、調整を行った結果として先般の閣議決定に至ったと認識をしております。
また、一昨日には、国会での御審議を経て、日本政府として国連事務総長宛てにパリ協定の受諾書を寄託をいたしました。現在、COP22が開催をされ、パリ協定の実施指針策定に係る交渉が行われているところでありますが、我が国としても、引き続き交渉において主導的な役割を果たしてまいりたいというふうに思います。
現在開催中のCOP22の会期内においては、パリ協定を締結国の国がメンバーとなるパリ協定の第一回締約国会合が開催される予定であります。ただし、パリ協定の実施指針策定に係る交渉は我が国を含む国連気候変動枠組条約の全締約国が参加する場で行われており、協定発効後も引き続きCOP22を含む全締約国が参加する場で行われる見込みであります。
○辰巳孝太郎君 大臣からは、批准が遅れたことについての受け止めということはなかったと思います。
当時、丸川環境大臣は、六月の二十一日に、このパリ協定は遅くても来年の通常国会にはやりたいんだという発言をしているわけですね。安倍首相も、この臨時国会の所信表明演説で、TPPの早期発効には言及をしながら、パリ協定には一言も触れなかったわけであります。挙げ句の果てには、山本環境大臣が、荒技があってもええというような暴言、放言があったわけで、日本主導でこれを進めていこうという態度ではなくて、結局、他国の様子見をした結果、こういう批准の遅れということにつながったという反省が大臣の答弁からはなかったと思います。
この地球温暖化に対する世界の取組に背を向けてきたのが、私は日本政府だと思うんですね。二〇一四年では、この第一次エネルギー供給に占める化石燃料の割合は九二%ということになっております。二〇三〇年度のエネルギーミックスにおいても七六%とされておりまして、依然高いと言わなければなりません。パリ条約に照らしても、再生可能エネルギーを爆発的に普及をさせる政策こそ今日本では求められているというふうに思います。
今回、JOGMECの法案でありますが、石油権益の獲得拡大のために出されております。私は、かつての公団の反省もなく、化石燃料の権益確保にひた走るような政策で本当にいいのかということを改めて問うていきたいというふうに思っております。
経産省に聞きますが、なぜ今JOGMECの改正を行って、更なるリスクマネーの供給、これを行う必要があるんでしょうか。
○政府参考人(山下隆一君) 国際エネルギー機関、IEAによりますと、二〇三〇年に向け、世界的な石油、天然ガスの需要は引き続き拡大を続ける一方で、供給に占める中東依存度も拡大する見込みとされております。新興国を含めました資源獲得競争は今後ますます激化していくことが予想をされます。
我が国におきましては、今後、需要の絶対量は減少はしていくものの、二〇三〇年度時点でも石油、天然ガスは一次エネルギーの半分近くを占める見込みでございます。権益確保は今後も重要な課題だと認識をしております。
こういった状況の中で、原油価格の低迷に伴って、石油権益の資産価格の低下、あるいは海外の資源会社の資産売却といった動きが出てきていると。集中投資によってこれらを獲得すれば、我が国のエネルギー安全保障の強化につなげることができると。このため、今後五年程度の間に集中投資を進めるべく、JOGMECによるリスクマネー供給機能の拡充を行うことにしたものでございます。
○辰巳孝太郎君 この間の審議の中でも、このJOGMEC法改正に当たっては、つまり原油価格が低迷して投資が減少しているんだ、今が海外の資源会社の買収や権益、海外の国営石油会社の株式の買いどきなんだという話があったわけであります。
しかし、私は、欧米メジャー始め様々な開発会社が石油の開発から手を引き始めているといいますか、投資がなかなかできないというのは、油価の下落だけが原因じゃないんじゃないかということも提起をさせてもらいたいと思うんですね。
現在、午前中の審議の中にも少しありましたけれども、ダイベストメント運動というのが世界から注目をされております。これはどういうことかといいますと、イギリスのシンクタンク、カーボントラッカーという報告書が出まして、これによりますと、気温の上昇を二度未満に抑えようとすると、現在企業などが保有している石炭、石油、天然ガス等の化石燃料資産をこれ全て到底燃焼できず、現在世界が保有している化石燃料の八割は燃やすことができないという報告であります。
そのほか、シティグループでも、確認されている埋蔵量のうち石油は三分の一、天然ガスは半分、八〇%以上の石炭は使うことができないという結論付けた報告書を出しております。また、ロンドン大学、オックスフォード大学、世界最大級のメガバンクであるHSBCなども同様の試算や研究を発表をしております。IEAの試算でもこのCO2回収、貯留、いわゆるCCSの技術が広範に普及しない場合、世界の気温上昇を二度以内に抑えるという目標を達成しようとすると、化石燃料の確認埋蔵量の三分の一しか二〇五〇年までには消費できないんだと、こういうふうに結論付けているわけであります。
大臣、このダイベストメント運動、どのように受け止めておられますか。
○国務大臣(世耕弘成君) パリ協定においては、産業革命以前の水準から温度上昇を二度未満に抑えるとの目標が規定をされております。そして、ダイベストメント運動というのがあるというのもよく承知をしております。
ただ、その気温上昇を抑えるに当たって押さえなければいけないCO2の排出経路というのは、これは化石燃料だけではないわけです。いろんなものがあるわけでありまして、その二度未満に抑制する過程で直ちに化石燃料が全部使えなくなるわけではないというふうに思っています。
ですから、我々も、別に独り善がりで、五年間ちょっと安い状況が続いて、その後、中期的には、やはりエネルギー価格は、化石燃料の価格は高くなっていくというのは、これはまたいろんな国際機関、シンクタンクが出している数字に基づいているわけであります。
特に、今御指摘のように、化石燃料のうちCO2の排出量が多い石炭を中心にダイベストメントの動きが一部あることは承知していますけれども、一方で、経済性やエネルギー安全保障の観点から化石燃料の需要は引き続きまだあり続けて、重要なエネルギー源であり続けるだろうと我々は思っています。
例えば、途上国がいきなり原子力発電所とかLNG火力を造ったりとかいうことはできないわけであります。やはり石炭火力とか石油火力というのを造っていかざるを得ない面もあるわけでありますから、そういう視点を持ちながら、しかし一方で抜本的な排出削減は実現していかなければいけませんので、化石燃料に代わるエネルギー源を開発するためのイノベーションが必要でありまして、その前提となる経済成長を実現すべく、地球温暖化への影響も考慮しながら経済性に優れた化石燃料を安定的に活用できるよう投資することは合理的だというふうに考えております。
○辰巳孝太郎君 とはいいながら、世界はこの化石燃料の開発に対するリスクというのをきちっと見始めているということなんですね。
ノルウェー政府の年金基金ファンドの運用を行っているノルウェー中央銀行ですけれども、日本のいわゆるGPIFの運用ということですね、売上げの三〇%以上を石炭関連事業から得ている企業を投資先から除外するとしまして、その中には北海道電力、四国電力、沖縄電力などが含まれております。そういう世界の流れに全く逆行しているというのが日本政府だと言わなければならないと思うんです。
先ほど、石炭を中心にという話もありました。しかし、海外の石油会社の株主というのも声を上げ始めているんですね。自然エネルギー財団の資料によりますと、スーパーメジャーの一つであるロイヤル・ダッチ・シェルですけれども、二〇一五年の株主総会において、九九%の投資家が気温上昇を二度未満に抑えるという目標と企業活動が一致しているかどうかを報告することを要求をいたしました。また、本年、エクソンモービルの株主らが気候変動対策等が事業の利益にどう影響するのかということを今後の年間報告書で記すべきだと求めて、約四割の株主がこれに賛同をいたしました。シェブロンも同様に、気候変動対策による事業への影響の報告を四割の株主が求めているわけであります。
大臣にお聞きしますけれども、JOGMECとして、やはり気候変動対策やこのダイベストメント運動を踏まえた化石燃料事業への投資リスクを研究、試算していくべきじゃないでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) JOGMECは、出資とかあるいは債務保証など個々の案件の審査を行うときに、例えば油価の動向、生産量、開発費や為替レートなど事業の経済性に大きな影響を及ぼす様々なファクターについて感度分析を行って、そしてその中で、たとえそれらが事業環境に不利に作用する部分があった場合でも投下資本の回収が相当程度確実と判断されることを確認をした上で採択の可否を決定をしているわけであります。
気候変動対策やダイベストメントの動きが石油、天然ガスなどの化石燃料の開発事業の資金調達やリスクにどのように影響するのか、現在の知見についてまずはしっかりと研究や検討を行った上で、一定程度定量的な評価が可能なのであれば感度分析においてその知見を取り込んでいくことが望ましいと考えております。
○辰巳孝太郎君 やはりこれ、中長期的に分析そして試算をしていくということが大事だと思うんですね。
しかし、安倍政権がエネルギー基本計画において原発と石炭火力発電をそもそも重要なベースロード電源と位置付けているということ、これが私はやはり大きな問題をはらんでいるというふうに考えております。輸出や開発をその成長戦略の柱としているわけであります。
安倍首相が昨年の五月の二十一日に第二十一回国際交流会議「アジアの未来」という晩さん会において行ったスピーチで、アジアの資源、石炭をもっと効率的に活用しようということを述べております。安倍総理は、燃料電池を付けるなど技術を進化させていけば、石炭を使って天然ガス並みのCO2排出量に抑えることも十分可能だと述べております。続けて、それだけではないんだと、ガス化する技術を用いることによって、これまで石炭火力には不向きだとされてきた褐炭が有望な資源となるんだと、褐炭は宝の山だというふうに述べております。
大臣、眠っている石炭を掘り起こすというのが政府の方針なんでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) アジアに多く存在する褐炭、これは元々水分が多いことなどから、これまで十分に活用はされてこなかったわけであります。
しかし、日本の有する最新の石炭ガス化技術を活用すれば、褐炭をガス化することで水分が除去をされて、発電や化学製品の製造などなど様々な用途に活用することが可能となっております。これによって、褐炭の産炭国にとっては、それまで未活用であった資源の利用が可能となって経済的なメリットを得ることが可能となります。また、石炭のほぼ全量を輸入に頼る我が国にとっても、低廉かつ安定的な石炭の調達先の確保につながり、エネルギー安全保障上のメリットがあります。
政府としては、このように、お互いの国にとってメリットを生む技術であることから、産炭国のニーズに応じてその活用を進めていきたいと思っております。
なお、石炭をガス化して発電する技術を活用することによって、従来の褐炭をそのままボイラーで燃やす発電よりも発電効率は向上して、CO2の排出量も少なくなるわけであります。
○辰巳孝太郎君 やはり石炭に固執をするわけですね。日本は海外石炭火力技術の輸出支援を世界トップで行っているわけですが、そもそも天然ガスよりも二倍のCO2を排出するのが石炭であります。たとえ高効率の技術であっても、一度建設してしまえばこれ長期間CO2を排出し続けるという技術ですから、やはり私はパリ協定との整合性というのは取れないというふうに思うんですね。
OECDは、二〇二〇年までに先進国、官民合わせて一千億ドルを発展途上国に投入をして気候変動への取組を支援しようという取組をしております。ところが、この総額一千億ドルの総額から日本の石炭関連への投融資というのは除外をされているわけでありまして、私はこの日本政府の認識というのが世界と逆行していることの証左だというふうに思います。
さて、JOGMEC法に改めて移りたいと思うんですね。
世耕大臣は、二十八日金曜日、衆議院の経産委員会で、法案提出の目的はあくまで日本国民に安くて良質で安定的なエネルギーを供給することだと答弁をしております。そのため、現在二七・二%の自主開発比率を二〇三〇年には四〇%にするという目標を立てておられます。
改めて、自主開発比率とは何でしょうか。
○政府参考人(山下隆一君) 自主開発比率とは、要すれば日本に必要な石油、天然ガスの量のうち、日本企業が持っている石油、天然ガスの量がどの程度あるかの割合を表すものでございます。正確に定義を申し上げれば、石油及び天然ガスの輸入量と国内生産量の合計に占める日本企業が権益を保有する量と国内生産量の合計の割合でございます。
○辰巳孝太郎君 ということは、自主開発比率が高まれば多くの資源が日本に入ってくるということになるんでしょうか。つまり、権益下にある油田から、じゃ、具体的にどれぐらいの量の燃料が輸入をされているんでしょうか。
○政府参考人(山下隆一君) 昨年度の我が国の石油、天然ガスの自主開発比率は二七・二%、我が国の企業による引取り量は日量約百四十六万バレルでございます。このうち我が国への平時の輸入量につきましては、各社へのアンケート調査によれば、日量約五十万から六十万バレル程度でございます。
○辰巳孝太郎君 百四十六万バレルですかね。(発言する者あり)
○委員長(小林正夫君) 発言待ってください。
○辰巳孝太郎君 ということだと思うんですね。つまり、三分の一程度ですか、しか日本に来ていないということであります。つまり、これ権益そのものへの出資をJOGMECがするわけでありますが、そのうち全ての燃料が日本には輸入をされていないと。結局JOGMECが出資した分の油を引き取る権利はないということであります。実際に、各日本の企業が世界市場の中でより高く買ってくれるところに油を売却すると、こういう話であります。
ちょっと確認しますけれども、JOGMECが半分、まあそれ以上出資しているプロジェクトもあると思うんですが、そういう中で実際に日本には全く来ていないものもあるということですか。
○政府参考人(山下隆一君) 個別のケースについては少し精査をしなければいけませんが、その可能性はあるということでございます。
○辰巳孝太郎君 JOGMECが五割それ以上出資してですよ、プロジェクトに、それで来ていないかもしれないという話であります。
となると、この改定案は、自主開発比率を高めるためのリスクマネー供給ということでありますけれども、大臣、これ、先ほど、日本国民に安くて良質で安定的なエネルギーを供給することという話でありますが、これとちょっと直結しないことになるんじゃないですか。どうですか。
○国務大臣(世耕弘成君) いや、日本の上流開発会社がしっかりと権益を確保して経営が安定するということは、これは長い目で考えた場合、やはり安くて安定的なエネルギー供給につながると思いますし、先ほども別の答弁で申し上げましたけれども、やはり、いざ有事のときなんです、問題は、有事のとき。しっかりと経営を平時はやっておいてもらって、有事のときに、日本に石油エネルギーが途絶したというときに日本にさっと回してもらう、そういうことが一番重要だと思っていまして、JOGMECが出資する先は、有事の際は日本にしっかり回すようにということを確認した上で我々はJOGMECに出資をさせているわけであります。
○辰巳孝太郎君 有事という話がありますけれども、先ほどもありましたとおり、これ緊急時に日本に持ち込む努力をしてもらうということでありまして、決してこれ担保、完全な担保にはならないですね。努力規定ということであります。有事というのがどういう有事かちょっと分かりませんけれども、日本だけが足りないということになるような状況というのは余り考えられないわけでありまして、いろんな周辺国が足りないということになれば、結局、日本の一民間企業、商社としては高いところに売ってしまうんじゃないかという懸念は拭い去れないわけであります。
もう一つ、自主開発比率の計算方法について確認をしたいと思うんですけれども、JOGMECが出資をしていないところがありますね。日本企業、商社、開発会社だけがやっている、JOGMECはそこのプロジェクト会社に出資はしていないと。日本企業だけの権益の油田については、これはさすがに自主開発比率には算入していないということでよろしいですね。
○政府参考人(山下隆一君) 先ほど定義を申し上げましたが、その定義上はJOGMECが出資をしている先というふうに限定をしておりませんので、JOGMECが出資をしていないものにつきましてもこの自主開発比率には入ってございます。
○辰巳孝太郎君 そうしますと、ますますこの比率の計算、これでいいのかということになるんじゃないでしょうか。
先ほど、有事の際という話にありました。そのときは、契約で努力規定だが担保している。しかし、このJOGMECが入っていないところについては、契約そのものがJOGMECとしていないわけですから、そうですね、それなのに、これ比率の中には入っているわけですよ。比率を高めることがエネルギー安全保障に資するんだという議論というのは、これはやっぱり直結しないというふうに思うんですね。
こうなってくると、本改定案の柱でもある自主開発比率を高めるというもっともらしい話は、国民への安定供給ということよりも、更なるリスクマネー供給の拡大を行うことによって、油価低迷とか資産下落によって一時的に大もうけを上げているわけですから、日本の企業も、一時的に経営のしんどい日本の資源開発会社を助けてあげるための方便に私は聞こえてくるわけですね。これでは石油公団の反省も何もあったもんじゃないというふうに思います。
結局、本法案のリスクマネー供給拡大も、総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会において、石油鉱業連盟副会長より、原油安期間に限定してJOGMECの探鉱出資比率を最大九〇%にまで高めてほしいという身勝手な要求から出発をしているということも指摘をしなければならないというふうに思います。
既にJOGMECは設立以来多くの事業に対し出資をしております。しかし、事業終結による損失も出しております。実績を示してください。
○政府参考人(山下隆一君) JOGMECでは平成十六年の設立以来、平成二十七年度末までに累計で五十三事業に対して五千百十八億円を出資しており、うち二十一事業で石油、天然ガスの十分な量の存在が確認されております。そのうち八事業で生産中、六事業で開発中、七事業で開発検討作業中という成果が得られてございます。
一方で、二十一事業では商業的な十分な規模の石油、天然ガスの埋蔵が認められずに事業を終結してございます。
○辰巳孝太郎君 繰越欠損金はどれほどになっていますか。
○政府参考人(山下隆一君) JOGMECの繰越欠損金は、平成二十七年度末で千四百七十八億円となっております。
○辰巳孝太郎君 そのうち事業終結評価損というのは幾らになっていますか。
○政府参考人(山下隆一君) 事業終結に係る評価損は約八百億円となってございます。
○辰巳孝太郎君 これまで経産省は、機械的にこの一千五百億円の出資額の二分の一を一旦評価損に計上するんだ、保守的なルールでやっているんだと、これ衆議院の答弁でも言っているわけですけれども、しかしその半分以上が結局事業の失敗、事業終結評価損になっているわけでありまして、このJOGMECがどういうふうにプロジェクトそのものを評価して出資をしたのかということが大きく問われているというふうに思っております。
本法案は、上流開発企業による企業買収等への支援のためにJOGMEC当初はなかった政府保証付借入れを行おうというものであります。JOGMECにおける政府保証契約の限度額、これの推移を二〇一〇年からですかね、これを示していただけますでしょうか。
○政府参考人(山下隆一君) 二〇一〇年からでございますか。
○辰巳孝太郎君 はい。
○政府参考人(山下隆一君) 限度額の推移は、平成二十一年度で一・一兆、二十二年度で一兆、二十三年度で二・二兆、二十四年度で二兆、二十五年度で二・五兆、二十六年度で二・六兆、二十七年度で二・八兆、二十八年度で二・八兆、二十八年度の補正で三兆円ということになってございます。
○辰巳孝太郎君 これ、だからJOGMEC発足のときにはなかった、そういう政府保証の借入枠ということであります。年々借入枠が増やされてきたわけであります。つまり、今回から、よりリスクのあるこういう事業にも充てていくというために、今、当初一兆円だったものが補正も合わせますと三兆円の枠に借入枠が膨らんだということであります。
よりリスクのある事業にこれ失敗をすれば、国民の負担に、直接負担になっていくという形になるんじゃないですか。その辺はどうですか。
○国務大臣(世耕弘成君) 今回の改正で私は決してリスクが高まるとは思っていません。今まではあくまでも個別の炭鉱の権益にしか投資ができなかったわけであります。これはもう当たるか当たらないか、ゼロか一〇〇かみたいな世界になってしまうわけであります。今度は企業に出資ができるようになるわけです。企業はもう既に持っている権益がありますから、その配当も得られます。あるいは、その企業は幾つも同時に探鉱をしたりということをやりますから、当たらないものもあれば当たるものもあるという、ある程度ポートフォリオが組めるようになるというふうに思っております。
私は、今回の改正で逆にJOGMECの投資リスクというのは低くなるのではないかというふうに思っておりますし、決してこれまでのJOGMECの実績も、これ、ほかの類似の会社に比べて決して悪いものではない。どうしても会計処理上ああいう形にはなっていますけれども、これは長く、資源開発というのは長く収益を取り返していく、得ていくものでありますから、今のところはこうなっていますが、長期的には十分バランスの取れた収支構造になっているというふうに思っております。
○辰巳孝太郎君 大臣はポートフォリオのことをおっしゃいますけれども、私が伺ったのは、政府保証の三兆円という枠を、元々はなかったわけですよ。それを一兆円、三兆円と増やしていくことが、つまりこれはリスクのある事業に国民の税金ですよね、そこを投入していく、失敗をすればそういうことになるんじゃないかということを申し上げたわけであります。
公団の失敗からの反省もなしに開発をどんどん進めていくという本改正案には反対だということを申し上げて、私の質問といたします。

反対討論を読む

○辰巳孝太郎君 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
先日、パリ協定の批准が国会において承認され、政府が批准手続を取りました。我が国は、温室効果ガス主要排出国としてパリ協定を実践する責務があります。そして、今世界では化石燃料からの投資撤退、ダイベストメント運動が注目を集めております。
東電福島第一原発事故による未曽有の被害を教訓とするならば、原発や石炭、石油火力に頼るのではなく、再生可能エネルギーの飛躍的な導入を行うことこそ、この世界の流れに沿う道です。
しかしながら、我が国はいまだに原発や石炭火力をベースロード電源と位置付けております。温暖化を防止する未来への役割を果たすその道筋と整合の取れた資源確保戦略が策定されなければなりません。しかしながら、本法案にはそういった視点が欠落していると言わざるを得ません。これが第一の反対の理由です。
反対理由の第二は、資源開発会社が油価低迷、資産下落に陥っていることを口実としてJOGMECのリスクマネー供給対象を拡大する問題です。
JOGMECは、その前身である石油公団が成功払い融資、債務保証の不良債権化や浪費問題について国民の大きな批判を浴びて廃止された、その反省に立ち、設立をされました。しかし、この間、支援措置が追加、拡大され、本改正ではさらに政府保証借入れによるリスクマネー供給の拡大を行うとしています。これではまさに資源開発で一兆三千億円もの大穴を出した石油公団の二の舞となってしまう危険性が非常に高いと言わざるを得ません。
反対理由の第三は、国営石油企業の買収やMアンドAにまで出資対象を拡大することが日本国民への安定したエネルギー供給につながる担保はどこにもないということであります。
質疑の中で、自主開発比率の引上げが我が国への安定的な資源輸入に必ずしも結び付かないことが明らかになりました。巨大商社や石油会社は、原油安によって資産価値が下落している中においても大規模投資を行っております。開発から撤退したわけではなく、短期的な効果を生みやすい企業買収案件に選択と集中をしているにすぎません。多国籍企業化した資源開発会社によるこういった投資リスクを国民に肩代わりをさせ、資源開発の成果をこれまでよりも更に独占させるものになりかねません。
以上の問題を指摘し、反対討論といたします。